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SF関係では、東野司さん、橋元淳一郎さん、久美沙織さん、平谷美樹さん、石黒達昌さん、上杉那郎さん、伊藤致雄さんのオンライン・ファンクラブ管理人してます。どうぞ、よろしく。また、懐かしいSFについて語ろうというメーリング・リストも主宰してます。昔は良くSFを読んだが、最近はさっぱりという方は、ぜひどうぞ!(笑) http://www.sasabe.com/SF/

『うつくしい繭』櫻木みわ著

今年になって連続して著者インタビューをお願いしている「ゲンロン 大森望 SF創作講座」受講生関連書籍の紹介です。

うつくしい繭書影櫻木みわ著、ササキエイコ装画
講談社 (2018/12/19)、Kindle版、1,404円

収録作:
「苦い花と甘い花」
「うつくしい繭」
「マグネティック・ジャーニー」
「夏光結晶」


関連リンク先:

発行元の講談社のサイト:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000318321
朝日新聞「好書好日」:https://book.asahi.com/article/12089861
NEWSポストセブン:https://www.news-postseven.com/archives/20190118_850492.html
東ティモール(Wiki):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB
日本東ティモール協会:http://www.lorosae.org/
外務省(東ティモール):https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/easttimor/index.html
在東ティモール日本国大使館:https://www.timor-leste.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
大使館員の見た東ティモール:https://www.timor-leste.emb-japan.go.jp/column.htm
私の見た東ティモール:https://www.timor-leste.emb-japan.go.jp/column2.htm
今月のイチオシ本(文/大森 望):https://www.shosetsu-maru.com/storybox/book_review/1145

すみません、GWの頃に一度アップしていた、『うつくしい繭』『異セカイ系』『乙女文藝ハッカソン(1)(2)』の三冊まとめて紹介していた記事は、櫻木みわ先生著者インタビューが決まったので、仕切り直しします。『うつくしい繭』は、読む人によって様々な貌を見せる懐の深い短編集だと気がついたからなのですが……
取りあえず「苦い花と甘い花」から始めます。
以下、インタビュー記事中には書けないネタバレ多々につき、未読の方はお読みにならないで下さいませ。というか読んでいることを前提として書いてます。

—————————ここから————————–
「苦い花と甘い花」
東ティモールで「死者の<声>」を聞くことができる少女が主人公。ラストで少女の選んだ選択が「わたしを双子の妹に」ということで、今まで聞こえていた<声>が聞こえなくなってしまう。私も最初は、今まで苦しい生活をしてきたのだから、この苦渋の選択は責められないなぁと思っていたのですが……
収録されている他の短編も読んでいくにつれ、ん?違うなあ、違和感があるぞと。どの短編もこれから物語が進んでいく余地を残して終わっているんですね。
この短編に限って言うと、特にラストの一行は、ピンと張りつめた耐え難いような「静寂と余韻」を感じさせ、さらにそこまでの決意を持ってアニータが手に入れたかったものとは何かということも考えさせられるんですね。それと、昔アルピニストの野口さんがTVのインタビューで、シェルパの娘さんとの結婚(?)について語られていたのを見ていたからなのです。

アルピニストとシェルパの娘との、世にも奇妙な「結婚生活」:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52512?page=2

で、物語の今までの背景と展開から私が予想した結末は……

—————————ここから————————–

双子の妹になったアニータは、大統領に頼み込んでキューバへの国費留学生となり、医師になって東ティモールへ帰ってくる。他の東ティモール出身の医師と共に地域医療に奮闘するアニータ。その努力が世間にも認められるようになり、東ティモール初の女性大臣に(厚生大臣)。やがて大統領にという声も民衆からわき上がるが、アニータはそれを固辞する。
そしてアニータが天に召された時、<声>たちが戻ってくる。
「お帰り、アニータ」
「みんな心配していたんだよ」
「ひょっとして、“双子の妹に”と言ったときからこうすることを決意していたの?」
「当たり前でしょ(ニッコリ)」

—————————ここまで————————–

異論は歓迎します(笑)
読んだ人の数だけ、物語の異なった結末が想像できるはずだと。

————————— 次 ————————–
「うつくしい繭」
「苦い花と甘い花」と違って、その後の進展は大多数の方が予想している通りになるのではないかと。
帰国して華恵との関係を再構築する(広谷は二人の間から叩き出すしかない(笑))。そのあと、もう一度ラオスに戻って、シャン・メイの再訪を待つのかな。シャン・メイの書いたとされる小説は、櫻木先生の目指している小説と重なっている感じがしますし。
また<繭>ということから、映画『コクーン』を思い起こした方も多いと思いますが、物語の主旨は全然別物です。

