Author Interview
インタビュアー:[雀部]
真子と鏡
『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』
  • 九頭見灯火編/roncele装画
  • 東京銀経社
  • 4000円(税込)、PDF版・アウトレット品販売中
  • 2026.6.14

【収録作品】○前号インタビュー◇今号インタビュー。他も順次インタビュー予定


蒼桐大紀 「世界のすべてとわたしのありか」 ☆ソラリス賞
Yohクモハ 植叢うぇるびーいんぐ」 ☆アニマ・ソラリス賞

秋待諷月 「生き急ぎの幽霊」

七名菜々 「スティール・ストーク・ストローラー」
九住龍 「忘れにし夏」

洛杜きんるい 「フェリスの星」

蒼井どんぐり 「雪宙花火」
渋皮ヨロイ 「最低魔女とマシマシメンメン」
七名あき 「プラネタリウムみたい」

八月休希 「タイタンにあがる月」

萬朶維基 「万事調和クッル・シャイイン・フィー・インシジャーム」

柏沢蒼海 「ダイハードマン・コントラクト」

阿下潮 「プラセンタ」

六塔掌月 「真子と鏡」 ☆アニマ賞
雀部 >
『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』収録作家インタビュー第二弾は、七名菜々さまと柏沢蒼海さまです。このお二人の作品も、対称性を意識されているのですね?(編集の都合上、八月さまは別枠で)
九頭見>
ここには、いない八月さまを含めてですが、そういう意図がありました。七名さん・柏沢さんで、共にアクションが主体の小説になっています。
 また何かを運ぶ小説でもあります。あるいは、移動するお話でもありますね。
雀部 >

確かに、七名菜々さまの「スティール・ストーク・ストローラー」も、柏沢蒼海さまの「ダイハードマン・コントラクト」も、アクション系かつ人間を移送する物語ですね。

前回と同じく、作品掲載者さまには、以下の質問にお答え頂いてます。

  1. 生年(だいたいでも可。40歳台とか。アラサーとかでも)
  2. お好きな作家・作品(小説・TVドラマ・マンガ・アニメ・映画等々)
  3. 創作を続ける原動力
  4. ご自分の掲載作についての掲載後の感想
  5. ペンネームを使われてますか?
  6. ホームページがある方はご紹介下さい

七名菜々 「スティール・ストーク・ストローラー」
  1. ペンギン年齢で言うと10歳弱くらい
  2. 好きな作家は伊坂幸太郎で、一番好きなのは『マリアビートル』。
    他の作家の作品ではガリレオシリーズ(東野圭吾)、『狐笛のかなた』(上橋菜穂子)、『ペンギン鉄道なくしもの係』(名取佐和子)など。ハリーポッターで言うとアズカバンの囚人が一番好きなタイプ。
  3. 特別なエンジン(原動力)があると言うよりはブレーキが無いタイプだと思います。
  4. 注目度の高いアンソロジーに掲載いただけて大変光栄です。
    SNS上ではペンギンの人として認知していただいていると思いますが、そろそろペンギン以外も書けることをアピールしとこうかな、と思いペンギンが一切出ない作品でエントリーしました。
     錚々たる顔触れのSF作家様方が集う中、私は息抜きのジャンクフード枠として採用していただいたように思いますので、コーラ片手に気軽に楽しんでいただけますと幸いです。
  5. 使ってます。
  6. https://lit.link/7na7btb
雀部 >

さて、「スティール・ストーク・ストローラー」は、父性本能(?)に目覚めた殺し屋が主人公ですが、これはかなりコメディ要素満載ですね。
 最初に読んだ時の覚え書きを見ると「すっとぼけてはいるが、無類の強さを誇る主人公がナイスです(笑)。2026年の春アニメ『マリッジトキシン』とか2025年夏アニメ『SAKAMOTO DAYS』に雰囲気が似ているかも(笑)」と書いてあります。

