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Author Interview

インタビュアー:[雀部]

『SFアニメを天文する』
『SFアニメを天文する』
> 福江純著/銀山宏子カバーデザイン
> ISBN-13: 978-4535607118
> 日本評論社
> 1500円
> 1993.12.10発行
1 「鉄腕アトム」
2 「機動戦士ガンダム」
3 「風の谷のナウシカ」
4 「11人いる!」
5 「ふしぎの海のナディア」
6 「ドラゴンボールZ」
7 「トップをねらえ!」
8 「宇宙戦艦ヤマト」
9 「アンドロメダ・ストーリーズ」
10「うる星やつら」

『SFアニメの科学』
> 福江純著/木庭貴信カバーデザイン
> ISBN-13: 978-4334781668
> 光文社
> 552円
> 2002.6.15発行
「鉄腕アトム」――宇宙と未来のすべて
「機動戦士ガンダム」――スペースコロニー
「風の谷のナウシカ」――星のエネルギー
「11人いる!」――惑星の温度
「ふしぎの海のナディア」――対消滅
「ドラゴンボールZ」――潮汐力
「トップをねらえ!」――モンスターブラックホール
「宇宙戦艦ヤマト」――銀河系の彼方
「アンドロメダ・ストーリーズ」――銀河のデザイン
「うる星やつら」――宇宙人の人数
「マジンガーZ」――超合金と合体
「キューティーハニー」――ナノテクノロジー
「超人ロック」――ビームサーベルから重力波砲まで
「新世紀エヴァンゲリオン」――第n宇宙速度
「機動戦士ガンダム ふたたび」――ブリティッシュ作戦 コロニー落し
『SFアニメの科学』

『SFアニメを科楽する!』
『SFアニメを科楽する!』
> 福江純著
> ISBN-13: 978-4535786332
> 日本評論社
> 1900円
> 2010.3.15発行
◇パート1 世界と美少女
『涼宮ハルヒの憂鬱』――最終人間原理
『うる星やつら』『うる星やつら'87』――多くの未来世界
『サクラ大戦〜桜華絢爛〜』――魔の蠢く影の世界
『灼眼のシャナ』――レベル4パラレルワールド
『ゼノサーガ』――箱庭の宇宙
◇パート2 未来と人造人間
『鉄腕アトム』――宇宙と未来のすべて
『マジンガーZ』――巨大ロボットの元祖
『機動警察パトレイバー』――拡大パワードスーツ
『サイボーグ009』『新造人間キャシャーン』――改造人間
『キューティーハニー』『新キューティーハニー』――夢のナノテクノロジー
◇パート3 超時間と超能力
『時をかける少女』――タイムトラベル
『ダーティペア』――空間ワープ
『絶対可憐チルドレン』――超能力
『新世紀エヴァンゲリオン』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序』――ATフィールド
『“文学少女”』――妖怪たち
◇パート4 宇宙開発と地球
『プラネテス』――宇宙で暮らす時代
『機動戦士ガンダム』『新訳 Zガンダム』――スペースコロニー
『銃夢』――エレベータに乗って宇宙へ
『11人いる』――惑星の温度
『風の谷のナウシカ』――地球誌の大事件
◇パート5 銀河と宇宙
『トップをねらえ!』『トップをねらえ2!』――ブラックホールの作り方
『ドラゴンボールZ』――界王星の正体
『ふしぎの海のナディア』――物質と反物質の対消滅
『宇宙戦艦ヤマト』――天の川銀河系
『天空の城ラピュタ』――真空からエネルギーを取り出す
パート6 生命と心
『火の鳥』――最初の生命
『超人ロック』――永遠の生命
『攻殻機動隊』『攻殻機動隊2.0』――精神のダウンロード
『まほろまてぃっく』――愛する心
『ハチミツとクローバー』――恋する心

