月別アーカイブ: 2022年7月

藍銅ツバメ先生著者インタビュー関連

『鯉姫婚姻譚』藍銅ツバメ著、Minoru装画
2022.6.30、新潮社、Kindle版1584円
若隠居した大店の跡取り息子・孫一郎は、人魚のおたつに求婚されてしまう。諦めさせるためにも、おたつにねだられるままに御伽話を語る孫一郎だったが、次第にその心は変化していく。人魚と人間が夫婦として暮らせる未来はやってくるのだろうか……。
目次:
一、猿婿
二、八百比丘尼
三、つらら女
四、蛇女房
五、馬婿
六、鯉姫


ソフトカバー書影
『鯉姫婚姻譚』ソフトカバー、藍銅ツバメ著、Minoru装画・挿絵
2022.6.30、新潮社、1600円
ソフトカバー版の書影と、中扉の挿絵(下の方に次の頁の鯉の影が透けて見えてます)、表紙の鱗を模した装幀を並べてみました。


小説新潮2021年12月号小説新潮2021年12月号、特集:ファンタジー
日本ファンタジーノベル大賞2021決定発表:『鯉姫婚姻譚』(抄)藍銅ツバメ
選評:恩田陸、森見登美彦、ヤマザキマリ


『SCI-FIRE 2021』特集:アルコール
【目次】
★ゲンロンSF新人賞正賞 全作家の書下し
高木ケイ「進化し損ねた猿たち」
天沢時生「ナキオ」
琴柱遥「悪魔から盗んだ女」
榛見あきる「大学六年生。密造酒、泥酔オセロ、」
田場狩「酩酊」
河野咲子「みそかごとめく」
★謎のマイクロノベル「食パン小説」
食パンにかな文字をスタンプする―― 雑誌『小学一年生』ふろく「ドラえもんアンキパンメーカー」で、食パンが小説になった!?
北野勇作・飛浩隆・久永実木彦
★書き下ろしアルコール小説・酩酊編
佐川恭一「職、絶ゆ」、今野明広「恋愛レボリューション12」
★書き下ろしアルコール小説・酒怪編
久永実木彦「ガラス人間の恐怖」、吉羽善「或ルチュパカブラ」、
藍銅ツバメ「蛇酒なんて置いてかないで」
★書き下ろしアルコール小説・無重力
谷田貝和男「星を飲んだ話」、中野伶理「金魚酒」、揚羽はな「Pity is akin to Love」
★書き下ろしアルコール小説・禁酒法
進藤尚典「お酒かな」、常森裕介「酔いどれ探偵vs泥酔した容疑者たちvsアルコール検知器」、遠野よあけ「しゅ」
★書き下ろしアルコール小説・壺中天
井上宮「魔法博士と弟子」、稲田一声「掌の怨念」、名倉編「酒売りの少女(ディオニュソス・ガール)」、櫻木みわ「ジョッキー」
★高丘哲次「実録ゴッドガンレディオ VS. サイファイア抗争史」
遠野よあけ「ぼくがダールグレンラジオで果たしたこと」



「小説すばる」2022年4月号、873円
特集「メタバース最前線」
対談:藤井大洋×加藤直人
読切:麦原遼、吉羽善、
「Niraya」藍銅ツバメ
自らの身が焼け、激しい痛みに駆られても、彼は声を発しない。罪人・嵯城はその刑期の中で、〈メタバースの地獄〉での校正プログラムを受けていた。
中国の伝奇小説でもある「杜子春」をベースにしたと作者が語る独自のメタバースSF。


『小説新潮』2022.6月号
特集:オンラインゲーム『文豪とアルケミスト』の世界。2021年に生まれた作家たち。
座談会:新人作家、はじめまして(君嶋彼方、京橋史織、佐原ひかり、波木銅、新名智、藍銅ツバメ)
「春荒襖絡繰」(はるあれふすまからくり)藍銅ツバメ著
双子の姉弟が次々と切り替わる襖絡繰の世界に迷い込むホラーファンタジー