表題作でもある本作は、最も料理が美味しそうに描かれていると同時に、最もわかりにくい(特に華恵の関わり方。広谷がクズなのは一目瞭然だけど(笑))存在でした。
著者もわかりにくさを承知していて、シャン・メイの以下の言葉は読者に本作を読むヒントとして提示されたのではないでしょうか。
“そこにあるのは、自分だけの記憶じゃない。動物としての身体の記憶、両親や祖父母、そのまた祖父母たちの記憶も、私たちのなかにある。”
また“コクーン・ルームに入れば思い出す。会うべきひと、行くべきところを思い出せる。そしてこれからは、コクーン・ルームに入ることなしに、それをできるようにならなくてはいけない”というメイ女史の言葉からは、<声>とかコクーン・ルームや神様や<貝>に頼らなくても、<縁>のある人たちや彼らの記憶を共有できるのではないかということが示唆されています。

それと、百合小説として読まれている方もいらっしゃるとお聞きして、読み返すとなるほどそういう読み方も確かにありですね。作中に“性的にふるまうことや性的な目でみられることに、アンビバレントな苦しさがあった”とあるし、華恵が執拗に主人公に関わってくるのは、広谷がいかにクズかを知らしめるためだとも思えてきます。BL系はそれなりに読んでいるのですが、百合系は森奈津子先生の作品くらいしか読んでないので、ものすごく的はずれかもしれませんが(汗;)
まあそれよりありそうなのは、ご先祖の頃から繋がっている華恵との縁が、本人達がそれと気づかないまま誘蛾灯のように主人公と華恵を誘い翻弄している可能性が大きいことですよね。
————————— 次 ————————–
「マグネティック・ジャーニー」
構造としては映画『メッセージ』に似ていて、ラストとファーストシーンが繋がってますね。SF分野では、ラストで時間の環が閉じられたと言います(笑) 構成というか時間に対する取り扱い方のアイデアは、映画の『メッセージ』よりもその原作のテッド・チャンの「あなたの人生の物語」に似てますね。
というか、「うつくしい繭」では<縁>のある人たちと彼らの記憶との繋がりが描かれていましたが、この作品では過去と現在と未来の同時性に焦点が当たっているような気がします。

時間についての最近の見地については、橋元淳一郎先生のインタビュー『時間はどこで生まれるか』(前編)http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/100603.shtml(後編)http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/100801.shtmlを参照して下さいませ。
<神>の視点では、過去も現在も未来も同時に視ることが出来るので、この“Emanitive will save Kei Nakase!”というメッセージが過去のに伝わるのは可能と考えられます。「開かずの地下庫があるインドの秘密寺院。時間井戸につながっている」ようだから。

————————— 次 ————————–
「夏光結晶」
よく知らない貝を、見た目美味しそうだからと食べちゃうシーンを読んで真っ先に連想したのは、「地球娘による地球外クッキング」(『西城秀樹のおかげです』所載)(http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/041202.shtml)でした。森先生のは、異星人とわかっていて食べてしまう話だから、さらに過激ですが。森先生も異星人を食べることによって、異星人を分かろうとしたのかも知れませんね。
まあそれ以上に、女性には、食べられないものと食べて美味しい物を見分ける能力があるのかも知れない。(笑)
神津キリカ先生のインタビュー(http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/190501.shtml)でも南西諸島の話がでてきました。
ヤマさんの夢に、「第二次大戦で亡くなった妹さんがしょっちゅう夢に出てきて色々言って来る」とかは「苦い花と甘い花」との繋がりを感じますし、みほ子の「珠を使わなくても、お互いのことを分かろうとしていけばいいよ」も「美しい繭」との繋がりを感じます。
貝が生成した“珠”は、作者は敢えて言及を避けてますが、使いようによっては大変な厄災の元になりますよね。例えが旧いですが、ヒトラーから生成された珠が悪用されたとしたら……

