レビュアー:[雀部]
- 映画化記念版表1
- アンディ・ウィアー著
- ハヤカワ文庫SF
- 2026.1.22発行
- 各1650円(税込)
ライアン・ゴズリング主演、2026年3月公開の映画原作!
未知の物質(生命体?)によって太陽に異常が発生、太陽からのエネルギーが吸い取られ地球は氷河期に突入しようとしていた。ひとりの科学教師が、宇宙に飛び立ち人類を救うミッションに挑む!
地球の生命滅亡まで、許された猶予はあと30年!
原作『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下)』
以下、アラカン世代以上向けブックレビュー。“最近SF読んでないのよ”という方も、ぜひに(笑)
本作同様、処女作『火星の人』(映画化名『オデッセイ』)でも、火星で生き残るために必要なことあれこれを理詰めで解明していく過程が大変面白かったですね。
仮説を立てて推論し、さらに新たな仮説を立てていくところは、ミステリの謎解きにも似てわくわくしますね。使われている科学知識は、だいたい中学生で教わる範囲なので、昔をちょっと思い出して頂ければと。←無責任(汗;)
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の冒頭、主人公は何本もの管が身体に繋がれた状態で目覚めます。そうして、宇宙船のAIからの様々な質問に答えるうちに自分の名前が思い出せないことに気がついて愕然とします。しかも、側には亡くなってから時間の経った男女一体ずつの死体がある……
冒頭のこの展開は、藍銅ツバメ先生、武石勝義先生、林譲治先生への著者インタビューの際に話題に上ってます。特に《工作艦明石の孤独》シリーズ(林譲治著)では、冒頭で椎名が冷凍睡眠から覚めて、不確かな記憶を補完すべく色々推理するシーンがありますが、アプローチのやり方が微妙に異なっていて、なるほどなと思った記憶があります。
また『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、ファーストコンタクトものの側面も持っていますが、林譲治先生も、ファーストコンタクトものもたくさん書かれていて、そっち系がお好きな方はお薦めです。《星系出雲の兵站》シリーズでは骨格だけのロボット「作業体乙」をガイナスに操らせることによって相互の理解(コミュニケーション)の要とするシーンが出てきて、唸りました。ファーストコンタクトものでは、異星人とのコミュニケーションをどうするかが、SF作家の腕の見せ所でもあります(笑)
異星人とのバディものの嚆矢としては、ハル・クレメント氏の『20億の針』(1950 )が挙げられると思います。その後の有名な『重力の使命』やその他の長編も総て異星人と協力してミッションをこなす展開ですね。
SF初心者にお勧めなのは、巨匠ハインライン氏の『ラモックス』(1954)ですが、今となっては古いかも(汗;)
またオールタイムベストの常連だった、ジェイムズ・ティプトリー・Jr.女史の『たったひとつの冴えたやりかた』は、変化球ですけど、異星人との関わりを描いたSFとして外すことは出来ないと思います。この作品は、ぜひアニメ化をお願いしたいところです。
- フィル・ロード&クリス・ミラー監督作品
- 原作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(アンディ・ウィアー著)
- ソニー・ピクチャーズ
- 2026年3月20日公開
- 上映時間:156分
記憶を失った主人公ライランド・グレースは、見知らぬ宇宙船の中で目覚めます。そこには乗組員と思われる死体があるが、彼には誰だか全く思い出せません。
やがて彼は、太陽の光度低下によって地球が氷河期に向かっていること、そして自分がその危機を救うための「ヘイル・メアリー計画」の実行スタッフであることを思い出していきます。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』感想
昨年末に大学の同窓会があって、久しぶりに会った同級生と隣に座ったら、海外ミステリの話からSFの話になって、『三体』の第一部は感心しなかったけど、二部と三部はSFの醍醐味を味わったとか言う話になり、続いて『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が映画化されたので、見に行きたいねと話したところであります。岡山の同業の先生からの年賀状にも、“今年は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を見に行くぞ”と書かれていて、待ち遠しかった(笑)
ですが、私は出遅れてしまい、最初は倉敷イオンシネマに行く予定だったのですが、気がついたときには吹き替え版が無くなり、字幕の方も昼の部が無くなってしまったので、岡山のイオンシネマに変更。こっちも、昼の部があるのは字幕(IMAX)だけになってました。
行ってから気がついたのですが、行った当日(4/9日)で終了ということで、滑り込み(汗;)
昼の部(12:30~)は、20人強の入り。ちょっと寂しいけど、ど真ん中の席が取れたのでまあ良かった(笑)
映画館で観るのは、それこそ十数年ぶりなので、ちょっと戸惑いました(汗;)
調べたら、東京でも今月いっぱい(4/30日まで)の公開のようなので、まだの方はぜひ!
こういう映画はやはり大スクリーンと本格サラウンドで見るほうが印象が違います←たまに見て偉そうに(汗;)
原作とは方向性が違うけど、堂々たる本格SFで、そこそこ面白かったです。
本格SF映画でいうと『コンタクト』(ファーストコンタクト+時間SF)、『メッセージ』(ファーストコンタクト+言語学+時間SF)、『インターステラー』(ブラックホール+時間SF+家族愛)等に匹敵(もしくは上回る)出来映えだと思います。
[アンディ・ウィアー]
1972年6月16日、カリフォルニアに素粒子物理学者でエンジニアの息子として生まれた。宇宙開発に強い関心を寄せ、作家志望だったウィアーが初めて書いた小説が『火星の人』(ハヤカワ文庫SF)である。自らのウェブサイトに公開された『火星の人』は、その後Kindle版、紙版が発売され、世界的なベストセラーとなった。2015年、マット・デイモン主演で映画化され、世界中で大ヒットを記録した(映画化名「オデッセイ」)。次作は月世界を舞台としたアクション『アルテミス』で、本書『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、第3長篇。本書も2021年アメリカで刊行されるとすぐにベストセラーになった。