日別アーカイブ: 2024年7月31日

『天保からくり船』『【図説】怪異百物語 江戸東京篇』

天保からくり船『天保からくり船』山田正紀著、YOUCHAN装画
2024.7.25、春陽文庫、1200円(税別)
光風社出版 (1994/2/1)の待望の文庫化
独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2
 上野の寛永寺から出火した大火事以降、江戸に広まった奇怪な噂……
 火事に巻き込まれた岡っ引き・茗荷谷の藤吉と、傘張り内職で暮らす貧乏浪人・弓削重四郎が関わりを持ったとき、不可解な出来事が頻出し始める。重四郎とは本当は何者なのか?大江戸に隠された秘密とは?
 その壮大な「からくり」が明らかにされるとき、驚天動地の結末が……。
 時代小説ファン、ミステリファン、SFファンとでは、一番喜ぶのはSFファンかなあという気はします(笑)


怪異百物語
『【図説】怪異百物語 江戸東京篇』湯本豪一著
2024.7.20、河出書房新社、2200円(税別)
『図説 江戸東京怪異百物語』(2007/7月)を改題・新装
江戸時代を舞台にした時代小説を読むことが増えたので、当時の人たちがどういう事を面白がっていた(怖がっていた?)のか知りたいというのもあったので読んでみました。有名な幽霊の画とかもあり、面白いし読みやすいです。
同時期の再版、同じ江戸の怪異ということで、『天保からくり船』と一緒に紹介してみました(汗;)

牧野修先生著者インタビュー関連書

猟奇の贄 県警特殊情報管理室・桜庭有彩『猟奇の贄 県警特殊情報管理室・桜庭有彩』牧野修著
2024.6.25、メディアワークス文庫、820円(税別)
反社会的組織に対抗するために設立された特殊情報管理室。そこに、幼少期の事件で負ったトラウマをかかえる桜庭有彩が配属される。彼女は、人と人のつながりを身体から繋がった糸という形で見ることが出来る特殊能力を持っていた。
少年たちが餌食となった生首事件、宗教団体の信者による人肉食事件、謎の団体による拷問ショー。一見バラバラに起こっているように見えた数々のおぞましい事件が徐々に一点に収束していく。


万博聖戦『万博聖戦』牧野修著、佳嶋装画
2020,11,10、ハヤカワ文庫JA、1254円(税込)
中学の同級生である森贄人と御厨悟と波津乃未明は気づいてしまった。子供こそが本来の人類であり、侵略者である大人からの支配に抗って、ずっと知られざる戦いを繰りひろげてきていたのだ。そして1970年の大阪万博会場で、三人を巻き込んで子供と大人は激突する! お互いのユートピアを懸けた子供と大人の戦いに翻弄されながら、それぞれの宿命に立ち向かった少年たちの思春期が人類の未来へと繋がる奇跡を記した黙示録。決戦の場は、大阪万国博覧会!


月世界小説『月世界小説』牧野修著、YOUCHAN装画
2015.7.15、ハヤカワ文庫JA、1078円(税込)
友人とゲイパレードを見に来ていた青年、菱屋修介は、晴天の空にアポカリプティック・サウンドが響くのを聞き、天使が舞い降りるのを見た。次の瞬間、世界は終わりを告げ、菱屋は惨劇のただなかに投げ出された。そして彼が逃げこんだ先は自分の妄想世界である月世界だった。多数の言語が無数の妄想世界を生み出してしまった宇宙を正しく統一しようとする神の策謀と、人間は言語の力を武器に長い戦いを続けていたのだった。


犬は書店で謎を解く『犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです』牧野修著、ふじのイラスト
2016.6.24、メディアワークス文庫、Kindle版679円(税込)
金沢を舞台に、容姿端麗・頭脳明晰・身体頑健、けれど性格最悪の主人公が、飼い犬の柴犬と魂が入れ替わった後の騒動と、悪意の塊のような放火魔との対決を描く。


私の本気をあなたは馬鹿というかもね『私の本気をあなたは馬鹿というかもね』牧野修著
2015.9.10、メディアワークス文庫、Kindle版727円(税込)
公用語が英語となり、自分の名前を漢字で表す事も許されない日本を舞台とした物語。親米保守派が政治を牛耳る一方で「国土回復運動」と称した独立運動も起きていて、米国から独立する日も近いのではないかと噂される時代。大阪にある退役婦人養生院で働く、アカネ、アリー、ワシオの三人の少女が自分たちの力で道を切り開いていこうとする……


『大正二十九年の乙女たち』『大正二十九年の乙女たち』牧野修著
2017.5.18、メディアワークス文庫、Kindle版737円(税込)
日本が戦乱に巻き込まれつつある、大正二十九年。逢坂女子美術専門学校に、四人の個性的な女学生が通っていた。画家としての才能あふれる池田千種。式道に没頭する男勝りな星野逸子。身体は不自由ながら想像力豊かな犬飼華羊。素直で女性らしい優しさに満ちた緒方陽子。戦争の足音が近づく不自由な時代にありながら、短い青春を精一杯謳歌する彼女たちだったが、学校内で馬の死骸で作られた奇怪なオブジェが見つかったことから否応なく事件の渦中に……。


