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Author Interview

インタビュアー:[雀部]

『SFアニメを天文する』
『SFアニメを天文する』
> 福江純著/銀山宏子カバーデザイン
> ISBN-13: 978-4535607118
> 日本評論社
> 1500円
> 1993.12.10発行
1 「鉄腕アトム」
2 「機動戦士ガンダム」
3 「風の谷のナウシカ」
4 「11人いる!」
5 「ふしぎの海のナディア」
6 「ドラゴンボールZ」
7 「トップをねらえ!」
8 「宇宙戦艦ヤマト」
9 「アンドロメダ・ストーリーズ」
10「うる星やつら」

『SFアニメの科学』
> 福江純著/木庭貴信カバーデザイン
> ISBN-13: 978-4334781668
> 光文社
> 552円
> 2002.6.15発行
「鉄腕アトム」――宇宙と未来のすべて
「機動戦士ガンダム」――スペースコロニー
「風の谷のナウシカ」――星のエネルギー
「11人いる!」――惑星の温度
「ふしぎの海のナディア」――対消滅
「ドラゴンボールZ」――潮汐力
「トップをねらえ!」――モンスターブラックホール
「宇宙戦艦ヤマト」――銀河系の彼方
「アンドロメダ・ストーリーズ」――銀河のデザイン
「うる星やつら」――宇宙人の人数
「マジンガーZ」――超合金と合体
「キューティーハニー」――ナノテクノロジー
「超人ロック」――ビームサーベルから重力波砲まで
「新世紀エヴァンゲリオン」――第n宇宙速度
「機動戦士ガンダム ふたたび」――ブリティッシュ作戦 コロニー落し
『SFアニメの科学』

『SFアニメを科楽する!』
『SFアニメを科楽する!』
> 福江純著
> ISBN-13: 978-4535786332
> 日本評論社
> 1900円
> 2010.3.15発行
◇パート1 世界と美少女
『涼宮ハルヒの憂鬱』――最終人間原理
『うる星やつら』『うる星やつら'87』――多くの未来世界
『サクラ大戦〜桜華絢爛〜』――魔の蠢く影の世界
『灼眼のシャナ』――レベル4パラレルワールド
『ゼノサーガ』――箱庭の宇宙
◇パート2 未来と人造人間
『鉄腕アトム』――宇宙と未来のすべて
『マジンガーZ』――巨大ロボットの元祖
『機動警察パトレイバー』――拡大パワードスーツ
『サイボーグ009』『新造人間キャシャーン』――改造人間
『キューティーハニー』『新キューティーハニー』――夢のナノテクノロジー
◇パート3 超時間と超能力
『時をかける少女』――タイムトラベル
『ダーティペア』――空間ワープ
『絶対可憐チルドレン』――超能力
『新世紀エヴァンゲリオン』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序』――ATフィールド
『“文学少女”』――妖怪たち
◇パート4 宇宙開発と地球
『プラネテス』――宇宙で暮らす時代
『機動戦士ガンダム』『新訳 Zガンダム』――スペースコロニー
『銃夢』――エレベータに乗って宇宙へ
『11人いる!』――惑星の温度
『風の谷のナウシカ』――地球誌の大事件
◇パート5 銀河と宇宙
『トップをねらえ!』『トップをねらえ2!』――ブラックホールの作り方
『ドラゴンボールZ』――界王星の正体
『ふしぎの海のナディア』――物質と反物質の対消滅
『宇宙戦艦ヤマト』――天の川銀河系
『天空の城ラピュタ』――真空からエネルギーを取り出す
パート6 生命と心
『火の鳥』――最初の生命
『超人ロック』――永遠の生命
『攻殻機動隊』『攻殻機動隊2.0』――精神のダウンロード
『まほろまてぃっく』――愛する心
『ハチミツとクローバー』――恋する心

  前号の続き)
雀部> 『サクラ大戦〜桜華絢爛〜』なんですが、うちの長男もこのゲームのために、ドリキャスを買ったと言ってます(爆) ラノベとゲームでは、出てくる美少女の魅力の違いとかはあるのでしょうか?
