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Author Interview

インタビューア:[雀部]&[ぬぬに]&[ふみ]

『ロミオとロミオは永遠に』
> 恩田陸著/おがわさとし画
> ISBN 4-15-208437-5
> ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
> 1800円
> 2002.10.20発行
粗筋:
 汚染された未来の地球。垂れ流された産業廃棄物の処理に長けているということで、日本人だけが居残りさせられ、毒性のある化学物質や核廃棄物を処理していた。この先の閉ざされた地球上で、最高学府という名目の「大東京学園」の卒業総代になることだけが、数少ないホワイトカラーになれる最短切符であるとされていた。
 日本全国から選ばれし者たちが目指す入学試験レースをくぐり抜け、晴れて大東京学園に入学したアキラとシゲルを待っていたのは、タダノ、フクミツ等の性悪な教師が支配する過酷な学園生活だった。未来の見えない閉塞状況をなんとか打破しようとする学生年たちに未来はあるのか……

『ねじの回転』
> 恩田陸著
> ISBN 4-08-774585-6
> 集英社
> 1600円
> 2002.12.10発行
粗筋:
 1936年2月26日、安藤輝三は静かに雪の上で足踏みをし、胸元から懐中連絡機を取り出した。俺は自決に失敗し、銃殺されたはずじゃなかったのか?
 近未来。歴史を改変する手段を得た国連は、二・二六事件の首謀者たちにその事件を何度もなぞらせていく、正しい歴史を"確定"するために。そして、その"再生"行為は、ある限定された時間内に完了しなければならないのだ……

漠然としていた感覚が鮮明になる心地よさと驚き

雀部 >  今月の著者インタビューは、昨年末に('02/10/31)ハヤカワSFシリーズ Jコレクションから『ロミオとロミオは永遠に』を出された恩田陸先生です。
 恩田先生よろしくお願いします。
恩田 >  こちらこそよろしくお願いします。
 何卒お手柔らかに。
雀部 >  また、恩田先生の熱心なファン代表ということで、恩田先生のファンサイトを主宰されているぬぬにさんとふみさんにも加わって頂きました。ぬぬにさん、ふみさんよろしくお願いします。

ぬぬにさんのサイト<恩田陸オンライン>
ふみさんのサイト<夜虹堂>
ぬぬに >  はじめまして。ぬぬにと申します。どうか宜しくお願いします。
ふみ >  はじめまして。このような機会をいただき、とても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
雀部 >  ぬぬにさんとふみさんにお願いしたいのですが、ファンサイト開設の経緯と、ファンサイトを作るだけのエネルギー(かなりの労力が要ると思います)を発揮させる恩田作品の魅力についてお聞かせ下さい。
ぬぬに >  初めて読んだ作品は。やはり『六番目の小夜子』でした。魅力的なサヨコの謎に参ったクチです。分類好きなので、年代別に六人の小夜子を分類してみようと思い、個人サイトで『六番目の小夜子』の特設ページを作ったりして喜んでいました。
 現在の『恩田陸オンライン』はもともと別の方が主催されていたファンサイトが休止状態になるということで、僭越ながら休止期間中の代替サイトとして立ち上げたものです。
ふみ >  恩田先生の作品を読んでいると、自分の中では漠然としていた感覚が鮮明になる心地よさと驚きがあり、実際には体験していない感情でも、共感を覚えます。
 この感覚を何度も味わいたくて、連載や新刊を楽しみにしていたのですが、その気持ちが高じて、雑誌掲載のエッセイやインタビュー記事なども網羅的に読んでみたいと思うようになりました。
 そのために必要なリストと情報収集の場が欲しいと思ったことが、サイト開設の動機です。
雀部 >  お二人のファンサイトを拝見させていただくと、恩田作品に対する愛情を感じると同時に、アクセス数も多いので恩田先生の人気も相当なものだということがよく分かります。
 私も恩田作品との出合いは、新潮文庫ファンタジーノベル・シリーズから出た恩田先生のデビュー作『六番目の小夜子』なんです。ゲーム感覚とホラーが合体したような学園小説に感心して、ハードSF研の広報に、紹介文を書いた記憶があります。その当時は恩田先生が男の人か女の人か知りませんでした(汗) で、当時から疑問に思っていたんですが、恩田陸というお名前は、ペンネームなんでしょうか、それともご本名なのでしょうか? それと「陸」というお名前に込められた意味がありましたらお教え下さい。
恩田 >  ペンネームです。というか、作家ってペンネーム使うものだと思っていたので。
 最初にファンタジーノベル大賞に応募する時に、なんとなくパッと付けた名前です。男か女か分からない名前にしようと思って。『やっぱり猫が好き』の恩田姉妹が頭にあったのは確かです。
ぬぬに >  『やっぱり猫が好き』は放映時に浪人生だったので夜中によく見ていました。恩田さん的には恩田三姉妹の中で、三人のうちの誰かをご自分にと想定されて、このペンネームを選ばれたのでしょうか。
恩田 >  とくに誰というのはないですね。三人とも好きだし、それぞれに共感します。
雀部 >  私は大学が仙台だったもので仙台は第二の故郷のようなものなんですが、恩田先生も仙台のご出身であられるとのこと。『ロミオとロミオは永遠に』では、主人公のアキラとシゲルが、中部北陸と北海道出身との設定でしたが、東北地方というか寒い地方に思い入れがおありですか?
恩田 >  うちは両親が仙台の人で、父の仕事で転勤が多かったのですが、松本、富山、秋田など東日本を転々としていたので、その影響はあると思います。私自身、旅行したいと思うのは大体北の方で、南の島には全く興味がありません。

