SFファンクラブ探訪記
インタビュアー:[雀部]
『Anchor KLL No.2』
  • 神戸文芸ラボ
  • Amazonオンデマンド
  • 1540円(税込)
  • 2025.6.19発行
  • 故眉村卓先生が開催されていた「物語・エッセイ講座」の受講生が、講座修了後も自発的に集まり文芸同好会として立ち上げた「神戸文芸ラボ(KLL)」の作品集、第二弾。
  •   

【収録作】

◆作者:まつもとみか 短編 「祓い屋」 長編 「ダイエットセンター」
◆作者:渡邊純代 短編 「KYOUKOたちの負け戦」
◆作者:東野尚子 短編 「始まりの終わりに」 エッセイ 「怖いもの」
◆作者:髙鍋学 エッセイ 「年に一度の若返り」「懐かしの江利チエミ」「歩き旅の思い出深い一日」
◆作者:石坪光司 短編 「Heris eye(ヘリスの眼)」
◆作者:上坂京子 短編 「スムージーよ永遠に」 戯曲 「はぐれるわけにいかないの」
◆作者:堀晃 エッセイ 「大阪SF街道-SF的想像力を刺激する大阪の街道-」
一、古本街道(天王寺公園) 田中啓文 『元禄八犬伝』(2021)
二、川口居留地~天保山(市バス88系統) 芦辺拓 『時の密室』(2001)
三、大阪駅~守口車庫前(大阪市バス27号系統) 横山やすし 『まいど!横山です』(1967)
四、SF街道(泉布観~サンケイホール) 筒井康隆 「しゃっくり」(1965)
「大阪SF街道-SF的想像力を刺激する大阪の街道-」(『Anchor KLL No.2』所載)関連書はこちら
雀部  >

前回「SFファンクラブ探訪」で『Anchor KLL No.1』寄稿者の皆様へのインタビューをさせて頂きましたが、その第二弾『Anchor KLL No.2』が刊行されたので、続編をお届けしたいと思います。

前回同様、作者の皆様には二つほど前もって質問をさせて頂いております。

 このインタビューにもご参加いただいている神戸文芸ラボの「まつもと みか」さんが、この8月26日に急逝されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。


雀部  >

前回の作品を踏まえて、今回の作品をお書きになったのでしょうか。

渡邊  >

前回の作品にいただいた感想を反省材料に、日常ではないものにも挑戦してみなければと思いました。

東野  >

前回の作品を踏まえてと言うか、前回の反省を生かして、主人公のキャラに命を吹き込みたいと思ったのですが、満足いく仕上がりには程遠く、読み返す度に冷や汗が出てきます。もっと研鑽を積まねばと思います。

石坪  >

いいえ。踏まえていません。今回は、どちらか言えば苦し紛れのひねり出しです。

上坂  >

タイミング的に、「万博」については少し考えましたが、前回の作品については、意識することはなかったです。

まつもと>

踏まえていません。実は現在、長編小説を書きたいと思っていたので、それの習作です。

髙鍋  >

踏まえていません。


雀部  >

作品とか創作に対してのお気持ちの変化はあったのでしょうか。もしあるなら、それは何が原因だとお考えでしょうか。

渡邊  >

少し変化はあったと思います。自分の書いたものが製本されたことで、違うものに見えたことが大きいです。

それを読んでくださった方たちからの反響というものにも初めて触れて、作品だけで自分の意図を届けることは難しいことなのだと改めて思いました。

東野  >

KLLのメンバーそれぞれが、ご自分の特長を生かして面白い作品を書いておられる事に刺激を受け、もっと上手く書けるようになりたいと、以前にも増してそう思います。

石坪  >

これはいつもと同じです。最近は少しスランプ気味ですが。

上坂  >

今回、短編戯曲と、久しぶりに小説を書きました。もう何年も戯曲作品しか書いてこなかったのですが、机の上に飾っている眉村先生の写真を見る度に、「まだ書かないの?」と問われている気がして、しかたなく。(笑)