七名 >
雀部さま、九頭見さま、柏沢さま、どうぞよろしくお願いいたします。
 対称性、と聞いて、非常に納得しました。
 先に挙げていただいた通り、柏沢さまの「ダイハードマン・コントラクト」と拙作「スティール・ストーク・ストローラー」は要素だけ並べると共通する部分が多かったのですが、これだけの共通項を持っていてもこんなに読み味の違う作品が作れるんだ、と驚くくらい、まさに対称的な作品になっていましたね。
 拙作はひっっっじょ~~に軽いコメディだったと思います(笑)
『マリッジトキシン』、『SAKAMOTO DAYS』はいずれも未読・未視聴なのでざっくりした設定しか存じ上げないのですが、似てるというのはなるほど、と。
 私、「ある特殊な分野で超人的な能力を持つ人物が、一般人はあたりまえにこなしている日常生活においてはポンコツ」、みたいな構図が好きなんですよ。
 「スティール・ストーク・ストローラー」はまさにそんなポンコツ超人の話ですし、恐らく上記の2作品も同じような構図のお話ですよね。もう少し主人公がまともですが、『SPY×FAMILY』なんかもこれに近い構図の作品にあたると思います。
雀部 >
あ、『SPY×FAMILY』、寄せ集め家族の三者三様のとぼけた感じが好きでした(笑)
 「カクヨム」の七名さまの著作を読ませていただくと、コメディタッチのアクション系作品がお得意のような印象を受けました。
 新作の『ジュエリーキッドナッパース』は誘拐組織、『ミスターカメレオン』は悪を裁く秘密組織『総合調整局』の話です。どちらも人知を超える能力を持った人物とそのバディたちが魅力的ですね。どちらかというと側で苦労するバディたちが主人公のような(笑)
七名 >

『ジュエリーキッドナッパース』、『ミスターカメレオン』もお読みいただいたんですね。ありがとうございます!
 「スティール・ストーク・ストローラー」も含めたこの3作品は七名作品の中でもかなり作風の近い作品たちで、奇しくもいずれもポンコツ超人の話ですね(そもそも私がポンコツ超人を書き過ぎだという話なんですが(笑))。
 ただ、『ミスターカメレオン』に関してはポンコツ超人が書きたくて書いたわけではなく、今までにない読書体験を作りたくて書いた作品でして、キャラは単に私の好みが出ただけですね(笑)

雀部 >
この三作、どれも面白いのですが、一番好きなのは『ミスターカメレオン』ですね。まず、「神谷令」のキャラがたっていて、というか役者バカっぷりがですね、素敵です(笑) あと作中の「ミミズごっこ」は、想像できるようで想像できない感じが、絶妙でした。
七名 >
『ミスターカメレオン』は特別思い入れの強い作品なので、気に入っていただけて嬉しいです。
 実は、初めて書いた小説が『ミスターカメレオン』なんですよ。というか、うっかり『ミスターカメレオン』のネタを思いついてしまったがために小説を書かざるを得なくなったと言いますか。
 もしまかり間違って私が商業デビューすることがあったら、脂が乗ってきた頃に『ミスターカメレオン』をゴリ押しして出版してもらおうという野望を密かに抱いております(笑)
 神谷のキャラは私も気に入ってます。役者バカなのか、バカが役者やってるのか、かなり際どいところではありますが(笑)
雀部 >
なんと処女作でもありましたか。かなりの力作だったので、驚きです。
 それはそうと、「公開1周年記念短編『スターダム』」は、前編ですよね?(笑)
 後編の公開はいつになるのでしょう。
七名 >
こ、後編ですか!?鋭いですね、、、
 実は『ミスターカメレオン』にはカクヨム公開前の大改稿で消し去った幻の第5章がありまして、こちらの記念短編は第5章で扱っていた事件の前振り的な内容なんですよね。
 色々気になるところがあって「いっそ第5章は無い方がまとまりが良いな」と思って消しちゃいましたが、このインタビューが激バズして『ミスターカメレオン』の人気に火が付き大手出版社から声がかかって大々的にデビューが決まるかもしれないので、その時には完全版としてこのお話の続きも収録しますね(笑)
雀部 >
では、インタビューの知名度アップに尽力しないといけませんね!(笑)
 私が、コミカルなアクション小説がお得意なのだろうと感じたのは、選ばれた題材によるというのもありそうですね。
七名 >

