
【収録作品】○前号インタビュー◇今号インタビュー。他も順次インタビュー予定
| ○ | 蒼桐大紀 | 「世界のすべてとわたしのありか」 ☆ソラリス賞 |
| ○ | Yohクモハ | 「 |
| ◇ | 秋待諷月 | 「生き急ぎの幽霊」 |
| ○ | 七名菜々 | 「スティール・ストーク・ストローラー」 |
| ○ | 九住龍 | 「忘れにし夏」 |
| 洛杜きんるい | 「フェリスの星」 | |
| 蒼井どんぐり | 「雪宙花火」 | |
| ○ | 渋皮ヨロイ | 「最低魔女とマシマシメンメン」 |
| ○ | 嶌田あき | 「プラネタリウムみたい」 |
| 八月休希 | 「タイタンにあがる月」 | |
| ◇ | 萬朶維基 | 「万事調和 クッル・シャイイン・フィー・インシジャーム」 |
| ○ | 柏沢蒼海 | 「ダイハードマン・コントラクト」 |
| ◇ | 阿下潮 | 「プラセンタ」 |
| ○ | 六塔掌月 | 「真子と鏡」 ☆アニマ賞 |
ふと気がついたら「第三回東京銀経社アンソロジー」の公募が始まってました(汗;)
「真子と鏡」販売促進のため、第三回も計画しました。どうなることやら……
二度あることは三度あるですから、なんとかなるでしょう(笑)
もう一つ。虚実書店マボロシさまのインタビュー記事「なぜテーマなしの文芸アンソロジーに、これほど魅力的な作品が集まるのか? 第1回「公募沼の高校生が、800ページ超の鈍器本アンソロジーを創るまで」が公開されてます。←7回続くようです。
アンソロジーを店頭に置いてくださっている虚実書店マボロシの山本さんの提案で、アンソロジーの背後にある物語をインタビューしていただきました。すでにインタビューではアニマ・ソラリスの小林ひろき自作を語るの内容と重複する部分もあるのですが、あのインタビュー後の活動をお話ししました。コミュニティ活動を中心に興味をもってくださったようです。
小林蒼さまの、秘密を知ることが出来ますね!
さて、『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』収録作家の方々のインタビューなのですが、八月さまは別枠として、秋待さま、洛杜さま、蒼井さま、萬朶さま、阿下さま、の五名が残っています。
このグループで、対称になっている作家さんはいらっしゃいますか?
たとえば秋待さま、阿下さま、萬朶さま、の名古屋SFチームと、蒼井さまと洛杜さまのチームで分けるとか。
名古屋SFチームなら、名古屋を話題の基礎にしつつも、和気藹々と話が進められそうな予感がするのですが、いかがでしょうか。
この五人はどうしても対称性を支える五人ではなく、どうしてもぼくがアンソロジーに加えたかった五人なんですよね。なので、それぞれのスター性あるインタビューを期待したいです。
そうか、『真子と鏡』収録作家の中から、『名古屋SFアンソロジー』にそのお三方の作品が掲載されてますね(+七名菜々さま)。
阿下さま、萬朶さま、初めまして。よろしくお願いいたします。
前回と同じく、作品掲載者さまには、以下の質問にお答え頂いてます。
お三方は『名古屋SFアンソロジー』の寄稿者ということで、当該アンソロジーも読ませていただきました。よろしくお願いします。
阿下潮さんは、小野繙主催の「共依存百合アンソロジーmelange」、ほか「Lily Monstrum~怪獣×百合アンソロジー~」、「ドス黒百合アンソロジーリスノワールズ」に収録、百合短編作家として頭角を現します。西崎憲主催BFC7では、「犬は誰かの記憶」にて本戦出場、日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2025では最終候補選出されました。また名古屋SFアンソロジーを企画・編集、大きな話題を集めます。
編者の阿下さま、この『名古屋SFアンソロジー』を出された経緯をうかがってもよろしいでしょうか。
Kaguya Books様の地方SFアンソロジーシリーズが好きなのですが、大阪、京都、下町東京、北海道など続いたものの、なかなか名古屋は出てこなさそうでしたので(これがいわゆる名古屋飛ばし……)、だったら自分で作ってしまおう! と思ったのがきっかけです。阿下から寄稿を依頼した先生方と、公募で収録を決定した方々の総勢14名の方にご参加いただきましたが、全員が名古屋出身や在職など、何らか名古屋に縁のある方々です。