『スムージーよ、永遠に』は戯曲版も書いていて、だからこそ小説は、戯曲とは違う切り口でなければ、と思っていました。

まつもと>

そろそろ人生も折り返し地点に入ってきたので、本腰を入れて作品を仕上げたいと思っています。

理由は私の子供時代に活躍していた有名人や、知り合いが徐々に亡くなってきたことです。時間って、無限じゃないんだなあ、としみじみ思ったからです。

髙鍋  >

エッセイの最後はいつも妻に登場願って笑える話にしていましたが、近ごろは登場しません。

妻はまだ存命ですので、私のおもしろがる精神が衰えてきたのだろうと思います。


雀部  >

皆様、丁度一年ぶりですね。今回も前回同様、よろしくお願いいたします。

渡邊葉月さんにうかがってみたいこと。

前作の短編は男女間の機微を扱った作品だったのですが、「KYOUKOたちの負け戦」は女性間の怖い話ですね。雰囲気は違うのですが、湊かなえ先生のミステリを連想しました。 私には想像できない女性同士の世界なのですが、登場人物にはモデルがあるのでしょうか。

渡邊  >

登場人物に特定のモデルはありません。怖ろしい話を書いてみるというチャレンジのために創作したものです。

こんな人たちが本当にいたら怖いですね。ただ、報道されている数々の現実の事件の中には近いものもあるのではと思います。

雀部  >

いやぁ、目茶苦茶怖いし遭遇したくない事件です(汗;)

後書きにも、“KYOUKOと名の付く人が全員辛い負け戦を生きているという意味でタイトルを付けました”と書いてありますね。こういう展開では、最後になんらかのカタルシスを得られる作品が多いと思いますが、全員負け続けて終わっちゃうことになる最大の要因は何なのでしょうか。「恭子」はちょっと違う気がするけど。

渡邊  >

今回の展開では救いがある形を取れず、読んだ方に不快感を抱かせてしまって申し訳ないと思います。堀先生にもその点を指摘されました。

ただ、恭子に目をつけられた KYOUKOたちは恭子にまともに対応してしまったというミスがありました。恭子のような人間は社会に一定数存在していますが、出会う確率はそんなに高くありません。出会ってしまったら逃げる一択です。響子はまともにぶつかって玉砕しました。

匡子は一回はうまく逃げながらも恭子の攻撃を受けないために従いすぎることで、恭子にゆがんだ成功体験を与えてしまいました。そのために粘着されて再度犠牲になりました。へたに関わるといけない相手がいる、そんな相手からは即離れようというメッセージを伝えるためには救いがないという終わり方の方がいいのではと思った次第です。

また、恭子もそれなりの制裁を受けて負けていると思います。

刑務所という普通の世渡りが通用しにくい世界に閉じ込められた結果、刑期を経るごとに彼女の武器である若さと美しさをかなりの部分奪われて、今までのようなスタイルで生きていくのは難しくなると思います。刑期を終えれば一般社会に出ることができますが、そのときにはもう利用できる相手は簡単には現れません。匡子には今度こそ逃げきってほしいと思います。

雀部  >

確かに出所したときには、昔のように若さ(と美しさ)を存分に利用できなくなっているのは「恭子」にとって辛いことだと思います。まあ自業自得ですが(笑)

また怖い女性の話を聞かせてくださいませ。若しくは違うジャンルの作品でも。


雀部  >

東野尚子さんにうかがってみたいこと。

「奇妙な卵」は、あの世の食材(幽霊)を食べるということで驚きました。

このアイデアは、どんな時に思いつかれたのでしょう。

ぶっ飛んだ話ではあるのですが、毎日おさんどんをされている方ならではですね。

東野  >

娘と小説のアイディアについて話しをしているうちに思いつきました。

一人で考えを巡らせるのも良いですが、誰かと映画やドラマの内容について語り合ううちに、ふいにアイディアを思いつく事がよくあります。

雀部  >

色んなところにかけあっても取り合ってくれず、冷凍した幽霊の処分に困るところはありそうで笑えました。まあ、それなら食べてしまえということには中々ならないとは思いますが。

