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榛見あきる先生著者インタビュー関連資料

『虹霓のかたがわ』
『虹霓のかたがわ』榛見あきる著、蔵西装画
2022.1.15、株式会社ゲンロン、Kindle版、440円
第4回ゲンロンSF新人賞受賞作
やむなき妥協策から観光都市と化した近未来のチベット。そこには世界最大の仏教学院(ラルンガル・ゴンパ)があり、赤い無数の僧房が山の斜面を埋めつくしている。そこでは、一万人以上の学員が暮らし、仏教 を学んでいる。14歳の少年僧ペーマは、同地を襲った大火で左手を失って以来、どこか周囲から隔絶された感覚を抱いていた。その欠落を埋めるように、彼はひそかにダンス教室に通い、貸与された「羅刹女」のアバターを身にまとってストリートで踊り続けていた。ある日、そのアバターのライセンスを返さなくてはならない事態が起こり、彼はやむなく僧院主催のダンスオーディションに参加し、その使用権利を取り戻そうとするが……


『SCI-FIRE 2021』特集:アルコール
【目次】
★ゲンロンSF新人賞正賞 全作家の書下し
高木ケイ「進化し損ねた猿たち」
天沢時生「ナキオ」
琴柱遥「悪魔から盗んだ女」
榛見あきる「大学六年生。密造酒、泥酔オセロ、」
田場狩「酩酊」
河野咲子「みそかごとめく」
★謎のマイクロノベル「食パン小説」
食パンにかな文字をスタンプする―― 雑誌『小学一年生』ふろく「ドラえもんアンキパンメーカー」で、食パンが小説になった!?
北野勇作・飛浩隆・久永実木彦
★書き下ろしアルコール小説・酩酊編
佐川恭一「職、絶ゆ」、今野明広「恋愛レボリューション12」
★書き下ろしアルコール小説・酒怪編
久永実木彦「ガラス人間の恐怖」、吉羽善「或ルチュパカブラ」、藍銅ツバメ「蛇酒なんて置いてかないで」
★書き下ろしアルコール小説・無重力
谷田貝和男「星を飲んだ話」、中野伶理「金魚酒」、揚羽はな「Pity is akin to Love」
★書き下ろしアルコール小説・禁酒法
進藤尚典「お酒かな」、常森裕介「酔いどれ探偵vs泥酔した容疑者たちvsアルコール検知器」、遠野よあけ「しゅ」
★書き下ろしアルコール小説・壺中天
井上宮「魔法博士と弟子」、稲田一声「掌の怨念」、名倉編「酒売りの少女(ディオニュソス・ガール)」、櫻木みわ「ジョッキー」
★高丘哲次「実録ゴッドガンレディオ VS. サイファイア抗争史」
遠野よあけ「ぼくがダールグレンラジオで果たしたこと」


第5期生卒業文集
★テーマ短編 : チャレンジ編
田場狩「縁のメモリア」、馬屋豊「Gap between 5 and 6」、吉羽善一「バカンスまでは遠い鳥」、去場司「これはなにに見える?」、夢想真一「サイレント・ウォーキング」、岸辺路久「焚き銭」
★テーマ短編:リベンジ編
方梨もがな「縁をこえて」、山森衛「命の霧を編む」、葉々「Melancholy cyborg」、中野理一「暗涙のマリア」、本所あさひ「等々力リビジット」、長谷川京「夢の海に亰」、今野明広「SEXレボリューション62」、稲田一声「祖母のひそやかな断面」、岸田大「鏡の中の鏡」、岡嶋心「さいごの晩餐」、榛見あきる「ヲタロポリス・クライシス―同人誌ブルース-」
★フリー短編
新川帆立「闇の中」、六角大輔「ロープ小説」、西村真「サクラ咲く私たちの国」、織名あまね「声が聴こえる」、悠人「フリーダムデジタリアン」、園田陽「New game」、継名うつみ「輝かしき黄金の日々」、植田良樹「前を向いて歩け」、河野咲子「みそかあめのよ」
★エッセイ
去場司一「導火線」、馬屋豊一「レベル0」、山森衛「花は盛りをのみ」、竹田人造「護身不完成」、邸和歌「生き延び、負けた。」
★Inspired by the cover art
吉羽善「接続するマイクロノベル」

榛見あきる先生2019年実作
1:お題「『100年後の未来』の物語を書いて下さい」
「ブルーだけでは足りなくて」
8:お題「ファースト・コンタクト(最初の接触)」
「無何有(むかう)の位」
11:お題「最終課題:第4回ゲンロンSF新人賞【実作】」
「踊るつまさきと虹の都市」

榛見あきる先生2019年梗概で遊ぶ(笑)
梗概を読んで、オールドSFファンならどういう話を想像するかという……
あくまで梗概から連想される話です。もとの「お題」とは直接の関係はありません。
お題に沿っていることがあってもそれはたまたまです(汗;)書いた時は他の人の梗概は読んでません。
先に榛見先生作の梗概を読んでおいて下さい。榛見先生ごめんなさい。
昔のSFにありがちな設定・構成しか思いつかないので、年配の読者なら、あ~あれかな?と気づいてもらえれば嬉しい(笑)ラノベは、ほぼ知らないし、異世界転生ものもさっぱり(汗;)
「蒼ざめた月」のショートショートは、あの短編のまんまパクリです(汗;)
ついでに言うと、その後の展開・ラスト等は全く考えてません。榛見先生は、梗概の時点でだいたいのストーリーを考えられているそうですから、やはり作家の方は違うなあと(汗;;)

2:お題「読んでいて“あつい”と感じるお話しを書いてください」
「メルクリウスの仇花」
曰く“水星が舞台の「スペース園芸任侠おくりびと」”ということなのですが、熱くて暑い話の梗概なのかなと想像。
設定はファンタジーかラノベ風。これを活かすにはと考えると……
ということで、舞台は、水星。日中と夜間の温度差を利用した発電所(超耐熱型ソーラーパネルでも良いのですけどね)があり、マイクロウェーブによる送電と設備の保守担当のメインAIと、発電担当の二台のサブAIで構成、ファンタジー&異世界転生・なろう系が大好きな元ニートの保安要員も一人居ます。三台とも自律型AIで、メインのAIが故障時には、サブのどれか一台だけでも機能するように設計されてます。
ある日、太陽面で大規模なγ線バーストが起こりメインAIが暴走、悪いことにメインAIをシステムから物理的に切り離すキルスイッチと、地球からの指令を受ける通信設備も機能しなくなってしまう。
窮地に陥った専門知識の乏しい単なる保安要員である俺は、なんとかシステムを支配下におこうとするが、うまく行かない。そこで窮余の策として、好きな「異世界転生・なろう系」のラノベを大量にAIに機械学習させ、メインAI(死の王)とサブAI(火葬師レウコユムと宣教師ガランツス)、勇者(俺)として仮想空間に転位し、メインAIから支配権を奪い取る旅に出る……(笑)

3:お題「強く正しいヒーロー、あるいはヒロインの物語を書いて下さい」
「魔女っ子ミントちゃん☆オーバーライド!」
内戦の後遺症と淀んだ大気のため、薬品霧(スモッグ)に覆われた街。戦闘能力を削ぐため、言語中枢を抑制的に麻痺させる薬品霧が予定外の地域まで漏れ広がったため、そこで暮らす住民達には言語能力に問題があった。上空まで壁に覆われた風のない貧民街は、極小の群体ドローンによる流体制御技術(ミアズマ)でどうにか薬品霧のさらなる影響から免れていた。
街の汚染がもう制御できないと域に達したと判断した衛生局は、上空の壁を壊し空気を循環させる計画をたてたが、問題は言語を解さない住民達からどうすれば犠牲者を出さずに済むかだ。
衛生局員のエチカは、住民たちの間でも人気のあるキャラクター「魔女っ子ミント」の映像を使い、住民達を誘導する案を提出する。「魔女っ子ミントちゃん☆オーバーライド!作戦」発動!(笑)

