Author Interview
インタビュアー:[雀部]
『エンゼルフレンチ』<宇宙篇>
  • 藤田雅矢著/ウエタケヨーコ装画
  • 株式会社アドレナライズ
  • Kindle版495円
  • 2018.8.21発行

収録作:

「奇跡の石」「エンゼルフレンチ」「飛行螺子」「地球の裏側」「こだま」「RAIN」「SHS88」

詳細はこ ちらから

『鬼になる』<怪奇篇>
  • 藤田雅矢著/ウエタケヨーコ装画
  • 株式会社アドレナライズ
  • Kindle版495円
  • 2018.8.21発行

初出《異形コレクション》、SFマガジン他から

収録作:

「鬼になる」「暖かなテント」「引きだし刑」「幻肢(ファントム)の左手」「釘拾い」「舞花」「Dovey Junction」「最後の象」「おちゃめ」「銀のあしの象」「歯神社」「鉄塔の記憶」

詳細はこ ちらから

『植物標本集(ハーバリウム)』<植物篇>
  • 藤田雅矢著/ウエタケヨーコ装画
  • 株式会社アドレナライズ
  • Kindle版495円
  • 2018.8.21発行

収録作:

「ダーフの島」「世界玉」「口紅桜」「トキノフウセンカズラ」「植物標本集(ハーバリウム)」「ブルームーン」「計算の季節」「ス ヴァールバルからの便り」

詳細はこ ちらから

『糞袋』
  • 藤田雅矢著
  • 惑星と口笛ブックス
  • kindle版800円
  • 2018.8.28発行
  • 第7回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作

時は江戸、舞台は京都。「肥えとりはん」見習い中のイチは、ひょんな行きがかりから花街のお女郎さんの小水を所望する大店の旦那はんに 頼まれ、その配達係を引き受けることに。やがて糞尿全般スカトロ系事業に関わり、思わぬ運命に翻弄される……

蘊蓄ならぬ「ウンチくぅ」物語。

『糞袋』『蚤のサーカス』『星の綿毛』はこちらから

『万象』
  • 日本ファンタジーノベル大賞受賞作家21人の書き下ろしアンソロジー/井村恭一表紙画

藤田雅矢先生の収録作「ZOO」

四国から決死の思いで、京都の動物園に象を見るためにやってきた吾郎は、窓口の料金表を見て途方にくれた。大阪でお金を盗まれたため、 ポケットに穴あきの五万円銅貨と一万円のアルミ貨を何枚かしか持ってないのに、そこには「小人五十万円」と書いてあるのだ。園内の掃除を 条件にどうにか象を見ることが出来た吾郎の知った驚きの事実とは……

詳しくはこちらから

雀部 >

今月の著者インタビューは、昨年電子版の短編集を三冊上梓された藤田雅矢さんです。藤田さん、今回は電子版を中心におうかがいしたいと 思いますので、よろしくお願いします。

先々月(2019.10.5)はトークイベント『本のまにまに、植物園散歩』をされたそうなのですが、どんなお話をされたのでしょうか。 近くならお邪魔したのですが、残念。

藤田 >

よろしくお願いします。会場の「弥生坂 緑の本棚」は、東京の根津にある本と植物とカフェが楽しめるステキな古本屋さんですが、拙書も 置いてあったりするご縁で、たまにトークイベントなどしてます。

今回は植物園テーマで、せっかく本屋さんでやるのだからと、本の中に登場する実在の植物園の風景を読む企画にしました。植物園の画像を スライドショーで映しながら、本の一部を朗読し、植物園も紹介する感じ。続きが読みたくなったら、帰りにその本も買える。こういうのもい いですね。

雀部 >

なるほど、それはなかなか面白そうですね。

藤田 >

紹介したのは以下の植物園と本です。実在の植物園が登場する話は案外見つからなくって、歴史ある植物園が描かれてることが多かったで す。

・筑波実験植物園(イントロとして、画像と植物園の紹介のみ)

・京都府立植物園:『古都』川端康成、『京都西陣なごみ植物店』仲町六絵

・高知県立牧野植物園+牧野記念庭園:牧野富太郎博士の著作「植物と人生」『花物語』

・小石川植物園:「外科室」泉鏡花、「どんぐり」『寺田寅彦随筆集 第一巻』、『三ノ池植物園標本室 上』ほしおさなえ

・キュー植物園:「キュー植物園」『ヴァージニア・ウルフ短篇集』

・渋谷区ふれあい植物センター(NHKドラマ・植物男子ベランダーの「多肉愛の劇場」ロケ地として)