アクションについては実はあまり得意という意識はなかったんですが、前々からどうも褒めてもらえることが多くて、「多分得意なんだろうな」と自覚したのが『ジュエリーキッドナッパース』を公開した時でした。
 そして、それなら試しにアクションで勝負してみようと思って書いたのが「スティール・ストーク・ストローラー」です。ありがたいことに、皆様にいただいた反応を見る限り、その試みは当たったようですね。
 でももう少し正確に言うと、アクションが得意と言うよりは、単に私の文体がアクションシーンと非常に相性が良いんだと思います。
 小説におけるアクションシーンって絵が無い分どうしても退屈になりやすいので、現象の正確性とか心理描写の深さよりも、とにかく気持ち良く読ませることがまずは大事だと思うんですよ(賛否あるとは思いますが)。恐らくそのあたりがリズム感特化型の私と相性が良いんだろうなと最近思い至りました。
 ではアクションを書くのが得意なのかと言われれば、やっぱりそこまで得意ではないです(笑)
 いま敵が右か左かどっちにいるのかすらよく分かんなくなっちゃうので(笑)

雀部 >
リズム感特化型!納得です。
 でも、アクションだけではなく、『雨女ラプソディ』のような日常系(?)ファンタジーもいけてますよ!うちのカミさんも自他共に認める雨女で、旅行に行くと必ず一日は雨が降ります(笑)最近はツアーで行くことが多いので、晴れ男(晴れ女?)パワーで薄められている感じはしますが(汗;)
 どういう着地にまとめるんだろうと思っていたら、なんと。雨音さんのパワー、恐るべしですね。読後感も良くてお気に入りです。
七名 >
『雨女ラプソディ』までお読みいただけているとは…!
 身近に雨女がいると苦労しますよね。雨音の家族も日々大変な思いをしていると思います(笑)
 あれはたしか仮タイトルが『雨女、世界を救う』だったんですが(ダサい!)、本人にとってはしょうもない特殊能力が意図せず世界を救っちゃう、みたいな、スケール感にギャップのあるお話が作りたくて書いた作品です。
 カクヨム上でのPVはちょっと慎ましい感じで収まってしまっているんですが、実は某地方文学賞で一次選考通過した実績もあったりして、私の作品の中では一番の優等生でもあります。
 ちょうど銀経社アンソロジーの規定に収まる長さの作品なので、第3回の公募ではこの作品も送りつけてみようかなと目論んでおります(笑)
雀部 >
あれま(笑)
 ファンタジー系では『壁に耳あり、障子なし』も面白かったです。その昔、倉庫が主人公の短編がありまして、それも面白かったのを思い出しました。こちらも日常系ファンタジーかな、少し犯罪のニオイもしますが(笑)
 それにしても、なかなかわからなかった「一子」の正体がアレだったとは(笑)
七名 >

『壁に耳あり、障子なし』まで押さえていただけているとは、、、もうほとんど全作品読んでくださってるじゃないですか、、、(動揺アンド大感謝)
 倉庫が主人公のお話も面白そうですね!

雀部 >
現物は腐海に埋もれているけど「倉庫ⅩⅡ番の冒険と生涯」だったかな(汗;)
 カクヨムの作品は制覇しました(笑)
七名 >

『壁に耳あり、障子なし』の執筆時に念頭にあったのは『ガソリン生活(著:伊坂幸太郎)』です。
 とある一般家庭の自家用車が主人公のお話なんですけど、「車に自我があって、でも車だから人間との意思の疎通はできない」という制約の中で物語が進行するのが面白くて、「もっと制約を強めた作品を書けないかな」という実験的な試みで生まれたのが本作でした。

雀部 >
お好きな作家のトップに挙げられている伊坂幸太郎先生ですね。大学が一緒なので親近感があります。色々映画化されてるけど、『マリアビートル』は小説の方が面白い(笑)
 こういう制約がある小説は、SFには良くありますよね。
七名 >

主人公がアパートの一室の壁で、壁だから部屋の中で起きていることしか観測できず、耳はあるけど目は無いので音声からしか情報を得られない、という。
 結果、断片的な情報しか持っていない壁が視点人物であるが故に起こる勘違いコントみたいな作品になったと思います(コントと言うには起こってることが物騒ですが)。
 「一子」の正体は、読み返してみるとかなり序盤から結構大胆にヒントが出てると思いますよ。私は冒頭から伏線丸出しスタイルで書くことが多いんですが、それでも案外バレないものです(笑)

雀部 >
最初は古いドアかなと思って読んでましたよ(笑)
 「七名さまと言えばペンギン」というくらいペンギンがお好きのようですが、いつ頃からペンギン愛に目覚めたのでしょうか。(旭山動物園のペンギン)
七名 >

旭山のペンギン!かわいい??!
 旭山行ってみたいんですよ。素敵な写真ごちそうさまです(笑)