【リンク集】
note藍銅ツバメ
「春荒襖絡繰」2022.5.20日記
日本ファンタジーノベル大賞2021を頂く前後のなんやかんや 1
レビュー
「異類婚姻譚史上、最高の恋 藍銅ツバメ『鯉姫婚姻譚』」大森望
「若旦那と人魚、尋常ならざる愛を描く異類婚姻譚」牧眞司
インタビュー
「昔話や浮世絵がインスピレーションの源?日本ファンタジーノベル大賞受賞作家・藍銅ツバメさんインタビュー」中野昭子
「襖から異界へ!徳島出身の作家・藍銅ツバメさんが語る『襖からくり』の魅力」中野昭子
その他関連リンク
「【アトリエ談義】(3)浮世絵師・月岡芳年:国芳一門の出世頭」悳俊彦
櫻木みわ×新川帆立×藍銅ツバメ「生きる、戦う、書く??SF創作講座卒業生3人が語る新人作家のリアリティ」
榛見あきる先生とコラボしたラジオのタイトルとロゴ【Radio Moonside】(ラジオムーンサイド)(https://www.youtube.com/watch?v=IudmJ6dGhG0)
日本SF作家クラブ【新入会員紹介】藍銅ツバメ


《ゲンロンSF創作講座》関連リンク
第一回:【100年後の未来】の物語
「水色ちょうちょストラテキラテス」宇宙を渡る蝶 キメラの話

第二回:読んでいて“あつい”と感じるお話
「蛇女の舌の熱さを」安珍清姫伝説をモチーフ

第四回:何かを育てる物語
「ぬっぺっぽうに愛をこめて」(22点で一位)
ぬっぺっぽうを育てて食べる話。お父さんの病気が治る。

第五回:シーンの切れ目に仕掛けのあるSF
「枕返し・枕返し・兄弟喧嘩」夢の中でしか実現できないもの。

第六回:長距離を移動し続けるお話
「彼らが焦がれ描いた仙境」
少年の頃に神隠しに遭った若い美術家。幻聴・幻覚。

第十一回:最終課題及び【第4回ゲンロンSF新人賞 優秀賞】
「めめ」藍銅ツバメ
今回の題材は、盗みを働いた分だけ腕に目が浮き出る百々目鬼という女の妖怪。目の神社がモチーフに兄弟愛を。

「小林ひろき自作を語る」関連

「小林ひろき自作を語る」で、
“ご指摘は本当に勉強になるので、私が火だるま(笑)になっているところをSF関係で知人になった人たちやTwitterのフォロワーに見せたいですね。きっと初めてSFを書き始めた人の参考になると思います。”
とのことで、SF的な設定に対する突っ込みをぜひ公開して欲しいとの要望がありましたので、以下に公開しておきます。リンクの無い短編も、公開され次第順次リンクを張っていく予定です。
私からの指摘は、良くあるアイデアで古びていると言えば確かに使い古されているパターンなのでちとあれなのですが(汗;)
それを踏まえて、さらにひねった構成・展開が欲しいところではあります。

「SFの小箱(1)テラフォーミング」

冒頭で“土の下には石灰石が埋まっていた”という記述があるので、SFファンだと、ここはかつて海が有りCaを含有した骨格をもった有機生命体が豊富にいてその残骸が石灰石になったんだなと考えます。←読む上での前提条件ですね。
石灰岩があればその成り立ちから、水棲のCaの外骨格を持つ生命体が大量に棲息していたと推測されるという話です。海中で二酸化炭素と結合した古代生物の遺骸の集積物ですから。大理石もその仲間です。玄武岩などは火成岩なのでCaCO3成分は無いはずです。石灰岩は、半分以上がCaCO3。
でもその後「石灰石を燃やす炉」というのが出てきて、石灰石は既に酸素を含んでいるので燃えないぞ!(一酸化炭素は燃えますが(笑))、それは何だと思うんです。まあ何かを燃やす時に石灰石を混ぜて二酸化炭素を出す装置かなとは想像しますが。
かようにSFファンは面倒くさいところに拘っちゃう(笑)