《地方SFアンソロジー》、私も「北海道」までは買ってます。この『名古屋SFアンソロジー』も、そのシリーズだと思っていたのは内緒です(汗;)
『真子と鏡』収録作の「プラセンタ」は、ちょっとエグかったですが、女心のすれ違いが描かれていて面白かったです。最初は、イヤミスかと思って読み始めたら、真摯な百合小説だったので驚きました(汗;)
まあ、動物は後産を食べますからねぇ。←他の動物に食べられたら怒るだろうなあ。
ちょっと、湊かなえ先生を思いおこすところもありました。
湊かなえ先生のお名前を引いていただけるとは、望外の喜びです。
イヤミスであり百合小説でもあり、というところを目指し、気持ち悪いけれども底の方には美しさもある、と少しでも感じていただけるように、と願いながら書きました。
東京銀経社アンソロジーに収録いただける内容だとは思っていなかったので、編者の九頭見様の懐の深さに感服しました。また、本来アニマ・ソラリス様にも取り上げていただける分野ではないと思いますので、大変恐縮です。。
九頭見さまは、かなり幅広く読まれている方だし、SFも本来なんでもありですし(笑)
アニマ・ソラリスも、BLSFを載せてます。「アイを受けとるもの」を読ませていただき、、ナナちゃん人形が、いかに名古屋で愛されているかよく分かりました。私は、一度しか見たことはないのですが(汗;)
信者が居なくなれば神は死ぬとも言いますから、反対に愛している(必要としている)人が多いので愛を返す存在になれたんだなぁと思いました。
実は「アイを受けとるもの」も、百合小説を目指して書いたものでした。
怪獣×ナナちゃん人形×人間の三角関係異類百合小説です。
名古屋駅を歩いていると、ナナちゃん人形が自然と街に溶け込んでいて、強く意識せずとも「当然そこにいる存在」として愛されていることを感じます。
名古屋駅の再開発が二転三転していますが、渋谷のハチ公や、上野の西郷さんのように、今後もずっと名古屋にあり続けてほしいと願っております。
えっ、「アイを受けとるもの」も、百合小説だったとは←修行が足りませんね(汗;)
『白亜の島の主の恋(変愛時間SFアンソロジー)』の冒頭に収録されている「百年の嘘、千年の恋」は、百合系の切なくも真摯な恋物語。まず題名が出来たそうですが、どういう経緯で思いつかれたのでしょうか。
結末までに、二ひねりくらいしてあるSFで感心しました。
念頭にあったのは、島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』、 光瀬龍『百億の昼と千億の夜』です。どちらも詩情あふれるタイトルで、とても憧れます。
時間SFというテーマでしたので、なるべく長い時間を超えられるようなものを、と考えました。
千年も恋するような、強くこじれた感情を描けていればよいのですが。
『Lily Monstrum~怪獣×百合アンソロジー~』は、気がついたときには在庫なしで(汗;) 表紙の怪獣の手(?)が、今放映中のアニメ『乙女怪獣キャラメリゼ』(百合ではないけど)の主人公の少女が変身する怪獣の手に良く似ていて、気になる(汗;)
「怪獣と約束」も、どんな話か気になります。
雀部様のアンテナが凄まじく高性能ですね。。
『Lily Monstrum~怪獣×百合アンソロジー~』は突き抜けて豊潤なアンソロでした。表紙も内容に負けず豪奢かつ絢爛で、本当にこの値段で大丈夫?と驚いたものです。
「怪獣と約束」は、実在する怪獣という存在を、虚構のものとして世界が認識するよう隠密行動をする忍者(くノ一)たちが主人公で、怪獣を亡き者にするという運命に翻弄される二人の忍者の物語です。もしお手に取れる機会があれば是非。
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カクヨムで、作品を読ませていただいたのですが、やはり一番好きなのは「あなたの声だけ聞こえない」(『ペンギンSFアンソロジー』収録)。コウテイペンギンが鳴き声だけで、自分の雛とかツガイを識別しているという科学的事実から、このような切ない物語が生まれるとは。性別・種族を超えてしみじみと感涙してしまいました(泣;)