雀部> さて、今月の著者インタビューは、3月15日に日本評論社から『SFアニメを科楽する!』を出された福江純先生です。福江先生には、今年の1月にインタビュー(http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/100101.shtml)させていただいたばかりなんですけど、インタビューの最後の方で、“春頃に『SFアニメを科学する:最新版』が出る”と聞いてたんで、楽しみにしてました。タイトルが“科学する”じゃなくて“科楽する”になった理由はなんでしょうか?(笑)
福江> ええとですね、もう10年かもっと前からになるかなぁ、肩書きに「天文楽者」を使い出したのが。
 でもって、誰でも思いつくことで、ぼくの専売特許でもないと思いますが、科学じゃなくて「科楽」もときどき使ったりしてます。
 今回の本は、20年近く前の『SFアニメを天文する』の20年後の最新版でして、前著では結構まじめに“科学”考証などしてたんですけど、今回は難しい話はそうとうに端折りまして、科学風味を“楽しんでもらう”方向に走ったので、“科楽する”になっちゃいました。
雀部> そういえば、途中に改訂増補版の『SFアニメの科学』もありましたね。
 “科楽”に加えて、科学する心も失われてないので、ハードSFファンもご安心を(笑)
 最終章が天文には全く関係ない『ハチミツとクローバー』だし、『のだめカンタービレ』も入れるかどうか迷われたそうですが、アニメの楽しみはやはり“美少女”だなぁと自覚されるようになったのは、いつ頃からでしょうか?(笑)
福江> たぶん、高校時代に『キューティハニー』で開眼したんじゃないかなぁ。確立したのは20代に見た『うる星やつら』ですが。
 でも、自覚こそしていないですが、小学校低学年で見ていた、『レインボー戦隊ロビン』の美少女(たしかロボット)にも、ドキドキしてたんじゃないかなぁ。最初に見た『鉄腕アトム』とかにも可愛いロボット居ましたし。
雀部> ラムちゃんの可愛さは圧倒的でしたねぇ。いつもヒョウ柄のビキニ着ているし(爆)
 そういえば、福江先生は『うる星』の諸星あたると面堂終太朗の名前は、入れ替えると良いとは思われませんか。
 よくトラブルに巻き込まれる主人公のあたるくんは、「面堂あたる」で、閉所恐怖症の終太郎くんは「諸星終太郎」←天文学者の福江先生なら、やはりこちらのほうが(笑)
福江> え、少し意味が不明で、というか、“男”は興味がないのでどっちでもいい?
 いや、身も蓋もない言い方ですねぇ。ただ、実際のところ、諸星あたるも面堂終太郎も中身は一緒ですよねぇ。まぁ、“男”はみんな金太郎飴ですから。
雀部> 面堂が見栄っ張りな分、屈折しているだけで、確かに本質は同じですね(笑)
 ちょっと前のアニメの“美少女”たちと、現在の“美少女”たちとで、大きな変化はあるでしょうか?
福江> そっちに話が膨らみますかぁ。
 そうですね、昔から『うる星やつら』や『機動戦士ガンダム』あたりまでは、ふつうのタイプ以外に、強く凛々しいタイプ(ハニー、ナウシカ、セイラさんとか)、可憐なタイプ(クラリスとか)ぐらいだったでしょうか。
 大きく変わったのはやっぱり『エヴァ』あたりですかねぇ。無口なタイプ(レイ)や、いわゆるツンデレ系(アスカ)などが出てきたのは。あまり歴史は詳しくないですが。ただ、最近は多くの場合、『ハルヒ』みたいに(ふつう・ツンデレ・無口)の一通りのタイプがセットで出てるような気がします。
雀部> 1993年に出た『SFアニメを天文する』では、それほど美少女色(笑)が強くなかったのですが、『SFアニメを科楽する!』は前面に出されているところを見ると、やはり昨今は美少女が売り上げ(視聴率)を左右するということですね。
 パート1が、「世界と美少女」ということで、トップバッターが先程名前の出てきた『涼宮ハルヒの憂鬱』。本の構成上、このアニメが最初で、『ハチクロ』が最後というのは、最初から決められていたそうですが、ハルヒのいちばんの魅力とはなんでしょうか。
福江> そういうのもありますが、一番大きな要素は、20年前と比べて、ぼく自身が臆面もなく“美少女が好き”と言えるようになったことかな(笑)。まぁ、もう失うモノもありませんので。いや、もともと失うモノなどなかったんですが、それに気づいたというか。ああ、書けば書くだけ、どつぼにはまりそう。。。
