「彼女がエスパーだったころ」宮内悠介著、小説現代2013年3月号所載

小説現代2013年3月号書影宮内さんは、Twitterで、“ちょい病みエスパー女子が男どもを振り回す内容で、ドキュメンタリーで、そして疑似科学シリーズの二作目。なんだそりゃとは自分でも思います。”と書かれてますが(笑)
ちょっとビターな大人の恋愛譚で、考えながら読んでしまいました。美人でスプーンが曲げられる若い女性が、超能力懐疑派の物理学者と結婚するが……というお話。私を含め、世間の人々は多かれ少なかれ何回か苦い涙をこぼしているはずですね。
巻末の近況報告に“スプーン曲げを覚えようと教則DVDを買ったが手つかず”とあって、爆笑。
関係ないけど、西村京太郎先生は、入れ歯制作中だとのこと。しかし、歯科医からするとコメントが意味不明だなぁ。“面白い医者で入れ歯を使う本人より奥さんの方が変な顔に見えるから一緒に歩きたくないという。だから奥さんの気に入るように作るのだそうだ”。う~ん???

『原色の想像力』大森望・日下三蔵・山田正紀編集

書影岩郷重力+WONDER WORKZ装幀
2010.12.24発行
東京創元社
1100円
ISBN-13: 978-4488739010


収録作:
○高山羽根子「うどん キツネつきの」(第1回創元SF短編賞 佳作)
変な小説です。生まれたてのヘンテコな仔犬を拾った三人姉妹の日常を描いた作品。題名もヘンテコですが、読み終えると正に題名通りの短編だったことに驚くという……(笑)読み返さないとわからない伏線が多々あるので、二度読みは必須です。
昔のニューウェーブ作品で、パミラ・ゾリーンの「宇宙の熱死」という短編がありまして、上下二段組みで、片方に熱力学法則を、もう片方に普通のオバサンの日常生活が書いてあって、その対比というか相関具合が格好良かった。

この「うどん キツネつきの」は、その片方(日常生活部分)だけを取り出した短編だと考えると、我々オールドファンにはわかりやすい(笑)
つまり、二度目は解説部分を補完しながら読むんですな。うどんと名付けられた仔犬の出自とか、どうやって地球にやってきたか、どういう生命体がどんな文明を持っているかとか、どこに説明を持ってくるかも考えながら読むとまた面白いですね。
基本的には『スター・トレック モーション・ピクチャー』のボイジャーを送り返してきた機械生命体が、何年後かに地球を訪れるみたいな話という理解で良いのかな?(笑)

○端江田仗「猫のチュトラリー」
人間を介護するロボットに猫の鳴き声を日本語に翻訳するソフトを入れたら、ロボットが捨て猫を拾ってきて、あまつさえその猫を人間扱いするようになった……。人工知能におけるコミュニケーション問題を、最愛の妻を亡くした男性と亡き妻の母親のコミュニケーションに投影した洒落た短編。まさに、古い酒を新しい革袋に入れたような。

○永山驢馬「時計じかけの天使」
「いじめ」問題解消のために文科省が法案化したのは、「いじめ対象型アンドロイド」の導入だった。ということで、いじめにあっている堂島百合の通っている学校に、転校生がやってきた。作者が頭の中で何度もシミュレーションして書いたと思われる、そのアンドロイドと思われる転校生が来てからの学校生活の描写が面白い。周りの人間が人間だと思えば、それは人間であるということを、作者はいじめ問題を通して書きたかったような気がしました。

○笛地静恵「人魚の海」
光砂により巨大化する瓢箪島の女達を巡る冒険譚←じゃなくて、巨大女性に対する憧れを描いた短編ですよね。で、この巨大女性ってのは、幼稚園とか小学校低学年のころに、女先生に対する憧れを抱くことがあるじゃないですか、母親以外の女性を初めて異性として意識する頃が。幼稚園児にとって先生というのはとても大きい存在じゃないですか。その感性を大人になっても持ち続けられている作家の方なのかなと思い読み直すと、面白かった。本当のところはよく分からないけど(笑)

