Book Review
レビュアー:[雀部]&[蒼桐]&[九頭見]
『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』
  • 九頭見灯火編
  • 東京銀経社
  • 2550円(pdf版、書籍版は売り切れ)
  • 2024.11.29発行

「BOOTH」にてPDF版販売中

【収録作品】(○が付いている作品は、著者インタビューがあります。)


六塔掌月 「ブラインド・パイロット」

あぼがど 「セリとナズナとふたりの宇宙船」

新星緒 「都を追われてひとり旅(ただしネコもいます)」
柏沢蒼海 「Journey Home」

伊和千晶 「藤の花をみたら思い出しておくれ」

甘衣君彩 「もう一度、ファンタジーを。」

かんな 「ぼくは明日トマトを買いに行く」

渋皮ヨロイ 「ほしのもと」
武石勝義 「真字名解記」

松田夕記子 「黄金の高野豆腐」
海猫 「北緯十七度の幽霊」
平沼辰流 「Lebensunwertes Leben」

鳥辺野九 「オモイ」

秋待諷月 「透明な伝書鳩」
Yoh クモハ 「月経樹」
蒼桐大紀 「いつかあの空を越えて」
雀部 >

今回のブックレビューは、当アニマ・ソラリスの常連投稿者であられる小林蒼さんが、初めて編まれたアンソロジー『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』を取り上げたいと思います。

今号に同時掲載の『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』の著者インタビューと同じく、編者の九頭見(小林蒼)さまと、Webに詳細な感想を上げられている蒼桐さまにもご参加頂きました。

著者の方には、あらかじめ編者の九頭見さまから、以下をメールにて質問してもらっています。

  1. 生年
  2. お好きな作家・作品
  3. 創作を続ける原動力
  4. ご自分の掲載作についての掲載後の感想
  5. ペンネームを使われてますか?
  6. ホームページがある方はご紹介下さい(巻末にQRコードはついてますが……)

六塔掌月 「ブラインド・パイロット」
  1. アラフォー
  2. 村上春樹
  3. まだ見ぬ文学の新しい景色を見たいから。自分の手で開拓をしたいから。
  4. もうちょっと頑張れたかも。
  5. はい。
  6. https://riktoh.hatenablog.com/introduction
雀部 >

自殺願望がある麻里は、とあるホテルで冬子と出会いお互いに惹かれあう。盲目になってもパイロットを続けなくてはならない男を描いた映画の意味するところとは……

九頭見>

高いストーリー性と百合作品ということで選びました。文章は翻訳小説を読むような読者にならすんなり受け止めて貰える高い文章力も評価ポイントでした。

もともと応募時にはホテルの設定は宇宙船でSFとして送られてきたものを、改稿されて、現代劇となっていまして、より面白さが引き立ったのかなと思います。

蒼桐 >

導入から「これはただ事ではないぞ」と引き込む力があり、描写のアプローチや話の運びは海外SF小説や洋画を彷彿させるところがあります。

描写は淡泊で行為をさらっと書いていながら、とても魅せられる小説です。あらゆる商業・娯楽施設を内包したホテルという場の設定と、彼女達がかかえている心の澱が物理的・精神的両面での箱庭になっていて、作中作がそれらを読み解く鍵として作用していました。

最初に『ブラインド・パイロット』があることで、読んだ人に「このアンソロジーは当たりだ」と思ってもらえると思います。

雀部 >

Kindle版で購入できる『暗黒』も百合小説といってよいでしょう。

他人の手足を売り買いしている店の小間使いの少女が主人公です。

高名な父親と母親から疎まれてこの店に売られてきた少女は、毎日「お金さえあれば」と願い、自分の手も顔も捨てたいとも願っていた。ある日、切り離された身体のパーツを見つけた少女は、それが一人の体から切り分けたパーツだと気づき、元の一人の体につなぎ合わせようとするが、そこには頭部が無かった……