ということで、丸の内のOLことシエラ君がどういう立ち位置に居るか興味があります。悪い組織の手先では無いにしても、うかつに“珠”のことを世間に漏らしてしまったらどうなることか。
しかし、みほ子の家に伝わる“珠”には、そういった厄災を防ぐ知識が隠されていて、ミサキとみほ子がそれを知ることによって好むと好まざるに関わらず事件に巻き込まれていくのだった……
—————————縁(えにし)————————–
記憶メモ:なんとまあ、登場人物の縁が複雑に絡み合ってますねえ。

東ティモールは、ポルトガル植民地で後にインドネシアによって占領される。ラオスは、元フランス領。インドは、元イギリス領。南西諸島(?)や鹿児島県の奄美群島以南は、アメリカの信託統治下にあった。ということで、どのお話しの舞台も欧米の元植民地か占領地という共通点があり、戦争の影響がまだ残っています。
「苦い花と甘い花」
アニータを助ける医師のマツザワミチコの家族は、日本の暑い小さな島に住んでいる。祖父は第二次大戦の時にティモールで戦死。マトス大統領、父親は、アルフレード・マトス
「うつくしい繭」
レモネードの祖父は、福岡の浮羽町出身。先生と同じ収容所。
シベリアの収容所 先生:前村富八郎(華恵の曾祖父)
広谷と前村華恵
料理係マナオ
ライムの母親はフランス人
シャン・メイ ベトナム系フランス人=レピス
クロコディーロは、たぶん東ティモールの大統領
コクーン・ルームで使うハーブは<先祖の夢>と呼ばれている

「マグネティック・ジャーニー」
主人公の兄の大学の先輩である女性(南西諸島の離島の出身)が医者になって途上国のクリニックで働いているらしい。カミのマレーシアで仲が良い夫婦がその離島の出身でおばあが店をしているらしい。
「夏光結晶」
舞台は南西諸島の離島(みほ子の故郷)ということで、ここでも南西諸島の離島が出てきますね。みほ子の兄の哲朗は、サビナとマレーシアに居る。

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アスキーアート(軽茶さん作)

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『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』小松左京著

『やぶれかぶれ青春記』書影



『やぶれかぶれ青春記』小松左京著、村上豊カバー
S50/2/10初版、200円、旺文社
「やぶれかぶれ青春期」「わが青春の野蛮人たち」「わが青春」「わが読書歴」「気ちがい旅行」「美しいもの」
「解説-若い読者諸君に」國弘正雄
「神戸一中時代の小松左京と私」高島忠夫
「小松左京サンについて」田辺聖子
「関連年表」


『やぶれかぶれ青春期 大阪万博奮闘記』書影

『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』小松左京著
H30/10/1、新潮社、630円
「はじめに」新潮文庫編集部
第一部「やぶれかぶれ青春記」
「やぶれかぶれ青春期」
「青春期」に書かれなかったこと-漫画家としての小松左京:小松実盛
第二部「大阪万博奮闘記」
「ニッポン・七〇年代前夜」
「万国博はもうはじまっている」
「小松左京と走り抜けた日々」加藤秀俊
「年譜」


小松左京先生の『やぶれかぶれ青春記』が、大阪万博関連ということで、「大阪万博奮闘記」他を追加して新潮社からリニューアル出版されました。
巻末には、「やぶれかぶれ青春記」については、旺文社文庫を底本にしたとあります。
初出は「蛍雪時代」1969年4月号~11月号なのですが、私が蛍雪時代を読んでいた時期と重なります(高三のころ)すでにSFに目覚めていたので、”あの”小松左京さんが書かれるということで期待して読み始めたのですが、SFじゃなかったのでちょっとがっかりした記憶があります(笑)。でも読んでみると面白かったので毎月楽しみにしていました。
なお『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』所載の加藤秀俊の「小松左京と走り抜けた日々」については、全文が「HONZ」にて掲載されてます。

船の図書室

ここ最近、たまにクルージングに参加するのですが、船には図書室があって、その蔵書の傾向が面白いです。豪華な図鑑とかが多い船とか、日本の小説が多いとか。先日乗ったにっぽん丸の図書室には、SFがけっこうあって、ちょっと喜びました。←SF者の性(汗;;)
まあ、どういう経緯で収納されたのかは不明ではありますが(笑)