○おおむら しんいち「かな式 まちかど」
ひらがなが一個ずつ自意識を持った世界の話(二次元の世界)。字面を見た印象だけで性格付けしてあり、これが爆笑もの。まあ読んで納得のこの性格設定だけでも傑作です(笑)こじつけもあるけど、なるほどそう来たかとニヤリ。かんべむさしさんが昔書いた傑作と言われたら信用しちゃうな。←あ、お名前がひらがなだ(笑)

○亘星恵風「ママはユビキタス」
唯一の宇宙(?)SF。実質的な登場人物は世代型宇宙船に一人だけ生き残った少女の話なので、「リスの檻」的小説といっていいかも。広く薄く遍在するママのイメージに、ちょっと頭がクラクラした。元々の設定は、『ヴァレンティーナ』とか『そして人類は沈黙する』とかのWeb上に遍在するAIなんだけど、それとママと「彼」の愛、主人公と「母さん」の親子愛を結びつけたところが非常に上手く書けてる。また、脳をシミュレートすると一万年かけて、やっと一時間を生きた気がするというところも、SFファンにはたまりませんなぁ(笑)

○山下 敬「土の塵」(第1回創元SF短編賞 日下三蔵賞)
ひょっとして作者は理系版「たんぽぽ娘」を書こうとしたのかな。切ない恋心は良く出ているんで、タイムスリップ・ロマンスがお好きな方にはお薦め。タイムトラベルに関するところは色々工夫されていて面白いんだけど本当に、書きたかったのは主人公と“まりあ”のロマンスなんじゃないかなぁ。

○宮内悠介「盤上の夜」(第1回創元SF短編賞 山田正紀賞)
インタビューがあるんで、よろしくお願いします。
SFファンには、囲碁版『歌う船』と説明しておこう(笑)
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/120801.shtml
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/120901.shtml

○坂永雄一「さえずりの宇宙」(第1回創元SF短編賞 大森望賞)
エッジの効いたカッコイイ作品。よく分からないけど、なんか凄い(笑)円城塔さんの短編に似た雰囲気のものがあった。オールドファンには、石原博士の『宇宙船オロモルフ号の冒険』の、よく分からないけどなんか凄い闘いが行われている感を思い出していただければ、あながち外れてはいないと思います(笑)

○松崎有理「ぼくの手のなかでしずかに」(第1回創元SF短編賞 受賞後第1作)
こちらもインタビューがあるので、よろしくです。
変てこな、でもリアリティのある科学者を書かせたら、松崎さんの右に出る者無し(笑)
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/120201.shtml
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/120301.shtml

●第1回創元SF短編賞 最終選考座談会 大森望・日下三蔵・山田正紀・小浜徹也

『マンガのあなた SFのわたし』萩尾望都対談集

『マンガのあなた SFのわたし』’12/2/28、河出書房新社、1400円
1970年代編
第1章 手塚治虫「SFマンガについて語ろう」’77 別冊新評
第2章 水野英子「私たちって変わり者かしら」’76 月刊mimi
第3章 石ノ森章太郎「SFの話は延々尽きない」’77 月刊マンガ少年
第4章 美内すずえ「親愛なるモー様へ」’78 ガラスの仮面フェスティバル
第5章 寺山修司「月で修学旅行の案内係」’77 モンブラン
第6章 小松左京「絵の理想型とは?」’77 クエスト
第7章 手塚治虫+松本零士「マンガ、SF、アニメーション」’78 月刊リリカ増刊号
第8章 羽海野チカ「全部、萩尾作品から学びました」語りおろし