4:お題「『何かを育てる物語』を書いて下さい」
「箱庭ヘテロトピア」
男娼を専門とした遊郭で働く男娼「炯(ケイ)』と「昂(コウ)」という双子。二人は、立役の時は『炯』と呼ばれ、女形のとき『昂』と呼ばれるのだ。遊郭での試作機運用により、世界で初めて人体でのMRI撮影が成功し、脳の神経発火から固有の相パターンの連動が発見される。世界の各地で追試が行われ、そこから得られた結論は、文明の進歩と異性愛が相反する相を持っているということであった。すなわち、文明が進歩すればするほど、男女のカップルは減り、合計特殊出生率は減少し人口も減り続けると。
生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えである「42」とは、男・男と女・女の4人による2組を単位としたユニットのことだった。人類はこの「42」ユニットと人工子宮による子作り・子育てで文明の滅亡を回避しようとするのだが……(我ながら無理矢理だな(汗;))

5:「シーンの切れ目に仕掛けのあるSFを書いて下さい」
「歩けない蝶の献身あるいは鹵獲」
脳の神経結節を読み取り、解析された脳機能を選択的に分離・増強・交換可能にする経皮頭蓋神経インタフェース(tNI)が実用化された未来。手児奈(てこな)ともよは、元々はtNIを使って病んだ人に寄り添い回復させるすぐれたヒーラーであったが、重度の紅斑性狼瘡のため自室のベッドから動けなくなってしまっていた。
一方、有正幸恵は窮極のプロファイラーとも言うべき存在で、主としてテロ対策にあたり、その対象者が憑依するといっても過言でない行動予測で数々のテロを阻止してきた。しかし対象にのめり込みその人生を生きるといってもよい捜査方法は、その代償として重いPTSD / 心的外傷後ストレス障害をうみ、任務の継続が難しくなりつつあった。
ともよにとって病室はつまらないモノトーンの世界であったが、患者の記憶はいくら辛い記憶であってもビビッドなカラーの世界だったので、たっての依頼だったこともあり、幸恵の治療を引き受ける。
順調に進んでいるかに見えた幸恵の治療だが、ある頃からともよの入院する病院の近辺で凄惨な事件が頻発するようになってきたのだ……

6:長距離を移動し続けるお話しを書いて下さい」
「マスティクスにもう一度」
カーボンナノチューブの外骨格を持つ多脚自律型生体ビークル「立駒」(笑)ネーミングの由来は、昔の超有名だったアニメに出てくるロボットに似ているから。車体の漢字は日本人に描いてもらった。で、俺の名前は「馬頭」。日本人に言わせると俺が馬面だというのもあるし、そのアニメではタチコマとバトーは良いコンビだったそうだ。
俺たちは、この荒廃した世界で「郵便屋」を生業としている。道なき道を走り、アメリカの端から端まで何でも運んでいくのだ。ただし重量制限があり、立駒の車重(600kg)と俺の体重(70kg)を含めて、1000kgまでという決まりになっている。立駒が太る(体積で言うと半分以上生物なので太るのだ^^;)と、積載量が減って稼ぎも減る。だから、太らないように口うるさく言うのだが、なかなか食欲は抑えられないので、二人の間では、立駒が10kg痩せないといけないときは、俺も1kg体重を減らす約束になっている。不公平だと文句が多いが、重量が一桁違うからしかたがないぞ(笑)
今回の我々の仕事は、この世に一冊だけ残った本をひたすら西へと運ぶこと。なんじゃそれはと思ったが、目的は運んでいると自ずとわかるようになると。まあ金になるならしかたがない……

7:「『取材して』お話しを書こう。」
「レッドライン・エンタングルメント」
運命の赤い糸と言われるが、なぜか私には子供の頃からその糸を視ることができた。漂う赤い糸もあれば、既に特定の人の指と結ばれている糸もある。結ばれた同士は、元々結婚する運命にあるので、何かのきっかけさえあれば、その二人は結ばれるということも。そして、どの赤い糸同士が引き合っているかも何となく判別できるようになってきた。
成人した私は、この能力を活かすためにマッチングアプリを開発し、カップル成立時のみ料金を頂くシステムを構築した。なに、どの赤い糸がどの赤い糸と引き合っているかを判断し、出会いの場さえ設ければ、あとは糸同士が勝手に絡まり運命のカップルが誕生するというわけだ。この業界では驚異のカップル成立率を誇り、運命の人に出会ったと感じた二人からは、十分な謝礼を頂くことが出来た。
しかし結婚したからといって幸せになるとは限らない。結局のところ、単に二人が結ばれるというところまでが赤い糸が示唆する運命なのだろう。結婚したがためにお互いに憎み合い離婚するとか、保険金をかけて相手を殺害するという悲惨な事例もあった。
また、例えば一方のスペックが経済的にも性格的にも高い場合には、赤い糸のマッチング率も高くなる(一人とは限らなくなる)傾向もあるし、再婚を繰り返した方がお互いに良い場合もあったりと判断が難しい事例もあった。
現在のところ私にしか視えない赤い糸の秘密を探るために、会社の利益から資金を捻出し最先端の知見を求めた結果、赤い糸のように見えるものは微少な空間のゆがみ=重力波の一形態であることがわかった。
そして、結ばれたカップルの追跡調査と、赤い糸の性質の精査から出てきたのは驚くべき結果であった……

9:「『20世紀までに作られた絵画・美術作品』のうちから一点を選び、文字で描写し、そのシーンをラストとして書いて下さい。」
「蒼ざめた月」
「神隠しにあった子供は昔から一定数存在する」
「次元断層に落ちたのでは」
「見えるし触れるということは、まだ3.5次元あたりで引っかかっている?」

医者や科学者たちが喧しいが何の解決にもならない。昨夜の地震後、赤ん坊が一瞬消え、また元に戻ったが、その時には普通の状態では無かった。




医者に「赤ちゃんがどう見えているか描いて下さい」と言われたが、私にはこんな風に我が子が見える。
医者や科学者たちが言うには、「赤ちゃんは、うごめくピンクのチューブのようにしか見えない」そうだ。
私たち夫婦も次元震の影響を部分的に受けているので、そうでない人間とは見え方がちがうのだそうだ。
妻は半狂乱で会話が成り立たず相談できないので、今後のことは私ひとりで決めなければならない。



現在は、私がこちら側に軸足があり、赤ん坊はほとんどあちら側に居るといってよい状態で、私と赤ん坊が母親を引っ張り合っていて、妻がどちらに転ぶかは私の決心次第だと。
完全にあちら側に移行したら、どんな世界が待っているのだろう。怖くもあるが、家族の居ないこの世界に残るよりあちら側で家族三人のほうがまだましではないかとも思う。
窓から外を見ると不思議な色合いの風景が広がっている。妻にも同じ風景が見えているのだろうか。
たぶん月と船だと思う見慣れぬ色彩と形の景色だが、心安らぐのは何故なのだろうか……


夫妻は、赤ん坊に寄り添おうと決心したようだ。
今朝、私たち調査団が見たものは、“楽しそう”にうごめく大小三本のチューブたちだった。



「小説すばる」2022年4月号、873円
特集「メタバース最前線」
対談:藤井大洋×加藤直人
読切:麦原遼、吉羽善、藍銅ツバメ
創作会議:企画者:榛見あきる×アドバイザー:加藤直人(クラスター(株)CEO)
part1:食事
 メタバースでの食事にフォーカスしたD2C形態のサービスが展開される。
 料理人は3Dプリンターで出力される料理のレシピを設計する→シェフ=デザイナー
 エンターテインメントとしての料理はあり得る?
 栄養摂取と楽しむ行為は分けられる
 食事は精神安定装置の側面もある
part2:ペット
 ペットに意識や寿命は必要か否か
 動物も視覚などをハックすることは可能
 人型のペットなど、性的な部分での定義が必要かもしれない
 メタバース内で問題が起きたとき、一般にソフトフォーク、ハードフォークと呼ばれる方法で対処
 ハードフォークの場合、メタバースでの数日間が消えてしまうことになるかも。



小説すばる2022年5月号、873円
読切短編:鈴村ふみ「大銀杏がひらくまで」
榛見あきる「(Dis)cover of Virtual Ramen」
 情報身体職人(アバターメーカー)のフジは、“ゴロー系ラーメン”のアバター製作を依頼される。依頼人は、学生時代の“優勝”していた日々を思い出したいのだというが――。前号メタバース特集より、「メタバースの食事」SFが誕生!
 まあ平たく言えば、食品3Dプリンターで出力するラーメンの味や香りのデザインをする話です。それがそのままラーメンの本質を巡る話になっているところが面白いです。



『メタバース さよならアトムの時代』加藤直人著
2022.4.5、集英社、Kindle版、1485円
【目次】
第1章:メタバースとは何か
第2章:メタバース市場とそのプレイヤーたち
第3章:人類史にとってのメタバース
第4章:VRという技術革命
第5章:加速する新しい経済
第6章:メタバースの未来と日本
「世界を変える30歳未満30人の日本人」(Forbes JAPAN)に選出された、メタバースプラットフォームcluster創業者が幻視する、人類が物質(アトム)の束縛から解き放たれる未来とは?

