Author Interview
インタビュアー:[雀部]
『量子少女1』
『量子少女(クォーク・ガール)1』
  • 町井登志夫著
  • Dick Thomas Johnson写真
  • アドレナライズ
  • kindle版、770円
  • 2017/11/7
 藤川コスモは、うちの高校でトップクラスの美少女だ。彼女に関してはいくつも都市伝説が生まれていた。中でも極めつきなのが、別名“量子少女”。彼女は「観察不可能」だという。クラスメイトだったはずが、なぜか次の日には隣のクラスにいる。ただ、そんな気がするだけで、誰も不思議には思わない。なぜなら、世界が変わると同時に、みんなの記憶も入れ替わってしまうのだから。だけどある日、ぼくは気づいてしまった。コスモが変えた世界を“縫う”ことで修復している少女・斉藤真綾に出会ったことがきっかけだった。
『量子少女(クォーク・ガール)2』
  • 町井登志夫著
  • Dick Thomas Johnson写真
  • 2アドレナライズ
  • kindle版、770円
  • 2019/11/1

藤川コスモ。彼女は右手を振るだけで世界を変える。今まであったものはなかったことになり、今までなかったものがこの世に突然出現する。それが彼女の生まれついての特殊能力だ。不審な男たちが学校の周りをうろつくようになった翌日、突然、コスモと連絡が取れなくなってしまった。時空の歪みを修復できる斉藤真綾と、量子の波の影響を受けない犬飼研の二人は、コスモの行方を案じて捜索を開始。しかし彼女は、極秘の国家プロジェクトに協力するため、岩手県にある地下研究施設に保護されていた。

『量子少女2』
『電波次元の巫女』
『電波次元の巫女』
  • 町井登志夫著
  • 稲荷茶緒デザイン
  • アドレナライズ
  • kindle版、770円
  • 2017/9/5

大平淳一は地味で平凡、クラスの中でもまったく目立たない高校生。念願のスマホを手に入れたものの、友達がいないので誰からの着信もない。それどころか、彼のスマホにだけ異変が起き始めた。原因がわからず混乱していると、芸能界でも活躍する学校一の美少女・純夏(みか)が声をかけてきた。彼女に半ば強引につれられてやってきたのは特殊な病院。ベッドの上には、事故で寝たきり状態となり、生命維持装置や様々な電子機器に繋がれた一人の少女・深秋(みあ)。彼女は警告した、「あなたのスマートフォンの中に“何か”がいます」そして彼女こそ、世界を覆う“異変”に気づいた最初の人間だった…。

生き髪
  • 町井登志夫著
  • Petras Gagilas写真
  • アドレナライズ
  • kindle版、770円
  • 2018/2/1
 気は強いがその美しさゆえに街中の視線を集める女・リエ。彼女を巡って、巨躯の筋肉男・中島、天才的な格闘センスを持つ優男・浦浜は、台風が吹き荒れる海岸で拳をまじえる。だがその頃、三人が通う“瀬島大学”では異変が起きていた。頭に茶髪を突っ立てた講師や学生が現れ、ふらふらと歩き回っている。変なカツラでも被っているのか、とバカにする周囲の者たち。だが、彼らは後悔することになる。その茶髪は、次々と人間たちを襲い始めたのだ…!
『生き髪』
『スキール・クィーン』
『スキール・クィーン』
  • 町井登志夫著
  • Robert Moran,Yupeng Wu写真
  • アドレナライズ
  • kindle版、495円
  • 2018/3/26

伊月亜希子はごく平凡な女子大生。軽自動車であるスズキのKeiが愛車である。ある夜、咄嗟に繰り出した慣性ドリフトで、親友ユリを襲った人身事故を未然に防いだ。その瞬間を目撃した「キラー・クィーン」のリーダー、鷺島麗に声をかけられる。「私たちと“バトル”をしなさい。負けたら言うことを聞いて」……なんと彼女たちは、走り屋の間ではカリスマ的な人気を誇る日本屈指のレースチームだったのだ。デパートの立体駐車場で、愛知県警前で、長久手の峠道で、熱い「バトル」が始まった。ユリの恋人和宏が所属する走り屋チーム「名古屋式」と「キラー・クィーン」の抗争に巻き込まれた形になってしまった亜希子。だが、嫌々ながらもハンドルを握る彼女のドライビングテクニックは、本物だった!