雀部 >
「もぐもぐタイム」はあったのですが、夏なので、お散歩タイムが無かったのが残念でした。
七名 >

ペンギンは幼少期から漠然と好きで、幼稚園くらいの頃に水族館で買ってもらったペンギンのぬいぐるみが私の記録上最古のペンギンです。2羽いるんですけど、「ペンペン」と「ギンギン」と名付けて可愛がってました。安直!
 でも明確にアクセルを踏んだタイミングは意外と遅くて、大学生の頃に『ペンギン鉄道なくしもの係(著:名取佐和子)』をバイトの先輩に借りて読んだのをきっかけに、しきりにペンギンペンギン言うようになりましたね。電車に乗ってるジェンツーペンギンがかわいいんですよ…。
 その後社会人になってからはあちこち水族館や動物園を回れるようになり、撮り溜めた写真を毎年カレンダーにして配るという奇行が始まりました(笑)
 そして『ペンギンSFアンソロジー』と出会ってさらに奇行に拍車がかかった感じです(笑)

雀部 >
その大好きな『ペンギンSFアンソロジー』に掲載の「Welcome to PENGUIN LAND!」は、ちょっとほろ苦い読み味の好短編でした。アカリちゃんは、きっと今は以前より幸せなんだろうな(泣;)
七名 >

『ペンギンSFアンソロジー』は最初はカクヨム内で開催されていた自主企画だったんですが、当時私はまだカクヨムを始めたばかりでして、PVに飢えて自主企画を掘り漁っていた時に偶然この企画を見つけて「ペペペペペペンギン???!?!?」とテンションぶち上がって勢いで2日くらいで書き上げたのが『Welcome to PENGUINLAND!』でした(笑)
 あんまり言わない方がいいかもしれないんですけど、書いてる時は「とにかくペンギンをいっぱい出すぞ!!」しか考えてなかった気がしますね(笑)
 改めて読み返してみると思っていたより闇の深い話でびっくりするんですが、でもアカリ視点で見ればハッピーエンドなんだろうなと思っています。

雀部 >
ハッピーエンドで良かった。
 『ペンギンSFアンソロジー』のブックレビューの時に九頭見さんから“舞浜のディズニーランドですとか、多摩のサンリオピューロランドなど、境界面に存在する門を越えることができるのは、子どもの力なんだと思います。ただ、そこは居心地がいい。だから竜宮城になってしまわないように、そういう物語も昔話にはあるんだと思います。
 この作品は見方によっては少しダークな展開です。七名さんがファンタジーをどう考えているのかと、いつか聞いてみたいですね。”と……
七名 >

こちらの記事は公開時に拝読しました!
 丁寧にお読みいただき、その節はありがとうございました。
 ファンタジーをどう考えているのか、ですか。すごい難しい質問来ちゃいましたね…。
 あまりちゃんと考えたことなかったですが、神話が既にファンタジーなことを考えると、ファンタジーというのは恐らく人類史上最古に成立した物語のジャンルですよね。その頃の物語の役割って、多分「現実に起きている不思議な現象に説明をつける」ことだったんじゃないかと思うんです。
 人間という生物は恐らく「目の前で起きているあらゆる事象を理解し説明する」という欲求を本能的に抱えていて、その本能が人類をここまで発展させたんだと思うんですけど、まだ科学技術が未発達で解明できないことが山ほどあった時代、説明欲を補うために人類が取った手段が「自分が空想した理屈を物語る」ことだったのかなと。
 妖怪とか分かりやすいですよね。ちょっと不思議なことがあると、なんでもかんでも「それは妖怪の仕業だよ」って、それらしい妖怪を作り上げて自分を納得させちゃう感じ。(あるいは当時は大真面目に立てていた仮説が現代から見るとファンタジックに映るだけかもしれませんが。)
 今では物語に求められる役割も多様化してるので一概には言えませんが、そうやって現実に納得するために現実と地続きで発展してきたのがファンタジーなのかなと思います。
 なのでファンタジーは物語のジャンルとして最も現実から遠いようでいて、根っこの部分はやはり現実と切っても切り離せない所にあるのかなと、今考えました!
こんな回答で許していただけますか、九頭見さん!(笑)