福江純先生著者インタビュー関連


『やさしいアンドロイドの作り方―SFはどこまで現実になるのか』福江純著、福田武比呂装画
1996.3.5、大和書房、1500円
タイムマシンの作り方・宇宙移住の実現性から遺伝子操作・不老不死、ロボットが持つ可能性まで、科学の「今」を解説する。わかり易く、滅法面白い、ロマンに満ちた本。
1,宇宙人はどこにいるのか?
2,宇宙旅行はどこまで可能なのか?
3,人類が宇宙に住む日はくるのか?
4,タイムマシンは可能なのか?
5,異次元の扉は開くのか?
6,ロボットはヒトの心がもてるのか?
7,遺伝子操作はモンスターを生み出すのか?
8,人類はどこまで進化するのか?
9,不老不死は実現するのか?
10,まとめに代えて―われわれは理解しあえるのか?



『アインシュタインの宿題』福江純著、モリナガ・ヨウ挿画、図版、オブジェ
2000.8.5、大和書房、1600円
「神はサイコロ遊びなどしない」「世界が理解できるという事実こそ、ひとつの奇跡だ」 アインシュタインの残した数々の言葉を入口に、相対性理論からブラックホール、量子力学から宇宙論までをやさしく解説。
1,あなたの時間、私の時間 相対性とはどういうことか
2,光と一緒に走る 光速度不変という原理について
3,エレベータの内と外 等価原理という考え方
4,なぜ星が見えるのか? 光量子仮説
5,時間と空間の統一 時空のダイアグラム
6,ウラシマ効果 同時性と時間の遅れ
7,最も有名なアインシュタインの式 E=mc^2
8,時空のカタチ 曲がった空間
9,ブラックホールなんか怖くない 謎の天体の秘密
10,生涯最大の過ち 静止宇宙とビッグバン
11,アインシュタインの夢 世界の法則の統一と理解



『科学の国のアリス―★入門!ニュートン物理学』福江純著、モリナガ・ヨウ図版、挿画、オブジェ
2005.6.10、大和書房、1600円
クラシックサイエンス=ニュートン物理学の世界をアリスが楽しくナビゲート。知っているようで知らない、“身近な不思議”を科学する本。
1,虹の国 ハートは何色?
2,光の国 光は一人二役
3,運動の国 自然のルール・運動の法則
4,重力の国 宇宙のルールと万有引力
5,電磁の国 電気と磁気の合体
6,熱の国 温度って何?
7,水の国 木の葉の行方
8,時空の国/真理の国 ニュートンの宇宙とアインシュタインの宇宙



『90分でブラックホールがわかる本』福江純著、カサハラテツロー:コミック・イラスト
2020.7.10、大和書房、Kindle版、1320円
アインシュタインの予言から100余年、謎だらけの天体の秘密に迫る。ゼロからわかるブラックホール特別講義!すらすら読めてブラックホールの謎と不思議がよくわかる!
【序章】ブラックホールが”視えた!!”
【第1章】ブラックホール、知ってるつもり!?
もし太陽がブラックホールになったなら…
【第2章】ブラックホールはどんな天体か?
アインシュタインが一般相対論で予言したこと
【第3章】ブラックホールはどこに居る?いくつある?
発見の歴史と新たな謎
【第4章】ブラックホールはどう視える?
光り輝くブラックホールのさまざまな姿
【第5章】イベントホライズン望遠鏡がとらえたもの、とらえられなかったもの
実際に視えたブラックホールと光子リング
【終章】ブラックホール未来授業
ブラックホール直接撮像の意義と今後
紹介記事「センス・オブ・ワンダーが誘う未来へ── 『90分でブラックホールがわかる本』

松崎有理先生著者インタビュー関連本

『イヴの末裔たちの明日』松崎有理著、カシワイ装画
2019.11.29、東京創元社、Kindle版、1777円
【収録作】
「未来への脱獄」刑務所で同室の男はタイムマシンを作ろうとしていた……
「ひとを惹きつけてやまないもの」長く未解決だった数学予想の証明に取り憑かれた青年と、暗号解読に人生のすべてを捧げた宝探し人の行く末を追う
「イヴの末裔たちの明日」ロボットが労働の大半を担うようになった未来、首を言い渡された男の行く末は……
「まごうかたなき」遠い未来。温暖化のすえ荒れ果てた大地でどうにか命を繋いでいる人の集落に怪物がやってくる……
「方舟の座席」異星人によって人類の大半が滅亡させられた時、衛星軌道で生き残った人は……


『Genesis 白昼夢通信』創元日本SFアンソロジー Kindle版、2019.12.20、1980円
【収録作】
高島雄哉「配信世界のイデアたち」
石川宗生「モンステリウム」
空木春宵「地獄を縫い取る」
中村融〔エッセイ〕「アンソロジーの極意」
川野芽生「白昼夢通信」
門田充宏「コーラルとロータス」
西崎憲〔エッセイ〕「アンソロジストの個人的事情」
松崎有理「痩せたくないひとは読まないでください。」
水見稜「調律師」


『Genesis されど星は流れる』
創元日本SFアンソロジーKindle版、2020/8/28、東京創元社、2090円
【収録作】
宮澤伊織「エレファントな宇宙」
空木春宵「メタモルフォシスの龍」
オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」
池澤春菜×下山吉光〔対談〕「プロの覚悟を届けたい――朗読という仕事」
松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」
堀晃「循環」
宮西建礼「されど星は流れる」
折輝真透「蒼の上海」



『小説宝石』2021年7月号
2021.6.22、光文社、818円
“主人公が●●〈擬人小説〉特集”
黒木あるじ「春と殺し屋と七不思議」七不思議を処分する
そえだ信「いみじく」カラオケマシンが……
藤崎翔「勇者たちのオフ」ゲームキャラクタたちのオフタイム
松崎有理「山手線が転生して加速器になりました。」
松崎さんのが一番のおバカSFですなあ(笑)



SFマガジン2021年6月号
2021.6.1、早川書房、1200円
《異常論文特集》【収録作】
「INTERNET2」木澤佐登志
「裏アカシック・レコード」柞刈湯葉
「インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ」陸秋槎
「オルガンのこと」青山新
「『多元宇宙的絶滅主義』と絶滅の遅延──静寂機械・遺伝子地雷・多元宇宙モビリティ」難波優輝
「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」柴田勝家
「SF作家の倒し方」小川哲
「ザムザの羽」大滝瓶太
「樋口一葉の多声的エクリチュール──その方法と起源」倉数茂
「無断と土」鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)