雀部> 何か美少女好きだと、天文学者としての業務に関わるおそれがあったとかでしょうか。いえ、福江先生を困らせるつもりはないのですが(笑)
福江> いえ、研究とか業務とかはまったく無関係で。ただ、大の大人が“美少女が好きだ”と公言して憚らないのは世間的にはかなりヒンシュクモノだろうかと、それなりに常識的な判断を働かせていたというか、女の子に向かって“かわいいね”とか言うのも、それなりに恥ずかしいというか、ああ、ますます書けば書くだけ。。。これで結構、小心者なんですよぉ。
雀部> アニメ好きとかは、今ではそうとう認知されていると思いますけどねえ。
 特にハルヒのファンは、私の回りでは多いですよ〜(笑)
福江> ハルヒの魅力は、と、これはハルヒ本人じゃなくて作品の魅力ですね(うっかり、本人の魅力を書きかけた)。ハルヒ(ツンデレ系、小柄属性、ポニテ属性)と有希(無口、メガネ属性;後に取れる)とみくる(比較的普通、Fカップ属性…済みません、まだ巨乳属性っていきなり書けなかった)と、しっかりキャラが役割分担しているのはもちろんですが、アニメではちょっとわかりにくい部分もありますが、原作を読むと、これがなかなかがっちり時間改変SFもしてます。そして、アニメは動きも声もOPなどの唄も、どれもバッチリでしたね。
雀部> そうとう入れ込まれてらっしゃると。
 ハルヒの章に“いやいや、男と女のように基本法則が違う理解不能な場合さえあろう”と書かれてますが、これは現実の男女関係は理解不能だから、二次元の美少女に思いをはせているということでしょうか(笑)
福江> ぐっ”!♪! 2次元だけでなく3次元もぜんぜんOKですが、たしかに3次元は難しいです(遠い目)。
雀部> パート1は、“世界と美少女”ということで、美少女アニメばかりなんですけど、宇宙論とアニメの“美少女”はなぜ相性が良いのでしょうか?(笑)
福江> いや、そういうわけでもないんですが、宇宙論が絡められる好きなアニメをセレクションしていったら、結果的に“美少女”だらけになってしまったもので。それと、おそらくもう一つの理由は、最近のアニメは、かなりの確率で“美少女”が登場するんじゃないかなぁ。昔のアニメは、「SF/未来・宇宙」とか「勧善懲悪」とか「スポ根」テーマが多かったですが、最近は「ボーイ・ミーツ・ガール」テーマが多いですよね。そんな気がします。
雀部> それは確かに感じますね。
 各パートには、サブタイトルがそれぞれ付いているのですが、最近の宇宙論についてお聞きしても良いでしょうか。
 最近「サイクリック宇宙論」に興味があるのですが、これはだいぶ認められてきている理論なんですか?
福江> いえ、まだ観測的な裏付けのない仮説の理論でしょう。この10年ほどの定説としては、宇宙は137億年前に誕生して、インフレーション的急膨張し、その後、ゆっくりとしたビッグバン膨張に移り、約45億年ぐらい前から、ダークエネルギーによってふたたび加速膨張をはじめている、というものです。
 これ以外に、上記の膨張と収縮を繰り返す「サイクリック宇宙論」や、ブレーンワールド理論から派生したものでブレーン同士が衝突してビッグバンを引き起こす「エピキロティック宇宙論」など、いくつかの仮説がありますが、それらのどれかを支持するような観測的証拠はありません。そういう意味で仮説理論ですが、一応現在の科学理論の枠内で立てられている理論であって、トンデモ系というわけではなく、将来、もしかしたら肯定されるようになるかもしれません。
 ぼくも専門家ではないけど、宇宙論はまだまだ面白いですね。
雀部> 素人が見ていても面白いです(笑)
 「サイクリック宇宙論」では、プランク定数が異なると、私たちが暮らしているこの宇宙が30〜50回目の宇宙という回数のところは異なってくると解説があって、なるほとどと思いました。
 で、ふと疑問に思ったのですが、プランク定数というのは、どの宇宙にもあるというものじゃないですよね?
 ビッグクランチも、なんかブラックホールがさらに圧縮されるみたいな解説なんですが、非因果的領域の話なんで、ビックバンとビッグクランチの前後関係というか因果律も成立しないと思うので、そこらへんもよく分かりません(笑)