蔵書1

山田正紀先生ですな。


蔵書2アシモフ&シルヴーバーグの共著やクラークの名作が。


蔵書3

ハインラインとかラッカー(珍しい?)とか。後で気がついたのですが、下の段に「紙の動物園」とかブラッドベリの名前も。

電子書店パピレスで購入できる森下一仁先生の著書

電子書店パピレスで購入できる森下一仁先生の著書
『思考転移装置顛末』オンライン出版(元は講談社)
平妻研究所所長・平妻老人が作りだした、〈思考転移装置〉試作第一号!!
そもそも〈思考転移装置〉とは、人間の考えたことを、そのまま他の人に伝えてしまおうという機械装置なのだが――。
表題作「思考転移装置顛末」をはじめ、黒潮放送局の新米ディレクターの「ぼく」と、カメラの土居さん、美人アナウンサー若月嬢の三人の前に次々とあらわれる世にも不思議な世界。連作SFファンタジー全十話!
『ふるさとは水の星』集英社
映像記録家のわたしは、養子のイサムと惑星アクエランへ取材に赴いた。大部分があたたかい海におおわれた水の星である。訪れた資源採取工場には、管理人のチャン老人が住んでいるだけのはずだった。しかし、わたしたちは、老人の孫娘だという魅力的な美少女、レニに出会う。なぜか、チャン老人はレニの存在をひた隠しにして、撮影をすることすら禁じていた。 だが、ふとした運命のいたずらから、レニは地球に来ることになった。敏腕プロデューサーの眼にとまったレニは、地球でスーパースターへの道を歩み始めるのだが、彼女には大きな秘密が隠されていたのだ……。
『宇宙人紛失事件』オンライン出版(元は徳間文庫)
異星から帰還途中、人類が初めて遭遇した宇宙人が、地球についた時は消えていた! 目撃者の証言では、乗組員がよってたかってバラバラにしてしまったというが、管理局の調査で宇宙船からは何も発見されなかった。はたして宇宙人はどこへ行ってしまったのか? 不気味で滑稽な表題作ほか、いつの時代でもかわらない人間の残酷さと哀しさを、意表をつく着想でさりげなく描いたSF傑作集。単行本未収録全十三篇。
『天国の切符』オンライン出版(元は新潮文庫)
待つことがぼくの仕事だ。ここに居る人々は、みんな待っている。“天国の切符”を手に入れる日を……。今日も青い登録カードのままだ。青いカードでは駄目なのだ。ぼくが待っているのは、天国への通行許可証となる金色のカードなのだから。表題作のほか、森の中に棲む不思議な生き物と少女との交流を描く「森に棲むもの」など、詩情あふれるSF12編を収録。文庫オリジナル。
『夢の咲く街』集英社
ぼくの住んでる街には、年中ガラクタ市が開かれている穴熊横丁や、ケチな人ばかりが十人という、くじら地区がある。でも月曜広場には博物館があって、しゃれたカフェテラスもあるんだ。水平通りは海に続いている。ちょっと風変わりな街だけど、女友だちのジェイ、いかものぐいのタブ、道徳愛好家のモル、錬金術師のアム、ヘアデザイナーのファー、ぼくらはみんな、ここが好きなんだ!!
一篇ずつにエッセイ風の「まえがき」を付けた、ファンタジー・SFショートショート集。
『コスモス・ホテル』早川書房
少年は夏祭りの夜に、買ったばかりのバイクを盗まれてしまった。それまで身辺にあったものが、突然無くなる喪失感。前途に光が見えず、世の中全体がうっとうしく、自分とは無関係なものに思えてくる。悪友たちと酒宴を開くが、いっときのウサばらしのあとは、軽い二日酔いが残るのみだ。けだるい日々の中で、少年はいつのまにか、庭の早咲きコスモスの葉っぱを寝床にしているカナヘビと心が入れ替ってしまっていた……「コスモス・ホテル」ほか、ファンタスティックなムードをたたえながら、あくまでもSFそのものを感じさせる新鋭の処女短篇集。

小松左京先生晩年のご著書(森下一仁先生インタビュー関連)

『SFへの遺言』書影

『SFへの遺言』

『SFへの遺言』小松左京著
対談者:石川喬司、大原まり子、笠井潔、高橋良平、巽孝之、森下一仁(構成)
’97/6/30、光文社、1800円

<われわれに未来はあるのか?>“世界沈没”を救う提言
人類とその文明の行方を精力的に問い続けてきた著者が、21世紀を目前にして自らの全力疾走の足跡を振り返り、後に続く世代にバトンタッチの夢を託す。時代を先取りした知性の苦闘の記憶であり明日への貴重な提言でもある。 作家:石川喬司