ペンギンSFアンソロジーも(内容的にも物理的にも)重厚なアンソロジーで、参加させていただけたのは僥倖でした。自分なりに尖ったペンギンSFを書いたつもりでしたが、もっととんがったものがわんさか掲載されていて、とても面白かったです。この頃から、人間以外の百合を書くことが増えていったような気がします。『「ヒト×ヒト」以外百合アンソロジーOmnis』というアンソロジーに薔薇園×ヒトの百合を掲載いただきました。
薔薇園×ヒトの百合という「赫く咲いて、散る」読ませていただきました。薔薇すら飛び越えて薔薇園なんですね。トゲと出血が唯一の「繋がり」、それでも理解し合えたのでしょうね。切ない……
単体の生物ですらなく、群体で方向性のある情愛を持っている、という構図が美しいのではないかと自画自賛しながら書きました。人と人との間の情念も深く貴く美しいのですが、無数にあるはずのもっと他の美しいものを探していきたいと思っています。
『ドス黒百合アンソロジーリスノワールズ』収録の「三人の季節」読みました。
研究室内の見えないヒエラルキーが面白い。
黒いけど、あんまりどす黒くはないような気がします(汗;)
「ドス黒」というと、「プラセンタ」のような話が多いのでは、と思い、あえて静謐な漆黒の世界を描いたのですが、蓋を開けてみれば「プラセンタ」以上にグロくてナンセンスな作品も多く、『リスノワールズ』もとんでもないアンソロでした。。
『Omnis』は編集のお手伝いもしたので、全作品を3周くらいしたのですが、読むたびに嘆息するほど素晴らしいアンソロです。自作以外にもすべて太鼓判を押します。
どちらもお気に入りの百合です。
「恋は超新星爆発」(善之新)がもの凄いですね。「天体生物学の歴史と最新動向」という論文が挿入されているんだけど、なんじゃこれは(笑) ジョン・ヴァーリイの「ブラックホールとロリポップ」を超えるとんでも作品に出会えるとは(嬉)
作者の善之新さまは、『ドス黒百合アンソロジーリスノワールズ』編者の善之新さまですよね?
そのとおりです。善之新さんはとんでもない書き手であり編者なのです!
『Omnis』の小野繙さんと『リスノワールズ』の善之新さん、このお二人は阿下が絶大なる信頼と畏敬の念を抱いている書き手であり編者です。
大注目していただくべきお二人です。
カクヨムに戻りますが、「みらいのふくのみらい」は『カエアンの聖衣』のようなワイドスクリーンバロックになるのかと思いきや、森奈津子先生だったとは。ちょっと意外(汗;)
百合小説の「出来不出来」は、「プラセンタ」系列のちょっと怖いお話。女の人の考えが分かることは永久に無さそうです(汗;)
あと、好きなのは、音楽ものの「いまは遠く聴こえる歌」と「ネコヤナギの刺青」。ここらあたりはオールドSFファンにも刺さる作品だと思います。
なんと、そんなに網羅して読んでいただき、誠にありがとうございます。短編ばかりとはいえ、深く深く首を垂れて感謝申し上げます。「みらいのふくのみらい」は連作フラッシュフィクションという形式を意識して書いたものです。一つ一つが独立して楽しめて、かつ一冊まとめて読むと大きな仕掛けが現れてくる、そうした趣向の凝らされた連作短編集が大好物で、ミステリでは数多く名作があるのですが、いつかSFで挑戦してみたいです。
そうこうしていたら、第二弾の『名古屋SFアンソロジー 名古屋以外全部沈没』の企画が進んでいるようですね。
『名古屋SFアンソロジー』第二弾にまで触れていただき、大変ありがとうございます。新たな寄稿者もお迎えし、さらに濃く熱い一冊にまとめていきます。注目していただきたい「名古屋」がまだまだたくさんありますので、どうぞお楽しみにしてください。2027年5月頒布予定です。
新アンソロジー、首を長くして待ってます(笑)
今週末、名古屋近郊の五色園で開催されますダイナ☆コンにて、名古屋SFアンソロジーに関する発表を十三不塔先生としてきます。
各所で取り上げていただいて、大変ありがたいことです。
まさにご寄稿いただいた皆さんの素晴らしい作品のおかげです。
おお、既に具体化しているのですね。楽しみです!