雀部 >

牧野富太郎先生は門外漢の私でも存じ上げてます(笑)

藤田 >

牧野博士は植物好きすぎて『花物語』の中で「植物教」をとなえられてますよ(笑)。SFだと『プラネタリウムの外側』早瀬耕を紹介しよ うと思ったのですが、北大植物園に行ったのがだいぶ昔で、いい画像がなくて断念。

雀部 >

おっと、そういえば早瀬耕先生の作品もか。

東北大学植物園には行かれたことはないのでしょうか。昔は学生は無料だったので、デートコースになってました(笑)

藤田 >

残念ながら東北大学植物園は行ったことないですね。雀部さんの昔話が聞ける?

雀部 >

(冷汗;)

藤田 >

こっそり昔話を聞かせてもらったので、次行きますか(笑)

あと、拙書の『クサヨミ』には小石川植物園ならぬ小石原植物園が(笑)登場します。また、電子書籍の『植物標本集』には京都の植物園に 勤める大河原学芸員の連作があります。電子書籍は古本にならないので「緑の本棚」には置けないのですけどね。

雀部 >

古本の代わりにタブレットを置いておくとか?

小石川植物園って、歴史小説に良く出てくる小石川養生所と薬草園の跡なんですね。

大河原学芸員は、別の世界線の藤田さんと思って読んでました。

藤田 >

そうですか(´∀`) 電子書籍のあとがきにも書きましたが、小さい頃から植物好きだったので、植物園で働くのは子どもの頃の憧れのひ とつでしたからね。トビスミレは、ぜひ手にしてみたいものです。

雀部 >

トビスミレは、表題作の「植物標本集」に登場しますね。

植物園の職員に憧れる子供さんって、ちょっと変わっているイメージが(笑)

飛ぶ植物は「舞花」(『鬼になる』所載。ちなみに舞台はトークイベントでも紹介された「キュー植物園」)でも出てきますね。飛ぶという か舞うのでも良いのですが、そういう植物が存在する可能性はあるのでしょうか?

藤田 >

生身の植物は難しいかも知れませんが、種子になれば飛んだり舞ったりしますよ。タンポポ綿毛をはじめ、熱帯雨林に生えるアルソミトラの 種子は平たいタネに翼がついていてグライダーのように1kmくらい滑空します。西部劇の荒野に風に吹かれる回転草なんて、転がり回って移 動しますからね。

雀部 >

それは中々のものですね。>グライダーのように1kmくらい滑空

でも、やはり羽ばたく姿を見たいです!

藤田 >

一回だけなら、オジギソウやハエトリソウみたいに素早く動くんですけどね。でも微速度撮影なら朝顔の蔓が絡まるのにブンブン蔓の先を振 り回していたり、チューリップが昼間咲いて夜閉じてぱたぱた開閉運動したり、ちょっと動物と時間の速度が違うんですよ。

雀部 >

微速度撮影で見たことがあります>朝顔の蔓が絡まるのにブンブン蔓の先を振り回し

そうか、生きている時間軸のスケールが違うんだ。

植物では動物と違い、始原生殖細胞のような特定の役割を持った細胞を分化させない代わりに多くの生殖の様式を獲得し、個体のあらゆる部 位に将来の胚形成に関わる可能性があると昔教わりました。植物はIP細胞に頼らなくても形態が変えられるというアイデアが「ヤマワタリ」 や「トビスミレ」の元となっていて、「ダーフの島」のアイデアの一つにもなっている気がして凄く感心しました。

三冊の短編集の中には、二つのSFマガジン読者賞、『NOVA』や異形コレクションの作品も含まれていて、とてもバラエティに富んだ内 容となってますね。

藤田 >

電子版オリジナル短編集のおはなしをいただいて、過去作品集めてみたらそれなりにあって、せっかくなので学会誌の「人工知能」に掲載さ れて入手しにくいものや、書き下ろしも加えて、なんとなくテーマで3冊に分けました。

雀部 >

スヴァールバル世界種子貯蔵庫のことは、TVのドキュメンタリーで見たことがありましたが、「スヴァールバルからの便り」(『植物標本 集』所載)は、先ほど書名が出て前回インタビューさせていただいた、ジュヴナイル小説の『クサヨミ』の登場人物が出てくるのでちょっと驚きました(片喰剣志郎くんは、珍しい名 前なので。)

藤田 >

「スヴァールバルからの便り」は、『クサヨミ』の後日譚になりますね。実は前回インタビューのあと、2015年にインターナショナルス クールの生徒さんが投票で選ぶ本の賞 Sakura Medal(Japanese Middle School Booksの部)に、 『クサヨミ』が選ばれたんですよ。大き な金メダルが届いてびっくりしました!