ミューズ叢書<4>SF往復書簡』
  • 町井登志夫・上田早夕里共著
  • オフィス・トリプルツー
  • kindle版、440円
  • 2018/2/10
 作家同士が行ったメール対談の記録。今回は町井登志夫と上田早夕里。ふたりとも小松左京賞出身で、小松左京賞の話や創作論、SF・映画・漫画の話など。後半には『電波次元の巫女』『量子少女』『破滅の王』などの執筆にまつわる対談もあり。
「ミューズ叢書<3> 町井登志夫インタビュー:特集『爆撃聖徳太子』」に関するインタビュー記事もあります。
『ミューズ叢書<4>SF往復書簡』
《婚活!フィリピーナ》
《婚活!フィリピーナ》
  • 町井登志夫著
  • レイチェル・西,丸山真理絵
  • 小学館電子書籍
  • 各巻220円
  • honto電子書籍
雀部 >
 今月の著者インタビューは、五年ぶりの著者インタビューとなる町井登志夫先生です。今回もよろしくお願いします。
 早速ですが、『量子少女 3』はどうなってるのでしょうか?『量子少女(クォーク・ガール)2』(2019/11/1)が出てからもう一年半ですよね。
町井 >

現在呻吟しつつ 書き進めておりまーす。
 出るとしても時間がかかりまーす。
 しかし必ずいつかは脱稿するつもりでーす。

雀部 >
「ピャオファウ」と右手を振って、脱稿した世界線に飛ぶのは?(笑)
町井 >

コスモがいたらそうしたい。

雀部 >
(笑)
 コスモの居ない世界で、楽しみにお待ちしております。
 そういえば『電波次元の巫女』も高校生たちが主人公で、エキセントリックで絶対的な美少女が出てきますね。どちらも編集部の意向でしょうか?
町井 >

高校生主人公だけが意向でキャラクターは指定なんてできないですよ(^^)
 ただあの時代《ハルヒ》だけじゃなくて『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』『灼眼のシャナ』とか一筋縄ではいかない女性キャラクターが目立っていた時代もありましたね。

雀部 >

屈折してますね(笑)
 編集部の意向というと『ミューズ叢書<4>SF往復書簡』の中に、“『生き髪』に関して編集部から「もっと暴力を加えて下さい」との要望があった”と書かれていて、なるほどと納得。最初はバトル小説かと思ったのは内緒(笑)

町井 >
あれはアクションをメインに持っていこうと思ってやったらああなっちゃって(^^)
それがなぜか「暴力を増やして」になったのはまぁ、似たようなものだったからですか、という感じ。
雀部 >

髪の毛から世界が変わるというと、「日本ファンタジーノベル大賞」優秀賞作『BH85』がありましたが、ティストはまるで正反対ですね。
 “生き髪”の正体が、もの凄く綿密に考察されているので感心して納得しまくり。このアイデアは、どこから思いつかれたのでしょう?

町井 >

いや髪の毛が襲ってくるなんて今さら古過ぎでアイデアも何もあったものじゃなくて。
 ただ映画でもマンガでもないから必死に文章を重ねていくためにはとにかく理屈をつけなくちゃならないから。

雀部 >

その理屈づけがSF者には心地良いのです。あれで一挙にSFぽくなった。まあ『生き髪』は、そういうのを必要としてないとは思いますが(笑)
 理屈づけというと『スキール・クィーン』のドラテクの蘊蓄(「スキール」はクルマのスキール音なんですね。題名だけだと気づきませんでした 汗;)
 私らの世代はスーパーカー・ブームの時には既に成人していて、まあ『サーキットの狼』は面白く読んでましたが。町井さんは世代的に『イニシャルD』あたりと推察しますが、亜希ちゃんのドラテク、あれは“溝落とし”の応用(もしくはオマージュ)なんでしょうか?