九頭見>
許しましょう(笑)
 それはSFにも通じるような考え方ですね。七名さんにはいずれSFも書いてもらいたいです。
雀部 >
SFといえば、七名さまは、阿下潮さま編集の『名古屋SFアンソロジー』にも登場されてますね。「人鳥たちの四半世紀天下」は、突然の寒冷化(氷河期?)によってペンギンだけが生き残った世界のお話。
 いやはや画に描いたようなバカSFで大爆笑しました。ペンギンたちのバカなのか実は賢いか分からない惚けっぷりもナイスでしたし、人文字(鳥文字?)のアイデアもよかった。
 もう、あのペンギン体制のままでで良かったのでは(笑)
七名 >

ペンギン帝国、いいですよね…。永遠に続いてほしいです…。
 でも名古屋は元々ペンギンの聖地なんですよ。
 名古屋港水族館には世界最大のペンギンであるエンペラーペンギンをはじめ国内の園館では希少なペンギンがたくさんいて、私は関東在住なんですが、年一回近くのペースで通ってるくらい大好きな水族館なんです。
 だから『名古屋SFアンソロジー』の企画を聞いた時、「これは書かねば!」と思って応募しました。
 でも前評判で「バカSFが多い」という噂を小耳に挟んでいたんですけど、蓋を開けてみたら『人鳥たちの四半世紀天下』が断トツのバカで笑っちゃいましたね(笑)
 ちょっとバカ過ぎたかなとも思いましたが、雀部さまに笑っていただけたならあそこまで振り切ってよかったです!

雀部 >
バカSFは、とことんバカに振り切ってしまった方が面白いです!(爆笑)
 名古屋がペンギンの聖地とは知りませんでした。こんど東海地方に旅行する際には気にかけたいと思います。
 今回は、お忙しいところインタビューに応じていただきありがとうございました。七名さまの商業誌進出と、大ブレイク後の『ミスターカメレオン』+「スターダム」後編もお待ちしてます。

柏沢蒼海 「ダイハードマン・コントラクト」
  1. (3ω3)
  2. アニメ「無職転生」。新シーズンが楽しみです。
  3. 最近わからなくなってきました。
  4. たくさん感想……くださいね?
  5. 柏沢蒼海
  6. note:https://note.com/bullc0210
     BASE:https://mycenae.official.ec/
雀部 >
柏沢さまとは、前号で『Last Valkyrie』『おっさんエージェント』(作者ネーミング(笑))ブックレビューをさせて頂いてます。
 柏沢さまの「ダイハードマン・コントラクト」は、“何かを運ぶ”という共通点以外は、七名さまの作品とはうって変わってビターな味の作品ですね。
九頭見>
結末を見ると、確かにそうなんですが、そこに至るまでの試練の数々。タイトル通りの契約の意味するところを楽しむ作品だと思います。
 これは蒼桐さんがまた別に仰ってましたけれど、こういうアクションでアメリカ風味の作品を書く人ってなかなかいないんです。
柏沢 >

映画・ドラマ「SWAT」の影響を多大に受けているので、そこからアメリカ風味が漏れ出てしまったのでしょう。(苦笑)
 構成も映画版「SWAT(副題の一切無いヤツ)」を踏襲していまして、冒頭に突入事案、後半は大事件。
 ただ、「SWAT」と違って、脱落者が出まくる話ではありますが……

雀部 >
「SWAT」大好きのカミさんに聞くと、映画版「SWAT」は一作目が至高で、段々劣化してると(汗;)
 私は、ドラマの「特別狙撃隊S.W.A.T.」(1975,76)は見ていた記憶はあるのですが、内容は全く覚えてません。テーマ曲の「反逆のテーマ」は流行ったので覚えてます(汗;)
 最近まで、スカパーで放映されていた『S.W.A.T.』シリーズは、毎回見てました。そういえば、今現在、地上波でもやってたなと思い、シーズン7を録画したらカミさんが再度見てます(笑)←シーズン8が最終です
柏沢 >

雀部さんの仰る方のSWATは見たことはありませんが、映画版のメイキングでしっかり語られていました。SWATのテーマは映画版の方が好きです、底なしに明るいのでw
 度々、アクション物の海外ドラマを配信で見たりするんですが、SWATはよくできてて面白いと思います。主要登場人物全員には必ずスポットを当てたエピソードが用意されてますし、毎回トンデモ展開が待ってますからね!
 「シールチーム( SEAL Team )」なんかは部隊員それぞれの特徴的なエピソードはありませんでしたし……
 海外ドラマって、モニターだらけの指令室みたいな場面好きですよね。そんなにたくさん見てきたわけではありませんが、なんとなくそんな印象があります。