萬朶維基さんのご活躍は、古賀コン6にて裕人賞を受賞、第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテストおよび日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2025では最終候補選出、久乙矢、ハギワラシンジ、小林猫太との共著「点描二〇四七」がwebSF雑誌「anonpress」に掲載、また『名古屋SFアンソロジー』でも収録され、アマチュア・プロ両方から熱い視線が注がれています。
萬朶さまは、初めまして。今回のインタビューが初めてということで、よろしくお願いいたします。
こちらこそ、このような機会を設けてくださり光栄です。拙い返事になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
『名古屋SFアンソロジー』に収録されている「ヴァイパーインフレーション」は、SF的な設定と戦国時代の歴史がレイヤーになっていて、凝っているなぁと。特に、“AIが古文書を「読む」のではなく、ユーザー自身が「読める」ようにAIが脳を支援するのだ”という、SFならではの発想の転換には驚きました。「蛇検知理論」と文字習得のメカニズムの結びつきもそうですが。
ありがとうございます。以前から蛇検知理論には興味があり、これで梅原克文さんの『カムナビ』のような伝奇SFを書けないものかなと思っていました。それで古文書に書かれていた化け蛇が現代に現れるという話をぼんやりと考えていたのですが、名古屋に蛇池公園というのがあるのを知り、そこを繋げることで本作の骨格が出来上がりました。
目指すは『カムナビ』ですか、読ませてもらいわかる気がします!
調べたら実際に「くずし字認識アプリ」なんてものもあって、世間から置いてかれてるのを実感(汗;)
去年、ちょっと興味を持って『龍体文字の神秘』を読んでいたので、そっち方面からの興味もあって、面白かったです。
実をいうと、一オカルトマニアとして名古屋といったら、どうしても熊沢天皇か大石凝真素美を登場させたいなと思っていました。しかし後者があまりにもマイナーな人物なので、なんとか神代文字を通して無理やりに出せないものかとこじつけた結果、こんな変な話になってしまいました。
これ、続きはないのでしょうか。すごく気になります(汗;)
自分はオチを最初に考えて、そこに収束するように話を組み立ててるので、続編の構想はさっぱりなんですけど、やはりラストのブレイクスルーから世界がどう変貌するかはじっくり考えてみたいですね。かなり壮大になってしまいそうで手に負えなそうですけど……
オチの収束に向かって進んでいくのですね。でも、変貌した世界、見てみたいです!
以前に読んだ作品だと、「コンスタンティノープルのドンペンコーデ」(『ペンギンSFアンソロジー』収録)は、ばっちしギャルコーデ決めた主人公が生成AIの手違いで「ドン・キホーテ」の世界に転移してしまう話。ギャル文化と中世ヨーロッパへの愛がたっぷりと詰まっていて、知識量の豊富さに煙に巻かれた感があって素敵です(笑)
ありがとうございます。「コンスタンティノープルのドンペンコーデ」は実は初めて書いた本格SFで、すべてが手探りで仕上げるのにかなり苦労しました。しかしこの苦労があったことで、自分の書きたい物語というものの輪郭が掴めた気がします。
『吾輩は火星人類である』は、「吾輩は猫である」のスタイルで、ウェルズの『宇宙戦争』を火星人側から描いた作品。
漱石が『宇宙戦争』を書いたらこうなるかも知れないと思わせるストーリー展開が面白いです。アニマ・ソラリスでも、初代編集長の-卓-さんが、『宇宙戦争』の翻訳を連載していたのでなじみ深いし。
これは「AIの力を借りたらどこまで行けるかな?」という試みのもとに書いてみたんですけれど、最終的にやっぱり細かい部分は人間の手によってかなり修正しなきゃいけなかったので大変でした。AIの得意不得意が何なのか、この経験でおぼろげながら掴めた気がします。
noteの中だと『アポカリプス・オブ・ザ・キラートマト』が出色。題名はたぶん映画の「アタック・オブ・ザ・キラートマト」から(一時カルト的な人気があった)。
《ネアンデルタール・パララックス》シリーズに、黙示録的な幻覚を見せる遺伝子というネタがあった気がします←未確認です(汗;)
