ブックレビュー

   
『新艦長着任!』
<紅の勇者オナー・ハリントン1>

デイヴィッド・ウェーバー著
矢口悟訳、1999/1/31刊
渡邊アキラ絵

上:ISBN4-15-011258-4 C0197
下:ISBN4-15-011259-2 C0197



 
ハヤカワ文庫SF 各640円
粗筋:
 マンティコア王国航宙軍の女性士官であるオナーは、待望の新艦長として巡洋艦フィアレスに乗り込む。実はこの艦には、レーザーやミサイルなどの兵器の大部分を取り去り、扱いにくく接近戦でしか役に立たない重力鎗を取り付けてあったのだ。着任早々の軍事演習では、最初の模擬戦闘にこそ、その重力鎗を用いて冷や汗ものの勝利を収めるが、結果的には散々な成績に終わってしまう。軍上層部の軋轢のとばっちりを受けたオナーが左遷された行き先は、辺境のバシリスク星系であった。
  最近のアメリカのミリタリイSF御三家は、<ヴォルコシガン>のビジョルドと<シーフォート>のファインタックとウェーバーだそうですが、面白さ完成度の点から言うと、私見では<オナー・ハリントン>→<シーフォート>→<ヴォルコシガン>の順になりますね。
 海洋帆船冒険SFがお好きな人、あまり頭を使わないスカッとしたSFを読みたい方にお薦め。 

   
『グレイソン攻防戦』
<紅の勇者オナー・ハリントン2>

デイヴィッド・ウェーバー著
矢口悟訳、1999/12/15刊
渡邊アキラ絵

上:ISBN4-15-011294-0 C0197
下:ISBN4-15-011295-9 C0197


ハヤカワ文庫SF 各640円
粗筋:
 バシリスクでの戦闘から二年半後、エリザベス女王を首長とするマンティコア王国と対立するヘイヴン人民共和国との間で、戦略上重要な拠点となる惑星グレイソン。マンティコア王国重巡洋艦<フィアレス>の艦長であり、他三隻からなる戦隊指揮官でもあるハリントン宙佐は、クールヴォイジエ提督を代表とする使節団と多大の補給物質を載せた輸送船団を引き連れ、グレイソンへと向かった。しかしそこは、女性の兵士など以ての外であるばかりか、人権さえも認めないという旧弊な世界であった・・・
 前作より人間が円くなったハリントン宙佐が魅力的ですね。相変わらず頑迷だけど、シーフォートほどでもないし(爆) 

   
『巡洋戦艦<ナイキ>出撃!』
<紅の勇者オナー・ハリントン3>

デイヴィッド・ウェーバー著
矢口悟訳、2000/6/30刊
渡邊アキラ絵

上:ISBN4-15-011314-9 C0197
下:ISBN4-15-011315-7 C0197

 

ハヤカワ文庫SF 各660円
粗筋:
 グレイソン攻防戦から一年後、ようやく体調と精神状態もほぼ元に戻ったオナーは、最新鋭の巡洋戦艦<ナイキ>の艦長として軍務に復帰し、新しい提督のもと参加者と訓練を繰り返し、望外の成果を上げるまでになっていた。
 一方、経済情勢の悪化を隠すための対外戦略を画策するヘイヴン人民共和国は、国民の不満を逸らすために、大々的なマンティコア侵攻作戦が立案・実行されようとしていた。
 とある事情から王国防衛の最前線基地ハンコック駐屯地に向かったオナーを始めとする機動戦隊は、戦略上の要請からオナー航宙軍宙佐の率いる一個戦隊を残して、他星系へと出払ってしまうとことに・・・
 三作目となって、やっと男っ気の無かったオナーに恋人出現ヽ(^o^)丿
 ヘイヴン人民共和国の内情や革命組織など、敵役の肉付けにも抜かりはありません。まあ、アメリカと違って日本ではこういうポリティカルな側面を詳しく描くというのは、作品の面白みを殺ぐという一面もありますけど :-) 
[雀部]
48歳、歯科医、SF者、ハードSF研所員
ホームページは、http://www.sasabe.com

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