雀部 >

確かに戦争物だと司令室は、モニターだらけですよね。『HAWAII FIVE-0』シリーズも、司令部にデカいモニターありました。テーブルタイプだけど。

柏沢 >

内容からかなり逸れてしまいますが、映画「SWAT」は当時のアクション映画の中では珍しく訓練シーンの割合が多いところが面白いと思っています。
 冒頭の「銀行強盗」のシーンのリアリティや迫力はこれだけのために見る価値がありますし、SWATの仕事を克明に描いていますからね。
 射撃場、旅客機のモックアップを使った突入訓練、そこに実際の現場のシーンも入って、SWATの装備とキャラクターを一気に出していくところに構成力を感じます……!!

雀部 >

訓練シーンが印象に残っているのは『シカゴ・ファイア』かな。消防士もなかなか大変そうであります。
 「ダイハードマン・コントラクト」に関しては、ドラマの方の『S.W.A.T.』(2018-25)のイメージが強すぎて、話に馴染んでいくのに苦労しましたが、何度か読み返すうちに、その世界に没入できました。SF(ホラー)風味の『S.W.A.T.』として出色かも。

柏沢 >
スペースでお話する機会を頂いた時に『キャラの名前で損している』と言われ、思わず苦笑してしまいました。
 ゲーム・映画「バイオハザード」においても、舞台となる街の警察に独自の特殊部隊があったりしますのでこういうシチュエーションは作ろうと思えば作れたでしょう。
 SWATでホラーといえば、リアルさを売りにしたゲーム「Ready or Not」があります。
たまに遊びますが、僕は下手くそなのでBC級映画のSWAT隊員にしかなれません。ただのやられ役です……
雀部 >
「Ready or Not」ってエリートSWAT指揮官が主人公のゲームなんですね。今「Steam」で見てますが、なるほどリアルです。う~む、\7.150円かぁ……
 あ、ゲーミングパソコン買ったもので、最初から「Steam」が入っていたのです(汗;)
柏沢 >
見敵必殺のミリタリー系のゲームと違って、民間人も現場にいるゲームなのでなかなか大変なんですよ。
 曲がり角の向こうに人影が見えても、敵かどうかはわからない……そ~っと覗いて確認する、なかなかホラーです。
 こういう状況で全身防備のアーマーがあったらいいのにな……と思いながら、本作を書きました。
雀部 >

全身防備のアーマー、チート防具ですね(笑)
 PC買ったときに付いてきたゲーミング・キーボード、出してみようかな(汗;)
 「ダイハードマン・コントラクト」については、ご本人の解説があって、なるほどと(笑)
 最初からハッピーエンド版を書かれるつもりは無かったのでしょうか。

柏沢 >
アクション映画の主人公にとって、厳しい状況からの生還というのはハッピーエンドに見えますが、残された主人公にとって地獄なんですよね。
 では、終わらない地獄でどうやって生き延びるのか――それはやはり、自分のために命を懸けてくれた人たちの想いや繋がりに縋るしかない。
 そんなアクションヒーローを『ダイハードマン』と表現して、本作の形になりました。
雀部 >
主人公、自責の念に苛まれてPTSDが続くでしょうね。
 『Hunter&Swordsman ~金色の戦乙女と、ただの狩人の僕~』は、前回のインタビューの際にうかがった、『Hunter&Swordsman ~狩人の日誌~』のハイファンタジー長編版。これは、かなり面白いです。まだまだ続きますよね?
柏沢 >
ありがとうございます! WEB小説としてウケの良い作品ではないようで反響は全くありません(泣)
 この作品を「面白い」と言ってもらえて、とても嬉しいです。書いてよかった……
 本作は2部構成で、2026年現在では1部の折り返し地点くらいといったところですかね。
 これから別の新作もご用意していますし、さらに新作も準備しています。自分が2人くらい欲しい気持ちになりますよ。
雀部 >

なんと反響が少ないとは。個人的には、金色の戦乙女と女盗賊との絡み(討議・計略)を増やして、双方の技量(能力)を毎回少しずつ加算する展開が希望です。ヒルダをツンデレ仕様にしちゃうとかも良さそうですが、ありきたりですよね(笑)