 漫画家との対談では、私らの年代では、手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生との対談がやはり面白いですね。原稿料を稼ぐためとかの身も蓋もない話もでてきたりして(笑)
 SF的には、かなり古くからのSFファンであられるようで、海外作家でお好きなのが、レイ・ブラッドベリとかアシモフとか、クラークとか。
 日本作家だと、光瀬龍先生かなと思っていたら、一番お好きなのは小松左京先生だった。コマケン会員としては喜ばしい限り(笑)

「本の雑誌 346号」

本の雑誌 346号特集=早川書房に行こう!
突撃ルポ●おじさん三人組、大森望氏と早川書房に行く!
東京創元社編集部が選ぶ私の偏愛ハヤカワ本!
早川書房社史濃縮版 立志篇~疾風怒濤篇
早川書房OB翻訳者列伝
座談会●早川書房入社試験問題をつくる!
イラスト:coco


「本の雑誌 346号」目次 ということで、SFファンにはお馴染みの早川書房襲撃篇(笑)
 なんたって凄いのは、東京創元社の編集部員に「偏愛ハヤカワ本」を聞いている。恐るべし「本の雑誌」編集部。次回は、ぜひ反対のパターンをお願いします(早川編集部に東京創元社の偏愛本を聞く!)
 石亀さんの選んだのは、ブルース・スターリングとフォレスターから一冊ずつ。佐々木女史は、ロアルド・ダールとジャック・ヒギンズ。古市女子は、カポーティとレジナルド・ヒルとナンシー・クレス。古市さんは、偏愛本の引き合いに波多野鷹氏の『都市に降る雪』を出してくるなど、かなりのマニア。←歳が分かるかも(笑)
 恐るべし東京創元社編集部。

『グイン・サーガ・ワールド 4 』栗本薫・久美沙織・牧野修・宵野ゆめ・今岡清著/丹野忍カバーイラスト/天狼プロダクション監修

〈グイン・サーガ〉ワールド4

’12/2/15、ハヤカワ文庫JA、660円
久美沙織「星降る草原」
牧野修「リアード武侠傳奇・伝」
宵野ゆめ「宿命の宝冠」
栗本薫「スペードの女王」
《グイン・サーガ・ワールド》第一期は、この4巻にて終了。
《ペリー・ローダン》シリーズのようにして欲しい気もあるし、もう止めたらという気もあるヽ(^o^;)丿


右の写真は、宵野先生に頂いた本書の中のサイン。ありがとうございました。「宿命の宝冠」は、語り尽くせぬ思いがあふれ出た好短篇。たぶん、宵野先生は、一冊全部を使い切って書きたかったんじゃないかなと思う。お気に入りの遊学生タム君の活躍も少なかったし(笑)
故に、駆け足感は否めないものの、それを補ってあまりある情熱のほとばしりに圧倒されました。
久美沙織先生の「星降る草原」は、一番外伝らしい外伝というか、安心して〈グイン・サーガ〉ワールドに浸れます。
牧野修先生の「リアード武侠傳奇・伝」は、ちょっとSFを感じました。これまで牧野先生の作品からSF味を感じたことは無いのですけどねぇ。ファンタジイの世界に科学を持ち込むところなどは、ポール・アンダースン作の「大魔王作戦」にも通ずるものがあるように思います。グインも、豹頭を取られてしまって、ただの人になっちゃうし(笑)

『聴いたら危険! ジャズ入門』田中啓文著

’12/2/10、アスキー新書、743円
 私自身、ジャズに詳しいわけでも(というか素人同然)ないのですが、診療室のBGMとして、スカパー「STATION 400」のMODERN JAZZを流しているので、興味を引かれて買ってみました。まあ、著者がインタビューさせて頂いたことのある田中啓文先生であったというのも大きいですが。フリージャズについては、ほとんど知らなかったので面白かったです(紹介されたアルバムでは2枚くらいかなぁ、持っているのは)大学時代、同級生にジャズ好きが居て、その影響でチック・コリアとかオイゲン・キケロとかのアルバムを聞いてました。
各演奏家の紹介の仕方が面白く、どれも聞きたくなってくるのが困りもの(笑)田中先生の小説と似ているというファラオ・サンダースとゴジラ級の大怪獣だというマッツ・グスタフソンのCDを取りあえず注文(笑)