福江> ええとですね(こほん)、ラノベにもグラビアや挿絵はありますが、アニメやゲームでは彼女たちは色が付いて動いて喋ります。そこ大きく、次元断層的に違いますです。つぎに(こほん)、アニメとゲームの違いは、アニメは基本的に一方通行ですが、ゲームは通常はインタラクティブで、彼女たちを“攻略”できるんですね、はい。アドベンチャーゲームでは、選択肢による分岐でマルチエンディングに繋がることが多いようです。サクラの場合は、選択肢の分岐がLIPSだったかな、時間制限があるもので、即座の判断が求められて、なかなか大変でした(笑)。
 さらにサクラではシミュレーションパートでの戦略ゲームもあって、当時のものとして、非常に完成度の高いゲームだったと思います。
雀部> なるほど。相当お好きであるということがよく分かりました(笑)
 そのゲームのインタラクティブ性は、ヒロインの総合得点に影響しているのでしょうか?
福江> はい、もちろん!
 作りの悪いゲーム(クソゲー)の場合は、ただの選択分岐だけですが、サクラの場合は、シミュレーションパートでも、ヒロインを“かばう”といったアクションをすると、いわゆる「好感度フラグ」が立って、ヒロインとの仲が深まります。すぐれもんでした。
雀部> お、それは興味深いですね。長男に言って、ドリキャスとゲームを引っ張り出してもらおうか(笑)
 福江先生が冒頭で絶賛してらっしゃる『ハルヒ』の得点が95点なのですが、なんと99点のアニメがあるんですよね。それがあの『うる星やつら』です。ヒロイン型は、『キューティーハニー』と並んで“裸”(笑) 小中学生にとって、このタイプのヒロインは、強力ですよね。
福江> そうです、超強力破壊物ですね。『キューティーハニー』などは、まさに中高ぐらいに見て、脳髄を破壊されました。『うる星やつら』の方はもう大人になっていて、実は結婚さえしてたときですが(笑)、嫁は嫁、ラムちゃんはラムちゃんという形で、脳内では別扱い状態でしたかね。実はいまでもたいして変わってなくて、ときどき破壊的な表紙に釣られてアニメ誌を買っています。いまだに精神は中坊なのか? って自分で突っ込んでしまいましたが。
雀部> 男はみんな精神的には中坊で止まっているというのは定説ですね。特に、SFファンは、その傾向が強いかも。なんせ、SFの黄金期は、15歳ですから(笑)
 表紙といえば、『ハルヒ』と『シャナ』は、同じ作者(いとうのいぢ)の絵なんですね。個人的には微妙な差なんですが、シャナの方が好みかも(爆)
 ラノベの売れ行きの半分方は、イラストの力によるとも言われてますが、破壊的な表紙の絵のアニメ誌とか、ラノベを買われるとき恥ずかしさを感じることがおありですか。私は全然大丈夫なんですが、ラノベファンの友人の中にも、気恥ずかしいという声が割と多くて(笑)
福江> とりあえず、ハルヒとシャナで言えば、両雄、並び立ってます。いとうのいぢさん、すごいですね。
 で、ラノベの表紙ですかぁ。40代までアニメイトに出入りしていた人間なもんで、いまさらですが(いまは忙しくて行くヒマがない;;)。
 これは歳の問題もあるかもしれないけど、いまでも満員の通勤電車の中でラノベ読んでますし、ときどき、笑いが抑えきれなくて、ニヤニヤしているのが自分でもわかったりしてたりします。ただ、さすがに、グラビアの3つ折りの部分とかを広げるのはしないかなぁ。後、挿絵とかで、エッチぃ挿絵の場合は、そこんとこはパラパラめくって、話の流れが跳んだりします。そういう意味では、まだ、ほんのりと、恥ずかしさが残ってますねぇ。精進が足りないようです。
雀部> 恥ずかしさが残っておられたとは(爆笑)
 『うる星』の章の最後のところで、“どこでもドアの裏側問題”が登場してますが、これは“シュレディンガーの猫”と基本的には同じ問題ですよね。福江先生は、開ける前のどこでもドアの裏側は、どうなっているとお考えですか。