人の脳の味覚領域に量子通路があるが、それをトマトの成分がブロックするという力業のアイデアに目を見張りました。
こればっかりは何でこんな話思いついたのかも自分でわかんないんですよ……たとえ思いついたとしても筋の通った話になるのかどうかは別問題なので……このあたりを上手く出来る人になりたいです……
割とよくうかがう話ですけど、色んなネタが熟成されて気がつかないうちに面白いアイデアになると……
「御冷ミァハ vs. ゲーム脳」は、『ハーモニー』(伊藤計劃著)と『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄著)に関する考察。『暗黒の城』(有村とおる著)は著者インタビューやってますし。
なるほどと納得できる部分が多くて困りました(汗;)
ありがとうございます。こういう評論は小説よりも書きやすいのでもっと書こうと思ってるんですけど、このネタは小説に使えるかなと思って結局書かなかったり、難しいところです……
丁寧に読んでくださり本当にありがとうございます。この作品ですが、伊藤計劃さんの諸作品の他に、佐藤究さんの『幽玄F』に強い影響を受けて書いた話です。この作品が過去の作家が使ったモチーフを一度バラバラにして、現代を舞台に再び組み立て直すことで今の時代を理解する共通文法を作ってみせたように、伊藤計劃を一度バラバラにすることで今を語り得ないかと自分なりに考えて書いてみました。烏滸がましいにも程があるのですが、せっかくの応募作なので、うんと背伸びをしてみようと思って作った作品です。ただもっと練り直せるんじゃないかと、本作の長編版を考えていたりします。
秋待諷月さんは日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2024で「花が咲いた日」にてさなコン賞(最優秀賞)を受賞。第16回、17回創元SF短編賞一次選考通過、カクヨムコン8では九頭見が660超の作品の中から優れた作品を選び出す企画にて秋待氏の「不老不死の窓口」を選びました。また、名古屋SFアンソロジーでは「お前の血は何味噌だ」で巻頭掲載。カクヨム「戦うイケメン」中編コンテスト最終候補(透峰零との共同執筆)選出、web自主企画「ペンギンSFアンソロジー」主催でもあります。
『不老不死の窓口』、『ウェザーカレンダー』に続いて三冊目の短編集『テレポートターミナル』が出ましたね。BOOTHでの販売はまだでしょうか。
新刊までチェックしてくださりありがとうございます!
SF短編集第三弾『テレポートターミナル』は、2026年11月8日開催の文学フリマ東京43で販売し、 そこで売り残れば11月中旬からBOOTHでの通販を行う予定です。
もしも通販での購入を希望される場合、事前にお知らせいただければ、その冊数は確保しておきますのでお気軽にお申し付け下さいね!(宣伝)
『東京銀経社アンソロジー 真子と鏡』収録作の「生き急ぎの幽霊」はちょっと変わったタイムマシンもの。格納した物体の時間をスキップする機器(未来へのタイムジャンプ)が保存全般に利用可能というのは、まだ想像の範囲内だったのですが、次に製品化されたのが人間を未来へと送る装置で、暇な時間をこまめにスキップすることで寿命を延ばす効果が得られるという。
このあっと驚くアイデアは、どこから思いつかれたのでしょうか。
冒頭のエピグラフから分かるように、「生き急ぎの幽霊」は、私が大好きな児童文学作品であるミヒャエル・エンデ著「モモ」をリスペクトした作品です。
「モモ」には「時間どろぼう」という詐欺師まがいの悪役たちが登場するのですが、彼らは狙った人々に時間の節約、いわゆる「時間貯蓄」を促すことで、その人の時間を奪ってしまうんです。
この「時間貯蓄」を、ファンタジーではなくSFで再現するとどうなるか、と考え始めたのがきっかけでした。
時間を財産のように貯めるためには、日々の生活の中で可処分時間を生み出し、さらにそれを「消費せずにとっておく」必要がありますよね。
じゃあ、それを実現するためにはどんな機械や現象があればいいのか?という思考実験が、「生き急ぎの幽霊」のスタート地点となっています。
なるほど、そういう「思考実験」から生まれてきたのですね(ポン!←膝を打つ音)