実在のモデルがいたのですね

ふみ >  『ロミオとロミオは永遠に』では、出身地の伝統行事である凧づくりが特技のハママツや、「名は体を表す」ような新宿クラスの面々のネーミングが楽しいのですが、学園側の教師たちは、スズキやタダノといった日本人に多い名字を選ばれています。ネーミングの対比といったような意図があるのでしょうか。
恩田 >  一応、生徒の苗字は地名、教師の名前は実在のモデル(あくまでもイメージですが)から貰っています。実在といっても、スズキは鈴木清順監督、タダノは筒井康隆の『文学部唯野教授』からイメージしたんですが(笑)。
ぬぬに >  タダノの謎が解けました(笑)。フクミツあたりは非常に判りやすかったんですが。スズキ校長は想像がつきませんでした。
ふみ >  そうだったのですか! 実在のモデルがいたのですね。言われてみれば、スズキ校長の容貌は鈴木清順監督にそっくりです(笑)。
 名前に限らず、実在の事物のパロディがたくさん登場しますが、執筆前から、「これは作中で使いたい」というネタがあったのでしょうか。
恩田 >  それは、「ロミオ」のネタを考えついた時から細々と考えておりました(笑)。
 個人的には「コマ劇場前の噴水に飛び込む」が気に入っております。
ぬぬに >  わたしもあの膨大なオマージュ群をどうやって思いついたのか知りたいです。すらすらとサブカルネタが湧いてきたのか、それとも毎回毎回苦労して集めていらしたのかどちらなのでしょう。サブカル方面で特に得意なジャンルなどはあったのでしょうか。
恩田 >  私は割に広く浅くですが、ケイト・ブッシュと少女漫画は得意でした。
雀部 >  ケイト・ブッシュですかぁ。私なんかの年代ともう少し下の年代では、あの高音の魅力にしびれたファンが多いです〜。
 少女漫画は、これはもうSFファンの必須アイテムですよね。私が、岡山SFファンクラブの会合に初めて行ったときに聞かれたのが、「『アラベスク』と『エースをねらえ』ではどちらが好きか?」でしたから(笑)
 いまはどうなのかなぁ。

少年漫画的な世界

ふみ >  漫画といえば、『ロミオとロミオは永遠に』では、少年漫画的な世界を展開したかったというインタビューを読みました。恩田先生がお好きな少年漫画というと、どのあたりになるのでしょうか。
恩田 >  元々私は兄が読んでいる少年漫画から入ったのです。
 だから、70年代の少年漫画はほぼ読んでいます。
 関谷ひさしの「ストップ! にいちゃん」とか望月三起也の「秘密探偵JA」辺りが原点ですね。好きな漫画はあまりにもありすぎて挙げきれません。
 なにしろ、チャンピオン、マガジン、サンデー、みんな読んでましたからねー。
 そのあと、兄が「おまえは少女漫画をカバーしろ」と言い出して、私がそっち方面を担当(?)し、なかよし、りぼん、マーガレット、フレンド、花とゆめと読むようになりました。
ぬぬに >  お兄さんの存在が作家恩田陸誕生の、重要なファクターとなっているわけですね(笑)。
ふみ >  子供の頃から、たくさんの雑誌を読まれていたのですね! うらやましいです(笑)
 もしかして、「出せない手紙」(ドラマ『ネバーランド』の主題歌)作詞時のペンネームである「セキヤヒサシ」は、関谷ひさし氏からとられたものですか?
恩田 >  そうです。思い出深い名前ですので。
ふみ >  作品を読んでいて、わくわくすると同時に、物語の王道の愉しみ、力強さのようなものを感じました。少年漫画で愛されてきたキャラクター造形や王道パターンを意識的に取り入れていらっしゃるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
恩田 >  そうですね。お話の作り方は、もう完全に少年漫画週刊誌で刷り込まれているという感じです。「次週に続く!」で「引き」が命、です。
ふみ >  「ここで『つづく』とはっ!」と思う、恩田作品の強烈な「引き」は漫画によって培われたものだったのですね。
 物語にパロディを盛り込む際に、苦労されたのはどんなところですか?
恩田 >  なんといっても外さないことですね。自分でも笑えるものにしたかった。
ふみ >  それはもう、読みながらあちこちで笑ってました!