堅苦しい話ばかりではなく、日本SF黎明期の爆笑エピソードもあり、楽しめます。


『3・11の未来』書影

『3・11の未来』

『3・11の未来』日本・SF・想像力
笠井潔/巽孝之監修、海老原豊/藤田直哉編集
’11/9/11、作品社、1800円
■はじめに
小松左京「序文――3.11以降の未来へ」
■第一部 SFから3.11への応答責任
笠井潔「3.11とゴジラ/大和/原子力」
【鼎談】笠井潔・巽孝之・山田正紀「3.11とSF的想像力」
豊田有恒「原発災害と宇宙戦艦ヤマト」
スーザン・ネイピア「津波の時代のポニョ――宮崎駿監督に問う」
■第二部 科学のことば、SFのことば
瀬名秀明「SFの無責任さについて――『311とSF』論に思う」
【座談会】谷甲州・森下一仁・小谷真理・石和義之「小松左京の射程――『日本沈没 第二部』をめぐって」
八代嘉美「『血も涙もない』ことの優しさ」
長谷敏司「3.11後の科学とことばとSF」
田中秀臣「物語というメビウスの環」
仲正昌樹「SFは冷酷である」
海老原豊「一九七三年/二〇一一年のSF的想像力」
■第三部 SFが体験した3.11
新井素子「東日本大震災について」
押井守「あえて、十字架を背負う」
野尻抱介「原発事故、ネットの混沌とロバストな文明」
大原まり子「3.11以降の未来への手紙」
クリストファー・ボルトン「流れ込む、分裂する言葉――3.11以降の安部公房」
■第四部 3.11以降の未来へ
桜坂洋「フロム・ゼロ・トゥ・201X」
新城カズマ「3.11の裡に(おいて)SFを読むということ」
鼎元亨「3.11後の来るべき日本」
藤田直哉「無意味という事」
■結語――またはゼロ年代の終わりに
巽孝之

書評本(森下一仁先生インタビュー関連)

森下一仁先生著者インタビュー関連本の紹介。
そもそも「アニマ・ソラリス」での著者インタビューは、SF作家の先生方に対する好奇心と、現在活躍しているSF作家の方々、及び私が読んで面白かった作家の方々を記録として残しておきたいなあという動機で始めた物でした。書評はおろか感想文としての体裁をなしていないことも多々あるとおもいますが、ご容赦を。でも、たまには良いこと資料価値のあることもうかがっています(笑)
とりあえず、今後50年程度はネットで閲覧できるように準備はしてあります。

『ニッポンの書評』書影

『ニッポンの書評』豊崎由美著
’11/4/20、光文社新書、740円
SFファンには、大森望先生との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズでお馴染みの豊崎由美先生の書評論です。
豊崎先生の「大八車(小説)を押すことが書評家の役目」というのは、けだし名言。
対象書籍に対する愛情は必要でありますねえ……
著者インタビューでも、同じ心構えで臨みたいと心しておりますが、実現できているかどうかは不明であります(汗;)
豊崎由美公式ブログ「書評王の島」


『JUST IN SF』書影
『JUST IN SF』牧眞司著
’16/5/20、本の雑誌社、1700円
東京理科大SF研出身の牧眞司先生の書評集
お手本(というかSFふぁんとして羨ましい)としている理系SFファン、牧眞司先生の書評集。
理系なのにスリップ・ストリーム系にも明るいし、評論のセンスと目の付け所の良さはいつも参考にさせてもらっています。
牧先生の「WEB本の雑誌-今週はこれを読めSF編」


『思考する物語』書影
森下一仁著
’00/1/20、東京創元社 KEY LIBRARY、2000円
そもそもSFはどういうものであったのだろうかという疑問から、SFというジャンル全体を俯瞰した評論集。
特に脳神経学や認知科学の分野で使われる「フレーム理論」を用い、SFはどういうものかと説いた論説は当時すごく話題にのぼりました。
私も、やたら感心・感動した覚えが……


「ナンクロメイト 7月号」書影
森下一仁先生の「オモシロ本の世界2」が掲載されている「ナンクロメイト」誌
7月号では、『シマイチ古道具商 春夏冬人情物語』『万次郎茶屋』『愛しのオクトパス 海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』を紹介されています。
ちなみに牧眞司先生の「オモシロ本の世界1」も掲載されていて、こちらは『竹取物語 かぐや姫のおはなし』『オリエント急行殺人事件』『不在の騎士』を紹介されてます。