あぼがど 「セリとナズナとふたりの宇宙船」
雀部 >

14歳のセリとナズナは幼馴染み。しかしナズナは実のところ帝国皇室の皇女殿下でもあらせられるのだ。そして隠されていた宇宙船「戦列艦」を御して敵と闘う……

あぼがどさんが、ノリノリで書かれたのだろうなと思いながら読みました(笑)

九頭見>

もともとはpixivに投稿されていたもので、作者のあぼがど様に公募で送って貰いました。

雀部様も仰っていたように楽しんで書かれているのと、ルビマシマシのジュブナイルSFとして楽しんで読みました。

また読み返してみるとセリの切実なお話としてきちんとお話が進んでいるところも気に入っています。

蒼桐 >

年頃の(十四歳の)男女が二人きりで、ちょっと子供っぽい冒険に繰り出す。この導入が本作をジュブナイルSFとして読めるように、方向性を示していたと思います。

セリの一人称を通して、冷めているようでいながら心のどこかでわくわくしているのが伝わってきます。こうしたセリの語り口は後の展開への仕込みなのですが、ナズナに向ける視線が十代の男の子らしい生々しさをとなもっていて伏線が上手くマスクされていました。

各所に散りばめられたSFガジェットやメカ描写からは、とくにSFアニメに対する深い造詣が読み取れて、それだけ非常に多くの要素を含んでいるのですが、飽和することなく作品の中に収めていました。

続編が続きそうな終わり方には賛否が分かれるかもしれませんが、風呂敷を広げつつも物語がきちんと閉じられていて、短編としてはあざやかな幕引きだと思いました。


新 星緒 「都を追われてひとり旅(ただしネコもいます)」
  1. 秘密
  2. 【小説】アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』/神林長平『敵は海賊・海賊版』
    【TVドラマ】『TRICK』『相棒』
    【マンガ】『写らナイんです』
    【アニメ】『ラピュタ』
    【映画】『インディ・ジョーンズ』シリーズ/『さらば友よ』/『ロックストック・トゥー・スモーキング・バレルズ』
  3. いただけるご感想と仲間
  4. 『あ、浮いている(;・∀・)』
  5. はい
  6. ありません
雀部 >

近衛隊長だった俺は、策略にはまり追われるように旅に出た。しかし背嚢にはいつの間にか一匹のネコが。実はこのネコ……

九頭見>

今回のアンソロジーの前半は特に旅物語の変奏として捉えているところがあります。

それが色濃く出ていながらも、女性読者にも楽しい作品であるところですね。

蒼桐 >

さてどうなることやら、と読者が展開を見守る導入になっていて、ファンタジーの王道にそって提示される情報から展開が推測しやすくなっています。しかし、安易な予測を過信してしまうとミスリードが生じて、後の展開に驚くことになるでしょう。

実際、すっかり謎解きを読む体で読んでいたので、「これ、ラブロマンスだ」と気づかされたときには驚きとともに深い納得感がありました。構造としてはRPGのシナリオに近く、読み味はコミックに近しいと思います。

気楽に読めるエンタメであると同時に、このアンソロがフォローしているエンタメの広さを感じさせる作品でもあります。

雀部 >

元近衛隊長とネコ、シリーズ導入部分にも思える展開で、続きが読みたい。長編化したらアニメにも出来そうだと思いました。


伊和千晶 「藤の花を見たら思い出しておくれ」
雀部 >

藤の花が好きだった母を亡くした私は、隣の女が我が物顔で家に入り込んでくるに及んで家を出る決意をした。

そして不思議な楽隊と行動を共にした私は最愛の母を探す旅に出る……

九頭見>

あらすじを一筋縄では語れない不思議な作品でした。伝奇小説なんですけれど、家族のお話の置き換えなので、家族小説が好きと言うこともあり推しました。

蒼桐 >

幼い“私”の一人称でつづられる小説なのですが、作中から推測される“私”の年齢と大人びた言葉遣い(地の文)の間にギャップがあるので、“私”に感情移入して追体験するのではなく、少し離れた位置から観測する読み方になると思います。

