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六畳間シアターより愛をこめて

リージョン2の逆襲

ゾンビ

2001年6月27日、私にとって一つの旅が終焉を迎えた(お、えらいかっこええ書き出し!)。

「2001年ローンの旅」・・・2年前、前回お読みいただいたような動機でもって、一念奮起、組んだローンがボーナス4回払い。購入物件は液晶プロジェクターとDVDプレイヤー。

しかしながら、払い終えた今、既に両者共もう手許には無い。どんどん買い換えたからだ。AV関連のフォーマットは日進月歩。ドルビーデジタル、dts、プログレッシブ、DVDオーディオ、SACD・・・もう堪忍してくれえ。新フォーマットに非対応の2年前の機種では、残債ゼロの時には残存価値も低く、それならば早いうちに買い換えて鮮度を保とうという判断である。

その辺りのトレードで大いにお世話になったのが、yahooのオークションやネットの個人売買。モノが1、2年落ちの機種だと、大体落ち着く値段が、カタログ価格の3〜5割。アキバで新品を3割引で購入できたとすると、その差額2〜4割。1年間使用するとして月割りすれば、これはもうお小遣いの範囲におさまる。

絶対に専門店へ下取りに出してはいけない。外箱が無い(邪魔ですぐ捨てるって)とか付属ケーブルが無い(そんなオマケ誰が使うかっての)とか難癖つけて査定はどんどん下がる。一番クレバーなやり方は、専門店でさんざん視聴してから現金問屋で購入、資金はネット売却で調達という、これに尽きる。店には悪いが、こちらも小遣いがかかっているからね。

てなことで、今ではプロジェクターは2台目、DVDプレイヤーは5台目になってしまった。プロジェクターはプログレッシブ表示に対応させた。DVDプレイヤーはR2専用→Rフリー(ニフティ個人売買)→R1(同ニフティ)→Rフリー(ヤフオク)→Rフリー(ヤフオクでシンガポールの業者より、プログレ対応)という変遷。

さて、二年前R2専用プレイヤーを買ってしまってから痛感した、リージョン2ソフトのお寒い状況、すなわち値段が高い、リリースが遅い、欲しいソフトが無いの3拍子に、たちまちR1導入に走った私であるが、今年になってからはR2ソフトの購入も増えてきた(一時期はR2プレイヤーに電源入れるのは月一回あるか無いかだったのに)。それは何故か。

1:円安
1ドル120円オーバー。100円だった頃に比べると、6枚の値段で5枚しか買えないのだ。

2:リージョン2も安くなった
特にワーナー。アキバでは千円台で売られている。これではR1を輸入したら送料加算でかえって高くついてしまう。

3:リリースが早くなった
グリーンディスティニー:米6月2日、日本22日。スペースカウボーイ:米4月17日、日本5月25日。平均すればまだ半年以上のタイムラグはあるが、一部作品はこのように短い。米国リリース同時にオーダーが発送されても、こちらに届くのに1週間、万一ロストすれば(私はこの2年間で2回ヤラレた)、再送まで一カ月は待たされるのでその間にR2が店頭に並んでしまい、数百円ケチった代償としてのイライラはかなり大きいといえる。

この秋には待望のスターウォーズエピソード1がリリースされるが、米:10月、日:11月で価格も大差無い。特典映像も同等なら、日本版を待つのがこの場合賢明だろう。

4:expressの倒産
amazonより発送が早く、クーポンや販促品も多くもらえてR1な人から支持されていた通販業者、expressが今年に入って倒産してしまった。有力な選択肢が一つ消えたことになる。最近になっての福音は、HMV、TOWERがかなり安いらしい。amazonと比してデリバリに大差なければ、メインに使えるのではないだろうか。

5:レンタルの充実
ワーナー、ソニー系はTsutayaに行けばある。試し見してから購入するという手も。逆にいうと、一度観るともう観ないなあという作品のいかに多いことか。私はそういう作品を買ってしまった時はヤフオクに出すことにしている。購入価格マイナス売却価格=レンタル料金位におさまれば、あまり損した気にならない。

以上のような状況でなおかつR1にこだわるポイントはどこにあるか。R2のリリースについて以前にも増して留意するということだが・・・

1:日本公開の有無
日本未公開のまま終わる作品はビデオスルーになるにしてもR2DVD化はまだまだ難しい。SF、ホラー、カルト、コメディーなど我々が惹かれるジャンル。積極的にオーダーしよう。