森奈津子先生だと宇宙人を食べちゃうんですけど、これは女性ならではの発想なのかと思ったりして(笑)

一番受けたのが、幽霊メインの献立メニュー。『幽霊とオクラを自家製のポン酢で和えたもの』とか、なんか楽しんで考えられたのではないかと(笑)

東野  >

幽霊を絡ませて何か面白い作品が書けないだろうか?そう考えていた時に、ふと思い出したのが「ゴーストバスターズ」という映画でした。

(幽霊を捕まえて、それからどうする?)捕まえた幽霊の使い道を模索するうちに、いっそ食べてしまったら面白いのでは?

こんな風に出来上がったのが、この作品です。メニューに関しては、自分が食べたいものを思い浮かべながら、楽しく書きました。

バカバカしいお話しですが、読んでクスッと笑っていただけたなら幸いです。

雀部  >

面白かったです。また笑える作品をよろしくお願いします。

「始まりの終わりに」は時間物ですが、主人公の名前がパウロということで、キリスト教の聖パウロを思いおこします。この名前は意識して付けられたのですか。

東野  >

特に意識して付けた訳ではありません。ただ、我欲を捨て人々のために尽くしたという点において、二人が重なって見えたとしたなら書き手として嬉しく思います。

雀部  >

なかなか決断できることではありませんからね。

「怖いもの」は、最後に言及されている怖いものを最初に思いつかれたような気がしました。子どもたちのためにも何とかしないと。

東野  >

確かにエッセイの落ちは最初から決まっていました。

なので、「私のかつて恐れていたもの」と「今恐れているもの」という対比で、書き進めることにしました。

私も最近の世界情勢を見るにつけ、次世代を担う子供たちに申し訳ない気持ちで一杯になります。 手遅れにならない事を強く願います。


雀部  >

石坪光司さんにうかがってみたいこと。

「Heris eye」は昨今どこにでも設置されている監視カメラを扱った掌編。

ちょっと前に何回も来ていた迷惑メールにもあったのですが、公共の場所だけでなく,スマホとかノーパソに付いているカメラを乗っ取られたら、プライバシーも何もあったもんじゃないですよね(汗;)

石坪  >

そうですね。スマホとかノーパソに付いているカメラを乗っ取られなくても、いまはそこいらに防犯カメラ名目で設置されているので、現実にはプライバシーは、半分以上ないのではないかと思っています。

雀部  >

ちょっと専門用語多いのも(私には)臨場感があって良い感じです。

後書きによると、最近はスランプ気味だとか。荒巻先生という良き先達がいらっしゃるので、創作もまだまだこれから頑張れますよ!

特にお得意の宇宙物・時間物をお待ちいたします。

石坪  >

ありがとうございます。宇宙物・時間物については構想中のものがあるのですが、いつになるやらと言う所です。

雀部  >

「星群」への寄稿も期待してます。


雀部  >

上坂京子さんにうかがってみたいこと

戯曲「はぐれるわけにはいかないの」は、最初の大阪万博(1970)の思い出と、二年後の豪雨による水害の話ですが、うちも床下浸水の被害でした。良く覚えてませんが、泥を掻き出すのが大変だった気が(汗;)これは実体験が元になってるのでしょうか。

上坂  >

雀部さん、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

亡き母が神戸の大水害(1961と1967)に遭ってまして。幼い頃から繰り返し聞かされた苦労話の一部を切り取り脚色を加えました。

妹を出産後1週間で床上浸水に遭い、無理して掻き出し作業に加わったらしく、その後しばらく原因不明の体調不良が続き大変だったみたいです。

雀部  >

まあ汚いですから、なんらかの病原菌に感染されたのかも。

「スムージーよ、永遠に」は、親の介護がテーマなのですが、私も介護認定委員会のメンバーなので、様々な家庭の事情を報告書(調査書)で拝見してます。要介護度2だと相当大変ですね(4とか5は、ほぼ寝たきり状態)