情報過多時代の昨今の若者は「タイパ」といって、無駄なことに時間をかけることを嫌いますから、この「時間貯蓄」が浸透した世界を描く物語は、まさにタイムリーだと思いました。
まあ、私も録画した深夜アニメを二倍速で視聴してるので、アニメと漫画が大好きな孫娘から「アニメに対する愛が足りない!」と言われてますけど(汗;)
字数の都合上省いてしまったのですが、当初は主人公である女子高生・モモの目線を通して、時間の節約にはまってしまう若者たちの姿を生々しく描こうと考えていました。
現代社会では「時間が足りない」と思っている方が多数派だとは思うのですが、中には「やることがない」「時間を持て余している」という人もいると思います。後者のような人々であれば、その持て余した時間を「節約」しようと考えてもおかしくはないのかな、と。
そういうことであれば、もっと長いバージョンも読みたいですね。
この作品は元々創元SF短編賞に応募したものでして、応募規定字数に収めるために、話を当初のイメージから削りに削っているんですよ……。
兄妹のペットのカメ(=エンデの「モモ」に登場する重要キャラ)が出てくるシーンを二千字くらい書いていたのですが、ばっさり切っちゃいましたし。
クライマックスも、主人公がもっと派手な大立ち回りを演じる予定だったのを大幅に変更しています。
倍くらいの字数に膨らんでしまうかもしれませんが、機会があったらロングバージョンも形にしてみたいですね。
ちなみに私も、アニメを二倍速で見るのは邪道派です(笑)
ま、邪道であるとは認識してます(大汗;)
ラストの放射式クロノマシンを使ったアイデアには、大変感心しました。なななな~んと、そんなトリックだったとは(驚)
やはりこの作品の肝は「クロノマシン」ですので、一番の盛り上がりどころはどうしても、このガジェットを活かしたくって。
放射式クロノマシンは後出しのように登場させてしまったので、ちょっと苦しかったのですが……楽しんでいただけたなら良かったです!
懐中電灯を振りかざして啖呵を切るモモのシーンはお気に入りです。
クロノマシンという設定を、兄妹ふたりとも、ミステリで言うところの偽の手がかりとして使うところが見事にシンクロしてますね。いやはやここだけでも、読んで良かったと思いました(笑)
ありがとうございます! 「生き急ぎの幽霊」はエンターテインメント性を意識しているので、読者がハラハラワクワクできるようなストーリーになっていたなら嬉しいです。
秋待さん、味噌と血液型を結びつけた発想はどこから来たのでしょうか?
名古屋SFの発端となった阿下さんの件のポストに対して私が反応したところ、 当時はまだほとんど交流がなかった十三不塔先生から「秋待さんもしかして彷徨える名古屋人なんですか?」とメッセージがあり、対して私が「血は赤味噌でできています」と答えたのが始まりです。
その後名古屋SFに寄稿させていただける運びとなりまして、じゃあ本当に血を味噌にしてやろうじゃないか!という……。
我ながらインパクトが強いタイトルになったと自負しているのですが、このタイトルに対するみなさんの第一印象などありましたら、ぜひ教えて欲しいです(笑)
バカSFとハードSFのどちらが得意ですか?
バカSFですね。どちらが得意というより、ハードSFが書けないので……。「お前の血は何味噌だ」は徹頭徹尾バカSFのつもりで書きましたが、「生き急ぎの幽霊」は大真面目に書いていながらバカSFと評されてしまったので、根本的にバカSF脳なんだと思います。
許されるなら「ソフトSF作家」を名乗りたいところです(笑)
実は自分は「何味噌」を全然バカSFとしては受け止めていなかったので、バカSFの傑作、みたいな評価のされ方は心外だなぁと思っていたのですが、作者本人がしっかりバカSFと言い切っているので、バカSFだったのかあ、とひそかに落胆しています(笑)
バカSFを書くには、コアSFのことをよく知らないといけないので、SF界隈ではとっても褒め言葉なんですよ(笑)
ハードSFでもイーガンの『宇宙消失』とかは「多世界解釈ネタ」だけで突っ走って、窮極のバカSFになってるし、ベイリーの『時間衝突』は反対方向に進む時間が衝突するというトンデモネタだし(笑)
かつて、《SFバカ本》というアンソロジーが数冊組まれたこともあります。
あ、「天体生物学の歴史と最新動向」も相当なバカSFの傑作だと思いますよ(笑)