福江> いや、むしろメビウスの輪とかクラインの壺的な問題かな。ドアというのは、“端のある面”なので、表面と裏面があるわけですが、ドアを開ける前は、まさにそのままドアの表面と裏面でいいんです。でもドアを開けたとき、表側は別空間につながっている一方、裏側はどうなっているのかという問題なんです。空間的なトポロジー的な形状からは、ドアを球状にして端をなくし、ワームホールみたいにすれば、裏側問題はなくなりますが、どこでもドアは端があるために、昔から気になっています。いま(マジで)思いついたんですが、裏側からも別空間につながればいいのかな。
雀部> ありゃ、そっちの問題でしたか(汗;)
 そういえば、前回のインタビューで、ワームホールは漏斗状の曲面じゃなくて、あるとすれば球面になっているはずという話でしたね。
 ドアの場合はどうなるんでしょうか。ドア枠がエキゾチック物質で出来ていて、球面を無理やり広げて、へちゃげた形にしてあるんでしょうか。
福江> おお、それは、新たな解釈です。そこんとこは気づかなかった。まさにその通りだと思います。エキゾチック物質というのは、どっかで出たかもしらないけど、ダークエネルギーと同種の代物で、反重力の性質をもったナニカです。ワームホール回廊を建造したときには、ワームホールが自分の質量で重力崩壊しないように、ワームホール回廊に塗りたくって反重力場を発生させるための必需品だと推定されています。
 どこでもドアもワームホール類似品だと思うし、指摘されて初めて気づきましたが、ドア枠がエキゾチック物質でできているのは当然でした。また、どっかで使わせてください(爆)。
雀部> パート3の“超時間と超能力”に、エキゾチック物質を使ってワームホールの崩壊を防ぐアイデアが出てます(笑)
 『シャナ』の世界は、エネルギーの保存則が効かなかったり、因果律を無視したりして物理法則が全然違う平行世界のようですが、もし光の速度が無限大だと、ブラックホールは出来ないのでしょうか?それと、ミンコフスキー空間の非因果律領域が無くなるってことなんでしょうか。
福江> そういえば、光速が可変だというSFがありましたね。たしかに、光速が無限大だと、ブラックホールは無意味になるでしょうね。そしてまた、光速を無限大にすると、おそらく因果律をバキバキに破るでしょうねぇ。ミンコフスキー空間の非因果律領域もなくなるでしょう。シャナの世界は、存在を食っちゃうと、なかったことになるので、そういう意味では因果律が破れているわけですね。光速との関連までは思い至りませんでした、はい。
雀部> 光速が可変なのは、たぶん『レッドシフト・ランデヴー』ですね。
 ところで、『ゼノサーガ』なんですが、キャラ立ち度が“A”なのに、あまりヒロインの説明が無いのはどういうわけなんでしょう?(笑)
福江> うぁ、それですそれ、『レッドシフト・ランデヴー』。よく覚えてられますね。
 『ゼノサーガ』ですが、そうでしたっけ、ヒロインの説明、あまりなかったでしたっけ。ヒロインの片方がロボットだったせいもあるんかなぁ。メインヒロインも美少女なんですけど、ぼく的にフラグが立たなかったのかもしれません(笑)。
雀部> (笑)
 パート2は「未来と人造人間」ということで、最初が「鉄腕アトム」ですね。私の年代だと、アニメ=アトムでしたから、その影響たるや(笑)
 以前の『SFアニメを天文する』では、手塚先生とのツーショット写真が掲載されてましたが、実際にお会いしていかがでしたか。
福江> いやもう、いまから思い出しても、とても人間が大きい人で、アトムを描いた御手と握手した感触はいまだに忘れられません。
雀部> もの凄く羨ましいっす。
 アトムの7つの力ということで、透視図が掲載されてますが、福江先生は、子供の頃アトムの内部構造図とかを書かれませんでしたか。
福江> そうですね、ぼくは小学校1年から2年ぐらいがアトムとのファーストコンタクトで、まだそこまでのスキルがなかったように思います。だけど、当時、光文社から出ていた大判のアトム(2話ぐらい入っていたのかな)は、ボロボロになって実家に永久保存されています。
雀部> マシンガンとか、ロケット燃料をどこに入れているんだろうと、常々不思議に思ってたもんで(笑)
 アトムの動力は原子力みたいなのですが、マイクロブラックホール・エンジンのほうがコンパクトに出来て、効率も良くはありませんか?