『異常論文』樋口恭介編
2021/10/19、早川文庫JA、Kindle版、1228円
【収録作】
「決定論的自由意志利用改変攻撃について」円城塔
「空間把握能力の欠如による次元拡張レウム語の再解釈 およびその完全な言語的対称性」青島もうじき
「インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ」陸秋槎
「掃除と掃除用具の人類史」松崎有理
「世界の真理を表す五枚のスライドとその解説、および注釈」草野原々
「INTERNET2」木澤佐登志
「裏アカシック・レコード」柞刈湯葉
「フランス革命最初期における大恐怖と緑の人々問題について」高野史緒
「『多元宇宙的絶滅主義』と絶滅の遅延──静寂機械・遺伝子地雷・多元宇宙モビリティ」難波優輝
「『アブデエル記』断片」久我宗綱
「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」柴田勝家
「SF作家の倒し方」小川哲
「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」飛浩隆
「樋口一葉の多声的エクリチュール──その方法と起源」倉数茂
「ベケット講解」保坂和志
「ザムザの羽」大滝瓶太
「虫→……」麦原遼
「オルガンのこと」青山新
「四海文書(注4)注解抄」酉島伝法
「場所(Spaces)」笠井康平・樋口恭介
「無断と土」鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)
「解説──最後のレナディアン語通訳」伴名練
「なぜいま私は解説(これ)を書いているのか」神林長平
想像力の限界を試されている気がする、空前絶後・前人未踏な飛浩隆先生の「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」は圧巻。SF創作講座の受講生の皆さんは、これを読んでどういう感想を持たれたかも気になるところです。



『ショートショートドロップス』新井素子編
2021.1.25、角川文庫、660円
【収録作】
新井素子「のっく」
上田早夕里「石繭」
恩田陸「冷凍みかん」
図子慧「ダウンサイジング」
高野史緒「舟歌」
辻村深月「さくら日和」
新津きよみ「タクシーの中で」
萩尾望都「子供の時間」
堀真潮「トレインゲーム」
松崎有理「超耐水性日焼け止め開発の顛末」
三浦しをん「冬の一等星」
皆川博子「断章」
宮部みゆき「チヨ子」
村田沙耶香「余命」
矢崎存美「初恋」
新井素子先生による女性作家アンソロジー。レベルの高い作品ばかりでSFファン以外にも広くお薦めできます!



『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』
藤本敦也・宮本道人・関根秀真編著、2021.7.28、ダイヤモンド社、1500円
【第1章】SFとビジネスの関係
世界のビジネスリーダーはSFに影響を受ける
【第2章】3×5のSF思考
【SF第3章】「自分の未来」を創造するSF思考は荒唐無稽だが、荒唐無稽ではない
【第4章】SF思考がはばたく「未来ストーリーづくり」
【第5章】SF思考で、いまと未来を変えていく
【第6章】SF作家×企業でつくる未来ストーリー
【第7章】SF思考から生まれた5つの未来
ヘルスケアの未来「海の感情」高橋文樹
つながりの未来「秋の雷」柴田勝家
働き方・活動の未来「向かい風ありて」長谷敏司
防災の未来「災厄の中の希望」林譲治
環境の未来「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」松崎有理


シュレディンガーの少女

《草紙屋薬楽堂ふしぎ始末》シリーズ完結記念著者インタビュー(丹地陽子作品集)

『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2016/10/15、大和書房、680円
「謎を解いて、見事に怪異を鎮めてみせるよ」
時は文政、江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂に戯作を持ちこんだのは、地味な三筋格子の着物を粋に着こなした、鉢野金魚。薬楽堂に居候する貧乏戯作者・本能寺無念とともに巻き込まれるのは、あやかしの仕業とも囁かれる怪事件……


『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2017/5/15、大和書房、680円
「気の強ぇ女が二人――こいつぁ危ねぇ組み合わせが出来上がっちまったな」
時は文政。江戸の通油町にある本屋、草紙屋薬楽堂の面々に、曲亭馬琴に認められた武家の女、只野真葛が加わった。売出し中の女戯作者・鉢野金魚(はちのきんとと)と貧乏戯作者・本能寺無念(ほんのうじむねん)、もと御庭番の読売屋・北野貫兵衛らとともに、真葛は怪異がらみの噂と企みの背後の闇を探り始めるが……


『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 唐紅色の約束』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2017/12/15、大和書房、680円
「あたしはあんたがどこへ行ったって、必ず見つけてあげる」
時は文政、江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂が特別に誂えた大切な表紙紙が盗まれた。知恵者の売れっ子戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念は、金魚の遠き友への想いがこもった唐紅色の紙を取り戻すために、現場となった表紙仕立屋・播磨屋を訪ねるが……。

『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 月下狐の舞』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2018/10/15、大和書房、680円
「見えないかい? 月明かりの中の妖しく美しい狐の舞が」
時は文政、ある雨の日、江戸の本屋・草紙屋薬楽堂に持ち込まれたありふれた人情噺の裏には、禍々しくも哀れな狐憑きの噂が……。
推当物を得意とする女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念、武家の女・只野真葛、高名な父を持つ女絵師・葛飾応為ことお栄は、切ない出口なしの物語を「一番の結び」に導く大芝居を計画する。


『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2019/9/15、大和書房、680円
「次の百物語では必ず怪異が起こる」
時は文政、推当物が評判の女戯作者・鉢野金魚は、武家の女・只野真葛、貧乏戯作者・本能寺無念らとともに、怪異の謎を解き明かすべく、亡魂が現れるという百物語に参加するが……。



『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 凍月の眠り』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト
2022/1/15、大和書房、740円
「生ける屍 本所深川反魂の宴」
──時は文政。推当物が人気の女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念は、墓に埋められた死体が生き返ったとの噂を聞き、その真相を探ろうとする。
「本草学者 未練の訪れ」
若き本草学者が亡くなったあと、書物屋に持ち込まれた蔵書。幽霊と書き込みの無い本をめぐる謎とは。
「丑の刻参り 呪いの行方」
許婚に裏切られた女の呪い。いったい女の身に何が起こったのか、裏切った侍の真意は……
「雪女郎 凍月の眠り」
吹雪の日に姿を消した薬楽堂短右衛門の娘・けいの足取りを追い、六部の装束を纏った童女が誘う空き家に踏み込むが、そこに居たのは……



『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 凍月の眠り』の帯をとったバージョンです。
著者インタビューの本文中にもある通り、金魚さんの艶姿は、「丑の刻参り 呪いの行方」での出で立ちと藁人形。「生ける屍 本所深川反魂の宴」のモチーフが右上のさらばえた両手。 「本草学者 未練の訪れ」は背景で散らばる和書、「雪女郎 凍月の眠り」はたぶん雪景色と黒い蝋燭と人魂かなあ


丹治陽子作品集
『丹地陽子画集』丹地陽子著
2121.10.20、パイインターナショナル、1800円
丹地先生から許可が出たので掲載
SF・ファンタジー系の装画がわりと多いような。
○「アニマ・ソラリス」で取り上げたことのある本の装画
上記《草紙屋薬楽堂ふしぎ始末》シリーズ全6巻
平谷美樹著《鉄の王》『伝説の不死者』『唐金の兵団』
松崎有理著『代書屋ミクラ』『代書屋ミクラ すごろく巡礼』
○持ってる本
ル・グイン著『闇の左手』
あさのあつこ『燦6』『燦7』
フレデリック・ブラウン著『街角の本屋さん 18の奇妙な物語』
内田康夫著『ぼくが探偵だった夏』
SFM2013年7月号
小林泰三著『アリス殺し』『完全・犯罪』

『国萌ゆる 小説:原敬』関連資料

『国萌ゆる 小説:原敬』『国萌ゆる 小説:原敬』平谷美樹著、浅野隆広装画
2021.10.15、実業之日本社、1900円
日本初の本格的政党内閣を率いた政治家、激動の生涯。理想の国家を目指した平民宰相・原敬。
没後100年記念、傑作大河巨編!
憲政史上初の「平民宰相」原敬。
盛岡藩士の子として生まれ、戊辰戦争での藩家老・楢山佐渡の死に際し新しい国造りを志す。
維新後士族をはなれ平民となり、新聞記者、外交官、官僚として頭角を現し、政治の世界へ転じたのちは藩閥政治から政党政治への刷新を掲げる。
第19代総理大臣となり日本の政党政治、民主主義の基礎を築くが、1921年11月4日、東京駅で暗殺される。
原の出身地・岩手在住の歴史時代作家が、理想を追い続けた稀代の政治家、そして家庭での知られざる等身大の姿も描ききった、渾身の大河小説。