生徒さんが選んでくれたとっても重たいメダル、すごくうれしくて後日譚を書いてしまいました。webに載せてたのですが、この際なので 収録しました。

雀部 >

なんと、そういう経緯があったんですね。ジュブナイル作品だけに、生徒さんたちからの評価は大変嬉しいものでしょう! この後日譚に対 しての反応はどうだったのでしょうか?

藤田 >

スクールの先生からは、生徒たちに伝えますということでしたけど、中学生の読者の反応はなかなか直接聞こえてこないので。でも、『クサ ヨミ』の方は、授業の一環でしょうけど映像でブックトレーラーまで作られてて面白かったです。

雀部 >

そうなのですね。もしスクールの生徒さんたちがこのインタビューを読まれることがあったら、ぜひ感想をご連絡下さい。ちなみにこの短編 も「キュー植物園」が一方の舞台になっています。

ところで、主人公である片喰剣志郎君の「片喰(カタバミ)」というのは、家紋の全国占有率が1位:「片喰紋(9.27%)」なんです ね。葉の形がハート形で、「愛と力を表す」として、仏教では重んじられたそうで、なるほどと思いました。『クサヨミ』インタビューで、挿 絵の中川さんからヒントをいただいていたのに、気がついたのは最近だという(汗;)

「秋野希林」さんのアキノキリンソウも、花言葉が「予防・用心・警戒・励まし」ということでこれまたなるほどでした。

藤田 >

そうなのか、花言葉までは考えてませんでした(^^;)

雀部 >

え、そうだったんですか(汗;)

『植物標本集(ハーバリウム)』なのですが、元々ハーバリウムって植物標本のことだったのですね。うちのカミさんが一昨年くらい前か ら、瓶の中にプリザーブドフラワーを入れてシリコンオイル満たしたハーバリウムというものを作り出してまして、なんとなくそれのことかと 思ってました(汗;)

藤田 >

ま、それも広義の植物標本でしょう。学術的には植物標本は種の同定に必要なので、キュー植物園には膨大な数あるようですし、さきの牧野 富太郎博士もすごい数の標本を遺されてますよ。いまだに整理が終わらないらしいです。

雀部 >

大英博物館も整理が終わってないんでしたっけ?

京都大学総合博物館は、大学の博物館としては日本最大だとTVで見ました。ユニークなお土産物屋さんもありました。

そういう整理とかラベリングをして下さる研究者が十分なお給金を頂ける時代が早く来ると良いですよね。

藤田 >

そんなすばらしい時代が来ますかね。研究に限らず、そうやって基礎があるから積み上げることができると思ってるんですけど、種子貯蔵庫 もそんな何の役に立つかわからないものをとっておいて無駄、なんていう人もいるんです。いまの技術ではわからないけれど、将来その中から すごい発見があるかも知れない。あたり馬券だけ買うことはできないんです、タイムマシンないので(笑)

雀部 >

基礎は大事ですよね。ノーベル賞はその基礎部分の研究の評価もしてくれるものなんだと思ってます。

『鬼になる』では、「歯神社」という短編が収録されてまして、おっとこれはインタビューするには格好の短編ではないかと思ったら、予想 と違いました(笑)

藤田 >

すいません(笑) 「歯神社」は、大阪てのひら怪談で遊ばせてもらったものです。ほら話ですが、歯神社はほんまに梅田にあるんですよ。

雀部 >

「歯神社」梅田にあるんですね。覚えていたら今度行ってみます。

「歯ぎしり除」の多度大社には行ったことがあります。

で、収録作で一番好きなのは「鉄塔の記憶」なんです。笹先生にはイ ンタビューさせて頂きましたし、『鉄塔 武蔵野線』を読んでからは常に鉄塔の形が気になっております。近くに変電所もありますし。

一緒にインタビューした壮太さんは、ずっと投稿を続けられているようです。

藤田 >

これは、ありがとうございます。『鉄塔 武蔵野線』いいですよね。それにしても、なぜ人は皆(かどうか知りませんが)、遠近法に並ぶ鉄塔や、夕暮れの鉄塔のシルエットに惹かれるのでしょうか。笹師匠(と呼ばせて いただきます)のファンで、最初に『念力家族』読んだときは、こういう短歌ありなんや!と身体が震えました。以来、TOCANAのオカル タンカとか、月刊ムーのオカルト短歌に投稿したりしてて、そんな中でたまった鉄塔短歌です(笑)