恩田先生の地が出ているのは…

雀部 >  SF的な作品というと『光の帝国』にしろ『月の裏側』や歴史改変SFとも呼べる『ねじの回転』にしろ、人間の心情をリリカルに描いて感動を呼ぶ作品が多かったと思いますが『ロミオとロミオは永遠に』はそれからいくと異色ですね。
 でも、恩田先生の地が出ているのは『ロミオとロミオは永遠に』のほうだと聞きました。では、いままでどうしてこういう傾向の作品を封印されていたのでしょうか?(笑)
恩田 >  小説って(恐らく小説によらず、お話って)暗いもの、真面目なものの方が書きやすいからです。なにしろ、コメディはテンションを保つのが難しいし、とても疲れます。しかも、笑いは人によってツボが異なりますから更に困難です。
 デビュー当時は、なぜか作者に繊細な文学少女系を予想して会いに来る方が多く、皆さんギャップに唖然として帰っていかれたのを思い出します。
雀部 >  確かに、人を感動させるより、笑わせるほうが難しいと言いますね。個人的には、ラストで大笑いした後、浮かび上がってくる真理に慄然するとかいうお話が大好きですが、なかなかありません(爆)
 恩田先生の作品から、繊細な文学少女を予想するのは、まったくもって普通のことだとは思いますよ(笑)
 ユーモア・コメディ系でお好きな作家(映画監督・漫画家も)とか、ご贔屓の芸人さんはいらっしゃりますか?
恩田 >  月並みですがモンティ・パイソン。ハリウッドのスクリューボール・コメディも好きです。コント55号とやすし・きよしも好きでした。
雀部 >  モンティ・パイソンは、昔ブームになりましたねぇ。国営放送であんな毒のある番組を作るんだから。
 『ねじの回転』の“人類が神を生み出したとするなら、無数のコンピュータは、何かを生み出さないだろうか”という視点に凄くSFマインドを感じました。
 ここの、完成した超スーパーコンピュータに「神は存在するか?」と質問すると「イエス!今こそ神は存在する!」の部分は、フレドリック・ブラウンの「回答」(『天使と宇宙船』所載)だと思いますが、ブラウンもお好きでしょうか?
恩田 >  もちろん大好きですし、あれはおっしゃる通り「回答」のことです。私はSFでも、元々「異色作家短編集」系から入ったので、 ロバート・シェクリイ、ブラッドベリ、シマック、スタージョン辺りが好きです。
雀部 >  「異色作家短編集」ですか。私の持っているのは、改訂版の方なのですが、それでも昭和51年ですから、恩田先生が小学校の時ですね。スタージョンとかブラッドベリあたりは、恩田先生の雰囲気とオーバーラップするんですが、シェクリイやブラウンは、ちと違う感じで……
 そっか、ひょっとして『ロミオとロミオは永遠に』の設定は、シェクリイから来てませんか? 大東京学園のオリンピックって、「危険の報酬」あたりの疑似イベントものの匂いがします(笑)
恩田 >  特に意識はしてませんでしたが。実はそうだったのか(笑)
 意識下に刷り込まれていたかもしれません。
ふみ >  『ロミオとロミオは永遠に』のサブカルチャーが禁止された世界という設定からは、ブラッドベリの『華氏四五一度』を連想しました。オマージュの要素がありますか?
恩田 >  ブラッドベリは大好きだし、『華氏四五一度』も大好きです。
 でも、今回は、そっちのオマージュのつもりはなかったですね。