人たらしの佐藤さんとお母さんは、これからどうなるのでしょうか、興味津々です(笑) これも芸達者の役者さんが演じる舞台になったら、面白そうですね。

上坂  >

この作品も脚色していますが、母の介護をしていた頃のエピソードをいくつか取り入れています。実際、初回の介護認定では「要介護2」とされ、現状とのギャップに戸惑いながら過ごしていた時期がありました。

その後、ケアマネージャーさんの尽力により再申請が叶い「要介護5」の認定をいただくことができて、ようやく安堵したのを覚えています。認定が出るまでの不安や心もとなさを思い出しながら、この場面を書きました。

それから、“人たらし”の佐藤!(笑)静江と凛子親子の行く末にも興味を持っていただいて、ありがとうございます。

顛末については、戯曲版『スムージーよ、永遠に』にて描きました。 実話と虚構を織り交ぜた内容で、本作とは異なる印象の作品になっていると思います。

詳細は、本書のあとがきに掲載しております「戯曲デジタルアーカイブ」からご覧いただけますので、よろしければぜひのぞいてみてください。

雀部  >

戯曲版『スムージーよ、永遠に』読ませて頂きました。

やはりこういうことに。うちのお袋も、晩年は介護サービスのお世話になったので身につまされる話です。個々の家庭で千差万別の事情があり、ドラマがあるのでしょうが、事件性がないと中々世間に知られることはないですよね。

上坂  >

おっしゃるように、よほどの事件性がないと表面化しづらかもしれませんね。子育て期の時にも感じていたことですが、介護もまた、当事者たちにとっては切実なことでも、一個人、一家庭の話として片付けられたり、見過ごされがちだったり。

そんな社会の風潮に疑問を持ち、また、コロナ時代に感じた報われなさにも抵抗したい気持があって書いたのが戯曲版『スム―ジよ、永遠に』です。

じつは、初稿の段階では違う設定で書いていたのですが、後日、同様のことが実際の事件として起きてしまって。

衝撃を受けましたし、KLLのメンバーからも「予知?」と驚かれて。

(書いたのは事件前でしたが、真似したと誤解されないよう、合評後すぐ改稿しました)

それからは、ひょんなことから思わぬ危険を引き寄せてしまう怖さや、それでも「つづく」母と娘の絆に焦点をあてて描くように。

結果、小説とはぜんぜん違う仕上がりになってしまいましたが。(笑)

お読みいただき嬉しかったです。ありがとうございました。

雀部  >

実際に舞台化されるとよいですね。


雀部  >

まつもとみかさんにうかがってみたいこと。

「祓い屋」は、遺産に絡んだ陰陽師と修験者の話ですね。これは修験者と陰陽師の立場が入れ替わっていたら、どんな結末になったのだろうと想像してしまいました(汗;)。

まつもと>

こちらこそよろしくお願いいたします。

修験者と陰陽師の関係性は歴史書を読んで調べました。もし二人の立場が入れ替わっていたとしたら、龍一くんは真面目な子なので、そのまま何もしないでいたのではないでしょうか。日笠とは育ち方が違うので、もし龍一が彼のような生育をたどっていたらまた話は違っていたかもしれませんね。

雀部  >

そうか、何もしないという選択もありますね。

長編に挑戦中だとうかがってますが、「祓い屋」は連作短編にする手もありそうですね。そういう構想はおありでしょうか。

まつもと>

実はもう一作品、書き上げています。読んでくださった方に、いろいろ感想をいただきました。

これから龍一くんについて、いろいろ書きたい気持ちはあるんですが、とりあえず今夏の暑さに負けてしまって、なかなか筆がのりません(笑)。

雀部  >

猛暑は執筆の敵ですね(汗;)