楽園の知恵『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』牧野修著
2017.3.31、早川書房、Kindle版733円(税込)
2007年に出た同名の短編集の電子版
【目次】
病室にて
【第一章 診断】
「いかにして夢を見るか」「夜明け、彼は妄想より来る」「召されし街」「いつか、僕は」
【第二章 症状】
「インキュバス言語」「ドギィダディ」「バロック あるいはシアワセの国」
【第三章 諸例】
「中華風の屍体」「踊るバビロン」「演歌の黙示録」
【第四章 療法】
「或る芸人の記録」「憑依奇譚」「逃げゆく物語の話」
【付記・ロマンス法について】
【電書化にあたってのあとがき】


傀儡后『傀儡后』牧野修著、
2005.3.31、ハヤカワ文庫JA、Kindle版880円(税込)
謎の隕石落下により、アンタッチャブルとなった大阪の街。侵入した者は帰ってくることが無いため、落下地点から半径6kmは、立入禁止区域となっていた。
危険区域に隣接する菊田服飾学院に通う函崎は、ケーターと呼ばれる操作部が口腔内に装着された携帯電話を常に使用していた。ケーターを通した音以外を嫌悪するコミュと称するグループの一人なのだ。デス・メルというグループに因縁を付けられた函崎とミシマを助けたのは菊田服飾学院の学生でありながら、人気ブランドのオーナーでもある七道桂男であった。
一方巷では、全身の皮膚がゼリー化し、放っておくと患者が姿をくらましてしまうという「麗腐病」という謎の奇病が流行していたり、使用すると五感で世界と融合することができる<ネイキッド・スキン>なる非合法ドラッグがもてはやされていた。


『大阪SFアンソロジー』

『大阪SFアンソロジー』

『大阪SFアンソロジー OSAKA2045』正井編、谷脇栗太装画・装幀
2023.8.31、社会評論社、1500円(税別)
収録作:
「バンパクの思い出」北野勇作
「みおつくしの人形遣いたち」玖馬巌
「アリビーナに曰く」青島もうじき
「チルドボックス」玄月
「Think of All the Great Things」中山奈々
「秋の夜長に赤福を供える」宗方涼
「復讐は何も生まない」牧野修
「みほちゃんを見に行く」正井
「かつて公園と呼ばれたサウダーヂ」藤崎ほつま
「アンダンテ」紅坂紫

松崎有理先生著者インタビュー関連書

『山手線が転生して加速器になりました。』『山手線が転生して加速器になりました。』松崎有理著
2024.8.7、光文社文庫、780円(税別)
 全人類、ずうっっとフルリモートです! 
 無人となった東京で、山手線が加速器=物理学者の顕微鏡、べんりでだいじな実験装置(ただし巨大)に転生! よくわからないけどすごい奴で、しかもヒトの言葉がしゃべれるのである【表題作】。蔓延する超強力ウイルスのパンデミックを恐れ、都市文明を放棄した人類はすべてリモートで生きている。そんな世界を舞台に、奇想天外な発想とユーモアが爆発する傑作が詰まった短篇集。


収録作で使われている科学ネタ:巻末の年表にも載ってます。
【山手線が転生して加速器になりました。】
 加速器、ミューオン、ヒッグス粒子、ダークマター、分散型文明
【未来人観光客がいっこうにやってこない50の理由】
 フェルミのパラドックス、一物一価の法則、アシスタントAI
【不可能旅行社の冒険――けっして行けない場所へ、お連れします】
 ブラックホール、ロボットアバター、メタバース(仮想空間)
【山手線が加速器に転生して一年がすぎました。】
 宇宙重力波望遠鏡、ホーキング放射、ダークエネルギー
【ひとりぼっちの都会人】
 東京撤退宣言、リモートシェフ、パンスペルミア説
【みんな、どこにいるんだ】
 グリーンレモン、頭足類とのコミュニケーション
○おまけ「経済学者の目から見た人類史」+作中年表

以下は、松崎有理先生謹製【加速器に転生した山手線君のイメージ図】


『山手線が転生して加速器になりました。』


シン・ニホン『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』安宅和人著
2020.2.18、ニューズピックス、Kindle版2376円(税込)
【目次】
1章 データ×AIが人類を再び解き放つ――時代の全体観と変化の本質
2章 「第二の黒船」にどう挑むか――日本の現状と勝ち筋
3章 求められる人材とスキル
4章 「未来を創る人」をどう育てるか
5章 未来に賭けられる国に――リソース配分を変える
6章 残すに値する未来


紙魚の手帖『紙魚の手帖Vol.18』2024.8.16、Kindle版1500円(税込)
【第15回創元SF短編賞受賞作】
「喪われた感情のしずく」(稲田一声著)掲載

「アルカディアまで何マイル」(松崎有理著)
 少年はガチョウ兵と楽園を目指す

【創立70周年記念企画】
エッセイ 「わたしと東京創元社」大森望/高山羽根子/田中芳樹/酉島伝法/宮内悠介/マーサ・ウェルズ