スターウォーズのポスターの雰囲気で

ふみ >  『ねじの回転』と『ロミオとロミオは永遠に』では、戦前の四日間と戦後の昭和、シリアスとコメディ、そして登場する動物は、猫と犬(笑)と、対にできるような要素があり、未来の人間が昭和を俯瞰するという共通点があるように感じられました。
 見当違いかもしれませんが、自作で昭和へのアプローチをしてみたいというお気持ちが強かった時期だったのでは……と思っています。実際のところは、いかがでしょうか。
恩田 >  それはありますね。自分の知っている昭和とか、子供の頃見ていたものとか。
 浦沢直樹さんの「20世紀少年」や、東野圭吾さんの『白夜行』なんかにも、そういうものを感じます。作家だったら、自分の中の昭和を作品に封じ込めたいというのはあるんじゃないでしょうか。
ふみ >  そういった昭和を描く際に、ユニークな世界設定を用いられているところが興味深いです。『ねじの回転』と『ロミオとロミオは永遠に』には、日本人論のような視点も感じられたのですが、特定の時代感覚や批評的な視点を盛り込むには、SFやファンタジーの手法が適していたということなのでしょうか。
恩田 >  ううむむむ。そんな難しいことは全く考えておりませんでした。
 よく引用させてもらうのですが、スティーヴン・キングが『悪夢の種子』でインタビューに答えていたのをここにも引かせていただきます。“小説を書くのはドライブのようなもので、自分の場合、ただドライブが好きだから車を運転している。
 しかし、車には後部座席やトランクがあるので「そういえばスイカも積めるな」とフト気付く。小説のテーマというのはこのスイカのようなもので、たまたまスイカも乗せられるから乗せているけれども、目的はあくまでドライブであって、スイカを運ぶことではない”というようなものでした。
 私もこの考え方にかなり近いです。人によってはスイカを運ぶためにドライブする人もいるでしょうし、できるだけ沢山のものを積んで遠くの人に届けるのが運転の目的だという人もいるでしょう。しかし、私はドライブそのものが好きなタイプで、あまりスイカについては考えていません。でも、お菓子やビールを積んだ方が楽しいので、何も考えずに目についたものを後部座席に放り込んでおくことが多いです。
 って、これ、答えになってますでしょうか。
ふみ >  はい! 『ロミオとロミオは永遠に』では、ドライブをしているうちに、気がつくと後部座席がバラエティ豊かな事物でいっぱいになっている……という感じなのかなあと想像してしまいました。
ぬぬに >  『ロミオとロミオは永遠に』を読み始めたとき、表紙イラストの雰囲気といい、内容のハチャメチャさといい、平井和正の『超革命的中学生集団』を想起させられたのですが、あの時期の国産学園エスエフからの影響というのはあるのでしょうか。
恩田 >  そうですね、私の場合、平井さんのものは、原作よりも石ノ森章太郎さんの漫画の印象の方が強いです。「幻魔大戦」も、漫画の方です。たぶん、石ノ森章太郎さんの学園SFの影響が大きいです。「番長惑星」とか。
雀部 >  単行本の表紙は、早川の塩澤さんから、スターウォーズのポスターの雰囲気でと指定があったと、おがわさとし先生のファンサイトに載ってましたね。
恩田 >  そうです。「帝国の逆襲」です。これは、「ロミオ」を書き始める構想段階から本の表紙はこうして貰おうとイメージしておりました。
 おがわさとしさんが、実に素晴らしく再現してくださいました。
ふみ >  『ロミオとロミオは永遠に』のあとがきで、「横浜からトラックに揺られて東京を目指す二人の少年の顔が浮かび、この奇妙なタイトルが降ってきたとたん、この物語は増殖し始めました。」とありますが、他にも、構想初期の段階で、「これは『ロミオとロミオは永遠に』のワンシーンだ」と思うような、原型となったイメージシーンはありますか?
恩田 >  観覧車と、屋根がジャングル・ジムになった国会議事堂が学園に中心部にあるというイメージはありました。
 あと「アメリカ横断ウルトラ・クイズ」ですね(笑)

「時間もの」

ふみ >  アキラとシゲルが、明かりの灯った電話ボックスで電話をとるシーンが印象に残っているのですが、このシーンは、かなり後になってからできたものなのでしょうか。
恩田 >  いえ、この電話ボックスのシーンは比較的早く考えておりました。
 しかし、こんなに早く電話ボックスが死語になるとは。
ふみ >  本当ですね(笑)。関係ないですけど2003年には阪神タイガースが優勝したので、 アキラが読んだスポニチには、2003年のものが含まれているかもしれないなあと思ったりもしました(笑)。
 この電話ボックスのシーンには、過去と未来が出逢うような時間ものの面白さが感じられました。恩田先生の作品には、時間と記憶の不思議を扱ったものが多いように思うのですが、「時間ものを書くぞ!」というよりは、「書いていたらそうなった」というような感覚なのでしょうか。
恩田 >  漠然と「時間もの」とは思いますが、いつもかっちりは考えていません。
 『ライオンハート』は、おおまかな設計図のみでしたし、『ねじの回転』は完全に行き当たりばったりで毎月走りながら考えていました(我ながら恐ろしい。これを当時の担当者が読んだら卒倒すると思います)。
ふみ >  複雑な時間枠のある『ねじの回転』が、連載時は行き当たりばったりで進んでいたとは驚きました。
 メディアを問わず、時間テーマでお好きな作品を教えてください。
恩田 >  いっぱいありますねー。広瀬正『マイナス・ゼロ』『エロス』、梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』、ケン・グリムウッド『リプレイ』、手塚治虫「W3」、もちろん少年ドラマシリーズのほうの『時をかける少女』、映画『ターミネーター』、などなど、書ききれません。
    ◆以下激しくネタバレなので、白い背景に白いFontで書いてあります。
雀部 >  この『ロミオとロミオは永遠に』にも時間ネタ(タイムスリップ?)が出てくるんですが、私はあの校長先生が出てきたところあたりから、この校長は、ひょっとしてアキラの兄貴じゃないのかって。悲しいSFファンの性なんですが(笑)時間テーマのSFだと、そういう円環構造を取ることが多いんで。恩田先生は、そういう構成にすることは考えられませんでしたか?
恩田 >  校長はキャラクターに気を取られていてそこまで考えていませんでしたねー。
 正直なところ、綺麗に閉じるつもりも、その余裕も(哀)なかったのです。
 そうか、そうすればよかったなー(←何を今更)。
雀部 >  いえいえ、SFファンの戯れ言ですから、お気にしないで下さいませ(爆)
    ◆ネタバレ終了

元ネタは…?