『小説 推理』7月号
『小説 推理』7月号 双葉社、特別定価:910円
森下一仁先生の書評「今月のこの一冊 SF」が掲載されている『小説 推理』誌です。
7月号では、ケン・リュウ著『母の記憶に』、宮内悠介著『あとは野となれ大和撫子』、ウィル・ワイルズ著『時間のないホテル』を紹介されています。
7月号

超短編

「アニマ・ソラリス」でもお馴染みの、たなかなつみさんから頂きました。いつものように、読者の空想の余地が大きい短編集です。
たなかさんの作品は、24号に載っている「十字路」。
田舎の十字路に変身した人の物語。アスファルトの十字路もやがては朽ちてしまい、あたりの草むらと同化してしまうのだろうか。そうなったら、十字路としてのアイデンティティは、いかなる変容をとげるのか興味があります。

超短編フリーペーパー24号超短編フリーペーパー25号


「アウトライン Vol.1」
フォントを指定して書かれた超短編アンソロジー「アウトライン Vol.1」。指定フォントの「ほのか明朝」は、漢字に比べて小さく配置された”かな”が特徴的なフォントとのこと。見た目にもリズム感があって面白いですね。
日本でも普及してきた電子書籍。超短編でも、タカスギシンタロさんの「ピアノ」や小野塚力さんの「不思議の国のアリスを超短編として読む」等が出ているようです。アマゾンのKindleのジャンルで検索して読んでみましょう!
たなかさんの寄稿作は以下の「糸と目玉の紡ぎ唄」
ちょっと怖くてシュールな世界。
「糸と目玉の紡ぎ唄」

「ああ、懐かしの昭和30年代」

 6月4日(木)午後に、FM自主製作番組の収録をしてきました。アニマ・ソラリス企画の「NHK SF系ラジオドラマ」紹介のラジオ番組版です。
 収録場所は、「ゆめウェーブ」スタジオで、同局のアナウンサー金輪さんと、友人の杉野さんと私です。
 一時間番組で、放送予定日は、6月20日(土)12:00~、7月21日(火)19:00~、8月13日(木)13:00~の3回です。
 「ゆめウェーブ」スタジオ写真
 放送エリアは、東部福山市、笠岡市、井原市、浅口市です。当該地域の方はぜひ聞いてみて下さいませ~ 

『就職相談員蛇足軒の生活と意見』松崎有理著、ヒグチユウコ装画

『就職相談員蛇足軒の生活と意見』書影
’14/5/31、角川書店、1600円

博士課程修了したものの巷に博士号が溢れているこのご時世、就職できず職安に通う理系女子シーノ。ふと街角で見つけた求職案内に応募し、腰かけのつもりで嘘道家元・蛇足軒の秘書になってはみたものの……


以下、帯の煽りから引用
シーノ:
27歳女子。〈北の街〉の大学院で博士号を撮るも研究室を追い出され、話の冒頭では無職。コミュ障寸前のシャイな性格&妄想癖あり。職安特命相談員蛇足軒の秘書となるが、腰を据える気はなく引き続き研究者として休職中。
蛇足軒:
〈北の街〉の旧市街に屋敷を構える。〈嘘道〉の家元として日夜実益のかけらもない嘘について思索する一方、〈職安特命相談員〉としてさまざまな難あり求職者に適職を与えてきた。めっぽう甘党で、老舗「あまんざ」の菓子をこよなく愛する。
いちゃぽん:
蛇足軒の飼い金魚。巨大。丸いものならなんでも食べる。
黒耀斎:
蛇足軒のライバルかもしれない。嘘道の秘伝書を狙っているのかもしれない。



「懇切、ていねい、秘密厳守」では不死身の青年が、「悲しき食糧難」では、人間の血を吸いたくない吸血鬼が、「三秒の壁」では三秒後を予知できる能力者が、「人工の心」ではAI搭載自律型掃除機が、「博士浪人どこへゆく」では、 ついにシーノ自身と黒耀斎の就職が語られます。
なぜ、その特殊な能力をもった求職者の就職がうまくいかないか、そしてその驚き(しかも納得)の解決法が見所です。
特に「人工のこころ」の〈ぽにい〉は可愛らしくて萌えます(笑)作者も気に入っているとみえて、次の章にも登場してますねえ。
不思議な、しかしあったかいほのぼのした気持ちになれるお薦めの連作短編集です。