
今月の著者インタビューは、『SF大会は関西から始まった』(2026.5.22)を編集された岡本俊弥先生です。刊行おめでとうございます。早速買わせて頂きました。
前回のインタビューから、もう5年も経つんですね。最近は、時間の流れが速くて困ります(汗;)
本書は日本のSFファン活動を関西から俯瞰するもの凄い労作で、読み応えがあり、資料価値も相当なものだと思います。これは、いつ頃から温めていた企画なのでしょうか
新陳代謝が遅くなると時間の流れが速くなる、すぐに未来がきます。寿命が伸びないので(最悪の)超低速時間旅行機ですね。
というわけではないのですが、この構想が産まれたのは昨年(2025年)の6月頃です。今年がDaicon5の四〇周年なので、何か記念の行事をしようと昨年初めから呼びかけていたのですが、アンケートを取っても旧スタッフからの反応は鈍かった。まあ、そんな昔のことを突然言われてもピンとこなかったのだと思います。ただ、何もしないのももったいないので、それなら記念出版をと考えたわけですね。幸いプロ活動をしている小浜徹也、三村美衣、牧紀子らと、仕事の第一線からリタイアした山根啓史が協力してくれました。それに、この本のベースになったWeb記事「Infinite Summer」はもう20年以上前からありましたからね。
意外に短期間で驚きました。
Web記事とは、第19回ファンジン大賞研究部門受賞作の「Infinite Summer」なのですね。確かに大学生が一番まとまった時間が取れるのは、めくるめく夏休みだ。
想定読者層は、どういったところなのでしょうか。今のSF好きな大学生たちは読んでくれるのかしら。SF大会に役員やスタッフとして参加したことがある、もしくは一般参加者として参加したことがある方たちは、読まれたら絶対に面白いと思いますが。
想定読者はこの本の中で書いてある「SF団塊の世代」と、その前後10年くらいの人たちでしょうか。つまり50~70代くらいですね。もちろん若いSFに興味のある方とか、昭和レトロな時代に興味ある方とかが読んでも愉しめると思いますよ。
アニマ・ソラリスのスタッフに聞いてみたら、
福田さんが“僕は1回しか無いのですよ。大昔のTOKONで錚々たる作家の先生方が前方に並んでいて感動しました。”
おおむらさんが“2回しかないです。どちらもパシフィコ横浜でやってたやつだったな。”
アニメ・チェックリストの迷子@岡山さんは、最近SF大会は毎年参加されていて、企画を出してブースを構えたこともあるので一番多いです。
若い世代の方たちがSF大会等を見に行って興味をもって、自分も運営側に加わってみたいと思ったらどうすれば良いのでしょう。そういう方たちは、それくらいは知っているのかなとも思いますが(汗;)
当日スタッフになる方法はあります、大会毎に公募があるでしょうし。やりたいと申し出れば、もっと早くから正規のスタッフに参加できるかもしれません。運営幹部がお年寄り(還暦前後)なのが気にならないなら、若手(40代以下)は喜ばれると思います。
特に自由になる時間が多い大学生は大歓迎されるかもですね。
さて、「筒井康隆インタビュー すべての始まり」が冒頭に置かれています。
NHKのドキュメンタリー番組『筒井康隆の世界 ~文学界の巨人 90歳のメッセージ~』(2024/11月)を見て、車椅子を利用されていたのがちょっとショックでした。
この企画の構想時に筒井さんのインタビューも当然考えましたが、お体を考えると無理には出来ないと思っていました。ただその後、雑誌連載も欠かされておらず、とてもお元気そうなのでお願いすることになりました。
このインタビュー記事だけでも買う価値があります!