第100代首相

岡山の山陽新聞2021年10月3日(日)9面掲載の「あす第100代首相誕生」と銘打たれた特集記事
右に戦前戦後の「歴代首相の変遷」と、左に歴代首相の出身地の図が入っています。節目の100代首相と言うことで、こういう特集記事がくまれたのでしょうね。
「帝国議会を尊重するよう求める声が高まった大正デモクラシー期の1918年、立憲政友会総裁だった原敬が19代に就いた。初の本格的な政党内閣とされる。」と記されています。(右の図では1920年初のメーデーと記された写真から、24代の加藤高明氏のところに線がつながってますが、これは誤りで、原敬氏と結ぶべきですね)
岩手県出身の首相としては、原敬・斉藤実・米内光政・鈴木善幸と4名が。18県が0であることを考えると、多い方です。ちなみに岡山県出身者は、犬養毅・平沼騏一郎・橋本龍太郎の3名です。

岡本俊弥先生著者インタビュー関連本

岡本俊弥氏の著作には、最新の知見を基にしたコアSF系の短編と、幻想色の濃いファンタジー系の短編がありますが、その境はシームレスに繋がっている感じです。
“新しい酒は新しい革袋に盛れ”とは、よく聞く警句の一つですが、岡本俊弥氏のSF系短編は、“新しい酒を古い革袋に盛る”ことで成功している珍しい例だと思います。SFは扱う題材が題材だけに、あまり懲りすぎると“宇宙人を抽象画で描く(c今岡清)”ことになるので、ひょっとしたらSFにおいては違う意味の警句になるかも。
そんな中でも、特にSFファンにお薦めなのは“機械の精神分析医”シリーズ。 主人公は、機械の故障解析を行う調査会社に属し、一般には”Behavior Analyst of Things:BAT”通称“機械の精神分析医”と呼ばれる。(以下BAT)
設定の解説としては、“「深層学習」はプログラムではない。仮想的なニューロ・ネットワークによるパターンマッチングが基本なのだ。数式を解いて答えを出しているわけではない。そういう機械の内部動作を、手続き型のプログラミング言語のようにデバッグすることはできない。機械がなぜそうしたのかを知るために、機械専門のアナリストが必要になる。”(以上引用)
以下、ネタバレのところは白いフォントにしていますので、未読の方は無理に見ようとしないで下さい(笑)
また、これだけの内容とページ数がありながら、380円という価格はコスパ抜群だと思います。Kindleアンリミテッドの会員の方は無料で読めますし。
「岡本ワールド」、お薦めです。

『機械の精神分析医』岡本俊弥著 2019.7.7、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「機械の精神分析医」BATシリーズ
無人軍用機が事故を起こし、事故の原因として、インテリジェント・ボルトが疑われる。極めて限られたセンサしか持たないIoTボルト内のストレージに、なぜか「酷薄な笑みを浮かべる金髪の少女」の画像が紛れ込んでいたのだ。
「機械か人か」BATシリーズ
TOP500の一位である国産スパコン「垓」での創薬研究に従事する研究者から楳木に依頼が届く。「垓」内部からの、出所不明の救いを求めるメッセージが届いたというのだ。「垓」は、物理シミュレーションで感染症に有効な薬を瞬時に探すこともできる能力がある。
(この方法は、新コロナウィルスに合致したmRNAを製造する過程と同じだなあと思ったいたらインタビューでも言及されてます。以下ネタバレあり)
実はその「垓」と「量子コンピュータ」を結合させて兵士のスーパー脳を開発するプロジェクトでの出来事だったのだ。というわけで、題名の「機械か人か」は二重三重の意味を持ってくる。
「にせもの」BATシリーズ
人事部に、VR面談で採用予定の人間が、実在の人間ではないのではないかとの垂れ込みが寄せられた。(以下ネタバレあり)
電子的に生成された魅力的な人間のアバター(実在はしてない)の事案。機械知性なら、最も人間性を発揮する模倣ができ、年期を積んだ人間ほど簡単にだませる。なぜなら経験こそが機械学習のポイントだからだ。←なんとそうなのか!
「衝突」BATシリーズ
AIによる自動運転のドローン同士の衝突事故の話。自動運転車に搭載されたAIが「トロッコ問題」をどう解くかというと、八島游舷先生の星新一賞受賞作「Final Anchors」もありますが、あちらが理知的な構成とエモーショナルな展開であるのに対して、こちらは、本質的でクールであると言えると思います。。
「シュムー」BATシリーズ
倒産寸前の企業を買い取り、AI導入により事務職員を極限まで減らし利益がでるようにすることによって収益を上げて大きくなった会社からの依頼。
「シュムー」とは、入力と応答とのマップを多層に積み上げていくと、三次元の図形 が見えるようになる、それをシュムーと呼ぶ。(以下ネタバレあり)
赤字になった会社の欠陥をそのまま引き継いだAI化された会社は、更なる劣化も凄いスピードで進むというのはなんか本当ぽく聞こえる。
「マカオ」
急なマカオへの出張命令。それが総ての発端だった。チケット料金の関係で弾丸ツアーとなったその出張は、マカオのカジノリゾート誘致のプロジェクト絡みであった。
「人事課長の死」
AIによる多方面からの人事評価、その結果は絶対だった。今まで肩を叩く側だった人事課長は、ある日解雇を告げられる。そうして次に就くべき職業はアクターだと告げられる。(以下ネタバレあり)アクターといっても、AIが書く小説の肉付けに使われる経験・記憶を提供する役回なのです。

「ノンバルとの会話」
ノンバルは、道路標識を思わせる形をした会話を主体とするコミュニケータの一つ。収集した仕草や顔の表情・声から相手の感情の動きを読み取り、相手に最も適した声質と適切な相づちによって、人の情動を操ることが出来る。そのノンバルが引き起こした思いもかけない災厄を描く。
「摩天楼2.0」

旧来の友人から、自宅に招待したいと連絡が届く。そこは摩天楼と呼ばれる神戸にある高さ2.5kmにも及ぶ超高層建築の中だった。
「ビブリオグラフィ」
主人公が、亡くなった父親の住居に立ち寄り書架を見ていると見慣れぬ本に気が付く。記憶に関する研究をしていたエンジニアである父にしては珍しい本だ。『黎明期の階』と題されたその本は、BNFである父が書いた評論集でもあり、そのジャンルの体系的な資料集でもあった……(以下ネタバレあり)
還暦を迎えてまだ四年目の父が亡くなったとあるので、ほぼ現在の岡本俊弥氏の年齢と同じと思われる。しかも人工知能技術による“もうひとつの人生”生成の研究