雀部 >

巨大な働く機械に憧れるのと通ずるものがあるかもですね。

その中では、情景が目に浮かぶ

「漆黒が紫となる薄明に 鉄塔灯る明けの明星」

とか、蔦の生命力と地上から宇宙を伺う希有壮大な雰囲気が好きな

「天空にあこがれし蔦の夢かなう この鉄塔に絡みつくなら」

なんかが特に好きです。

藤田 >

巨大な人工物ということか……そうかもです。一方、

「レプリカの金印スタンプ手にとりて テンション上がる卑弥呼の血脈」

というので、オカルタンカの特選を笹師匠からいただきました!(笑)

雀部 >

おお、それも良いですね、特に「卑弥呼の血脈」のくだり!

しかし、オカルト短歌ってのもあるんですね。間口が広くなっているなぁ。

『エンゼルフレンチ』所載の表題作「エンゼルフレンチ」は英訳されたんですね。他の英訳作品も中々のくせ者揃いで面白そうです。

藤田 >

そうそう、英語で読むとまたかっこいいんですよ。黒田藩プレスは2007年から日本作家のSFアンソロジーを出して海外に紹介されてい て、『エンゼルフレンチ』は3巻目。いま4巻目も出てるみたいです。

雀部 >

日本のSFが海外に紹介されるというのは、ファンとしては嬉しい限りです。

藤田 >

SF以外だと、絵本の「キャベツめキャベツ」も韓 国語版と中国語版があります。

雀部 >

おぉ、「キャベツめキャベツ」はアジア圏でも人気なのか。

英訳された「エンゼルフレンチ」は、ストーリーの展開とは別に、ラストの落ちに繋がるアイデアの連鎖が見事で大好きなんですよ。

ミスドから始まりミスドに終わるという展開もドーナツがキーポイントで、最初に“超ひも理論もダイチの頭の中では映像化されているよう で「ま、このドーナツみたいなもんだよ」と言ってのけ”ます。それに折り紙が趣味でキングギドラや「やまたの大蛇」も簡単に折っちゃう (人工衛星に使う太陽電池パネルを畳んでおく「ミウラ折り」とか。折り紙ってトポロジーですよね)。それにラスト前の“エンゼルフレン チっていうのは、ドーナツ型 をした円環構造とともに、チョコレートのところが非対称なんだ。”が続いてラストに繋がるという。

藤田 >

物語的にもはじめと最後がつながって、そこも円環構造になっていて、なかなかうまくいったのではと。いろいろこねくり回していて、ぴ たっとはまるとうれしくなりますね。

雀部 >

で、その“エンゼルフレンチっていうのは、ドーナツ型 をした円環構造とともに、チョコレートのところが非対称なんだ。”という進行上重要な部分で『糞袋』を思い出してしまったのは内緒です(汗;)

というのは、ドーナツも人間もトポロジー的には同じですよね。まあ人間は管状になっていて入出口が開閉できるけど(笑)

藤田 >

そこで『糞袋』ですか(笑)。

雀部 >

そこで『糞袋』なんです!

人間の発生を見てみると受精卵が凹んで胞胚になるんですが、あれは正に袋ですよね。

藤田 >

 でも、人間は鼻の穴もあるから、実はトポロジー的には同じにならないのでは?

雀部 >

確かに鼻の穴の問題はあるのですが、あれは中で繋がってるんで無視しましょう(笑)

作中の坊さんの“そんなに糞を恨むではない。誰もみな、糞の詰まった糞袋よ”という言葉に非常に感銘を受けまして、袋からトポロジー問 題に(笑)

『糞袋』は、スカトロ系なんですが、もっともっと評価されて良い作品だと思います。

藤田 >

わ、これはダメという方もいらっしゃるでしょうけど、以前インタビューいただいたときにも言ったみたいに、本文中の「糞」の字はなるた け使わずに、読者の想像力におまかせしてますので。今回、惑星と口笛ブックスで復刊して電子書籍で冒頭読みできますので、どうぞお試し を。

雀部 >

冒頭はまだおとなしいほうですよ(笑)>読者の皆様

 ところで、同じ惑星と口笛ブックスでファンタジーノベル大賞受賞者のアンソロジーである『万象』所載の「ZOO」は、ホロコースト後 (?)の動物園に象を見に行く少年の話なのですが、ゼンツージ寺とか遊園地の遺跡のあるワシュー山が出てきたりで喜んでしまいました (笑) 「SHS88」(『エンゼルフレンチ』所載)も一風変わった四国遍路の話でしたし、ここらあたりにけっこう土地勘があるのでしょ うか。