雀部 >  この『ロミオとロミオは永遠に』は、20世紀のサブカルチャーがたくさん出てきますが、ぬぬにさんとふみさんは、どういった感想を持たれました?
 私もだいたい分かったのですが、年代的にいって、それほど強い思い入れはないんです(爆)
ぬぬに >  年代的に近いせいかサブカルネタは楽しく読むことが出来ました。次から次へとよくネタが続くものだと(笑)。その場その場のTPOに合わせて使われているのはさすがだと思いました。
 雑誌掲載が1999年〜2000年にかけてということでしたので、これは去りゆく20世紀に対しての恩田陸的な惜別賦なのかなと、一抹の寂しさも感じながら読んでいました。
ふみ >  「サブカルネタが全然わからなかったらどうしよう……」と思いながら読み始めましたが、元ネタが想像できるものが思ったよりも多く、とても楽しかったです。
 日本国憲法からキャラクターグッズまで、ネタとなった事物の多彩さに驚きました。
 ケイト・ブッシュの楽曲(『嵐が丘』)や、萩尾望都先生の作品(『トーマの心臓』)など、これまでに恩田先生がオマージュとして触れたことのあるアーティストを想像させるネタが登場するところには、思わずニヤリとしてしまいました。
 パロディを通して、自分が享受してきたものを懐かしむ気持ちと、わからなかったネタに関しては、「あの元ネタって何?」と読んだ人に聞きたくなってしまう気持ちがあって、これまでの作品とはまた違った楽しみを堪能しました。
雀部 >  ふみさんは、ご自分のところで『ロミオとロミオは永遠に』のオマージュリストを公開されてますが、ぬぬにさんとふみさんは、これだけはぜひ元ネタを聞いておきたいというところはありませんか?(笑)
ぬぬに >  うーんどうだろう。ふみさんのサイトにかなりお世話になってしまったからなあ。サブカルネタとはちょっとずれますが、生徒たちのキャラクター造形で、モデルとなった作品というのはあるのでしょうか。特にリュウガサキ君のモデルがあるなら知りたいです。
 彼のいかにもB級な邪悪さが大好きなので。
恩田 >  私も、実は密かにリュウガサキは気に入ってるのですが、彼は特にモデルはありません。私の中のいわゆる敵キャラのイメージを具現したものということで。
ぬぬに >  デカイ。とりあえずそこそこ強い。子分がたくさんいる。粗野で下品。卑怯。でもラスボスレベルではない、と、実にバランスの取れた?敵キャラだったと思います。
 あ、そうだ一個ありました。アキラが収監された「観覧車」のモデルはどこの観覧車なのでしょうか。うちのサイトでは、お台場説、葛西臨海公園説、横浜みなとみらい説といろいろ出たのですが。結論は出ませんでした。
 ちなみにうちのサイトのチャットでは、ちょっとした罰ゲームに『観覧車行き』というものがありまして、みんなに嫌がられています(笑)。
恩田 >  私の中では、横浜みなとみらいです。
ぬぬに >  おおっ、やっぱり、みなとみらいでしたか。東京の観覧車ではないので違うかなとも思っていたのですが、個人的にはココかなと予想していたのでなんだか嬉しいです。
ふみ >  リストは拙いものなのですが、激しくネタばらしをしているので、恩田先生や早川書房から営業妨害だと言われそうです……。
 気づいていないネタもあちこちにありそうですが、元ネタがあるのかどうか、よくわからなかったものを三つお尋ねしたいと思います。

・p.23の、「前世紀に流行った、未確認飛行物体教団の曼荼羅」とは、何のパロディなのでしょうか。
恩田 >  これは、要するに、UFOやアブダクションを信じている人たちのことです。
 結局、見た、見ない、信じる、信じないになってしまうので、一種宗教に近いなあと。
 私は幽霊にしても、UFOにしても、そういうこともあるかもしれないと思っているけど、全く見たことない方です。
ふみ > ・フクミツがよく引き合いに出す「隣のアケミちゃん」(初出はp.92)には元ネタがあるのでしょうか。
恩田 >  特にありません。「あけみ」というのは、私が子供の頃、流行っていた名前という印象があるのです。クラスに必ず二、三人いたので、そんなイメージで。今の子だと美咲ちゃんみたいな感じでしょうか。
ふみ > ・p.344でキョウコが語っている、「「アングラ」で観た映画」のモデルとなった映画のタイトルを教えてください。
(鏡の中に映っているのは若い頃の姿だが、実際には皺だらけの老婆かもしれないとキョウコが思うシーン。)
恩田 >  特にイメージしている映画はありません。恐らく、彼女はいわゆるアングラやサブカル的に支持されているものを全般に観ているものと思われます。