福江> そうですね、アトムの時代は最先端のエネルギー源が原子エネルギーだったわけで(だいたい、胸を空けると、真空管が3本でしたし;笑)、ハート型の原子炉的なものだったですね。とっても懐かしいです。そもそも、名前からして、アトム(原子)、妹がウラン、弟/兄がコバルトですし。まぁ、そういうガジェットは適当に脳内置換すればいいんですが。今風的には、少し発展させて、マイクロ核融合エンジンなんかどうでしょうか。マイクロブラックホールエンジンは100年ぐらい先ということで(笑)。
 あ、でも、あれ、地上最大のロボットで出てきた、エプシロンは光子力ロボットでしたね。原子力とかどころじゃないぐらい、未来的でした。
雀部> そう言えば、真空管入ってましたね。実写版のアトムにも入っていたっけかなぁ。
 光子力って、どんな力なんでしょうね。マジンガーに出てくるのと同じなんかなぁ。
 “合体の損得”は面白かったです。確かに見かけで圧倒して闘わずして勝てれば言うこと無いですよね。
 坂本康宏さんの『歩兵型戦闘車両ダブルオー』という作品では、合体タイプにする利点として、分割による予算案の通しやすさがあがっていて、大笑いしました(空軍と陸軍と海軍で別々の個体を予算請求して、実は合体して巨大ロボットになるみたいな)
福江> それはしらんかったけど、非常に実利的というか、大学の予算でもそんなことやります(望遠鏡とか高いので、本体とドームを分割したり)。あと、『Vガンダム』などでは、分割しておくとパーツを流用できるような運用面での便利さもありますね。合体とは少し違うけど、『マジンガーZ』では、最初は空飛べなかったのに、後から飛行パーツをくっつけるとかもあります。
雀部> あ、実際にもあるんですね(爆) 坂本さんも公務員なのでそこらへんの事情をよくご存じだったのでしょう。
 さて『キューティーハニー』では、ナノマシンですね。これさえあれば、大抵の変身シーンの説明ができちゃいますね。ウルトラマンのように巨大化するタイプは無理ですが。
 私はあまり熱心に見ていたわけではないのですが、空中元素固定装置が故障して、裸のまま戦わなくてはいけなくなったエピソードはないのでしょうか?(笑)
福江> ぼくも覚えていなかったんで、“キューティハニー 空中元素固定装置 故障”でぐぐりました。「キューティハニー研究室」ってのがあって(すごい)、シスタージルとの戦いで、故障して、裸でハニーフラッシュしまくった回があったようですね。そういえば、あったような(笑)。
雀部> あ、ほんとだ。この回は刺激が強すぎて、忘れてしまわれたんですかね(笑)
 宇宙計画なんかで、ナノマシーンを「はやぶさ」みたいな小さな探査機に積み込んで、着陸した惑星の資源を利用して、自動的に帰りのロケットを作り上げて資料を積み込んで帰還するとか出来ないですかねえ。
福江> そうですね。いきなりハードルが高いナノマシンまで行かなくても、まず、自律して自己増殖できるフォン・ノイマンマシンができれば、向こうの資源を利用して、自分と同じタイプのマシンを作れます。いま書きかけている本で取り上げる予定のSF、小川一水『不全世界の創造手』では、そこらへんがリアルに描かれています。
雀部> お、ほんとだ。同じレーベルから、笹本さんも岩本さんも出てますね、これは読まねば。
 ということは、いま『SFアニメを科楽する!』系のご本を書かれてるんですね。
福江> はい、ラノベをサイエンスしてみるような本です。もう4月から200冊ぐらい読んだり読み返したりしたかなぁ。でも、魔法モノで呻吟しています。
雀部> 200冊ですか。それは凄いです。
 パート3は、“超時間と超能力”ですね。
 タイムマシンの可能性として、ワームホールの利用を提案されてますが、最近面白い方法が紹介されてました。
 【竹内薫の科学・時事放談】科学が動いているによると「強力なエネルギーを持つレーザーを円筒形(らせん状)にぐるぐる回すと、時空が歪んでタイムマシンができる」という話らしいです。
福江> これは知りませんでしたが、「ティプラーの円筒」の応用版みたいですね。