「ダイエットセンター」は巻末の締めの長編。ダイエットにまつわる、由紀の健康に対する意識の変遷が面白かったです。登場人物も、全員モデルがあるのではないかと思うくらいリアルに描けていて引き込まれました。

まつもと>

「ダイエットセンター」はかなり悪戦苦闘しました。どちらかというと、今までファンタジーものやラブコメディなど書いていたので、中年女性が主人公というのは難しかったのです。実は登場人物の中にはモデルがいます。やはりお読みいただくと分かるものなのですね。

ダイエットというテーマにはまた取り組んでみたいな、と思います。

雀部  >

ダイエット、人間関係も含めてなかなか大変そうですね。


雀部  >

髙鍋学さんにうかがってみたいこと。

エッセイ「年に一度の若返り」は、岡山県の幼稚園を訪問する話で、地元民としては興味津々で読ませてもらいました。髙鍋さんは、音楽の専門家であられたのですね。幼稚園のころから、そういう風に音楽に親しんでいると、そうでなかった人と比べると大人になったときに結構差が出るものでしょうか。

髙鍋  >

音程やリズムなど音楽の基礎能力が最も獲得できるのは幼児期です。この時期に夢中で歌ったり、踊ったり、演奏したりして音楽が好きになれば、大人になって音楽を深く感じたり、心を開いて表現できるでしょう。

幼児期に音楽で遊ぶ経験の有無は、大人になって差がでるように思います。

雀部  >

音痴の私としては、幼稚園の頃に髙鍋さんのような方に指導して貰いたかったなあ(汗;)

「懐かしの江利チエミ」、私らの世代ではまず『サザエさん』(TV版は、1965-67)ですが、今知っている人は少ないかなぁ。

故大橋巨泉さんが、日本の歌の上手い女性歌手ベスト3に、江利チエミさんを挙げていたのを思い出しました。

髙鍋  >

チエミの父・久保益雄は福岡県田川郡添田町の出身。独学でクラリネット奏者。と、ウェブにありました。

私も出身は同じ筑豊地区の飯塚市。今、軽音楽バンドでクラリネットを吹いていますので、江利チエミさんに親しみをもちます。

雀部  >

クラリネットを吹かれるのですね、いいなあ。私も小学生の頃何の因果かピアノを習わされていて、それが嫌で嫌で全然ものにならなかった(汗;)

恒例の歩き旅は、北海道。つい先週、函館と小樽に行ったのでタイムリー(笑)

旅での人情が心にしみるエピソードでした。

前回のインタビュー記事を読み返すと、髙鍋さんは5歳年上なのですね。私はもうとっくに足腰が衰えてきてますが、髙鍋さんもご自愛下さいませ。私は料理も出来ないので、妻に離縁されたらどうしようかと(汗;)

髙鍋  >

股関節の痛みが5年間治らず歩き旅は諦めていました。が、人工股関節手術をすることになり、もしかしたら軽いハイキングくらいはできるかなと期待しています。

雀部  >

うちの亡くなった母親は、両股関節に人工関節が入ってました。90前に手術したのですが、ボチボチとは歩いてました。手術時の年齢10歳くらい違うので、髙鍋さんなら、普通のスピードで歩けるようになるのではないでしょうか。


雀部  >

堀晃さんにうかがってみたいこと。

『Anchor KLL No.1』に続き、『Anchor KLL No.2』には、「大阪SF街道-SF的想像力を刺激する大阪の街道-」が掲載されています。

前号掲載の「大阪SF八景―SF的想像力を刺激する大阪の景観―」の内容が面白かったし評判にもなったので、また少しお話しをうかがわせて下さいませ。

堀   >

個人的な散歩趣味にお付き合いいただくようで恐縮です。

雀部  >

『時の密室』のアリバイに関連して、故眉村先生がパーソナリティをされていた深夜番組「チャチャヤング」のショートショート投稿コーナーが出てきて驚きました。

『眉村卓の異世界物語 トリビュート作品集』に「タク先生の不思議な放送―『メトロポリスの少年探偵』序章」(芦辺拓著)が掲載されているくらいだから、よく考えれば何の不思議もないのですが(汗;)