柏沢 >

ツンデレは盗賊のミカの役割なので……
 脳筋ゴリラ(ヒロインなのに)のヒルダと手数の多いミカで使い分けという感じなので、主人公トルムに協力することはあってもヒルダとミカが2人で何かすることはあまりないのです。
 基本的には主人公がブレインで、ヒルダとミカは問題を解決する技能を提供するキャラクターとしてデザインしました。
 ヒルダは戦闘スキルと感覚的な捜査、ミカは隠密や開錠と偵察を担当しています。

雀部 >
ヒルダは美人なのに脳筋設定過ぎて、可哀想(笑)
 『The Tales of Bluebird』と『ブルーバード・コントレイル』を読ませてもらったのですが、この二作品の関係はどうなっているのでしょうか。
柏沢 >

『The Tales of Bluebird』は初めて完結させた長編です。やりたいことを全部詰め込みました。
 元は「超時空要塞マクロス」のバルキリーが異星人の戦艦を分析して得たデータで作ったというブラックボックスのメカというのが気に入らないので、戦争の中で「可変戦闘機」が生まれた世界という形で作品を考えました。結果的にはマクロスと同じで人型兵器が実現しているところに出てきた感じです。
 空戦、アクション、恋愛と色々やりたいことをやった作品ですね。「空のフルメタルパニック」を目指した感じです。
 一方、『ブルーバード・コントレイル』は原作である 『The Tales of Bluebird』をリメイクした作品になります。
 空の物語と言えば、戦争物の鉄板ではありますが「帰りを待つヒロイン」はお約束ですよね。
 そこで「飛ぶ男と待つ女」をメインテーマにして、作品をスリム化しました。生身でのアクションを削減です。
 原作を読んでくださった九頭見氏に下読みをお願いして、チマチマを書き進めましたが……“原作の方が良かった”というコメントをもらってしまい、残念な出来になってしまいました。

雀部 >

あちゃ(汗;)
 『アポカリプス・ディビジョン』も、ちょっとバイアスがかかっているけど、面白いです。このままで終わらせたら女性から文句が出そう(笑)
 異生命体が襲ってきて、しかたなく団結するとか。反対に、争いに異星人たちが仲裁に入るが、女性たちは結局その異星人集団について行ってしまうとか(笑
柏沢 >
昨今、男女間の分断が広がっていく中、男性と女性が対立して戦うという作品はもう珍しくないのかもしれません。
 ですが、ヒトという生き物が異性と協力せずに生きていくにはどうしたらいいか、現状の男と女の性質・性格からどのような生存戦略になるかを考えた結果、あのような作品になりました。
 この系統の「男女分断SF」はまだいくつかのネタを持っていますが、いつ書くか、どのように書くかを悩んでいます。
 『アポカリプス・ディビジョン』に関しては、人類を統治する構造として高度なAIに任せてしまった世界観ですね。
 男性と女性のAI、この2つが全人類のために最適解を出すはずが、AIが対立してしまい、生身の人間がその尖兵になる……という設定です。
 作中では男性側AIが破壊されてしまっているので圧倒的に女性有利で進んでいます。 男性はほぼレジスタンスですねw
 長編として書く構想はありますが、内容としては逃避行というか……「男と女、双方の社会を見た主人公とヒロインが楽園を求めてお互いの共同体から脱する」といった感じの作品になりそうです。
雀部 >
逃避行、何世代にも及ぶ壮大なラブロマンス希望(笑)
 「人類最後のアマチュア作家」でも、男性が虐げられてましたよね。
 続きというと「孤独な作家はSFが書けない」の続きが気になります。
 最後の電話は「こら、開けるんじゃねぇよ!」とかだと思いますが(笑)、これからどういうSFを書くか、どう戦っていくか。
 「ひたすら頑張るのだ!」でしょうか(笑)
柏沢 >

自論なのですが、僕は『ジャンル』をフレーバーだと思っています。
 チョコミントで言うところのミントがSFで、ミントが強すぎてもダメですし、薄くてもただのチョコです。
 しかし、チョコミントを作り続けていないといつかは『チョコミント』は「歯磨き粉味」に代わってしまうかもしれません。 
 SFを書き続けることでジャンルとしてのSFを残し続けることになり、それがチョコミントのようにフレーバー感と旨味がしっかりしていなければ意味が無いと考えています。
 だから、僕らは「SF」をチョコミントのフレーバー感でコンテンツを作り続けないと、いつかはチョコミントが歯磨き粉と揶揄されるくらいに陳腐なものになってしまう。
そんな危機感を作品にしてみたのが、SFで戦う――ジャンルを書き続けることなんじゃないかと。