 ワームホールほど知られていないですが、中性子物質のような超高密度物質でできた円筒を光速の3/4以上ぐらいの速度で中心軸のまわりに回転させると、周囲の時空が歪んでタイムマシンになると考えられていて、発案者の名前を取って、ティプラーの円筒、と呼ばれています。
 レーザー光の強力なエネルギーを質量と換算すれば、類似の状況を引き起こせるでしょう。ただ、光速近くで回転させるのがまだ大変かなぁ。でも、レーザー光なので、超高密度物質よりは、はるかに実現性が高い方法だと思います。いやぁ、面白いですねぇ。
雀部> 生きている内に、実現して欲しいですねえ……
 アニメのヒロインとしては、個人的には“ダーティペア”くらいのお姉様方のほうが色気を感じて好ましいのですが、福江先生はいかがでしょう。一緒に仕事となると、ご遠慮したいですが(笑)
福江> はぁ、ぼくはもちろん色気OKです。ゴスロリの方も、たぶん、OKです。ああ、ゆうべ、全然眠れなかったもんで、何書いているか、わかりません。。
雀部> あらら、ひょっとして、W杯の試合を見られていたんですか。
 『絶対可憐チルドレン』の章では、超能力(テレパシー)に関連して“EPRパラドクス”(量子もつれ状態特有の現象)の話題ですね。量子結合は確かに相対論に影響されず、瞬時に情報が伝わるように見えますが、そもそもこれは情報と呼べるようなものなのでしょうか。測定してみないと(マクロとの相互作用が起きないと)片割れのスピンの状態が確定できないとしたら、それに意味のある情報を付け加えることは不可能な気がします。
福江> そうなんですよねぇ、そこはぼくも気になっているところですが、なんともわからないです。波動関数の収縮も含め、時空と量子との絡み合いは、面白いけど、通常の感覚で理解できないことが多いです。
雀部> 福江先生にもわからないところは、スルーしちゃいます(笑)
 『エヴァ』の“ATフィールド”ですが、すべての攻撃を阻止するらしいというところから、面状の「時空の位相欠陥」である“ドメインウォール”を利用したものではないだろうかと推測されてますね。ということは、“ATフィールド”を破ったポジトロン砲は、陽電子ではなく、同じく「時空の位相欠陥」であるモノポールを使ったモノポール砲だったのではないでしょうか!
福江> ぐぐぐ(考え中です)。
 ATフィールドは、知ってのとおり、光は通します。ただし、時空の位相欠陥では光は屈折するので、ATフィールドでも、少し歪んだりしますよね。
 ただし、質量をもった物質は通さないので、たしかに、陽電子では困る。そうなると、陽電子砲について、あちこちに書いた、ぼくも困る(笑)。今後、チャンスがあったら、モノポール砲だという可能性を検証してみましょう。
雀部> パート4は「宇宙開発と地球」ということで、宇宙ステーションから軌道エレベータまで取り上げられてます。その中でそもそも人間が宇宙を目指す理由として、6項目ほど挙げられてますが、一番のメインはどれなんでしょうね。
 個人的には、この宇宙をデザインした存在がついでに、人間に宇宙を目指す遺伝子を組み込んだのではないかと想像しているんですが。
福江> うーん、メインというか、生物学的なテリトリーの拡大は、最大の原動力だと思うんですよねぇ。一見、宇宙では生きていけないし、何もないように思えるけど、案外と実はそうではないです。まず宇宙には無尽蔵のエネルギーと資源が眠っています。それから、たしかに宇宙では生きていけないけど。
 もともと海で発生した生物は、その当時の地上では生きていけなかったのに、有毒だった酸素を使えるように自分自身を改造するとともに、酸素を発生させて地球環境を改造したという実績がありますよね。そういう意味で、さらに宇宙環境を改造したり、自分自身を宇宙環境に適応させるなど、そういう方向に進化する可能性もあります。
 最終的に宇宙と適合することが、生命の発生自体に組み込まれているのも、たしかに面白そうですね。
雀部> そうか、そもそも海から陸へとエラ呼吸から肺呼吸に挑戦した先達のことを忘れてました。これからは宇宙に出て行くとなると真空対応になるのか!
