
『聖シスコ電説』荒巻義雄著、
2025.7.31、小鳥遊書房、2750円(税込)
【目次】
前 口 上 本作の構造について
第 一 章 テーラー街の目覚め
第 二 章 枯山水談義とロッキーの作家
第 三 章 聖シスコ市のアート・シーン
第 四 章 易経占いする宕見支社長
第 五 章 電気羊のいる風景
第 六 章 バーテルソンの正体
第 七 章 凶事の兆候
第 八 章 地中海干拓計画
第 九 章 〈アリアン聯邦〉地政学
第一〇章 ディック=ユング=元型(アーキタイプ)
第一一章 〈文明の衝突〉最前線
終 章 日本(ヤマト)帝国の危機
【自己解説的あとがき】
借景創作論 ――〈フィリップ・K・ディック論〉の試み
用語解説(ディック作品との対照関係を含む)
全登場人物紹介(ディック作品との対照関係を含む)
【解説】高い城のタゴミ―メタSFの新世紀― (巽 孝之)

『高い城の男』フィリップ・K・ディック著、浅倉久志翻訳
1984.7.31、早川書房、Kindle版950円(税込) 銀背の発行は、1965年
第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……
終戦から15年経った1962年、アメリカでは「高い城の男」を名乗る謎の人物によって書かれた、「もしも連合国が勝利したら」という内容の仮想小説『イナゴ身重く横たわる』が出回って密かに人気となっており、ドイツは本を発禁処分にして、「高い城の男」の行方を追っていた。
そんな頃、日本支配下のサンフランシスコでロバート、フランク、ジュリアナなどの男女は各々仕事や生活のことで悩み、もがき、また日本からもたらされた易経に凝って、行動の指針を決めていた。しかし、彼らは知らず知らずに日独の謀略的攻防に巻き込まれ、謎の「高い城の男」に近づくことになってしまう。

『人生はSFだ(北海道新聞夕刊「私のなかの歴史)』荒巻義雄著
2013.1.1、札幌時計台ギャラリー、
北海道新聞夕刊連載「私のなかの歴史」に加筆
収録
1,ご先祖様万歳
2,人生はSFだ
3,記憶の落ち穂―不思議への旅


『SFする思考: 荒巻義雄評論集成』荒巻義雄著、◉第43回日本SF大賞受賞作!
2021.11.25、小鳥遊書房、5940円(税込)
SFの理論
第一章 日本戦後SFの思想的背景
A 高度成長と他人指向の時
B 構造主義と〈人間の死〉の時代
C SFとフーコー
D ポスト・モダンとアメリカン・サブカルチャー
第二章 道具的哲学思考へ――ジル・ドゥルーズ登場第一部
A 〈差異と反復〉&〈襞〉の思想
B 〈アンチ・オイディプス〉という機械
C 垂直思考からリゾーム的平面思考へ
D 文言と言説
E 定住思想から遊牧思想へ
F ポスト・モダンと記号
付 章 欲望の哲学史――新哲学の名は新実在論
第三章 SF評論と批評の基礎
A 日本SFの勃興期
B 構造主義批評への長い道のり
C 構造主義とは何か
D 〈隠喩〉〈換喩〉〈提喩〉
E 記号表現と記号内容の切断
F SFと現象学
J ロラン・バルト/神話とSFの関係
K ラカン問題
L メルロ=ポンティ/身体/ロボット
M 決定論/カオス
N 集合的無意識と近代理性
O デリダはSFに馴染む
第二部 単行本解説とわたしの読み方
【単行本解説】
筒井康隆・著『ベトナム観光公社』他一二項目
【わたしの読み方】
『浴槽で発見された日記』(スタニスワフ・レム・著)他五七項目
第三部 作家論
山野浩一の世界
眉村 卓の世界
小松左京の世界
星 新一の世界
筒井康隆の世界
他、一三名
第四部 雑記帳
【美術】+【科学と精神医学】+【自分史】+【文学】+【未来学】+【思想と宗教】九二項目
第五部 わたしの修行時代 (ファンジン同人誌「CORE」「宇宙塵・他)
【CORE】一六項目
【宇宙塵】アメリカSF論(I~VII)
【SF新聞】BEMの笑い――グロテスク考
付 録 術の小説論・他
解 説 メタSF的実験とマニエリスム遊戯 (巽孝之・著)

『天蓋都市ヒカル』荒巻義雄著、
2024.7.12、小鳥遊書房、2420円(税込)
【目次】
第一部 ChatGPTによるSF小説の創作支援は可能か
I はじめてのChatGPT
仮題『ARの陰謀』AI作家 チャット・著
II ChatGPTは絵画を鑑賞できるか
III 建築印刷と建築基準法
IV なぜ、ChatGPTはこのようなことができるのか
―大規模言語モデルの謎
V 創作開始
第二部 『天蓋都市ヒカル』創作編 荒巻義雄・作
第I章 拡張現実(VR)の街
第II章 大規模プリントタウン詐欺事件
第III章 サイボーグCEO
第IV章 秘密の絵画工房と記号設置問題
第V章 漆黒の麗人警部
第VI章 ゴールデン・ミカド・カジノの狂宴
第VII章 〈ヒカル〉のディオゲネス
第VIII章 キングの正体
あとがき―作家は生き残れるだろうか
解説 ChatGPTと創作/安田圭一

『〈物語る脳〉の世界―ドゥルーズ/ガタリのスキゾ分析から荒巻義雄を読む』藤元登四郎著
2015.10.15、寿郎社、2750円(税込)
日本SF界の巨匠・荒巻義雄の代表作を、精神科医・批評家である著者が、現代フランス思想の革命児ドゥルーズ/ガタリの理論をもちいて表裏から徹底的に読み解いた文芸評論
【目次】
はじめに
第1部 荒巻義雄のSF機械のスキゾ分析
第1章 荒巻義雄とドゥルーズ/ガタリ
第2章 スキゾ分析の手順
第2部 荒巻作品のスキゾ分析
[短編]
第1章 シュルレアリスムの絵画との境界消滅
第2章 物語の世界との境界消滅
第3章 主体はその時点で生成される
第4章 世界の始まりと終わり
[長編]
第1章 『時の葦舟 SF連作集』
第2章 『白き日旅立てば不死』
第3章 『神聖代』
第4章 『カストロバルバ——エッシャー宇宙の探偵局』
おわりに
解説


『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上』 ピーター・トライアス著、中原尚哉訳
2016.10.25、早川文庫SF、Kindle版693円(税込)
第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、帝国陸軍の検閲局勤務の石村大尉は特別高等警察の槻野課員の訪問をうける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。将軍は軍事ゲーム開発の第一人者だったが、アメリカ人抵抗組織に協力しているというのだ――
『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下』 ピーター・トライアス著、中原尚哉訳
2016.10.25、早川文庫SF、Kindle版385円(税込)
六浦賀将軍は、先の大戦でアメリカが勝利した改変歴史世界を舞台とする違法ゲーム「USA」を開発し、アメリカ人抵抗組織がゲリラ戦に勝利する方法を示したという。石村は心ならずも、片腕にガンアームを装着することになった槻野とともに将軍を捜索するはめに。二人は優秀だが毒舌なメカ操縦者、久地樂の助けを得て、地下ゲーム競技会へ、荒廃した流刑島へ、そして石村の過去へと旅することになるが……。