『GOOD DAYS』難波弘之プロデュース

アルバム「good days」写真at cafe & driving

“子供達の未来のための音楽レーベル「フクシマレコーズ」1stコンピレーションアルバム”

収益の一部を、何かと風評被害もある福島の復興のため、子供達の将来の安心・安全のための基金に組み入れていく長期的なプロジェクトということです。ぼんやりしているうちに、もう3rdアルバムも出ました(汗;)

 難波弘之さんは、歳も近く、元ファンクラブメンバーとしては、大いに応援しております。2枚とも、主に診療室のBGMとして流しております。フクシマレコーズのホームページは以下

http://www.fukushimarecords.com/lineup/index.html

『ざぶとん太郎 空をゆく!』かんべむさし著

『ざぶとん太郎 空をゆく!』かんべむさし著、芳井一味カバーイラスト『ざぶとん太郎 空をゆく』
’89/11/30、ペップ出版、1200円
 小学4年生の大河内太郎は、有名塾での授業中、座禅で精神を統一していた。それを陰険な教師が寝ていると邪推し、一騒動。実は太郎は元々落ち着きのない子供だったが、幼稚園児の頃に父親の教えで座禅を組むようになり、三昧境に達するようになっていたのだ。
 その後、座禅が出来る小学生としてTV出演した際に、幽体離脱が出来そうになるのだが……
 子供の変身願望をくすぐる児童書。かんべ先生自身もSF作家勘弁先生として登場(笑)
 出版元のペップ出版は、20世紀末につぶれてるんですが、このペップ21世紀ライブラリーは、そのラインアップが凄いです。一番手が、横田順彌先生、かんべ先生が三番手。以下森下一仁先生、堀晃先生、光瀬龍先生、豊田有恒先生、山田正紀先生(未刊)と続きます。
 この本は、かんべ先生の著作の中で唯一手に入らなかったため、図書館で借りて読むことが出来ました。児童書なので、図書館で生き残っている可能性が高いです。ちなみに、このシリーズの中では、堀先生の『地球は青い宝石』は持ってます(なんと密林では、9,790円の値段が^^;)

『華竜の宮』と「リリエンタールの末裔」、『SFが読みたい!2011年版』

『SFが読みたい!2011年版』で、国内編第一位になった『華竜の宮』。上田早夕里さんおめでとうございます。(^o^)/『華竜の宮』著者インタビューは、以下

「アニマ・ソラリス著者インタビュー」

このインタビューで語り切れてないこともあるんですが……

『華竜の宮』書影


一つ目は、SFマガジンのインタビューで初めて知ったんですが、和歌山県で発見された「ハテナ」という単細胞生物の記事が「魚船・獣舟」のアイデアの元になってるんですね。(分裂時に、片方は葉緑素を持つ植物型に、もう一方は口を持って動き回る動物型になる。動物型の方は、ある特定の藻類を取り込むと植物型に変異し光合成を行うようになる)
『華竜の宮』の中で、獣舟が「人ならぬもの」を産み出すところがありますが、これはSFファンとしてはとても納得出来るものでした。並はずれた環境適応能力を持つ獣舟が、地球上で一番成功していると思われる人類形態を真似るのは必然でしょう。それと、「ハテナ」と同じく、人間の肉を喰らうことによって、「舟型」から「人型」に変異することも。こういう裏に潜んだ設定を色々推理する楽しさも喜びでしたね。