 ということで舞台が宇宙空間の『11人いる!』。あの“青い星”は、色んなことを考察すると白色矮星だったんですね。これには気が付きませんでした。
 『11人いる!』のヒロイン型は、「中」となってますが、これは男にも女にもなれるということからくる中性という意味ですか?(笑)
福江> はい、ご推察通りです。
 できるだけ一文字にしようとして、ちょっとわかりにくくなったかも。
雀部> 『風の谷のナウシカ』のナウシカ姫は、私的にはS++(笑)
 福江先生は、ハルヒとラムとナウシカがお気に入りだそうですが、その中で敢えてランクを付けるとすれば、どうなりますか?(笑)
福江> うわぁ、むずいです。
 午前はハルヒ、午後はラム、夜はナウシカとか、
 春はラム、夏はハルヒ、秋はナウシカとかとか。
 でも、一人ぐらい、癒し系ないし天然系キャラがいないと、なかなか大変そうかも。
雀部> ということは『まほろまてぃっく』のメイドさんも追加ですね(笑)
 パート5は“銀河と宇宙”ということで、最初が『トップをねらえ!』ですね。
 ブラックホール爆弾は、確かに通常のブラックホールを利用するだけでは、武器としてはスロー過ぎますね。ということで、“縮退連鎖”とは、銀河系中心核の巨大ブラックホールとの間にワームホールチャンネルを開き、まわりの星々を強力に吸い込んだに違いないと結論されてます。
 私が考えたのは、ミニブラックホールを星に大量にぶち込んで、回りから物質を吸い込み、また入り口は有限なので、吸い込みきれない物質は吹き飛ばしまくりの両方の効果で星がズタボロになるというアニメ効果抜群の画を想像したのですが(笑)
福江> ミニブラックホールをどれくらいぶち込むかでしょうか。
 ミニブラックホールの成長時間は、実は昔計算したことがあって、星の物質を吸い込んでミニブラックホールが2倍まで大きくなるに、5000年ぐらいかかったんじゃないかなぁ。
 だから、1個とか10個とかじゃなくて、万とか億とか大量にぶち込むと、かなり効くと思います。
雀部> 計算されたことがあるんですか、さすが福江先生。でもやはり時間はかかりそうですね。
 福江先生の評価によると『ふしぎの海のナディア』のヒロインのキャラ立ち度は“B”とのことですが、実は好きでよく見てました(笑)
 ちょうどその頃、パソコン通信を始めてましたので、見ている知り合いが多くて。
 で、ナディアが宇宙人ということで思いついたのが下の表(笑)
 トリフィドが宇宙由来というのは原作ではなくて映画の設定ですけど、まあこの表の設定そのものが映画『ビオランテ』の設定ですから。
 どんな怪獣が出来るのか楽しみではありました(爆)

 美女怪獣植物出来た(笑)
地球産沢口靖子ゴジラバラビオランテ
宇宙産ナディアキングギドラトリィフィド???
福江> ああ、沢口靖子にビオランテ、ものすごく懐かしいですねぇ。
 沢口靖子、めちゃかわいかったし(笑)。
 どんなんですかね、キングギドラは三首だし、トリフィドも三本脚だから、なんか、とてつもなく、イヤラシげな怪獣になりそうな怖さがあります。
雀部> ちょっと映像化して欲しいんですが。
 『天空の城ラピュタ』の項では、「飛行石」の話から、真空からエネルギーを取り出すということで、反重力の元としてのダークエネルギーの話が出てきます。これは斥力を伝える反重力子の存在を仮定しなくても良いのですか。
福江> はい、要りません(きっぱり)。
 どうも、時空というか空間(真空)そのものに、反重力の性質をもった「場」が備わっているようです。
 だからこそ、宇宙が膨張して空間の体積が増えると、その体積に比例して、この場のもつエネルギー ― ダークエネルギー ―も増加します。いまから46億年ぐらい前に、宇宙全体の物質の重力と、空間のもつ反重力がだいたい釣り合って、その後は、反重力の方が大きくなったため、宇宙の加速膨張という状態になっています。
 もっとも、もしそうなら、空間をプランクサイズで量子化すれば、それがまさに反重力子ということになるかもしれません。そういう流れで、ダークエネルギーを量子化したものが反重力子と言ってもいいかも(適当)。
雀部> そうなんですか。空間そのものに反重力場があったとは。