SFの小箱(2)重力制御
宇宙で波乗りというと、久美沙織先生(「マザー」のノベライズで有名)の出した短編集「星のキスメット」(宇宙船の廃棄エネルギー流に乗って遊ぶサーファーというサイケなやつが主人公)を思い出した(笑)(http://sasabe.com/SF/news/kumi6.shtml)
“重力波は光速で伝播する波であるから、その曲面を滑っていくことは可能”ということなんですが、冒頭にこの文章が出てくるから「ああ、そういう雰囲気の話なのね」と思いました(笑)
ただ、同じく光速で伝播する波である電波の曲面を滑ることが可能かというと?(笑)
重力波観測所LIGO、Virgo、KAGRA等の名前を出しているので、あまりファンタジー寄りにするのは無しにすると、無難なのは「先生は、自らを情報としてデジタル化し(城ごと?)、その情報で変調をかけた重力波となり、他の重力波に波乗りする」とかなんとか(笑)

SFの小箱(3)タイムトラベル
タイムトラベラーの“トロッコ問題”。9.11を予知できたら防ぐかどうか。それが本来の歴史ならやむなきの立場を取るかどうか、難しい問題です。
著者インタビューの久永実木彦先生は、一人でも死亡者が出たら、それは歴史改変の対象になる世界を描いて(なんと人手不足で担当者は非正規職員)怖かった。
同じく著者インタビューの岡本俊弥先生は、「時の養成所」で、人類が滅んだ時間線を守るタイムパトロールの人間を描きます(遠い未来では異生命体が地球を支配している。で、件のタイムパトロールは、その異生命体が養成している)
どちらも、そりゃ職員は病みますわ(そういうタイムパトロールに私はなりたくない^^;)

SFの小箱(4)タイムパラドックス
これがちと分かりづらいかも。
進行順なのですが、/1→/2→/3……と考えると
【/1】では、主人公の息子である大海が未来からやってくる。ここでの大海は19歳、主人公は16歳。ううむ、息子が年上というのは変な気分ですね(汗;)
【/2】で、「一回だけ、過去に戻れるのか」は勇輝の言葉みたいですね。とすると過去に戻った勇輝は、どこかの時点の自分を励ましに過去に戻るのかなと考えられます。
【/3】だと、“大海の頬のほくろが僕と全く同じ場所にある”となっているので、ここでの“大海”は未来から来た勇輝なんですね。主人公が勘違いしているだけで。
【/4】で、母親=彩が登場。「ふたりの大海がいてくれた」とあるので、未来から大海がやってきたことによって改変された過去においても、勇輝が二人いてそれぞれの時間線の未来に二人の大海が居たことが示唆されている。
【/5】では、彼女=彩だとして、人生の終わりを迎えた夫婦が居る。幸せだったんだろうという暗示がある。