もう一つは、『SFが読みたい!2011年版』の「SF総括座談会」で鏡明さんが言われている『華竜の宮』ラストに関する“やっぱり最後のあの一文はないと思う。それをなんとかするのがこれまでのSFだったから”という反発。う~ん、たしかに“これまでの”我々オールドファンの読んできたSFはそうだったのですが。ハインラインしかり、クラークしかり。私には、青澄の生き方そのものは、マキのニューバージョンに託されたと感じて、カタルシスを覚えたんですけどね。そういう面から言うと、ハッピーエンドと言えなくもないラストだと思いました。

結局のところ上田さんは、現代文明そのものはそれほど価値のあるモノとは思ってらっしゃらないのではないかという印象があります。小松左京先生あたりだと、人間は間違うかも知れないけれど人類の英知を結集すればそれを乗り越えていけると思われている感じがありますが、上田さんは、人間をそれほど高く買ってない感じを受けてます。特に最近のニュージーランド地震の報道のやり方などを見ていても、ちょっと虚しくなってしまいます。そういう現代文明に対する落胆を前提にすると、あのラストは、また違った意味を持ってくると思うんですよ。マキは思考回路が違うから、当然独自の《心》を持つと思いますし、人間よりは稼働年数も生存範囲も広そうな――しかし青澄に代表される人間の考え方に影響を受けた――思いやりの心を持った電脳意識体と、人間に由来する遺伝子から産み出された適応能力が極めて旺盛な擬似人間(遺伝子データ)。この宇宙に人類が確かに生存したという証として、確かに相応しい組み合わせかも知れません。
 今まで大半の現代社会は、環境を変えることによってその繁殖範囲を広げてきたわけですが、魚舟は自己の肉体を変えて環境に適応する能力が旺盛な人間由来の遺伝子を持った生物ですよね。その生物を、人間の欲望から無縁で、肉体的な弱さも持たない人間の良いと思われる面だけ備えた人工生命体が教育して完成する、新しい人類に、上田さんは最後の夢を託しているのではなかろうかと……

上田さんの最新作として「SFマガジン」2011年4月号に「リリエンタールの末裔」が掲載されてます。真っ先に、マーティンとタトルが競作した『翼人の掟』を思い出してしまった“飛行する”ことに拘った好短篇です。飛ぶことへの憧れと共に、上田さんが語りたかったのは、自分のやったことに責任を持つことの大切さなのではないでしょうか。

BL系『WEED』『WELL』木原音瀬著

実は、知り合いからSFぽい設定だからと言うことで『WELL』を薦められたのですが、うろ覚えだったので、購入したのが同じ作者の『WEED』だったという(笑)

『WEED』書影エリート医師の若宮と悪友・谷脇はある雨の夜、一人の男を拾う。一夜限りの刺激的な遊びと、男を無理やり弄んだ若宮たちだったが、一週間後その男・岡田と 偶然自宅で再会してしまう。さらに、あの夜以前にも若宮は岡田に出会っていたと告げられ…。こんなに求めたことはないから、どうしていいかがわからない。 そんな恋に出会ってしまった―。

本格的なBLの本を読んだのは初めてなのですが、なんか凄い……。支配vs被支配の関係が徐々に破綻していく様が見事に書かれていて、背中がぞくっとしてしまった^^;


『WELL』書影

ある日すべての建物が突然崩壊し、多くの人間や動物が死んだ。地上は灼熱の太陽と白い砂漠だけになった。地下にいて助かった幼馴染みの亮介としのぶは、食 べ物がなく酷い空腹に苦しんでいた。このままでは餓えて死んでしまうと焦る亮介に、「亮ちゃんが一緒ならいい」と言うしのぶ。亮介は苛立つが怪我をした身 では動けなくて…。―突如生と死に直面した高校生二人の、切ない愛の物語。

SF的にはそんな凄い設定はありません。読みどころは、ホロコーストもので語られるBL。極限状態における少年の心理の動きが鮮やかに書かれてます。極限状態を突き詰めてしまったために、ややLOVEの面のインパクトが薄れた感じがするので、個人的には、『WEED』の方によりショックを受けたのですが……。