堀   >

チャチャヤンの隠れリスナーは多いですね。谷甲州さんも相当熱心なリスナーだったようですし。

私はすでに勤め人だったので、深夜から未明にラジオは無理でしたが、今となっては、ちょっと残念ですね。

雀部  >

SAMミュージアム(私設美術館「天保山現代館」)は、閉館しちゃったんですね。

先年姫路の「太陽公園」に行ったらトリックアートコーナーがありました。関西人はトリックアートが好きなのかも(笑)

堀   >

太陽公園に行かれたんですか! あそこはわが実家(たつの市)からクルマで20分くらいの場所で、母親の介護をやってた時期に何度か行きましたが、トリックアートと世界の名所のレプリカが混在する不思議な公園ですね。SAMミュージアムとは桁違いのスケールだし、もっと賑わってもいいと思いますが。

雀部  >

私が行ったときはそこそこお客さんが入ってました。

「SAMミュージアム」に関しては、チャチャヤングとは深い繋がりのある大熊さんがご近所だったそうなのでお招きしてみました。

大熊  >

我が高校は、このみなと通を港に向かって下っていく途中の右手に面して建っていて(普段は電車通学ですが)休日に部活がある日は、例の「戦艦未来の城」の舳先から、自転車でこの道を往復していたのです。

そういえば、宮本輝「泥の河」の舞台である船が舫っていたのは、この舳先の橋の袂でしたね。

「SAMミュージアム」は、検索したところ、朝潮橋付近に所在していたようですね。その朝潮橋は、我が高校よりもさらに港寄りの場所なのです。自転車通学の際に目にする可能性はなかったですね。でも、部活では毎週のように天保山(当時は海遊館などかげもかたちもなかった)まで走らされていました。ですから目にする可能性はあったはずです。

雀部  >

大熊さんは、地元民だったのですね。いやはや世間は広いようで狭い(笑)

大熊  >

ところで、堀さんの記事を読み返していて気がついたことがあります。

「中之島西端(つまり戦艦未来の城の船尾)」(78p)は、「戦艦未来の城の船首」の書き間違いではないでしょうか。→『霧に沈む戦艦未来の城』

当該書を確認したところ、「あつというまに戦艦未来の城は西の方へ去つた。通称”ケンザキ”と呼ばれる島の東端が、すさまじい濁流をまき起し、大渦巻を残して去った(略)川を下つていつた戦艦は、前部甲板におびただしいビルの群れを積んでへさきが重かった」とありますので。

重箱隅失礼しました。汗。汗。

堀   >

これは小生も気になっていた部分です。

原本の記述は確かに大熊さん引用の通りなのですが、中之島の形は、東端(剣先)はとがっており、西端は丸みを帯びた半円状の岸壁です。

実際、意見を聞いた10人ほど(うち、未来の城・中篇版を読んだ人は3人)が全員、剣先は戦艦の先端に見えるということでは一致しておりました。

小生の解釈は、未来の城は「バック」で大阪湾に出て、そこで向きを変えたのだろうというものですが、これも「前部にビル群」という描写と矛盾しますね。

そこで剣先を「軸先に見える」として、「船首」という表現は避けたのですが、無理がありますかねえ。むつかしいところです。しかしここまで細部を読んでいただけるのはありがたいですね。

大熊  >

なるほど。読み返してみましたが、たしかに前進とも後進とも書かれていませんねえ。 小松さんの親友だった著者のこと、「わはは。そんなんどっちゃでもよろし」と言いそうな\(^o^)/