福江> まず後者のビッグクランチの方ですが、もともとは閉じた宇宙の最終状態で、宇宙の物質密度が臨界密度と呼ばれる値より大きければ、ある程度膨張した後に収縮に転じて、ビッグバン膨張を逆回ししたように収縮し、最後は一点にまで収縮した状態のことですね。 その場合も因果律は成り立っているとは思うんですが、昔の議論ではエントロピーが減少するとか、時間の矢が逆になるとか、いろいろあったような気がするので、ぼくもあまりよくわからないです。
 前者のプランク定数ですが、こっちは時空構造の原理原則のようなもんでしょうから、どの宇宙にもあるんじゃないかなぁ。ただし、プランク定数がどの宇宙でも“同じ値”とは限らないですね。
 ここらへんの、いわゆる並行宇宙については、実に多様な考え方があって、まぁ、ぼくも生半可な知識で書いてたりします(笑)。
雀部> ダークマターについては、ちょっと前の新聞に、暗黒物質の有力候補として「超対称性粒子」のなかの「ニュートラリーノ」が有力であるという記事が出てました。宇宙から飛来するそれを、神岡鉱山地下1kmで建設中の「XMASS」で検出する計画が進行中とか。
 ニュートラリーノの存在が確認されると、どの宇宙論が有力になるのでしょうか。
福江> ダークマター(暗黒物質)の候補としては、通常のバリオン物質や素粒子のニュートリノや超対称性粒子の一種のニュートラリーノなど、いくつか提唱されていますが、通常のバリオン物質では量が足りず、ニュートリノも不適当なことはわかっています。ニュートラリーノがあれば、超対称性粒子があるということで、10次元とか11次元といわれる高次元宇宙のモデルが正しいことが証明されるかも知れません。そうすると、いわゆるブレーンワールドなどの方向が有力になるかも知れないですね。
 一方、ダークエネルギーの方については、その正体を突き止める観測的な方法は、まだわかっていないんじゃないかと思います。
雀部> まだまだ未解決の事項が多いんですね。
 口絵にはカラー写真、本文中にもモノクロのアニメの写真が数多く収録されていて視覚的にも楽しめる構成になっていますが、版権問題などをクリアするのは大丈夫だったのでしょうか?
福江> はい、それはもう大変でして(担当の方がですが;笑)。
 20年前は結構にアバウトなところもあったようですが、最近はいろいろと条件が厳しいようです。
 20年前にはOKだったところが今回はダメだったり、その逆に、前はダメだったところが今回は使えたりもありました。
 でも、担当者の方に苦労していただいたおかげで、美味しい絵がいっぱい使えて、ぼくはとてもハッピーでした。
雀部> 長男が、「本文では初代ガンダムが一番お好きだと書かれてますが、表紙画像が、ガンダムMk-2なのは、そういう理由からでしょうか」と聞いてます(笑)
福江> あ、これはたんに初代ガンダムは以前に使わせてもらったこともあり、サンライズさんから提供していただいた画像の中から、格好いいのを選んだためです(本文中のフォウとカミーユのキスシーンはぼくがリクエストしましたけど)。
 表紙やグラビアはカラーですが、本文内のは白黒になるので、どの画像をどこで使うのが見栄えがするかとか、編集の方と一緒にいろいろ相談しながら選んだんです。
 これでなかなか見かけによらず(見えないですけど)気を使う方でして(笑)。
雀部> 読者へのお気遣いありがとうございます(笑)
  <後編へ続く>


[福江純]
1956年、山口県宇部市生まれ。78年、京都大学理学部卒業。83年、同大学大学院(宇宙物理学専攻)を修了。大阪教育大学助手、助教授を経て、大阪教育大学天文学研究室教授。理学博士。専門は理論宇宙物理学。天文学者としてだけではなく熱心なSF、アニメファンとしても有名で、SFアニメやSF小説のアイデアを天文学の立場から考察した著書も多数ある。
[雀部]
熟年アニメファン。アニメと言えば「鉄腕アトム」世代(笑)
ゲーム方面はさっぱりなので、ゲーマーの長男に聞いてます(汗)


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