舞台は現代日本と思われる“私”の家からはじまり、雑貨店、神社、舟の上、海上から異国へとうつろっていくのですが、移動するたびに世界が書き換えられていくような感覚に陥りました。この作品における移動(空間/時間)は、現実の変質でもあるのかもしれません。

幻想小説あるいは怪奇小説のおもむきが強い作品なのですが、認知・認識といった側面を深く突いていて、SFも射程していると感じました。

難解と言うよりは、理解されることをこばんでいるような作品だと思いました。その排他的な態度こそが本作の本質、“私”という少女の心なのかもしれません。

雀部 >

わざとわかりにくく書いているのではないかというのは、蒼桐さんと同じ様に感じました。そんな不思議な読後感があります。


甘衣君彩 「もう一度、ファンタジーを。」
九頭見>

小さく纏めた小説のなかでもこれは一際上手かったですね。ファンタジーの役割をうまく掴んでいると思いました。

蒼桐 >

過去に現実世界と異世界を行き来していた大学生が主人公で、異世界からの来訪者が日常を侵食してくるのですが、どの来訪者もきわめて平和的にあらわれます。

現実世界においては大学の友人、異世界においてはかつて一緒に遊んだ友達との関係を通して自身の在り方を問い、その答えを導き出すまでを丹念に描き出されていました。

そして、ここで言う「ファンタジー」とは異世界のみを指すのではなく、主人公が心のうちに秘めているインスピレーションやイマジネーションに起因するファンタジーを指しているとも思います。

長編でも十分描けるテーマでありながら、この尺に収められていたことで語るべきことが凝縮され、アンソロジー収録作品が秘める可能性を示唆する役割も果たしていました。

雀部 >

思いっきりご都合主義でキャラ立ちしたファンタジーと読めるのですが、本質は私小説ではないかと。様々な自分の気持ちを持て余している少女の自分探しの冒険譚なのではないかと思いました。


かんな 「ぼくは明日トマトを買いに行く」
  1. 40代です。
  2. 多いです。田中芳樹さん、小野不由美さん、恩田陸さん、神林長平さん、なるしまゆりさん、漆原友紀さん、今市子さん、CLAMPさん、森薫さん、攻殻機動隊(タチコマが本当にかわいい)、カウボーイビバップ、ウルフズレイン、プラネテス、モノノ怪、ダンジョン飯、アルドノア・ゼロ、ソラノヲト、プラネットウィズ。
    映画は本当に多いので、ザ・ロック、バック・トゥ・ザ・フューチャー、小説家を見つけたら、アンタッチャブル、ニュー・シネマ・パラダイス、ミュージックオブハート、クレッシェンド音楽の架け橋、13デイズ、アミスタッド、カッコーの巣の上で、関心領域、劇場版機動警察パトレイバー、MEMORIES、プロメア、インターステラー(TARS、CASEが本当にかわいい)を抜粋して。
    最近観たものでは『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が大変面白かったのでおすすめです。
  3. なんでしょう。心の余裕とそれを侵さない程度のささやかなストレスでしょうか。あと妄想はたくましく。
  4. 鈍器本の中に載ってる〜。
  5. かんなです。昔は小難しい漢字を使っていましたが、最近はめんどくさくなって平仮名です。
  6. 一応個人サイトはありますが、最近はカクヨムの方にいます。
    https://kakuyomu.jp/users/langsame
雀部 >

戦場の後方で、敵味方が判然としない中パワードスーツに乗って業務をこなす日常。昨日の敵が今日は味方(雇用主)になったりするので、間に合わせに塗ったペイントで区別する有り様。ただわけもわからないまま続く戦争というとオールドファンなら、『終りなき戦い』(ジョー・ホールドマン,1978)あたりを思い出すのではないかと。雰囲気的にはアニメ映画の『スカイクロラ The Sky Crawlers』あたりも。

