AKIのキネマまんぽ

　私の頭のメモリーには、「ジャック・フィニイ＝『盗まれた街』」となっていましたが、先日、書店のSF以外の棚でジャック・フィニイの『夢の１０セント銀貨』（ハヤカワ文庫　FT2）を発見、彼はこんなものも書くのかと思って買ってきました。
　読んでみるとこれが面白く、あとがきを読むと、彼はSFよりか、むしろこのジャンルがお得意とか。
　続けて、本屋を探した結果、彼の短編集『ゲイルズバーグの春を愛す』（ハヤカワ文庫　FT26)を見付け、これも購入、読了しました。
　面白いとなると、一気に読みあさる習性があるので、今度は図書館から、同じく短編集『レベル３』（早川書房　異色作家短編集　13）を借用し、これも読了。
　更に、続けて、現在、『盗まれた街』と並ぶもう一つのSF、『ふりだしに戻る』を図書館に申し込んであります。
　彼の小説を読んでいたらば、何となく『ある日どこかで』を思い出しましたので、調べてみましたらば、こちらの原作は、リチャード・マシスンでした。

　今月紹介する映画は三本だけ。
　寂しいので、三ヶ月ぶりに新しい「Ｃｏｍｉｎｇ Ｓｏｏｏｏｎ」をお送りします。

■『ハンコック』

　９月１日は朝一（１０時２０分）の『ハンコック』を観に、蒸し暑い中、渋谷ピカデリーまで出かけました。上映、４０分ほど前に着き、私の定席“K-15”の指定席をゲット、本屋で暫く時間をつぶしてから、映画館に入りました。入りは、約３０％。

物語：
　不老不死、空も飛べるし、力持ち、鋼鉄の肉体を持つスーパーヒーロー“ハンコック”。
　しかし、彼は自分の昔の記憶もなく、大酒飲みの駄目ヒーロー。
　正義の味方はするのだが、そのたびにビルを崩したり、道路に穴を開けたりで、被害も甚大、大騒ぎ。警察からは呼び出されるし、市民からもブーイング。しかし、彼は全てこれらを無視して知らん顔。
　一方、ＰＲ会社で働く余りぱっとしない男“レイ”は、バツイチだが、今は美しい奥さんと、先妻との間に生まれた男の子の３人で生活をしている。
　ある日、会社の帰り道、渋滞で彼の車が線路の中で立ち往生。向こうからは、機関車がやってくる。この、危機一髪のところを、彼は、ハンコックに助けられるが、例によって、機関車や、回りの自動車はメチャメチャ。
　被害者から非難されているハンコックを、今度はレイが助け出し、命の恩人として自宅へ招く。そこで、レイは、ハンコックが実は一人で淋しいんだということが分かり、みんなに愛されるスーパーヒーローにＰＲし直そうと、彼に話を持ちかける。
　先ずは、警察の指示通り、刑務所でおとなしく服役することから始める。
　やがて、警察や、市民から信頼を得始めたハンコックは、警察署長からの要請で、４人組の銀行強盗を逮捕、人質全員も無事救出に成功したことから、真の愛されるスーパーヒーローとして生まれ変わり、全市民から祝福を得る。また、彼を育てた、レイも一目置かれるようになる。
　めでたし、めでたし・・・・・？

　最近は、昔のアメコミ・スーパーヒーローの映画化が盛んですが、このハンコックは全くオリジナルなアメリカの新スーパーヒーロー。この駄目ヒーロー役を演じるのがハリウッドのドル箱、ウィル・スミス。
　物語は、上に書いたところまでで、全体のほぼ三分の二程度。ここまでは、予告編や、雑誌などでほぼ公知の内容で、極めて平凡な物語ですが、ここからは流石に現代の映画、一転して、新たな展開と結末が待っています。しかし、最後は、ハッピーエンドで一安心。
　有名なウィル・スミスはさておいて、レイ役のジェイソン・ベイトマンは『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』（2007）で、また、レイの奥さん役のシャーリーズ・セロンは『スコルピオンの恋まじない』（2001）でそれぞれお目に掛かっていました。

（原題）HANCOCK
2008/アメリカ/ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント配給
監督：ピーター・バーグ
脚本：ヴィンセント・ノー、ヴィンス・キリガン
出演：ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、ジェイ・ヘッド
字幕翻訳：戸田奈津子　←　頑張っています！
2008/08/30公開　1時間32分

◇　今回、初めて映画館で観た予告編。

■『幸せの１ページ』

　９月１７日は半月振りに、ワーナー・マイカル・シネマズ　港北ニュータウンまで、１１時２５分からの映画、『幸せの１ページ』を観に行ってきました。
　６日からの公開なのに、もう上映は一日３回になってしまい、１００ばかりの客席には僅か十数人。

物語：
　映画は１１歳の少女、ニムの「ママとパパは海洋生物学者。ママは、鯨が何を食べているかを調べに、海に出たきり戻ってこない。パパと２人、ヨットで世界中の海を探したが見つからない。最後、南太平洋で美しい無人島を発見、そこに２人で住んでいる」といったようなナレーションで始まる。
　一方、サンフランシスコでは、アレックス・ローバーという男性のペンネームで、インディ・ジョーンズ張りの冒険小説を書いてヒットしている作家、アレクサンドラ・ローバーがいる。彼女が描くヒーローとは裏腹に、彼女は引きこもり、対人恐怖症で潔癖症。
　孤島に住むニムは、彼女の小説の大ファン。
　ニムのパパ、ジャックは新種のプランクトンを採集するために海に出たが嵐で遭難、予定の日数を過ぎても帰って来ない。
　独りぼっちになったニムは、Ｅ−メールであこがれのヒーロー、アレックス・ローバーにＳＯＳを出す。
　恐くて、ドアのノブも回せない彼女が、果たしてサンフランシスコから、南太平洋の無人島までニムの救助に辿り着けるであろうか。
　そして、パパのジャックは、ニムの待つ島に帰ってこられるのであろうか。