『2038年から来た兵士』』岡本俊弥著、Photo by HIZIR KAYA on Unsplash
2020.1.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「二〇三八年から来た兵士」
混雑する都会の地下鉄に突然自動小銃を持ち出現した老人は、自らを日本共和国の兵士だと言うのだが……(以下ネタバレあり)
若者VS老人の対立をエスカレートさせた作品。老人は生産性が無いから要らないというのは、昔から姥捨て山とかあって、それがない時代の方が短いかもです。平谷美樹先生にも同じ題材の『でんでら国』という傑作がありますが、岡本先生の描く世界はもっとアナーキーなようです。
「渦」
微生物量産化に取り組むベンチャー企業の開発者は、世界の異常気象をチェックしてブログに上げるのが趣味だった。(以下ネタバレあり)
プラスチックを分解する微生物と、異常気象を俎上に上げて料理した作品。この着想は鋭い。限界生物に詳しいというと長沼毅先生。極限環境(熱水火口も含む)にも色々な微生物が生息していて驚くばかり。藤崎慎吾先生は、マントル菌とか電気を喰う菌(地震を起こす菌)とかネタにされてましたね。
「汽笛」
少年が見たその蒸気機関車は、何軸もの動力輪を持った巨大なものだった。巨大な蜘蛛にも似た機械によって、異星人が支配するホロコースト後の地球。既に支配者と人類の穏やかな関係(人類側から見れば諦めの境地)が続く世界でのボーイミーツガール。
「水面」
起きたらそこは水底だった。屋根のはるか上で、光が揺らめく水面の意味する異変とは。(以下ネタバレあり)記憶や人間の精神活動は、われわれが考えるほど崇高なものではないのではないかという岡本先生の考えが良く出ている作品。わかっちゃいるけど、もの悲しい。
「ザ・ウォール」
ある日出現した壁は、日本全土を壊滅させ、残った人々の生活をも激変させる。(以下ネタバレあり)小松先生の『物体O』のような話。しかし生きている限りは働いて生きる糧を得なければいけない。ラストに現在の実際の状況が示唆されるが、それはあまりにも暗い未来を指さし示すのみ。
「五億年ピクニック」
夜のオフィスで受けた怪しい電話は、火星不動産のデベロッパー業者からの勧誘だった。年代を区切って、火星にたった一人だけ住むというその案件の本当の目的とは。
「消滅点」
ある日突然発生した爆縮による猛烈な突風と今なお続く強烈な電波障害。壊滅したN県にあった自宅と家族の安否を確認するために、立ち入り禁止区域に入った男の見たものとは。
「梅田一丁目明石家書店の幽霊」
かつて梅田一丁目にあった書店の直営の喫茶店では、趣味を同じくするモノ達がよく定例会を開いていた。そこに出没する林田という戦前のパルプ雑誌に詳しい年齢不詳の男が居た。
「流れついたガラス」
大学新入生の主人公は初めて小説を翻訳する。ディレーニイの「ドリフトガラス」とか、チャーリー・ブラウンとか懐かしいし単語が(笑)海外のファンジンというと、小谷真理女史が頒布されていた「SF-Eye」というのを購読していました。まあ英語だし、内容はほとんど読んではなかったのですが、毎年郵便局から送金していたのは覚えてます。見知った作家の名前のところだけ拾い読みしていた(汗;)
「あらかじめ定められた死」
遺伝子情報等で、人間の寿命の予測が付くようになった時代。18歳になると総ての国民に、あと何年生きられるかの予測情報が届けられるのだ。


『猫の王』』岡本俊弥著、Photo by Hannah Troupe on Unsplash 2020.7.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:(ネタバレ部分は白いフォントにしてます)
「猫の王」
ある猫の王のお話。猫好きな人にはたまらない話でしょう。
「円周率」
円周率が書き込まれているDNAメモリを人体に埋め込む治験に参加した男の話。(以下ネタバレあり)PCにある程度詳しい人なら、首筋が薄ら寒くなる展開と納得の落ちではあります。
「狩り」
小学校から高校時代と、主人公が気になる女の子は魅力的な尻尾が生えていた。(以下ネタバレあり)岡本俊弥版「カンタン刑」の趣もありますね。ブルブル。
「血の味」
インドで開発された合成肉は、組成からして本物の肉と同じものだった。ライセンス料が安いこともあり、やがてその肉は市場を席巻する……。(以下ネタバレあり)そこには、食肉を好む国(人々)への隠された落とし穴が隠されていたのだ。
「匣」
年老いたコレクターが建てた巨大な書庫。行方不明になった主を探して調査に訪れた市役所職員たちが見たものは。(以下ネタバレあり)解説で大野万紀先生が、ネタ元は水鏡子先生の書庫であると暴露されてます。凄いなあ。石原藤夫先生のところの書庫も相当なものでしたが。
「決定論」
世の中総てにおいて決定論的な思想が支配する社会。それを少なからず疑問に思う主人公は、ある日前頭葉前野に不可思議な器官が存在していることを知るが……。
「罠」
あたりまえの日常を送る主人公は、朝の通勤途上「見えない壁」に行く手を阻まれる。
「罠」は、岡本先生の小説に趣向を変えて何回か出てくる、機械知性←→人間の意志・意識の話です。
「時の養成所」
荒涼とした谷間に、ヒト族のための養成所が設けられている。そこでは専門の指導者たちが時を司る特殊官僚を養成していた。
「死の遊戯」BATシリーズ
失業したプロのゲームアスリートが、謎めいたゲームにリクルートされる。聞いたこともないゲームシステムだった。何重にも重なりあったゲーム世界と現実世界。そこで起こった出来事はいったい……

『千の夢』』岡本俊弥著、Photo by Jakob Owens on Unsplash 2021.2.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「千の夢」
新商品ステラは、共感覚センサーを用い個人の感情の起伏を記録する情報端末だ。『千の夢』の中で一番好きな作品。(以下ネタバレあり)ただ記録するだけでは無く、その記録から肯定的な物語を紡ぎ出し、それを聞かせることによってストレスを軽減し精神の静謐を保つ機能があった。社運を賭けて売り出してみたものの、ステラが巻き起こした驚くべき皮肉な結末とは…… 構成とか展開の仕方によって、どうにでも結末づけられるネタなんですが、あくまで会社と社員にこだわっているところが岡本先生らしい。仕様を変えれば個人用ドラレコみたいな用途にも使えそうだし、悪用すれば洗脳にも使えそうだし。
「呪い」
画期的な発明を産むはずの研究所から提案されるのは、怪しくて使い物にならないか捨てられた特許と同類のものばかり。それがある時期から急に……
「瞳のなか」
会社で重大な決断を迫られる時期、その度にある女性が現われ取引に関する核心を突くアドバイス告げるのだが……
「遷移」
集合論的定義をされた登場人物達が意味するものとは……ストレスに満ちたある職場で、登場人物の周囲の人たちの定義が次々と入れ替わっていく。一番面白かった作品。定義の仕方が一般意味論的というか、ヴァン・ヴォクト的というか。ニューウェーブ的でもあり面白いですね。インタビュー本編でそこらあたりもうかがっています。
「同僚」
地方のインフラを集約した中核市で、一人の男と同僚の女が何気ない会話をする。
「シルクール」
アフリカの聞いたことも無い国の製品が急に目に付くようになる。それは次々と姿を変え、やがて無視することの出来ない潮流となる。
「瞑想」
社内SNSでの誹謗中傷を見つけたあと、主人公は法衣を着たコンサルタントのカウンセリングを受ける。
「抗老夢」
無駄な生を生きる意味があるのか、一人の科学者の提言はさまざまな波紋を広げていく。「見えないファイル」
ジャンク屋で見つけたパソコンから、男が隠したはずの過去が湧き出してくる。
「ファクトリー」
謎のライバル会社の実態を探るため、現地に乗り込んだ主人公は、たらい回しにされたあげく意外な場所にたどり着く。
「侵襲性」
VR式のトレーニングジムに通ううちに、男は仮想コースを走るトレーニングの爽快感に取り憑かれてしまう。
「陰謀論」
主人公は若い女性管理職だったが、部下のうだつの上がらないベテラン社員から予想外の相談を受けることになる。

『豚の絶滅と復活について』『豚の絶滅と復活について』岡本俊弥著、Photo by Tishine Ndiaye on Unsplash
2021.9.18、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:

「倫理委員会」
(問題視されぬ前の自主規制)倫理委員会の議事録を書く仕事。そこだけ見れば普通の仕事に思えますが……
「ミシン」
ミシンとは、脳内のネットワーク電位を探るために開発された極細プローブを埋め込む機械です。
「うそつき」
アシスタントというAIパートナーに誰もが頼り切る時代。ユーザーとアシスタントの間に生じた齟齬の原因は…。アシスタントの呼び名の例が「ワトソン」とか「マイクロフト」とは?我々の年代のSFファンなら、まず『月は無慈悲な夜の女王』を思い出して、こいつは有能に違いないと信用しちまうかも(汗;)
「フィラー」
著作物付帯権利保護法。鬼籍に入った俳優をデジタルで甦らすとき、日常動作の不自然さを払拭するために俺たちフィラーが登場する。
「自称作家」
どこにでも居る売れない自称作家が、ある契約をしたとたん信じられないことが起きたのです……
「円環」
一人の男が同居する友人と、知識を持ち生まれ、それを失っていく人生と、知識ゼロで生まれ次第に知識を獲得していく人生について語り合います。
「豚の絶滅と復活について」
牛豚鶏が絶滅して肉食が不可能になった世界。市場に効率よく時間をかけないで肉を提供する手段に隠された秘密とは……
「チャーム」
周囲に影響を及ぼす特殊能力チャームの力をつきつめていくと。
「見知らぬ顔」BATシリーズ
入国拒否されたミャンマー人の弁護士からの依頼。分析した入国管理局のデータには、隠された秘密が……。
「ブリーダー」
アプリ動物を育てる実験に使われているのは機械知性だと思われていたが、実際は…。
「秘密都市」
若い頃雑誌のライターをしていた主人公の元に仕事の依頼が来る。調べていくとロシアが得意とする技術が日本に漏出したようなのだ……。