いつか舞台化されると嬉しいです

ふみ >  なるほど〜。気になっていたところがいろいろとわかって嬉しいです。
 ぬぬにさんの質問で、キャラクター造形のお話がでましたが、私はアタミが気に入っています。「お誕生会」でのお芝居のシーンがとても印象的でした。
 これまでの作品にも、『麦の海に沈む果実』の校長や、『MAZE』の神原恵弥など、ジェンダーにとらわれないキャラクターが登場していますが、こういったキャラクターを描く楽しさは、どんなところにありますか。
恩田 >  どちらも好きなキャラクターですし、書いていてとても楽しいですね。
 私の個人的な感想ですが、ジェンダーというのは相対的な部分があると思うのです。
 他に誰かがいて、相手にないものを関係性のために演じる、というような。
 一人の人間の中に必ず女性的なものと男性的なものがありますし、どちらかが優勢な人と、あまりそうでない人がいると思います。私は割にどっちもあると思うのですが、その両方の声を聞きながら書くのは面白いです。
ふみ >  ジェンダーとは異なるかもしれませんが、『クレオパトラの夢』に登場する恵弥と妹の和見、『蛇行する川のほとり』の香澄と芳野の関係などにも、そのような相対的な部分があるなあと思いました。
 話はそれますが、いくつもの連載を同時進行していると、作品同士が相対・補完するような関係になることはありますか?
 インタビューで、「『ロミオとロミオは永遠に』と『蛇行する川のほとり』は対をなす作品」と発言されていて、他にもそういった感覚を持たれた作品があるのかどうかが気になっています。
恩田 >  そうですね。予定していなくても、図らずもそうなってしまったということはあります。
 連載していると、対照的なものを書きたくなるし。
 例えば、角川系では、コメディの『ドミノ』を書いたので、今はめちゃめちゃ暗い話を書いていますが、次はまたコメディになる予定です。
 また、今小説新潮で連載している『夜のピクニック』は、私の中では『六番目の小夜子』『球形の季節』に続く学園三部作という位置付けになってます。
ふみ >  そういえば、『ユージニア』の連載が始まったときに、『ドミノ』との雰囲気の違いに驚いた記憶が……。
 さまざまな作品で、演劇シーンや、ゲームをするシーンが登場しますが、それはなぜでしょうか? このようなシーンを描く魅力についてお聞かせください。
恩田 >  要するに、制約が好きなんだと思います。ある制約の中で、いろんな人が工夫してやりくりしていくという過程を考えるのがとても面白いです。その制約の中で、関係が変化していくというのもわくわくします。
ぬぬに >  『ロミオとロミオは永遠に』でもアタミのお芝居のシーンがありました。『六番目の小夜子』の文化祭劇や、『黒と茶の幻想』の憂理など、作中に演劇の要素を取り込まれているケースが時折見受けられるのですが、演劇(どちらかというと小劇場)はよくごらんになる方ですか?
恩田 >  お芝居、なんでも観るのは大好きです。昨年はTVも含め50本ほど観ました。
 特定のひいきはありませんが、昨年のベスト3は「阿修羅城の瞳」「オケピ!」「ノクターン」あたりでしょうか。
ぬぬに >  お忙しそうなのに、幅広く沢山ご覧になっているようで驚きです。舞台は良いですよね。その場限りの一回コッキリが堪らないです。
 ところで、恩田さんの作品の舞台化というお話はないのでしょうか。『麦の海に沈む果実』や『木曜組曲』等々、演出次第ではかなり面白そうなお話がたくさんあるかと思うのですが。あったら絶対見に行くんですが。
恩田 >  そうですね。実は、当初『木曜組曲』は舞台を意識して書いていたので、映画になってびっくりしました。いつか舞台化されると嬉しいです。あと、密かに舞台化を狙っているのは、この『ロミオとロミオは永遠に』です(笑)。無謀かしら。
 でも、他のものより実は舞台化しやすいのではないかと思っているのですが。
 演出家の好みで20世紀パロディをどんどん入れてくれればいいし(笑)。
 また、今月終わるケータイ文庫の『中庭の出来事』はもろに芝居が一本入っていますので、これも密かに舞台化を希望しております。