町井 >
はい、わたしは完全に『イニシャルD』と『湾岸ミッドナイト』で、それより前の池沢さとし、全く知らないんです。ああいったものからは溝落としとかいろんな勝ち方をもらいましたよ。それに忘れてはならないのが映画《ワイルドスピード》。あの映画は直線勝負ばかりですが、だから逆にそこからはみ出れば勝てるみたいな考えが浮かぶし。
雀部 >
なるほど、《ワイルドスピード》に《マッドマックス》なんですね!
町井 >
《マッドマックス》はよかったですね~。けど『デスロード』ができた時にはとっくに『スキールクィーン』できていましたから。
雀部 >
年代でいうと確かに。
 ふと思いついたんですが、町井さんのキャラつくりはモデルありきと以前おうかがいしたのですが、マンガとか映画から影響を受けたことはおありでしょうか。たとえば『イニD』のヒロインは、何じゃこいつはという女性が多い(笑)
町井 >
映画は多分ありますね。実在の人間でないとモデルにはなり得ませんよね。だから俳優のイメージを使うことはあります。マンガやアニメはムリ。
雀部 >

やはりそうなんですね。
 モデルと言えば、前回のインタビューで、“30作で完結目指していまーす”とお伺いしたとおりに完結した《婚活!フィリピーナ》シリーズがありました。最近はフィリピンには行かれてないのでょうか?

町井 >
当然コロナでムリです。私が最後にフィリピンに行ったのは2019年7月でなんかはるか遠い昔に感じます。
 世界は元通りになるのかと心配します。
雀部 >

まあスペイン風邪の時よりは早く収束するのではないかと思ってますが……
 主人公の妹さんは伴侶に巡り会えたようですが、肝心の康夫さんはどうなるんでしょうね?日本の給料は既にフィリピンより安いみたいだし(笑)

町井 >
フィリピンのGDPの大部分は観光と外国出稼ぎです。国内で経済がまわる日本はフィリピンよりずっと恵まれています。
 ただあのシリーズはあれで完結。兄弟については作者の手を離れたからもう自由にやってもらうしかないですね。
雀部 >
まあ無理に結婚することもないし、難しいところではありますが、康夫さんに幸あれ!(笑)
今回はお忙しいところインタビューに応じて頂きありがとうございました。
『量子少女(クォーク・ガール)3』首を長くしてお待ちしております。
 スマホ等で、書影・粗筋が表示されない場合は、こちらをご覧下さい。
[町井登志夫]
 1964年生。日本SF作家クラブ会員。1997年、『電脳のイヴ』で第3回ホワイトハート大賞優秀賞を、2001年に『今池電波聖ゴミマリア』で第2回小松左京賞を受賞。他の作品に『爆撃聖徳太子』『諸葛孔明対卑弥呼』『倭国本土決戦』『改革者蘇我入鹿』『細菌汚染』などの他、《夢幻∞》《九十九神曼荼羅》《婚活!フィリピーナ》などの電子版オリジナルのシリーズがある。
[雀部]
 1951年生。スーパーカー・ブームの頃はちょうど大学卒業くらい。『サーキットの狼』は読んでました。クルマに詳しい・クルマ関係の著作があるSF作家というと高斎正氏がまず思い浮かびますが、田中光二氏の『ビッグ・ラン』ていうのもタイムリーで面白かった。ベレGとかギャランGTOとか、大学で同級生だった友人達が乗っていたクルマが登場してくるし。まあ全然SFではないのですけど。
 町井先生は名古屋の方なので、自動車成分が濃いめだと思われます(笑)