九頭見>

映画的に進んでいくお話が心地よく、流れも美しかったです。戦争を題材にしつつも人間性の回復といったテーマ性も評価しました。

蒼桐 >

主人公・ジーンの過去も含めて絶望しか感じられないのですが、本作からただよってくるのは強烈な生の感触でした。登場人物の死についても例外ではなく、「もうそこにはいない」という喪失感を「ここにたしかにいた」という存在の実感が上回ってきます。

複数の登場人物の背景が重層的に作用しており、物語の構造がよく練られていました。本作は人物造形が非常に優れており、短編という限られた尺の中で登場人物それぞれが「そこにいる(そこにいた)」と感じさせる芝居を描いていました。

読んでいるうちは絶望感しかなかったのですが、ラストはこの予感を見事に裏切ってくれました。この作品がアンソロジーのほぼ真ん中に配置されている効果も大きくて、後半の作品に対する期待を膨らませてくれる役割も果たしていたと思います。

雀部 >

カクヨムで代表作とされている「ペンギン・マンデイ」は、ふとした日常に突然出現した、自らを殿下と呼ばせるコウテイペンギンに翻弄される有様を描いたファンタジー。

うん、ちょっと憧れるなあ。私の所にもやってきて欲しいぞよ(笑)


渋皮ヨロイ 「ほしのもと」
雀部 >

主人公が彼女に「星の素」を飲まされ、順番に惑星を産んでいくお話。

僕はアイドルグループのライブ映像の編集をこなしながら淡々と惑星を産んでいく。

九頭見>

荒唐無稽なお話なのに完成度の高い小説で面白かったです。ジャンルレスで子どもでも楽しいんじゃないかなと思います。

蒼桐 >

本作はまさしく“すこし不思議”な作品と言えるでしょう。

物語を俯瞰したときに感じるのは「形容しがたい不思議さ」なのですが、それはこの物語が読者と非常に近しいところにあるからだと思います。“僕”の日常の手触り感は、ほしのもとによって産んだ惑星の実体感を補強し、両者がひとしく物語における現実なのだと伝えてくれます。

収録作の中でもSFやファンタジー、怪奇、歴史などといったジャンル的なレイヤーを通さずに読める作品なので、最初ですんなり入れれば一番読みやすい作品なのかもしれません。

雀部 >

『もやしもん』の石川雅之先生にマンガ化して欲しい(惑星が人の姿で登場する『惑わない星』というマンガあり)


松田夕記子 「黄金の高野豆腐」
  1. 酉年。かなり年くってます。
  2. 今、熱中してるのは書籍『リアリティのダンス』と映画『ホドロフスキーのサイコマジック』です。
  3. 子どもの頃、図書館で司書の人に「本が好きなら司書になったらいいよ」といわれたけど、「司書じゃなくて、オリジナルのものを書きたい」と思ったから。
  4. 「——」とか「……」を多く使うクセがあって、活字化されると煩雑だなあ、もうちょっと減らそうと。
  5. はい、使ってます。
  6. カクヨムのこちらです。
    https://kakuyomu.jp/users/tebasaki-yukio
雀部 >

凍って固い高野豆腐が頭にぶつかる話。まあそこから話が始まる(笑)

鎌倉時代の僧侶で、仏法への憧れが強く天竺へと渡りたかったが果たせなかった明恵上人が俺に取り憑いたのだ。

九頭見>

短くて軽い読み物といった印象でしたがバカSFとして面白かったです。神話のようなお話も好きです。

蒼桐 >

表層的には笑って楽しめる喜劇として展開するのですが、その根底にあるのは「悟り」と「輪廻」の物語です。作品を通して輪廻について掘り下げつつも、作中において「輪廻」や「転生」という言葉は一切もちいられていません。それでいて、仏教的な意味での輪廻というとらえ方を知っていれば、おのずとその事に気づけるであろう作品構造を持っています。