続編を読みたかったのでとても楽しみです

ぬぬに >  『ロミオとロミオは永遠に』は単行本刊行にあたり、大幅に改稿されたそうですが、その理由はなぜなのでしょうか。また、改稿が多く入る作品と、ほとんど入らない作品がありますが、その違いというものはあるのでしょうか。
恩田 >  ううう。痛いところを。そうですね、私は大幅に改稿するものと、ほとんど改稿しないものがはっきり分かれています。改稿するものは、大体連載中からこれはこのままでは駄目だな、と分かっています。えてして、構想が追いつかず、見切り発車してしまったものがそうなるのですが、同じく見切り発車してもきちんと連載中に書き切れるものもあるのが不思議です。なんだか答えになっていませんが、「書きたいものを書き切れなかった」というのがその最大の理由だと思います。「言うべきことは言った」と思えた時はほとんど直しません。
ふみ >  ということは、まだ単行本化されていない『禁じられた楽園』も大幅改稿組ということなのでしょうか。
恩田 >  あれは、大幅改稿というよりは、主に後半部分を今書き足しております。
 本年刊行の予定でございます。
ふみ >  年内に読めそうとは、嬉しい情報です! 藤原ヨウコウ氏の挿絵も素晴らしいので、単行本にもたくさん収録されるといいのですが……。
ぬぬに >  単行本待ち組としては嬉しい情報ですね。期待してますよー。
 恩田ファンの誰もが知りたい情報だと思いますが『蒲公英草紙』は何時出るのでしょうか! 雑誌連載を読んでいなかったので、ものすごーく気になっています。
恩田 >  うううう。もっと痛いところを。あれは最も見切り発車してしまったもので、細かいアイテムや明治の風俗をきちんと自分の中で消化しないで書いてしまったので、全面改稿を予定しています。担当者からもずっとちくちく言われているのですが…。その前に、「オセロ・ゲーム」の続編の「エンド・ゲーム」を年明けから小説すばるでスタートしてしまうので、私としては、これが本にまとまる時に一挙に二冊!出せればすごいなーと密かに思ってはおるのですが…
 すみません、何卒気長にお待ちください。
ふみ >  ついに「常野物語」の新作が読めるのですね!
 拝島一家の話は、続編を読みたかったのでとても楽しみです。『蒲公英草紙』との単行本同時刊行を期待しています!!
ぬぬに >  やはり大幅改稿となるのですね。なかなか出ないので、集英社にムシロ旗を掲げて、みんなで談判に押しかけようと時々話していたのですが。やらなくて良かったです(笑)。「同時刊行」をゆっくりと気長に待ちたいと思います。
雀部 >  私も私も。『光の帝国』の続編は心待ちにしておりました。
 ついでに質問(笑)
 SFマガジンに「遺跡の少女」が載った《アガルタ》シリーズの続きは?
恩田 >  ひいいいい。す、すみません、まだ考えていないのです。
 構想だけは大きいのですが。。。
ふみ >  私も便乗質問です(笑)。
 「メフィスト」にて、『三月は深き紅の淵を』から派生したシリーズを連載されていますが、次回作は、『黄昏の百合の骨』に続く水野理瀬の物語になるのでしょうか。
 それとも、内側の『三月』の物語、「冬の湖」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などを予定されているのでしょうか。
恩田 >  次回は、まだちょっと決まっていません。私としては水野理瀬ものでない話にしたいと思っています。その前にミステリーランドがあるもんで…
ふみ >  そうでしたか! ミステリーランドのように、長篇を一冊全部書き下ろしという刊行スタイルは久しぶりですね。こちらも本当に楽しみです。
雀部 >  SF・ホラー・ミステリと(あ、『ネバー・ランド』なんかは普通小説か^^;)幅広くご活躍の恩田先生なのですが、それぞれのジャンルの作品を書かれるときに違いがおありでしょうか。それとも全然意識されてませんか。
恩田 >  あんまりありませんが、これはミステリ寄りとかこっちはSF寄り、なんてことは考えます。
 自分の中にあるそれぞれのジャンルのお約束は意識してますね。

読書量が落ちて200冊ですか(呆然)

雀部 >  恩田先生は、一人一ジャンルタイプの作家であられると思っていますので、納得です。
 あ、ついでに連絡事項が。「同業者の実務翻訳者女性の間で木曜組曲が人気です〜とお伝えください。」とのことです(笑)。
 続きましては、ぬぬにさんなにかありますでしょうか?
ぬぬに >  では、全然関係ない話題で恐縮ですが……。
 かねがね恩田さんは、もの凄い読書家なのではと想像しているのですが、学生時代は年間何冊くらい読まれていたのでしょうか。作家となられてからペースは落ちましたか? ジャンルとしてはエスエフ、ミステリが中心となっていたのでしょうか。
恩田 >  学生時代は鬼のように読んでいました。当時は授業関係で古典、それ以外はひたすらB級ミステリを読んでいました。数はちょっと覚えていません。でも、私、すぐに内容忘れてしまうので読書家とは言えないと思います。年々読書量が落ちて欲求不満気味です。
 昨年は200冊読むのがやっとでした。
雀部 >  読書量が落ちて200冊ですか(呆然)
ぬぬに >  お気楽サラリーマンのわたしより遙かに読書量が多いのですが(がっくり)。この膨大な読書量が作品の血肉となっているわけですね。
ふみ >  観劇も読書も、その圧倒的な量にびっくりです。
ぬぬに >  ファンが追いかけるのが大変なくらい(笑)、各方面で精力的にエッセイを執筆されていると思います。こちらは小説の方とはかなりテイストが違うのですが、エッセイを書かれるときは、小説とは全く違う書き方をされているのでしょうか。特に心がけていること、意識していることがあれば教えて下さい。
恩田 >  私、エッセイがとても苦手なのです。小説書くのより5倍くらい時間かかります。
 小説とは違う、と思って書いてます。率直に書くように心がけてます。エッセイを書くと、がさつな性格が露骨に滲み出ます。
ぬぬに >  正直に言ってしまいますがエッセイの場合だと、何も知らずに読んでしまうと、恩田さんが書かれたものだとは気付かない時があるかなと(ダメな読者ですいません)。小説ならどの作品を読んでも濃厚に漂ってくる、独特の雰囲気がエッセイでは無いんですよね。その辺の違いも、面白いなと思っていつも読ませて頂いています。
ふみ >  コラムやエッセイをたくさん手がけていらっしゃるので、苦手だとは意外でした。
 講談社の「IN・POCKET」誌で紀行エッセイも始まりましたので、これまでのエッセイとともに単行本化してほしいと切実に願っています。
ぬぬに >  いろいろな媒体に書かれているので、なかなかひとまとめにするのは難しいのかも知れませんが、是非まとまった一冊の本で読みたいですね。