　なんと言っても、アレクサンドラ・ローバー役が、ジョディ・フォスターなので観に行った次第。子役のアビゲイル・ブレスリンも好演。
　引きこもりのアレクサンドラをいつも励ますのが、彼女の頭の中のヒーロー、アレックス・ローバー（勿論、彼女以外の人間には彼は見えない）。
　このアレックス・ローバーと、ニムの父親、ジャック・ルソー役は、ジェラルド・バトラーで一人二役（これで、結末は、ほぼ予測可能・・・）。
　最後は、かなり感動的なハッピーエンド。泣いちゃって、席を立てないオバサンがいました。
　ニムの親友のアシカ、ペリカン、トカゲ、ウミガメなども好演で、大人にも、子供にも楽しめる映画です。
　ジョディ・フォスターには、２人の男の子がいるそうで、「いつもお母さんの出る映画を観たがっているのですが観せられず、やっと今度の映画は子供と一緒に観に行けます」と彼女が話しているのを、何かで読みました。
　原作は、ウェンディー・オルー著『秘密の島のニム』（あすなろ書房）。

（原題）NIM'S ISLAND
2008/アメリカ/KADOKAWA PICTURES配給
監督・脚本：ジェニファー・フラケット　＆　マーク・レヴィン
出演：ジョディ・フォスター、アビゲイル・ブレスリン、ジェラルド・バトラー
字幕翻訳：戸田奈津子
2008/09/06公開　1時間36分

■『ウォンテッド』

　９月２４日は秋分の日で休日でしたが、朝一（１０：４０）の『ウォンテッド』を観に、港北ニュータウンのワーナー・マイカル・シネマズまで出かけました。
　公開４日目ということで、一番大きい５３４席の“スクリーン０１”で上映されましたが、入りは３〜４０人。スクリーンが馬鹿でかく、かなり後ろの“L席”を取ったのですが、画面に圧倒され、草臥れました。
　指定席制度は、入場してから、場所を変えられないのが不便です。

物語：
　「１０００年の昔から、人類に害をなす人物を、事前に抹殺する“フラタニティ”と呼ばれる組織があった」というようなナレーションで映画は始まる。
　毎日、会社で、意地悪な上司にいじめられ、ウンザリしている冴えない若者、ウェスリーは、ある夜、ドラッグ・ストアーで殺し屋に射殺される寸前、美女、フォックスに助けられ、彼女の車で逃げる。後を追う、殺し屋。凄まじいカーチェイスのあげく、殺し屋を撒いたフォックスは、ウェスリーを“フラタニティ”の本拠地に連れて行く。
　そこで、ウェスリーは組織の指導者、スローンから、ウェスリーが子供の頃、行方不明になった父親も、この組織のメンバーで、彼にもその血が流れていることを知らされる。その日から、６週間みっちり訓練を受けた彼は、自分の中に眠っていた能力を目覚めさせる。
　スローンから、ウェスリーの父親を殺したのは、あの殺し屋、クロスであることを聞かされたウェスリーは、その殺し屋と対決すべく、彼の後を追い始める。
　やっと彼を追いつめ倒したが、クロスは最後に、自分がお前の本当の父親であり、軌道を外れた“フラタニティ”を壊滅するために戦っていることを告げて、息を引き取る。
　これを聞いて、ウェスリーは・・・・。

　矢張り、なんと言っても、フォックス役のアンジェリーナ・ジョリーと、スローン役のモーガン・フリーマンを観たくて出かけた次第。
　ウェスリー役の、ジェームズ・マカヴォイは・・・・、『ナルニア国物語　第１章』で半人半獣を演じていた俳優でした。
　『ダ・ヴィンチ・コード』などにみられるような謎解きと、今までにない類い希なカー・チェイス、それに、ピストルの曲撃ちなどのアクション。そして最後のドンデンガエシ。
　シリアスなストーリーですが、各所にユーモアもちりばめてあり、ＳＦではありませんが、充分楽しめました。
　矢張り、この映画も、同題のアメコミの映画化のようです。

　モーガン・フリーマンは、今年の８月３日深夜、自動車を運転中、横転、重傷を負ったとのニュースがありましたが、現在、無事回復に向っているとのこと。居眠り運転の模様。

（原題）WANTED
2008/アメリカ/配給：東宝東和
監督：ティムール・ベクマンベトフ
脚本・ストーリー：マイケル・ブラント　＆　デレク・ハース/クリス・モーガン
原作（グラフィック・ノベル）：マーク・ミラー、Ｊ．Ｇ．ジョーンズ
出演：ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、アンジェリーナ・ジョリー
2008/09/20公開　1時間50分

■Ｃｏｍｉｎｇ Ｓｏｏｏｏｎ（２００８〜２００９年）

　３ヶ月が経ちましたので、独断と偏見で、また新しい「Ｃｏｍｉｎｇ Ｓｏｏｏｏｎ」をお送りします。
　例によって、☆印は、新しい映画か、新情報が盛り込まれたもの。
　相変わらず、「続編」、「アメコミ」、「リメイク」の花盛り。
　年末の期待作品は『ウォーリー』。楽しみにしています。
　ハードなＳＦは無さそうです。