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鼻をくんくん
doru

 まあちゃんが7つ、妹のえっちゃんは4つになりました。ときどき叩いたり叩かれたり、はちゃめちゃな喧嘩もしますが、普段は仲のいい姉妹です。
 今日はおかあさんが自転車にのって夕食をスーパーまで買い出しです。まあちゃんが子供用の自転車(5つになったとき、爺ぃと婆ぁの隣の家の子供が大きくなったのでいらなくなった自転車をもらったのです。それで最初補助輪をつけていたのだけど、爺ぃの特訓で、6つになったときやっと補助輪を外せたのでした。まあちゃん運動神経悪いから近所の子供の中で一番補助輪外すの遅かったのです)で後をついていきます。えっちゃんはおかあさんの自転車の後ろに乗っています。
 まあちゃんの自転車に合わせて、おかあさんはゆっくりこいでいました。そんな中おかあさんはオヤ?という顔をしました。「まあちゃんちょっと待って」とまあちゃんを止めました。
「おかあさん何」とまあちゃんとえっちゃんが聞きます。
「この花の近くによってきてごらん。いい香りがするよ」まあちゃんは自転車から降りて、花の近くによってくんくんにおいをかぎます。えっちゃんも匂いたがったので、自転車から降りて匂いをかかぜました。
「いいにおい。このにおいは何?と聞きます」
「沈丁花だよ。毎年3月に咲いて春を知らせてくれる花だよ」
「この前は梅の花のにおいを教えてくれたね。梅は本当に近くまで寄らないとにおわなかったけど、この花はよく匂うね」まあちゃんは言いました。
「おかあさんはよい匂いのする花大好きだよ。きんもくせい、くちなし、羽衣ジャスミン花が咲いたら教えてあげるね。そして菜の花、つつじとかも春の花だからまた香りをかぎに行こう」
「まあちゃんとえっちゃんには花の香りがわかって花を愛する子供になって欲しいな」おかあさんは優しくまあちゃんとえっちゃんに言いました。
「さあ遅くなったね。スーパーに早く行こう」
 三人はスーパーに向かって行きました。沈丁花は三人がいなくなっても、よい香りをいつまでも漂わせていました。

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