『眉村卓の異世界通信』関連本

『眉村卓の異世界通信』「眉村卓の異世界通信」刊行委員会編集
2021/6/30、オンデマンド版、1980円
●第一章 父のこと
眉村先生(藤野恵美)/そして。眉村さん追悼(谷甲州)/ 眉村さんのこと(円城塔)/ その果てを知らずについて(小林龍之)/父のこと(村上知子)
●第二章 眉村さんのこと
秋 あきら/芦辺拓/綾崎隼/石黒みなみ/石坪光司/上田早夕里/江坂遊/大熊宏俊/岡本俊弥/川端由香里/木下昭南/木下充矢/上坂京子/児島冬樹/小浜徹也/小林まゆみ/斎藤晋/佐倉希望/椎原豊/雫石鉄也/芝崎美世子/清水杏奈/菅浩江/瀬戸みゆう/妹尾良子/高井信/髙鍋學/竹本健治/田中和子/田中哲弥/CHARLIE/中西秀彦/中野和代/橋元淳一郎/浜田美鈴/林譲治/柊たんぽぽ/緋色比加ル/東野尚子/深田亨/福田和代/藤本あずさ/牧野修/まこと/まつもと みか/真弓創/深山 孝/森香奈/森岡浩之/盛田千里/山崎好志子/山本由樹/山根啓史/渡邊純代/和田宜久
(眉村卓にちなんで寄せられた文集、著者名五〇音順に掲載)
●第三章 SF作家・眉村卓の六十年
SF作家・眉村卓の六十年(山岸真)/ 詩とは何かと問われたら(山田兼士)/眉村卓の初期詩篇について(服部誕)/ 眉村卓さんのこと(祝井堅太郎)/日生を訪ねて――峠からヨータイ日生工場へ――(堀晃)/澤田郁子さんに聞く コピーライター時代の眉村卓さん/対談 眉村さんの光輪(田中啓文×北野勇作)/ インタビュー村上知子さんに聞く
●第四章 夢まかせ
夢まかせ(単行本未収録短編全文掲載)/卓通信 全10回全文掲載
●第五章 眉村卓著作リスト
眉村卓著作リスト・眉村卓著作リスト解題(岡本俊弥)/眉村卓映像化・ラジオ化作品リスト(石坪光司)
眉村卓さんの葬儀会場には、久しぶりに顔を合わせるグループが幾つか出来上がりました。誰からともなく、いつか「偲ぶ会」を開きたいという空気が生まれたのもこの時です。
しかし、年が明けてからの新コロナ禍で、一周忌での開催は見送らざるを得ません。今年になっても終息の気配はなく、三回忌に併せての開催も難しい情勢です。リアルな世界で眉村ファンが語り合うイベントは不可能な時代になったのかもしれません。
ひそかに結成されていた「眉村さんを偲ぶ会」実行委員会(仮)は「眉村卓の異世界通信」刊行委員会と改称し、当面の活動目標を記念誌の発行に切り替えました。
異世界通信とは、長年眉村さんが続けた異世界との交信記録であり、異世界にいる眉村さんへのファンからの送信でもあります。多くの方に賛同いただき本書が刊行できました。(本書のまえがきより抜粋)

『チャチャヤング・ショートショート・マガジン9 追悼・眉村卓先生』
小野霧宥/和田宜久/柊たんぽぽ/雫石鉄也/岡本俊弥/野波恒夫/深田亨/大熊宏俊/南山鳥27/ミラディス・ジョアン (著)
2020/2/10、チャチャヤング・ショートショートの会、Kindle版、99円
70年代初頭、関西地区で放送された深夜ラジオ番組「MBSチャチャヤング」、その木曜日担当パーソナリティが、当時36歳新進気鋭のSF作家であった眉村卓さんでした。
パーソナリティがそんな方でしたから、自然発生的に「ショートショートコーナー」が生まれ、 リスナーが競ってショートショートを投稿し始めます。
毎週優秀作が発表され、眉村さんが朗読して下さいます。番組が終了しても、メンバーは眉村邸に集い、爾来幾星霜、断続的に同人誌が発行されます。そして今世紀になって創刊されたのが、当誌《チャチャヤング・ショートショート・マガジン》ということになるのですね。
その眉村先生が昨年(2019年11月3日)、85歳で亡くなられました(合掌)。 よって本号に会員の追悼文(ほぼ思い出話)を掲載し、追悼特集号とします。

『チャチャヤング・ショートショート・マガジン10 眉村卓先生一周忌追善号』
野波恒夫/岡本俊弥/和田宜久/深田亨/雫石鉄也/柊たんぽぽ/大熊宏俊 (著)
2020/10/5、チャチャヤング・ショートショートの会、Kindle版、99円。
眉村先生が亡くなられて早一年。一周忌にあわせて、先生が病床で死の直前に完成された最後の長篇小説が、10月20日(先生のお誕生日ですね)刊行されますが、当会もその驥尾に付し、当号を「眉村卓先生 一周忌追善号」と銘打ち、70年代後半に開催していた先生を囲んでの勉強会「銀座会」の記録を収録の上、こちらはご命日の11月3日付にて発行します。


『その果てを知らず』眉村卓著、講談社、2020.10.20、1500円
2019年11月に逝去された故眉村先生の遺作
今から60年以上前、大学を卒業して会社員となった浦上映生は文芸の道を志し、SF同人誌「原始惑星」や創刊されたばかりの「月刊SF」に作品を投稿し始めた。サラリーマン生活を続け、大阪と東京を行き来しての執筆生活はどのように続いていったのか。晩年の彼が闘病しつつ創作に向き合う日常や、病床で見る幻想や作中作を縦横無尽に交えながら、最期に至った“この世界の真実”とは。

作中にマシスン作の『縮みゆく人間』に言及する場面が出てくるんですが、私がこの本を読んだときの感想そのままで、なんかジンと来ました。見ると早川の銀背で”3201″番なんですね。もっと古いかと思っていました(S43年11月。ちなみに”3001″は『盗まれた街』)
あと陰陽師を祭った神社に参拝するシーンがあり、これもお年始とか七五三で参拝する地元の神社にも、安倍晴明の墓があるのでなんかご縁を感じました……


作詞:相田毅
作曲:堀内孝雄
編曲:川村栄二
歌:堀内孝雄
発売:2012.5.9
堀内孝雄の1年振り(2012年時)となるシングル。作詞家・相田毅が作家・眉村卓夫妻のニュースをヒントに2008年に作詞、堀内孝雄が曲をつけた、久々にやや演歌調の楽曲。

町井登志夫先生著者インタビュー関連書籍

#mce_temp_url#『量子少女(クォーク・ガール)1』

『量子少女(クォーク・ガール)1』町井登志夫著、Dick Thomas Johnson写真
2017/11/7、アドレナライズ、kindle版、770円
藤川コスモ。うちの高校でトップクラスの美少女だ。彼女に関してはいくつも都市伝説が生まれていた。中でも極めつきなのが、別名“量子少女”。彼女は「観察不可能」だという。クラスメイトだったはずが、なぜか次の日には隣のクラスにいる。ただ、そんな気がするだけで、誰も不思議には思わない。なぜなら、世界が変わると同時に、みんなの記憶も入れ替わってしまうのだから。だけどある日、ぼくは気づいてしまった。コスモが変えた世界を“縫う”ことで修復している少女・斉藤真綾に出会ったことがきっかけだった。