「SFの小箱(5)質量保存の法則」

「冷たい方程式」で扱った密航者の質量がそのまま効いてくる燃料問題とは異なって、新生児の酸素必要量はそれほど増加しないと考えられます(重量もそうですが)。妊婦さんの子宮にいる状態で、母親から酸素と栄養をもらっているわけですから(元々母親の消費が胎児の分増大している)。
あと搭乗者が全部で16人いたら、赤ん坊ひとり分の酸素くらいどうにでもなりそうです。
みんな強制的に眠らせておくとか(笑)やるなら夫婦二人くらいの搭乗者にして、緊迫性を増すのが良いと思います。
「彼女が生きるために、この宇宙船は引き返す判断をした。」のところも、その判断の根拠を描いて頂く方が面白いと思います。酸素消費量という時間的なものと、引き返すという今までの運動エネルギーを無駄にする行為(燃料消費倍増)ですね。それを入れるとソーラーセイルの必然性(?)が生きてくると思います。
引き返すということは得られた速度をなくしてさらに反対方向へ加速しないといけないので、燃料消費はかなり増えると思われます。
普通というか経済的な燃料使用を追求すると、最初は加速してその推進方法で得られる最高速度に達したら、エンジンを止めて等速度運動に移行、目的地に近づいたら逆推進で減速という行程になると思います(行程の半分に来たときに最大速度に達してない場合はこの限りにはあらず)。まあ相手が惑星の場合、公転しているわけで、出発時点でどの位置に居て、到着時点ではどの位置に来ているかも加味するともっとそれらしくなります(笑)
「SFの小箱(6)エントロピーの増大」
これ、面白いです。
ただ、主人公の形態がよく分からないのが難点かなと思います。大きさも不明だし。
読み取れるところからは、どうも宇宙空間に漂うガス状生命体の様に思えますが、それにしては固い交接器官があるようだし、雄雌の別もあるようだし。
あと、題名との乖離があるように思います。エントロピーの増大をうたうからには、それについての記述がもっと欲しいところです(落ちをエントロピー絡みにするとかも)
例えば、ガス状生物なので、エントロピーの法則に従ってガスが混ざり合うのをどうやって防いでいるかとかとか(全体が均質になると生命維持は不可能と思われます)、周辺部からガスが漏れ出し薄くなるのを防ぐ生体反応はどうなっているとかです。
神を持ち出すのであれば、ガス生命体ならではの神の形態・能力の描写があるとうれしいです。まあ、ラストで「なんだ俺は神のようなものじゃないか」と悟るという落ちはありそうですが(笑)
異生命体を描写する際、人間に理解不能の存在として描く場合と、人間に模して理解しやすく描くやり方がありますが、この作品は後者だと思います。そうであれば、この存在が神を夢想し出すに至った原因を描くとか、母親もいるようなので祖先からの伝承であれば、それを描くともっとそれらしくなりませんか?
「SFの小箱(7)反物質」
ちょっと詰め込みすぎな気もしますがそれは置いといて。
粒子加速器を使った反物質生成には、対消失で得られるエネルギー以上の電力を必要とするので、エネルギー事情からいうと当然マイナスです。ただ、宇宙空間で太陽エネルギーによって反物質生成して、それを地球に持ってくるアイデアは良いのでは。
あと、反物質があれば何でもできる感じに描かれてますが、現在の技術では対消失は、核分裂以上に制御が難しいと思います。制御技術をすっ飛ばして宇宙船のエンジンに利用するのも飛躍しすぎな感があります。
あと、惑星開発がどんどん進んで帝国が出来るように描かれてますが、どうも前提に超光速航行が前提にありませんか?それなら、そこについての説明も欲しいところ。例えば
「ヨーロッパのCERNで対消滅による事故が起こり、スイスのジュネーブとフランスの一部が消失した。」→
「ヨーロッパのCERNで対消滅による事故が起こり、スイスのジュネーブとフランスの一部が消失した。しかし悲劇だけではなかった。事故の際の巨大エネルギー集中による時空の破れが観測され、それにより超光速航行の道が開けたのだ」
と入れておくと、超光速航行が出来るようになった設定なんだなと読者が思います。
「1マイクログラムの反物質をお茶漬けに注ぎ、飲み干して、」とありますが、これは書かない方が(笑)お茶漬けに入れた時点で大爆発でしょう(笑)
石原藤夫先生の短編に、ブラックホールのお茶漬けは出てきましたが(爆笑)

「SFの小箱(8)バイオテクノロジー」
本題に関係ないのですが、「各星系から送られてくるウィルスや細菌の分析を三日三晩続けて、対処法やワクチンのデータを送信していた。」とあるので、超光速通信が実用化されているんでしょうね。さらっとでも良いからその記述が欲しいところです。
最初の患者であるジョミィの店のお客は、閉店時には死んでいたのに、ジョミィは二日後に死んでいるのが見つかるということはたぶん潜伏期間に差があるということで、その原因を追及する流れになるのかと思いきや(笑)
巣→ウィルス→巣、という人間が媒介するアイデアは面白いです。とくに破綻は無いような気がします。
ただジョミィとエドの感染が唐突に終わるのがもったいないです。あるウィルスの感染がエドの鉱物化の原因で、それは人間の新たなステージ(人間と巣と鉱物のハイブリッド)への進化の前触れとなったとかなんとか。そういう理屈を付けて、全人類が鉱物人間になっていくパンデミックを描くとかはどうでしょうか?