ご自身の音楽経験が活かされているわけですね

雀部 >  たしか恩田先生もサックス(ジャズ)を演奏なさるそうで、小説すばるの巻頭写真に田中啓文先生とビール飲んでる写真が載りましたね。でも作中に音楽が登場することがそれほどないような気がするのですが?
恩田 >  音楽は大好きなのですが、大学時代にいたバンドのレベルが高く(プロのミュージシャンになった人がいっぱいいます)、自分には音楽センスがあると思っていたのに、本当に音楽のセンスがある人との差に愕然とさせられたことがややトラウマになっており、小説の中で言及するなぞおこがましい、とどこかで思っているのかもしれません。
雀部 >  トラウマということも無いとおもいますが、恩田先生の音楽がテーマの長編小説もぜひ読ませていただきたいものです。
ぬぬに >  『光の帝国』の最終エピソード「国道を降りて…」は音楽の楽しさ、演奏することの喜びが見事に表現されていて、大好きな作品なのですが、ご自身の音楽経験が活かされているわけですね。
恩田 >  そうですね。あれは私も気に入っている話です。
 いつかコンクールものとか書いてみたいですね。
ぬぬに >  個人的にも音楽モノを強く希望します。いつか読めると思って楽しみに待ってます。
雀部 >  しまった、「国道を降りて…」があったなぁ。私も大好きな短編です。
 実は『光の帝国』で一番好きなのは、最初の「大きな引き出し」なんです。丸暗記にも大切な意味がある(笑)アシモフの「間抜けの餌」を数倍洗練させた作品でした。
ふみ >  『ライオンハート』や『黒と茶の幻想』、『クレオパトラの夢』など、曲名からとられたタイトルも多いですが、今後作品タイトルに使ってみたい曲名はありますか?
恩田 >  いっぱいあります。スタンダードはいいタイトルが多いです。
 チャーリー・ミンガスの「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」や「ラブ・バードの転生」を使ってみたいです。
雀部 >  ミンガスは、大学の同級生が大好きでよく聞かされました。SFファンとしては『直立猿人』も使っていただきたいなぁ(笑)
ふみ >  恥ずかしながらどちらも聴いたことがないので、作品を読みながら曲を聴いてみる楽しみができました。
 音楽を聴いたイメージから生まれた作品というのもあるのでしょうか。
恩田 >  現在「本の旅人」で連載している『ユージニア』という小説は、大ファンだったミシェル・ぺトルチアーニというピアニストの同名のオリジナル曲をイメージしています。
 『ねじの回転』はハービー・ハンコックの「FEBRUARY MOMENT」という副題にもなっている曲がイメージです。また、『ドミノ』は、私の中では元プリンスの「THE REST OF MY LIFE」がテーマ曲です。
ふみ >  やはり、いろいろとイメージ曲があるんですね!
 まだ聴いたことがないものもあるので、探してみようと思います。
 最後に、よろしければ2004年の新刊と連載のご予定を教えてください。
恩田 >  二月中に講談社から水野理瀬もの第二弾『黄昏の百合の骨』が出ます。
 あとは今年中、としか言えないのですが、徳間書店からホラー系『禁じられた楽園』、幻冬舎から社会系『Q&A』、新潮社から学園もの系『夜のピクニック』、文芸春秋から一応本格系『夏の名残りの薔薇』が出ます。あとはまだ未定です。
 今年は多いです。しかも、これまでで一番ジャンルがばらけているかもしれません。
 連載は、いろいろやってます(笑)。一番の懸案事項は、春にサンデー毎日で始まる週刊誌連載です。今のところ、「ガラスの仮面」みたいな話をやる予定です。頑張ります。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
ふみ >  今年も、さまざまな作品が読めそうで、期待が高まります!
 ご多忙のところ、たくさんの質問にお答えいただき、ありがとうございました。貴重なお話をうかがうことができて、本当に嬉しいです。
 週刊誌連載で、一層お忙しい日々が始まると思いますが、お体を大切になさってください。
ぬぬに >  お忙しいところありがとうございました。不躾な質問ばかりで大変失礼しました。
 サイト名(恩田陸オンライン)では勝手にお名前を使わせて頂いております。どうかご容赦下さい。
 今後の作品も楽しみにしていますが、なによりも健康が第一だと思いますので、くれぐれもお体を大切になさって下さい。
雀部 >  今回はお忙しいところ、インタビューに応じていただき大変ありがとうございました。恩田先生におかれましては、文学の世界において新たなる地平を開かれんことを熱望しております。


[恩田陸]
[恩田陸]
'64年宮城県生まれ。早稲田大卒。'92年『六番目の小夜子』でデビュー。以後、『光の帝国 常野物語』『月の裏側』『ライオンハート』などのSF色の濃い作品や、『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』などの幻想ミステリなど発表。『ネバーランド』『木曜組曲』など映像化作品も多い。
[雀部]
ファンタジーも読むハードSF研所員(笑)
恩田先生はSFプロパーな作家ではないと思いますが、紛れもないSF魂も持っていらっしゃると思います。
[ぬぬに]
一生に一度でいいからY島へ行ってみたい30代の会社員。
「恩田陸オンライン」いつも更新が遅くてゴメンナサイ。
[ふみ]
恩田作品追っかけ状態の会社員。
Webサイト「夜虹堂」内で、恩田陸著作リストを作成しています。

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