

アニマ・ソラリスでお馴染みの、小林蒼さんと蒼桐大紀さんの本が出たことを知ったので、簡単なレビューをお願いしてみました。
まず蒼桐さん、『よいあめふわり』(2025.11.23)刊行おめでとうございます。
ありがとうございます。『よいあめふわり』は、10月後半に「作ろう」と思い立って、二週間ほどで完成させた超特急本なのですが、満足のいく出来映えになりました。
制作期間が短いので計画もなにもあったもんじゃないのですが、結果的にねらいが全て成功した本になりました。
「ビール」と「雨」と「音楽」の三題噺になっていて、とても楽しめました。特に終わりの半分を占める「乾杯は雨上がりの空の下で」はミステリ仕立てで出色の仕上がり。
積み上げていく謎解きの部分と登場人物の心の動きの細やかさが素敵でした。
ありがとうございます。「乾杯は雨上がりの空の下で」は、1年前に別のビールを主題にした文学賞に向けて書いていたものなのですが、応募要件に書きたい分量が収まらないため放置していたものでした。それが、2025年10月25日に開催されたライブイベントからインスピレーションを受けて、一気に書き下ろした作品です。
この作品は「コメディとして割り切る」というのが根本にあり、リアリティの面では突っ込みどころが多々あるのですが、事件の発生と解決といった物語上の起伏と登場人物の感情曲線うまく合わせることができたと思います。
蒼桐さんありがとうございます。
小林さん、『銀河蝶の舞う頃には』(2024.3.16、初版)の再版(2025.11.29)おめでとうございます。自選で六編の短編が収められていますが、これはどうやって選ばれたのでしょうか。
まずネットの投稿サイトのカクヨムで人気を博した「イデア・ワン」。それを巻頭にして、自分の名刺代わりの本を作ろうというのがきっかけです。
作品はそのあいだにあった公募の作品を収める形で設計しました。日本SF作家クラブの小さな小説コンテストでは「銀河蝶の舞う頃には」 ブンゲイファイトクラブでは「記憶、宇宙、エントロピー」かぐやSFコンテストでは「最果てへ走った女」と、2024年の自分の活動が詰まった内容になりました。
名刺代わりと言っても、「そのときのベストを」と思って発行しました。
「イデア・ワン」はSFらしく「if」の世界をシミュレーションしてあり、「イデア・ワン」の普及により、予想だにしなかった局面を招くという読み応えのある作品ですね。
私は、巻末の「鉄道街のジュブナイル」が好きなのですが、この作品は?
もとは、星新一賞用に書いてたものだったと記憶してます。ただタイトルも当時とは違って、この作品集に収録するにあたって、「鉄道街のジュブナイル」と改めました。
買って下さった読者さまのなかでも、この「鉄道街のジュブナイル」が好みと仰ってくださった方がいまして、嬉しいです。
生まれた街で鉄道が身近にあったので、鉄道を話の中核に据えた作品を書いてみたかったというのがきっかけでした
そうだったのですね。我が家はJR西の田舎駅近く(駅まで歩いて2分。窓からホームが見える)なので、鉄道は極めて身近なのです(笑)まあ鉄道ファンというわけでは無いのですが。
そういえば、小林(九頭見灯火)さんは、「古賀コン10一言全作感想」をやって、話題になってましたね。←「note」からメールが来て知りました(汗;)
そうなんですね。自分も鉄道ファンというほどではないですが、鉄道がどこか遠い街に繋がっているイメージは、物語を駆動させるいい題材でした。
古賀コンは、前々からXのタイムラインでFFさんを中心に盛り上がっていました。後夜祭の音声配信は500回くらいは聞かれている人気のスペース配信です。
同所に、“元々は蒼桐大紀さんに古賀コンを紹介してもらった”との既述があったので、そうか蒼桐さんも係わっていたんだと思い検索したら
「古賀コン10(第10回私立古賀裕人文学祭)つまみ読み感想集」をやっと見つけました(汗;)←こっちは連絡来なかった(大汗;)
古賀コンは2023年12月に開催された古賀コン3から参加しています。2024年3月の古賀コン4では、最優秀古賀賞(いわゆるグランプリ)を戴きまして、そうした場に対する感謝を込めて記事を設けて感想を書くことをはじめました。
古賀コン5のときに「全作品感想できるのでは?」と思い、全作品感想記事を書いたところ、同じように全作感想記事を書く方がいて驚きました。作者から見ると、この流れは非常にありがたいことで、相対的に感想を書くハードルが下がるため、感想のやりとりが大いに増えたのを感じます。
全作品感想の良いところは、ふだん触れないような作品に触れる機会を得られることで、九頭見さんに声を掛けたのは、その新鮮な驚きを楽しんでいただけると思ったことがまずあります。また、さなコン全作レビューで知られる九頭見さんを引き込むことで、文芸イベントとしての古賀コンの盛り上がりぶりを内外にアピールできるという腹づもりもありました。
古賀コン、いま非常に熱いです。
古賀コン、盛り上がってますねえ。
蒼桐さんのnoteには、「イグBFC5関連まとめ」というのもあってつまみ読みしたのですが、この「BFCとイグBFC」も面白そうですね。
BFC(ブンゲイファイトクラブ)は、原稿用紙六枚以内の作品を提出するファイターと、それらを読み評点をつけるジャッジによって勝敗を決するWeb文芸イベントです。個人主催のWeb文芸イベントの草分け的存在と言えるのではないでしょうか。
イグBFCは、当初BFCの落選作品を持ち寄って人気投票で最も「イグい」作品を決める催しでしたが、いまはBFCの時期に有志が作品を発表し合う機会になっています。
この「原稿用紙六枚」という制限が掌編を書く上で絶妙な設定で、挑戦してみると物語の規模をとらえる訓練や表現を研ぎ澄ます訓練になると思います。
いまこうした個人主催のイベントやコンテストは、投稿サイト内の機能とは別に広がりを見せていると感じています。こうした催しは作品が公開された状態で選考が行われるため、通常の公募にはない選考の可視化も特徴だと思います。
そうした独特の魅力と参加するハードルが低いためか、参加者の年齢層が非常に幅広いですね。
なるほど、そういうイベントでしたか。解説ありがとうございました。
小林さんも、「カクヨムSF研@非公式」では、「第二回円城塔賞ぜんぶ読む」の企画もあるし大活躍ですね
ありがとうございます。
前々から日本SF作家クラブの小さな小説コンテストでも似たことをやっていて、カクヨムの舞台でもやってみようというのが、前々から考えていたことでした。
ただ、カクヨムコンは多いときは何千作品と応募作があるもの。なので、円城塔賞というのは一般文芸にタイトルが絞られることもあり、渡りに船でした。
それにやっぱりどんな小説が面白いのか、あるいは読みやすいのか、そして読んでみたいと思わされるのか、そういう勉強にもなりました。
ただ円城塔が選ぶ賞とあり、一癖二癖ある作品が揃っていました。
まあ円城塔先生ですから(笑)
そういえば、東京銀経社の「第二回アンソロジー公募のご案内」の案内も出てました。
アニマ・ソラリス賞も新たに創設されました。
皆様のご応募をお待ちしています。また著者インタビューやりますよ!
小林さん、蒼桐さんありがとうございました。
創作に批評にと、さらなるお二人の活躍を期待しています。