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Tarot-- Spiritual journey

ニューエイジ

Soma

 火と風と水、そして足もとには大地――。
 タロットをシャッフル(カードを切りまぜること)する時、わたしはそれらと1つであるのを感じます。タロットカードには、わたしたちの内と外との宇宙が描かれ、今ここに存る喜びを伝えてきます。

 1970年代を中心に起こったニューエイジ・ムーブメント以来、タロットカードの中にも新しい子供達が生まれるようになりました。力ではなく愛をイメージした、スピリチュアルなタロット達です。そこに描かれるのは、中世ヨーロッパの封建的な世界ではありません。西洋オカルティズムに精通した人でなければ分からない、魔術的なサインでもありません。ただ存るがままのわたしたち、大地や星々への想い、時代や宗教に捕われないスピリチュアルなヴィジョンが、生き生きと描かれています。
 わたしは、この辺りのタロットが好きで好きで、気がつくといつも彼らと仕事をしています。タロットをシャッフルしている時の感じを、わたしはこよなく愛していますが、そのシャッフルしている時と同様の感覚を、リーディングの時にも味わいやすいと思うのが、このニューエイジの子供達なのです。もちろん、これは個人差のあることで、単にわたしが気に入っているというだけなのですが・・・。
 それでも、これらのタロットに描かれている生の喜びとエナジーは、間違いなくわたしたちに新しいヴィジョンを与えてくれるように感じます。単なる未来予測の道具でもなければ、特別な才能を持った人のための専用と言うわけではない、ただシンプルに生きるわたしたちの友人であるタロット。マヤやネイティヴ・アメリカンの知恵が、チベットやブッダの心が、あるいはいにしえのケルト人の残照が、自然の美しさが、そして宇宙的なイメージが、これらのタロットの中に融合して、独自のユニークな光を放っています。

 そんな中で、わたしの素晴らしい友人になってくれたのが、この“Secret Dakini Oracle”(1997年)です。


(Visit the worlds best source for tarot decks at www.usgamesinc.com)

 “Dakini”(ダ−キニ−)は、チベットの愛と死と知恵の女神。いえ、愛と死こそが知恵といった感じの女神です。その“Dakini”の名を与えられたこのタロットは、タントラの影響そのままに、性も死も否定されることはありません。ダイナミックでセクシャルなイメージは、体内を巡る「性=生」のエナジー(クンダリーニ)を活性化させ、体感させます。また、何度も登場する死と再生のシンボルは、エゴの崩壊とその後に現われる、わたしたち本来の姿を呼び覚ますようです。
 “Secret Dakini Oracle”はまた、その構成も個性的です。枚数は65枚と、一般にタロットは78枚という概念を捨ててしまいました。(もっとも、タロットが本来何枚であったかは、その起源と同様はっきりしていません。)65枚は、22枚のメジャー・アルカナと、空気・火・水・大地の4つのエレメントを象徴するカード(マイナー・アルカナにあたる)が10枚づつ、そして、過去・現在・未来と、時を表す3枚のカード。その変則的な構成は、やや形式的になりつつあったタロットを、もう1度、生あるものに生まれ変わらせたような印象さえ与えます。


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 また、“Secret Dakini Oracle”は、写真のコラージュという技法を使った、わたしの知る限りでは初めてのタロットです。ヴィヴィッドな色彩と宇宙的なデザインのせいでしょうか、受け継がれてきた知恵と秘教的なものへの回帰は、過去や失われたものへのノスタルジーにとどまらず、時を越え、エゴを越えて、よりリアルな“生”を生きることを実感させてくれます。

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 もう1つ、ユニークなアプローチをしているタロットがこれ、ウラ模様に“Love is God”と書かれた“Morgan Robbin's Tarot”です。

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 1983年に発表されたこのカードは、デザインもユニークなら、枚数も88枚とこちらも特殊。さらにこのタロットには、いわゆるメジャー・アルカナ、マイナー・アルカナといった区別がありません。88枚は、どの1枚も同様に素晴らしいんだと言うかのように、ユーモラスに独自のメッセージを伝えてきます。線描きで、はたして真面目に答えてくれるのかと思うようなコミカルな絵柄ですが、シンプルに、思いのほか温かく語りかけてくれることもあるように感じます。
 ともすれば、必要以上に深刻になりがちなわたしたちに、ユーモアたっぷりのこのカードは、シンプルに生きること、わたしたち自身を愛することを思い出させてくれるようです。

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 そして、ここには紹介しきれなかったタロットたち、

“Osho Neo Tarot”
  (60枚。現在の“Osho Transformation Tarot”はこれに手を加えたもの)
“MotherPeace Round Tarot ”
  (1981年、円形。母系社会をイメージさせる、女性的なエナジーに溢れたタロット)
“Voyager Tarot”
  (1984年、宇宙的イメージに満ちた、コラージュの作品。マイナー・アルカナ“Sword”が“Crystal”、“Pentacle”が“World”に変更)

 などなど、まだまだ書き切れないぐらいたくさんの、ニューエイジ的な魅力を持つタロットが生まれています。
 それらはいずれも、堅苦しい枠組みに捕われない、自由な広がりを持ち、けれども確かにタロットであると感じられる、スピリチュアルなオーラを持っています。そして、このオーラこそが、タロットの魅力です。他の占いカードの類いでは感じられない、深い静けさやからだを包み込む輝き--。たとえ78枚でなくっても、たとえメジャー・アルカナがふっとんでいても、変更が起きていても、そのヴァイブレーションを持っていて、創り手の想いが伝わるカードなら、それは、わたしたちの素晴らしい友人=タロットです。
 反対に、タロットの体裁を持っていても、ハートが抜け落ちていたり、メディテーションを感じられない、残念なカードたちも存在します。商業的に作られたそんなカードを見る度に、悲しくてなりません。それを手にした人のアプローチで、素晴らしいタロットに変容することもあるかもしれませんが・・・・。

 どんな動機でタロットを手にするのかは、人それぞれ。どんな風にタロットと付き合っていくのかも。わたしの場合は、ただ自分を知りたいと思ったことと、なにより初めて目にしたタロットをただ好きになってしまったこと。そうして旅を続けるうちに出会った、たくさんのタロットたち。ニューエイジのかおりを持つタロットたちは、中でも、もっとも気の合う友人です。あるがままの美しさを謳った、限りなく自由なヴィジョンを持つ彼らとワークすることに、わたしは喜びを感じています。


(Visit the worlds best source for tarot decks at www.usgamesinc.com)

Illustrations from the Morgan Robbins Tarot Deck reproduced by permission of U.S. Games Systems, Inc., Stamford, CT 06902 USA. Copyright 1982 by U.S. Games Systems, Inc. Further reproduction prohibited.

Illustrations from the Secret Dakini Deck reproduced by permission of U.S.Games Systems, Inc., Stamford, CT 06902 USA. Copyright ・1982 by U.S. Games Systems, Inc. Further reproduction prohibited.

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