いや一回しかお会いしたことがありませんが、細かいことは気にしない磊落な方でしたねえ(小松さんみたいな豪放という印象はなかった)(^^ゞ

改めて地図を見直しました。

じーっと見ていると、だんだん魚を上から見ている姿に見えてきました(西が頭だとして)ケンザキのほうが長いシッポ。

うーむ。

これって、大阪湾に出たら、尾びれをゆらゆら左右に振って進んで行きそうではありませんか。

本作をこの21世紀に映像化するんであれば、ゾイド戦艦未来の城を提案したいです。

しかし。

待てよ。

地図をさらに眺めていますと、今度は東を頭にした首長竜のように見えてきました。

首長竜戦艦未来の城も捨てがたい。

困りましたねえ\(^o^)/

雀部  >

これは福田紀一先生にうかがわなければ決着がつかない案件かも(汗;)

『まいど!横山です』を読んでいたら、晩年マラソンを本格的にやるにあたって倉敷レイヨンの寺沢徹氏に師事されたとあって、何か親しみを感じました(クラレの生産拠点の一つは隣町にあります。発祥の地もクルマで15分くらい。関連会社では歯科材料も作ってます) 晩年は、走ることが楽しみだったのにマラソンに出られなくなったり、奥さんとのトラブルもあったりで大変だったみたいですね。

たまに当時の二人の漫才を見ることがあるのですが、あの軽妙なやり取りを知る人は少なくなってしまいました(泣;)

堀   >

師事とは意外というか、漫才以外の分野では案外従順(笑;)だったんですかね。

雀部  >

そこらあたりは、きよし師匠にうかがってみないとですね(笑)

『大阪路線バスの旅』を読んでいたら、かんべむさしさんは「“100分路線”を考える[阪神バス]野田阪神前~宝塚」を書かれてました。これは結構長距離ですね。

かんべ先生と堀先生には、『SF街道二人旅』とか『時空いちびり百景』の共著があります。SF作家の共著は珍しいのではないでしょうか。(かんべむさし先生チェックリストあり)

堀   >

『いちびり百景』は新聞連載で、毎週交互に書いたのですが、この時は好きな場所の取り合いでしたね。何度か「事前調整」をやりながら進めた記憶があります。

雀部  >

堀先生がハードSF調に、かんべ先生が落語風に順番に執筆、と書くといかにもですが、そんなことはありません。かんべ先生の真面目なのもありますし、堀先生の落語もあります(笑)

次号の「大阪SF廃墟」で締めくくりになるとか。期待してます。

[神戸文芸ラボ(KLL)]
神戸文芸ラボ(Kobe Literature Lab:略称KLL)は、2019年に逝去された眉村卓先生が開催されていた「物語・エッセイ講座」の受講生が講座終了後も自発的に集まり文芸同好会として立ち上げたものです。 メンバーが「眉村卓の異世界通信」「眉村卓の異世界物語」の編集に関わった縁で堀晃さんも一緒に参加され活動を行っております。
[大熊]
1955年生。大阪府出身。中学生のとき深夜放送MBSチャチャヤングを聴き、その後の人生が決定する。大学入学と同時に入会したSF研究会で(のちの)西秋生と出会い、チャチャヤング・ショートショートコーナーの後継創作誌「創作研究会」に誘われ入会。創作研究会分裂に際しては西秋生・宇井亜綺夫(中相作)の「風の翼」に所属するも、「創作研究会」にも寄稿するというヌエ的行動をとっていた。
2003年より「眉村卓さんを囲む会」主催。2013年、眉村卓さんデビュー50周年を期してチャチャヤング・ショートショートの会を発足し「チャチャヤング・ショートショート・マガジン」創刊、編集担当となり現在にいたる。
眉村卓さん応援サイト「とべ、クマゴロー!」
[雀部]
各執筆者の情報は、前回の『Anchor KLL No.1』インタビューにあります。
私は、堀先生主宰の「ソリトン」元同人ですが、創作の才能が無いのでアマチュア・インタビュアーをやってます(汗;) でもって、インタビューでの至らぬ点はすべて私の責任であります。