 SFで「真空エネルギー」の話を最初に読んだのは『マッカンドルー航宙記』だったのですが、極めて短い時間だとエネルギー量が不確定になるため、真空中からエネルギーを取り出せる(超短時間内だと、真空中で対創成、対消失が起こっていても理論的には問題ない)という話には興奮しました(笑) マイクロブラックホールの蒸発も同じような理屈だったと記憶しているのですが、こっちの真空エネルギーは利用できないのでしょうかねぇ。
福江> 上のダークエネルギー=真空エネルギーという考え方もあります。ダークエネルギーの方が、真空エネルギーより概念が広くて、さらになんだかわけのわかんないもんですが。
 真空エネルギーも、きっと、利用法あると思うんですが、まだきちんと考えたことがないので。というより、もう誰かが考えているんじゃないかなぁ。
雀部> 実用化はいつの日かですね。
 最近の新聞記事で読んだのですが、銀河系の星と星の間の空間での総エネルギーは宇宙線が最も多いので、宇宙線(γ線)の分布を調べることで銀河系の謎を解く手がかりが得られると期待されていると。今まで、γ線の主な発生元と考えられている超新星の残骸は、銀河中心に多く集まっていることから、銀河の外縁では大幅に弱まると見られていたそうですね。
 2008年に打ち上げられたγ線天文衛星「フェルミ」の観測結果から、我が銀河系で最も重い恒星「竜骨座η星」と連星をつくっている伴星からそれぞれ放出されたガスが激しく衝突してγ線を放射している可能性が高いことが分かりました。
 また、太陽系から銀河系の外縁部の方向に一万光年以上を観測して、銀河系の外縁部まで高エネルギーの宇宙線で満ちていることがわかってきたそうですね。もう一つ、超新星の残骸「W28」近くの、W28由来でない高密度ガス「分子雲」から放射されるγ線初めてを観測したそうです。
 で、この記事の標題が「銀河系進化の謎を解く鍵」となっているのですが、γ線の分布を研究することで、どういう進化が分かるのでしょうか。
福江> いやぁ、これまた、超マニアックな(激笑)。ここでフェルミ衛星が出てくるとは思わなかったです。
 「銀河系進化の謎を解く鍵」は、まぁ、プレス的には、こういう煽り文句になるもので(フェルミの関係者の人、読んでないだろうなぁ)、実際に、ナニがわかるか、どんな鍵になっているかが、(事前には)具体的にあるもんじゃないです。
 ただ、γ線衛星はいままでにも上がっていますが、フェルミは非常に性能がいいので、上で詳細に書かれているように、すでに多くの天体でγ線が検出されています(まったくはじめて検出されたものも少なくないです)。天文学では、新しい観測装置を使うと、必ず新発見があって、さらに何らかの謎が解けた(ただし、それ以上に謎が増える)、という断固たる経験則があるので、フェルミが解く謎も現在進行形でわかっていくでしょう。…などという書き方で、フェルミに知悉していないことをごまかしておきます。
雀部> この謎を解こうと打ち上げたんじゃなくて、天空のγ線データを観測したら何かしらの成果が上がるはずだということなんですね。
 昨日、ふとTVをつけたら、ブラックホールの話題が出ていて、ブラックホールの権威として福江先生の名前が呼ばれていました。慌てて座り直して、カミさんに「今インタビューしている福江先生だよ」と声を掛けながら――そう言っておかないとチャンネル変えられちゃう(汗)――見ました。福江先生は、やや緊張気味ながら、タレントさん達からの質問に的確に受け答えされてました。その模様は、福江先生も紹介されてます。
 小学生の兄弟で漫才コンビの「まえだまえだ」がなかなかキモの質問をしていたので感心(台本かも知れませんが(笑))
7月10日(土)19:00〜 「人志松本の○○な話」
 http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/‾fukue/TOPIC/2010/100600.htm
 体調そうとう悪かったのでしょうか。顔色は、それほど悪くは見えませんでしたが(ドーラン塗るからなぁ)
福江> ははははは(泣^5)。いやぁ、マジでTVスタジオは相性が悪いですね。事前に必ず(緊張から)体調を崩して、この日も、前夜がほとんど寝てませんでした。
 ほんっと、誰も信じてくれないけど、メチャ、ナイーブなんです。
 ただ、「まえだまえだ」は、逆に凄すぎ。もちろん、基本部分の台本はあって、とくにNASAの話なんて、ぼくの専門外だから、部分的にはカンペも用意してあります。だけど、(放映の2倍くらいは収録しますが)シナリオどおりの部分は結構カットされていて、アドリブの部分の方がむしろ放映されていました。「まえだまえだ」の質問も全部アドリブです。ね、彼ら、凄すぎでしょ。