そう言えば、『名古屋SF』に収録された七名菜々さまの「人鳥たちの四半世紀天下」もインタビューの際に「画に描いたようなバカSF」であるとか「バカSFは、とことんバカに振り切ってしまった方が面白い」とかで大いに盛り上がりました(笑)
その七名さまのペンギン文学全集『ぺんぺんぺぺぺんんぎぎんぎ』が運良く買えたので読ませて貰いました。
どれこれもペンギン愛に溢れた作品なのですが、その中でも「Journey of the 5 dollar」が大好きです。この作品、実はペンギンが主人公ではないのですが、導入部がペンギンが印刷されたお札があるということで、ググってみたら、本当にありました(笑)
ひょっとしたら、このお札の存在が、この物語を思いついた切っ掛けになったとかはあるのでしょうか。
『ぺんぺんぺぺぺんんぎぎんぎ』のお買い上げありがとうございました!「Journey of the 5 dollar」は本書のために書き下ろした作品なので、気に入っていただけてうれしいです。
私は現存ペンギン18種(※諸説あり)を全種書くことを密かに目標にしているのですが、本作はキガシラペンギンを出すために書いたお話です。
全種書く、と言ってもただ種名を出すだけじゃなくてちゃんとそのペン種らしいお話を書きたいと思っているのですが、キガシラペンギンを題材にするにあたって「ニュージーランドの5ドル紙幣に採用されている」という事実をネタに利用しない手はない!ということでできたのがこの作品でした。動機の順序がデタラメですね(笑)
結果としてペンギンの登場は控えめの作品にはなってしまいましたが、キガシラペンギン主題の作品でしか書けないお話になったのではないかと思います!
一番好きなのは、最後のオチのところなんですよ。肝っ玉母さんの遺伝子を受け継いだ娘とダメ親父の未来に幸あれ(笑)
ありがとうございます!
この作品は絵奈の視点で描かれているのできっと絵奈を応援する気持ちで読んでくれている方が多いんじゃないかと予想しているのですが、実は父娘が出会ったことによって救われたのはむしろあのダメ親父の方なんじゃないかと思うんですよね。この出会いがなければ彼はあのまま偽札作りで燻ったまま人生を終えていたでしょうから。
父娘の人生がこの先交わることがあるかどうかは分かりませんが、それぞれの道で幸せに生きていってほしいと私も願っております!
救われたのは父親の方というのは、全く同意します(笑)
萬朶さんは、なぜ蛇池に着目したのでしょうか?
まず名古屋でSFみたいな場所って何処だろうかなといろいろ考えた時、思い出したのが作中でも登場している椎名高志さんの『MISTERジパング』の蛇池のエピソードです。怪異に対して科学的な決着をつけるってSFだよなって思いまして。しかしただ大蛇を出すのも面白くないなってことで、小川哲さんの「七十人の翻訳者たち」みたいに、怪異が科学によって現代に現れたら良いよね?ってなり、本作のような形になりました。
今後も歴史SFでいくのですか?
こういうこと言うとヤバい人と思われるかもしれないですけど、自分は歴史SFというより陰謀論SFのつもりでいつも書いてます。
「この世界にはバラバラに見えることでも隠された繋がりがある〈星座〉が存在し、その埋もれている〈星座〉をいかに地層から掘り起こして天空に還すか」というのがSFのみならず物語というものの本質なんじゃないかと薄っすら思っていて、今の世の中は人を惑わす「闇の陰謀論」ばかりだけど、世界をパッと切り開く「光の陰謀論」としての物語もあるんじゃないかと模索してたりします。
自分はそんな大層なことを言える人間じゃないですけど、その高みに到達したい!辿り着けるかどうかではなく向かう努力をしたい!というモチベーションで執筆を続けています。
「光の陰謀論」とは言い得て妙だとおもうのですが、萬朶さまが「光の陰謀論」として認定している物語はあるのでしょうか。
方法論として一番意識しているのは山本弘さんの作品ですね。『神は沈黙せず』みたいな既存の陰謀論よりも強い陰謀論を出現させることで、陰謀そのものから心が自由になれるような作品を目指しています。
山本弘先生の作品でしたか。そういえば伊藤計劃先生と山本弘先生、お二人とも亡くなられてしまい残念至極です。
陰謀そのものから心が自由になる作品、楽しみにお待ちします!