2:ヒット作
日本劇場やルーブルでかかるような作品、当然R2化はされるので、「あ、それもうR1で観たよ」と優越感に浸るには、R1リリースが日本でのロードショー公開にどれだけ先行しているかがキーとなる。ただし配給側も戦略的に日本での公開時期を早めてきているようなので、まあ、たまには映画館で観るのもよろしいかと。ちなみに現在日本公開中のハムナプトラ2はDVDリリースは米国10月2日。今月公開のパールハーバーも米版10月DVD発売の予定だ。

3:過去の作品
LDや放送で何回も観た大好きな映画。今更字幕なんて必要ないでしょう。ワーナー以外なら急がずR1で安くコレクション。

4:dts
実際ドルビーデジタルと聴き分けられるかは別にして、数値上は上位フォーマットのdts。スピルバーグ作品(ジョーズ、ジュラシックパーク、プライベートライアン)、R1はdts収録されているのにR2はDDしかない。逆にR2しかdtsがないという作品もあるが(シックスセンス、マルコビッチの穴)、音響的に地味でdtsにしてもなあ、といった印象。dtsにこだわるならやはりR1だ。

というわけで、やっと今月のおすすめ紹介。未知との遭遇collector's edtion。スピルバーグ作品でdts収録、2枚組で実買20ドル、R2リリース予定は早くて秋以降、とR1環境をお持ちの方にとってはオーダーしない理由が見つからないとさえ言える。

画質・音質共数年前に出たLDの同エディション(特典映像も同じ内容)とは比較にならない程ブラッシュアップされている。

まず画質については赤のクリアーさに目を見張ることになる。バリー坊やのファーストコンタクトシーン。UFOからの光。散らかされた冷蔵庫からこぼれ出たステーキ肉、コーラ缶の鮮やかな赤。ちりちりと飛んでいたノイズが一掃され、微細情報が格段に増加。ニアリーのトラック、ダッシュボードに貼られたメモも読めそうな程。

音質。本作は私にとって、初めて映画における音響効果を意識させられた一本だし、この映画に出会っていなければ、こうしてホームシアターについて、なんて書かせてもらう、てな状況にはなっていなかったはずだ。話は逸れるが、この連載も、前任のMOZさんから紹介いただいたおかげだが、懇意になれたのも某メーリングリストでの本作品LDについてのスレッドがそもそもで、もう3年も前だったろうか。そう思うと「未知との遭遇」を取りまく縁(えにし)のようなものを感じずにはいられない。

音響面でのポイントは、マザーシップの重低音(いかに歪まずビリつかずに再生するか:難問である)、大小のSE(食器の転がりからプロペラ始動まで)、後半の基地における広い空間表現等、聴きどころ一杯で、是非是非5.1で堪能していただきたい。ただ、前後方向の音像移動に関しては、近年の派手さ、クリアさは無い。UFOやヘリ等素材としては使えるものが多いが、今回のリマスターでそこまで演出的にさわったわけではなさそう。

ところで、ここであえて私が苦言を呈したいのは、「LD:collector's editionと内容が何ら変わらないのは誠実さに欠ける」ということだ。当DVDの本編は、DD5.1版LDと同じ137分バージョン。明言された文を見たことは無いが、正月にNHK-ハイビジョンで、及び先月BSで放送された、ラストマザーシップ内の描写と「星に願いを」が無いバージョンだ。

まあ、監督本人が再編集したとのことなので、それを収録するのは自然だが、しかし初公開版、特別編、そして今回のもの(他にもあるなら誰か教えてください)と複数バージョンが存在する本作品こそ、DVDの真価を発揮して全バージョン通しで再生できるようにすることこそファンに対する仁義なのでは。これはおまけディスクで断片的に見せられて納得する類のものではない。

だいたい、きょうび、ディレクターズカット(DC)が持てはやされてるけど、わしゃ気にいらんぞ。DCを出すと同時に劇場公開版を封印してしまうのは、劇場にわざわざ来てくれた(かつその時に大いに感銘を受けたとしたらなおさら)ファンに失礼というものだ。チャプタープログラムで初公開版と特別編を再生し分けることが可能だったスペシャルコレクション版LDに比べると今回のDVD、あまりに安易なコンセプトはとても残念である。

というわけで、今度ブレードランナーを発売する時は(来年出るそうな)是非是非モノローグ・ハッピーエンドバージョンを観られるようにして欲しいと切に願う次第である。

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