仏教SFとしての資質は確かなのですが、なにより手軽に読める良質なコメディであり、エンターテインメントに徹した小説だと思います。

雀部 >

カクヨムで代表作とされている「私が占い依存になったワケ」は、不倫関係から本妻になろうとする女性が、色々と苦労する話です。副題が「不倫占いに250万円費やした女の物語」だし(笑)

一番面白かったのは、カクヨムからは消えている「金玉獣遊記(きんぎょくじゅうゆうき)」です。

絶世の美少年、金玉が、月の女神、嫦娥に呪いをかけられ、女性ではなく男を惹きつけてしまうようになるというBL作品です(笑)

昔《SFバカ本》シリーズというバカSFに特化したアンソロジーがありました。世が世ならこの《SFバカ本》に収録されてもおかしくはない作品だと思います。


鳥辺野九 「オモイ」
  1. 昭和生まれです。
  2. ドイツの児童文学作家オトフリート・プロイスラー著『クラバート』が僕の最終目標です。
    好きな小説は菅浩江さん著『永遠の森 博物館惑星』。
  3. 本を読むのが好きで、書く作業は読む行為を同時にこなしているから、読む感覚で創作書いています。
  4. うわあ。浮いてる。もっとやれたろ。
  5. 本格的に文章書くって時から鳥辺野九と名乗っています。
  6. X(旧twitter)が主な宣伝の場です。
雀部 >

突如平行世界に転生(?)したフルヤおじさん。この世界でフルヤが持っている特殊能力とは何なのか……

九頭見>

ダイナミックに動きのある小説です。映像化したら映えそうです。ただ状況に圧倒される、ワンアイデアながら隙がない小説でした。

蒼桐 >

ワンアイデアで構築されたSF短編ですが、アイデアの活かし方が奔放で短い作品ながらも広大なスケールを感じさせられます。

作品の構成、設定、キャラクターの魅力、といった基礎力が高く、それらが十全に機能していました。SF短編における大切なことが詰まった小説と言ってもいいかもしれません。

雀部 >

カクヨムで代表作されている「東京ダイダラボッチダイラタンシー」は、「X」への毎日の投稿を日課としている女性—しかしフォローもコメントも拒否している—の変な話。

「回転投擲プロトコル」は、全宇宙布団投げ選手権大会の話。鳥辺野九さんも《SFバカ本》掲載候補ですね(笑)


秋待諷月 「透明な伝書鳩」
  1. 30代です。職場では「年齢不詳」で押し通しています。
  2. 好きな作家(敬称略):有栖川有栖、伊坂幸太郎、高野和明、高田大介、恒川光太郎
    好きな作品(敬称略):
    『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン/小説)
    『マーダーボット・ダイアリー』(マーサ・ウェルズ/小説)
    『Landreaall』(おがきちか/マンガ)
    『3月のライオン』(羽海野チカ/マンガ)
    『アイ,ロボット』(映画)
    小説は国内の作家さんのものばかり読んでいますが、SFだけは海外作品に傾倒しています。
    創作を通じて知り合ったみなさんの影響で、最近ようやく国内のSF作品も読むようになりました。
  3. 読んでくださった方の「面白かった」の声が、ガソリンにしてドーピング剤です。
  4. 良くも悪くもクセがない作風だと思っているため、個性的な大作揃いの収録作群の中では、気楽に読める「ちょっとひとやすみ」作品として機能してくれているなと感じました。
  5. HNがペンネームです。改名したいと思っているうちに15年以上経過してしまったので、もうこのまま突き進みます(笑)
  6. 個人サイト「弦月の仮宿」
    http://gengetsunokariyado.web.fc2.com/index.htm
雀部 >

非侵襲型の脳・マシン・インターフェースが一般的になり、人はフリーハンドで情報交換が可能になった近未来。未だに慣れないサラリーマンの木上は、今日もレスポンスが遅いと課長から叱られる始末だ……