雀部 >
おぉ、同志! 柏沢さまの熱い思い、しかと承りました(笑)
 「ユウちゃんはタイムトラベラー」は良く練られた一人称の多元世界もの。つつけば穴はありそうですが、多重構造になっていて面白いです。
柏沢 >

ユウちゃんはどこから来て、どこへ行くのか……
 新海誠作品「君の名は」のSF要素を、一般観客は理解できないらしいです。
 悲しい話ではありますが、こうしたSF要素を理解するのは教養の一種ですから仕方ありません。
 前述した「ジャンル=チョコミント論」のように、チョコミントは美味しいものでなければなりません。
 旨味の主成分であるチョコが活きていれば、大抵の人には楽しんでもらえるというのは「君の名は」の評価を見たらわかると思います。

雀部 >

SFは、作者と読者の間にある程度の約束事項があるので、そこをクリアしないと楽しめないという側面はありますね。まあ、読者がなんとなくわかったように感じたら、そこから糸口が開けますし。←たとえ間違っていても分かったように思えるのが重要です(笑)

柏沢 >

「ユウちゃんはタイムトラベラー」はもちろん、チョコミントくらいのフレーバー感。つまりはエンタメ作品です。
 アイスで言うところの、パリパリのチョコを楽しんでもらいたいのですが、僕としてはツーンとしたミントのフレーバーも味わってくれたらいいな、くらいに効かせてます。
 SFというジャンルが好きな人は、このミントの感触や刺激を楽しめる。たくさんヒロインが出てくるラブコメものと読めば、チョコアイスとしても楽しめる。
 どうでしょう? チョコミントアイスを食べたくなってきたでしょうか。コンビニで売ってるチョコがパリパリのやつを食べたいですね。

雀部 >

 はい、チョコミント味のキャラメルコーンや、キャンディ、ラテ、ポッキーなんかも食べたくなりましたよ。どうしましょう(笑)
 前号に引き続き、インタビューありがとうございました。
 ヒルダ嬢の覚醒を期待します(笑)
[雀部]
 七名さまとのインタビューの始まりは、Xでの
「七名のことは幼児だと思って話していただけますと幸いです」
「幼児というと〈ターニャ@幼女戦記〉と思ってお話しいたします(笑)」
「随分と強そうな幼児にされてしまいました、、、
 き、鍛えておきますね! どうぞよろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いいたします」
 というやり取りから始まりました(笑)
 『ぺんぺんぺぺぺんんぎぎんぎ 七名菜々ペンギン文学全集』若干数販売中!
[九頭見灯火]
〔生年〕1989年 〔好きな最近のアニメ〕ガンダムGQuuuuuuX
〔ペンネーム〕カクヨムではカクヨムSF研@非公式を名乗ってます。  アニマソラリスでは小林蒼、Twitter、アンソロジー編集のときは九頭見灯火、公募の際は九住龍。怪人二十面相みたいですね。 いつも短編を読んでくださっている読者のみなさん、ありがとうございます。  
サークル東京銀経社 東京銀経社 - BOOTH
『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』PDF版アウトレット品
[柏沢蒼海]
 秋田県にしがみつくように創作を営んでいる物書き。
「ミケーネ文庫」を立ち上げ、地元の書店に作品を置かせてもらっている。
秋田県のクリエイター仲間を募集中!
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[七名菜々]
 関東在住。2022年頃より執筆活動開始。2024年にカクヨムに処女作『ミスターカメレオン』を投稿したのを皮切りに、本格的にネット上での創作活動を開始。同年カクヨム内の自主企画『ペンギンSFアンソロジー』への参加を機に狂ったようにペンギン小説を書き始め、2026年には自身のペンギン小説のみを7編収録した短編集『ぺんぺんぺぺぺんんぎぎんぎ 七名菜々ペンギン文学全集』を刊行。同書および書籍『ペンギンSFアンソロジー』を携えてペンギンバザール主催のイベントにも複数回参加するなど、「ななな」名義でペンギン作家としても精力的に活動中。
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『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』 BOOTH