今年の4月にも『筒井康隆、九十歳のあとさき:老耄美食日』を出版され、意気軒昂で頼もしい限りです。
「SHINKON特集」では、筒井先生が言い出しっぺだったとか、筒井先生が失敗だったと考えている一回目のDAICONのリベンジ企画だったとか興味深い記事が多々あって、面白いです。今思えば、是非とも参加すべきSF大会だっななぁと(神戸だから近いし残念無念;)
岡本先生は、最初から運営側として参加されていますけど、もうこういう大会は開けないですよね。
あの大会は筒井さんの人脈と資金力に負うところが大なので、他の人ではとうてい出来なかった。今の時代ではなおのこと無理でしょうね
筒井先生の山下洋輔(ジャズ)、小松先生→米朝師匠(落語)のラインもあったし。
目次を拝見すると、大会により「大人の大会だった」とか「青少年が席巻した」「若者の大会だった」とか書かれていています。これは以前から言われていたことなのでしょうか。
皆さんとも感じていたことでしょうが、表立って言われたことはあまりなかったと思います。どんな年齢の人が大会を引っ張ったのかは、時代によって大きく変わっていくわけで、それは編年で見ていかないと明瞭にはならないですね。
目次を拝見すると、関西のSF大会が年代順に取り上げられていることがわかります。
目次の最初は「筒井康隆インタビュー」ですが、実際には、目次の次の頁は「関西のSF大会 そのロードマップ」です。
真ん中あたりに小浜さんの「DAICON5までの日本SF大会」(関東を含む)があって、編年でのSF大会のだいたいの動きはわかりました。
「大野万紀×岡本俊弥×小笠原成彦×水鏡子」50年後の実行委員会という座談会(?)も収録されていて、2076年のSF大会の実行委員会を想像する企画かと思ったら違ってました(笑;)
目次は雑誌のスタイルです。大きな記事が前にあって、個別の記事は別枠という。小浜記事は、SF大会全体となるとまた観点が異なるのでDAICON5までしか記載していません。「座談会」はSHINCONの枠の中のものです。あのメンバーを見ても五十年後の「未来」にはいないですよね。
いやその、SFらしく、居なくなった後の未来のコンベンションについて考察がなされるのかと。←嘘ですが(汗;)
編集に当たって、一番苦労されたのはどこだったのでしょうか。または、一番時間のかかったところはどこでしょうか。
インタビューのまとめに時間がかかっています。文字起しなどベテランのプロが携わっているのですが、もう若くはないのでなかなか仕上がらない。インタビューもスケジュールの空かない人がいて、セッティングに数ヶ月単位の時間がかかっています。プロ出版ではないので、あまり無理も(言ってるかもしれませんが)言えないですしね。
巻末の「解説」で、大森望先生が面白おかしく“打診でも依頼でもなく強要である”とか“何しろ敵は「ネオ・ヌル」から数えてこの道五〇年、泣く子も黙る鬼のファンジン編集者である。大森ごときではとても太刀打ちできない。”とか書かれていて(笑)
まあ大森望に何を書かれようと、半世紀つづく縁なので、面白ければぜんぜん構わないですけど。
「面白ければOK」というスタンスを色濃く感じるのは、やはりDAICONの特徴なのでしょうか。TOKONのことも良く知らずにうかがっているのですけど(汗;)
DAICON=「面白ければOK」ではないでしょう。おなじDAICONでも、大会によってニュアンスが違いますし。大森望はそういう大阪のノリという意味ではなく、ファニッシュな「面白さ」ですね。
楽屋落ち的なところがありますし。
SF大会の役員とかスタッフのみなさんの間には、スポーツ系でいうと同じ合宿に参加した仲間意識のようなものがあるように感じました。とくに後書きに書かれている“『ビューティフル・ドリーマー』の学園祭前夜的な”というたとえは、SFファンだと理解しやすい気がします(笑)
SFファンなので(たいてい)スポーツ不得意なんですが、そこだけは似ていますね。
「DAICON5スタッフ手記から」の最後で、三村美衣さんが、一部の人たちを除き“多くの人たちがファンダムの一線から退き、疎遠になっていった。そうして四〇年が過ぎたのだ。”と書かれていて、なんかしんみりしてしまいました。
そこが四〇周年という意味でしょうね。スタッフの声や、三村美衣の思いもうかがえる記事になっていて心象に残ります。
また「解説」からですが、“老若を問わず広く日本SFファン諸氏に読み継がれることを期待したい”には激しく同感ですし、またこの本を読んだ若いSFファンの方たちが、新たなSF大会を開催してくださればと思わずにはいられません。
ありがとうございます。そうなればいいですが、そのためにも過去の記録や再解釈は必要になります。これを契機に論考的な試みがもっと出てくれば、なお良いですね。