九頭見>

SFとエンタメのバランスがいいと思いました。主人公のコンプレックスに寄り添いつつ、物語を展開させていて、感情移入を誘います。

MTの設定も無理なく説明されていて良かったです。

蒼桐 >

物語の構造自体は非常にオーソドックスでなのですが、最初に提示される世界の姿がいささか奇抜なので、そのオーソドックスさがドラマチックな演出を導き出していました。オーソドックスということは、構造が堅牢ということでもありますから。ここに優れたバランス感覚を感じました。

社会の変質に対する適応問題を提起しつつ、言語コミュニケーションを主題にすえたコミュ障SFであり、なにかにつけて言葉のやりとりがせわしない昨今においては刺さる人が多いのではないかと思います。人の善性を信じたくなる作品でもありますね。

雀部 >

「機械仕掛けの愛・ママジン」(業田良家、ビッグコミック増刊号で連載中)というマンガが好きなのですが、同じテイストを感じました。

カクヨムでは、代表作の「不老不死の窓口」は、長期生命維持睡眠の受付担当者が主人公。

最新作の「テレポートターミナル」は『虎よ、虎よ!』(アルフレッド・ベスター、1956)のように、瞬間転送を扱った作品。まあこっちは転送装置でのテレポートですが。

そんなターミナルで突然火災警報が鳴ります。こちらも、事件を処理するターミナル職員たちが主人公です。


雀部 >

収録作の著者の方々におかれましては、今後も更なるご活躍をお待ちしています。

編者の九頭見さま、的確な評を頂いた蒼桐さま、大変ありがとうございました。

  
[九頭見灯火]
〔生年〕1989年
〔好きな最近のアニメ〕ガンダムGQuuuuuuX
〔ペンネーム〕カクヨムではカクヨムSF研@非公式を名乗ってます。
 アニマソラリスでは小林蒼、Twitter、アンソロジー編集のときは九頭見灯火、公募の際は九住龍。怪人二十面相みたいですね。
いつも短編を読んでくださっている読者のみなさん、ありがとうございます。
 夏にはペンギンSFアンソロジー(上巻・下巻)と、再販の東京銀経社アンソロジー(第二版)をBOOTH通販予定です。
 ペンギンSFアンソロジーはカバーをアンソロジー執筆者の秋待諷月さんにお願いして、夏らしい素敵なアンソロジーカバーに仕立てていただきました。
 品切れもありえますので、その際は「入荷お知らせメールを受け取る」をクリックして頂けると助かります。
 サークル東京銀経社URL https://tginkei.booth.pm/
[蒼桐大紀]
[生年]1980年
[あらためて自己紹介]「あおぎりたいき」です。エンタメ寄り作家。おもにSF、青春、百合、ファンタジーといったジャンルの作品を書きます。根っこのところでは、やさしい話が好きです。
[ブックレビューに際して]アンソロジーの宣伝のために紹介記事を書いたところ、解説みたいな立ち位置でお話しすることになりました。
[最近本を作りました]個人作品集『あおとりどり』は、日常の中の「ほんの少しのこと」に焦点をあてた小さな物語を集めた短編小説集です。お求めは BOOTH(https://studioshisiki.booth.pm/items/6925444)にて。
[最近……]ここに書いてある「最近」が最近ではなくなったとき、いまこの文章を読んでいるあなたは、どんな時代を生きているのでしょうか。あなたの読書生活に幸あれ。
[雀部]
[生年]1951年
[好きな最近のアニメ]葬送のフリーレン、薬屋のひとりごと、呪術廻戦、とんでもスキルで異世界放浪メシ、ダンジョン飯、株式会社マジルミエ、怪獣8号
[アニマ・ソラリス]マンネリ化とも思いますが、年とるとそれでも大変(大汗;)
[自分の記事を読み返しての感想]なかなか良いこと聞いてるじゃん←今はというと(汗;)
[ペンネーム]使ってません
[最近の音楽]藤井風さん(聖地巡礼しました。我が家からクルマで10分くらい)
暗黒 アマゾンで買う