雀部> 凄いです。まえだまえだは、SFファンなのかも(爆)
 第六章は“生命と心”ということで、SFファンにもお馴染みの『攻殻機動隊』も取り上げられてます。自分の脳の機能とか記憶を、電脳にソフトウェア的にダウンロード出来たとして、果たしてそれが自分なのかは誰も分からないですよね。その電脳的「私」が、間違いなく自分は自分であると確信していればそれで良いとは思いますが。
 まあ草薙“素子”というくらいで、作者は人間の脳も生体素子に過ぎないと考えているふしがあるので。脳という生体素子に、徐々に機能とか記憶とが組み込まれていくのが人間なんでしょうね。
福江> そうですね。もっとも、一番大きな違い(問題)は、生体素子は柔らかくて繋ぎ変えも頻繁にできますが、電脳素子はそのままでは硬くて融通が利かない点でしょう。まぁ、そこらへんは、ナノマシンを導入するか、ソフトウェア的に生体素子をエミュレートするかで凌げるんでしょうが。
 でも、自分というか、自己認識は、考えれば考えるほど、面白い問題です。だって、物質的には、原子分子レベルで細胞の物質は入れ替わっているはずだから、同一じゃないんですよね。
雀部> 考えれば考えるほどこんがらがってきます(汗;)
 さてラストが『ハチミツとクローバー』ですね。ここ数年で読んだコミックのなかでは、『まほろまてぃっく』『よつばと』『のだめカンタービレ』とともにベスト4に入っているそうですね。福江先生の趣味の広さがうかがえるセレクションです。
 私は『のだめ』が結構好きでした。ちょっとラストはアレなんですが。
 最後にお聞きしますが、今後、コミックとアニメとゲームの中から一つだけしかやれないとしたらどれを選ばれますか。
(ブラックホールと美少女アニメ・ゲーム・コミックとだったらどちらを取りますかでも良いのですが(笑))
福江> え、ええ〜〜、そんな究極の選択なんて(笑)。
 和食と中華とイタリアンからどれか一種類とか、ビールとワインとカクテルからどれか一つとか、あの子とこの子とその子から誰か一人とか、選択を迫られているようで(すいません、虚飾はりました、最後のケースはないです)。
 そうですね、敢えて、敢えての選択ですが、コミックとアニメとゲームからなら、いまではゲームかなぁ(ゲーム内アニメもあるし;ちょっとズル)。また、ブラックホールと美少女アニメ・ゲーム・コミックなら、悩まず、後者です、はい。
雀部> ブラックホールより美少女アニメ・ゲーム・コミックなんですか。
 やはり(笑)
 はてさて、今回もお忙しいところインタビューに応じて頂きありがとうございました。
 お話に出てきた、ラノベをサイエンスしてみるような本はいつ頃出版の予定でしょうか。
 また、本業のほうのノンフィクションの近刊予定はございますでしょうか。
福江> はい、ありがとうございます。
 まず、ラノベを科学する本は、メディアファクトリーで、『空想ライトノベル読本』というタイトルが仮についています。数日前に、ようやく第1稿をまとめた段階で、来月ぐらいに脱稿して、秋ごろ刊行できればと思っています。
 また、本業(笑)では、20人ぐらいで執筆した高校生以上向けの天文学テキスト『天文マスター養成講座(仮題)』が恒星社厚生閣から出ます。こちらは初校がすんで、もうすぐ再校なので、予定どおりなら8月下旬ぐらいに出版されると思います。
 どちらもよろしくお願いしま〜す。
雀部> それはどちらも楽しみです。特に『空想ライトノベル読本』は、面白そうですね(待望)


[福江純]
1956年、山口県宇部市生まれ。78年、京都大学理学部卒業。83年、同大学大学院(宇宙物理学専攻)を修了。大阪教育大学助手、助教授を経て、大阪教育大学天文学研究室教授。理学博士。専門は理論宇宙物理学。天文学者としてだけではなく熱心なSF、アニメファンとしても有名で、SFアニメやSF小説のアイデアを天文学の立場から考察した著書も多数ある。
[雀部]
熟年アニメファン。アニメと言えば「鉄腕アトム」世代(笑)
ゲーム方面はさっぱりなので、ゲーマーの長男に聞いてます(汗)


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