「SFの小箱(9)生命倫理」
「SFの小箱」シリーズではもっとも好きな作品で、完成度も高いと思います。
特に、ノビェ・イエ全住民にシャーマンの能力を持たせるという発想の転換が面白かったです。ただ、その理由付けが弱いような。このままでは、ノビェ・イエ住民が嵐を予知する能力を持った代わりに全員深刻な頭痛持ちになったようにも読めるので(汗;)
ここは、「シャーマン一族は尊敬し恐れられているが、一般の民とは距離を置いた関係で恋愛・婚姻も一族同士に限られていた(差別されていた)」とかの理由のほうが良くありませんか?

久永実木彦先生著者インタビュー関連その2(ネタバレ注意!)

久永実木彦先生著作の粗筋等、ネタバレしてますので未読の方は読まないで下さい!
書影と書籍情報はこちらに
「帳尻が合う」(『ウカイロ9』収録)
ふと自殺衝動に駆られた男。彼の元に訪れた真っ赤なポンチョを着た子供に「帳尻が合わないから止めろ」と言われる。なんでも男は前世で五人殺しているから、現世で五人助けないと帳尻が合わないと。思わず引き込まれる展開から壮大なラストに続く語りが見事な一編。


「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」(『時を歩く』所載)
時間旅行が可能になり、大規模災害時の災害犠牲者を無くすから観点から始まった救済処置は、単なる事故であっても死亡者がいれば一律〈 改変法〉が適用され、<声かけ>たちが犠牲者を救うようになったために、慢性的な人員部作に陥り今では経験の無い非正規職員がその任務を担当するようになっていた。
バイト感覚で、過去に干渉するというのはなんともシュールな世界ですね(汗;)
そもそも総てが、光速度は一定で何者も光速を超えることが出来ないという大前提から導きだされているのは、ご存じの通り。
有名な「E=mc^2」という公式から導き出されたものがミンコフスキー空間(相対論的空間)というもので、実際には三次元ですが便宜上左のような二次元の図として書くことも出来ます(図は橋元淳一郎先生の著書より引用)
図中の「非因果領域」というのは、光速度を超える世界線が含まれる領域です。人類には知覚できない領域ですが、存在するのは確かだと言われています。光速を超えると過去への時間旅行が出来るかも知れないというのは、この図の非因果領域の話なんですが、もし非因果領域が人間に知覚できても、因果関係が目茶苦茶(結果の後に原因が来る)になるので、人間の脳に凄まじい負担を強いるのではなかろうかというのが、私の以前からの疑問でした。それに答えてくれたのが「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」というわけです。主人公が段々と倫理観を喪失し静かに狂っていく様は圧巻です。


「ガラス人間の恐怖」(『SCI-FIRE 2021』所載)
ある日突然、宇宙人の仕業で全人類の皮膚がガラスに置き換わり、骨も消えてしまうという事案が発生。ガラスに覆われた体内には、臓器が浮いている状態でなんとか生命は維持できているが、ガラスの関節は動きにくく、転んでガラスが割れれば一巻の終わり。
ガラスに覆われた陰茎が勃起するとどうなるか(笑)まあ、骨がなくなれば筋肉も動きようがないし、ガラスの胸郭では呼吸も難しいとは思うんですが(笑)
むき出しの歯とガラスの中に透けて見える眼球と脳と内臓という状態の女性に対して勃起しちゃうという、悲しい男の性(さが)を描いた作品。久永先生は男性の性衝動に関して、一体全体どう考えておられるのか(大爆笑)


「男性撤廃」(『2084年のSF』)
すべての男性が冷凍保存され、女性だけになった世界。男性の「解凍」を主張する集団と、男性の「殺処分」を主張する集団が存在する未来。男性を知らない世代の主人公は、男性冷凍保存庫のシステムを監視する仕事に携わっていた。ある日そこで障害が発生し、一人の男性が解凍されて目覚める……