藤田 >

香川県に6年ほど住んでいたことがあって、うどん食べ歩いてました。せっかく四国に来たんだからと、四国遍路も行きました。もちろん車 ですけど。そういう身近なところから、シニア世代にはお遍路SFもありかと(笑)。大仏も好きだし、最近は藁で作った道祖神とか見に出かけてます。これも、鉄塔みたいに惹きつけられるところがあり ます。

雀部 >

やはり四国に住まれたことがあったんですね。

この藁で作った道祖神、どのあたりに多いのでしょう。なんか雰囲気が日本離れしているような気がしますけど。

藤田 >

東北地方、特に秋田県のようです。もう少し近くにないかと探したら、茨城県の石岡にありました。福島県の小春にも「お人形様」というのがあります。あとは、全国各地のしめかざりもいろいろ違うとか、千葉 の歴博や大阪の民博も楽しいですよ。

雀部 >

そうか、秋田だからなまはげ系なのかな。そう言えば、今年秋田でなまはげの格好で写真撮りました(汗;) 色々なバリエーションがある とネタに出来そうですよね(笑)

藤田 >

なまはげですか、いいなぁ。ところで、近々出るだろう惑星と口笛ブックスのアンソロジー『万象ふたたび』に、ちょっとそういうテイスト の話を書きました。

雀部 >

おや、『万象』の続刊がでる予定になっているんですね、楽しみです。今回は順調にいくとよいですね! 巻末にある斉藤直子さんの「まと め人日記」によると、2004年頃に始動した計画だったみたいだし、『星の綿毛』インタビュー(2004年)で も新年会で、そういうアンソロジーの話が出たとかお聞きした記憶が。

藤田 >

西崎さん、超お忙しいですが、そのうち案内が出るだろうと思います。今回も900枚超の巨大アンソロジーのようですよ。

雀部 >

楽しみにしておきます!

そういえば、「ZOO」とか「最後の象」「銀のあしの象」と象さんをモチーフにした作品がありますね。象がお好きなのでしょうか、それ とも鉄塔と同じく大きいから?

藤田 >

これも「象」というイメージが好きなのかも。昔の人が、見たことのない「象」に憧れるみたいにね。静岡県美術館にある若冲の≪樹花鳥獣 図屏風≫は見に行きました。江戸時代に将軍吉宗に献上され、長崎から江戸まで歩いてきた象が払い下げられて見世物にされていた象厩(きさ や)の跡が東京の中野区にあるのも見てきました。いまは立て札ぐらいしかないですけどね。「銀のあしの象」書くときは、市原ぞうの国まで 行って鼻とか皮膚をなでなでして体感してきましたよ。

雀部 >

若冲は、「高山羽根子先生インタビュー」の 時にも話題になり、少し勉強しました。それ以来よく名前を聞くような(汗;)

象に関しても色々取材されているんですね。長崎から江戸まで歩いていく象の道中をネタにした話は平谷美樹先生作でも読みました。

象がらみでもう一つうかがいたいのは、「地球の裏側」で裏側にある△×や□○は、実は△×や□○の形をした植物のような気がしたのです が、気のせいでしょうか?(笑)

藤田 >

ああ、そこにも象出てきてましたね。きっと、気のせいですよ(笑)。さらに、「世界玉」(『植物標本集』所載)にも、象出てきますね。 やっぱり好きなんだ(笑)

雀部 >

やはり(笑)

今回はお忙しいところ、インタビューをお受け頂きありがとうございました。

『糞袋』『蚤のサーカス』に続く蘊蓄系(?)ファンタジーや『星の綿毛』のような異世界SFも期待しております。

藤田 >

まずは『万象ふたたび』をお楽しみに。こちらこそ、ありがとうございました。

[藤田雅矢]
1961年、京都市生まれ。農学博士。1995年、『糞袋』で、第7回日本ファンタジーノベル大賞優 秀賞受賞。同年、「月当番」で第26回JOMO童話賞佳作。2007年、「ダーフの島」でSFマガジン読者賞受賞。著書に『星の綿毛』『クサヨ ミ』などのSF小説のほか、『捨てるな、うまいタネNEO』などの園芸書もある。
[雀部]
藤田先生の最初 のインタビューの際にちらっと紹介したうちの観葉植物たちは、全員無事に30周年を迎えております。特別な手入れはしてないのだけど も(汗;)