『量子少女(クォーク・ガール)2』

『量子少女(クォーク・ガール)2』町井登志夫著、Dick Thomas Johnson写真

2019/11/1、アドレナライズ、kindle版、770円

藤川コスモ。彼女は右手を振るだけで世界を変える。今まであったものはなかったことになり、今までなかったものがこの世に突然出現する。それが彼女の生まれついての特殊能力だ。不審な男たちが学校の周りをうろつくようになった翌日、突然、コスモと連絡が取れなくなってしまった。時空の歪みを修復できる斉藤真綾と、量子の波の影響を受けない犬飼研の二人は、コスモの行方を案じて捜索を開始。しかし彼女は、極秘の国家プロジェクトに協力するため、岩手県にある地下研究施設に保護されていた。


『電波次元の巫女』

『電波次元の巫女』町井登志夫著、稲荷茶緒デザイン

2017/9/5、アドレナライズ、kindle版、770円

大平淳一は地味で平凡、クラスの中でもまったく目立たない高校生。念願のスマホを手に入れたものの、友達がいないので誰からの着信もない。それどころか、彼のスマホにだけ異変が起き始めた。原因がわからず混乱していると、芸能界でも活躍する学校一の美少女・純夏(みか)が声をかけてきた。彼女に半ば強引につれられてやってきたのは特殊な病院。ベッドの上には、事故で寝たきり状態となり、生命維持装置や様々な電子機器に繋がれた一人の少女・深秋(みあ)。彼女は警告した、「あなたのスマートフォンの中に“何か”がいます」そして彼女こそ、世界を覆う“異変”に気づいた最初の人間だった…。

『生き髪』

『生き髪』町井登志夫著、Petras Gagilas写真

2018/2/1、アドレナライズ、kindle版、770円

気は強いがその美しさゆえに街中の視線を集める女・リエ。彼女を巡って、巨躯の筋肉男・中島、天才的な格闘センスを持つ優男・浦浜は、台風が吹き荒れる海岸で拳をまじえる。だがその頃、三人が通う“瀬島大学”では異変が起きていた。頭に茶髪を突っ立てた講師や学生が現れ、ふらふらと歩き回っている。変なカツラでも被っているのか、とバカにする周囲の者たち。だが、彼らは後悔することになる。その茶髪は、次々と人間たちを襲い始めたのだ…!

『スキール・クィーン』

『スキール・クィーン』町井登志夫著、Robert Moran,Yupeng Wu写真

2018/3/26、アドレナライズ、495円

伊月亜希子はごく平凡な女子大生。軽自動車であるスズキのKeiが愛車である。ある夜、咄嗟に繰り出した慣性ドリフトで、親友ユリを襲った人身事故を未然に防いだ。その瞬間を目撃した「キラー・クィーン」のリーダー、鷺島麗に声をかけられる。「私たちと“バトル”をしなさい。負けたら言うことを聞いて」……なんと彼女たちは、走り屋の間ではカリスマ的な人気を誇る日本屈指のレースチームだった! デパートの立体駐車場で、愛知県警前で、長久手の峠道で、熱い「バトル」が始まった。ユリの恋人和宏が所属する走り屋チーム「名古屋式」と「キラー・クィーン」の抗争に巻き込まれた形になってしまった亜希子。だが、嫌々ながらもハンドルを握る彼女のドライビングテクニックは、本物だった!

『ミューズ叢書<4>SF往復書簡』町井登志夫・上田早夕里共著

2018.2.10、オフィス・トリプルツー、Kindle版、440円

作家同士が行ったメール対談の記録。今回は町井登志夫と上田早夕里。ふたりとも小松左京賞出身で、小松左京賞の話や創作論、SF・映画・漫画の話など。後半には『電波次元の巫女』『量子少女』『破滅の王』などの執筆にまつわる対談もあり。


《婚活!フィリピーナ》
町井登志夫著、レイチェル・西,丸山真理絵
小学館電子書籍、各巻220円、honto電子書籍
書影は、19~30巻。
《婚活!フィリピーナ》の前回のインタビューはこちら

橋元淳一郎先生著者インタビュー関連本


『空間は実在するか』橋元淳一郎著
2020.12.12、集英社インターナショナル新書、840円
【第1章 相対論がわかれば、時間と空間の不思議がわかる】
相対論なくして文明生活は送れない
【第2章 光速で動けば時間は止まる】
ロケットに乗った人から相手の時計を見ると?光速は誰から見ても一定
【第3章 さらに不思議な一般相対論】
加速し続けるロケットは光速に迫れるか?時間と空間は幻影である
【第4章 空間と時間の哲学的考察】
空間と時間はこの宇宙の「器(うつわ)」心の中に空間はあるのか?
時間は流れない?未来からの光はなぜか届かないパラパラ漫画はなぜ動くのか?
【第5章 物質と生命の狭間】
拡散した赤インクは元に戻るか?不可逆現象と時間の矢。モノの動きは記憶が生み出す
【第6章 生命と時間の流れ】
時間は生命の中に過去と未来は峻別されているのか?生命は負のエントロピーを食べる。最初の生命が生まれた環境。オートポイエーシスに欠けている時間の発見
【第7章 物質が空間を作り、生命が時間を創る】
万物の理論宇宙の階層構造。無意識と自己意識の階層構造。ふたたび実在と幻影(イリュージョン)について。未来からの光が見えない理由?



《SF・サイエンス・エッセイ》
◆第1巻『プラトンの洞窟』
◆第2巻『エピキュリアンの夢』
◆第3巻『デカルトの亡霊』
◆第4巻『幻想の永劫回帰』
◆第5巻『モナドあるいは唯識』
◆第6巻『主観というブラックホール』
◆第7巻『神と科学の退場』
◆第8巻『超知性原理』


生物と無生物の間『生物と無生物の間』福岡伸一著
2007.5.20、講談社現代新書、740円
生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!?
「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!
構成が、ワトソンの『二重らせん』に似ている。著者の心象風景から、動的平衡の概念にたどり着くまでを描いた。


福岡伸一、西田哲学を読む

『福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅』
池田善昭・福岡伸一共著
2020.12.1、小学館新書、1200円
「動的平衡」をキーワードとして、「生命とは何か」を鮮やかに、且つわかりやすく紐解いた福岡伸一が、日本が生んだ哲学の巨星・西田幾多郎の思想に挑む!
難解で知られる西田哲学と格闘する姿を追ううちに、読む者もいつしか科学と哲学が融合する学問の深遠へとたどり着ける画期的なベストセラーを新書化。
生物学者の福岡伸一氏が、西田研究の第一人者である哲学者の池田善昭氏と対談するという形式で、生命について考察する。


西田幾多郎の実在論 AI、アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか

『西田幾多郎の実在論 AI、アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか』
池田善昭著
2018.7.31、明石書店、1800円
世界は存在するのか、しないのか。生命とは、人間とは何かーー西田幾多郎の哲学は世界のあり方を根源から問う実在論であった。行為的直観、自覚、絶対無の場所、絶対現在、永遠の今、絶対矛盾的自己同一といった西田独自の概念を、生命論を手がかりに考察することを通して西田哲学と一体化しつつ、自身の思索を深化させる池田哲学の真骨頂が展開する。ピュシス(自然)の発する声に耳を傾けた、『福岡伸一、西田哲学を読む』の続編。

平谷美樹先生著者インタビュー関連本・リンク

『鍬ヶ崎心中』書影
『鍬ヶ崎心中』平谷美樹著、中島千波装画
2018.3.12、小学館、1700円
2018年、維新から150年。
『鍬ヶ崎心中』の舞台は盛岡藩宮古。鳥羽伏見に端を発し箱館戦争に至る旧幕府と新政府が死闘を繰り広げる戊辰戦争の最中、宮古湾鍬ヶ崎で、幕府の復活を信じて最後の死に場所を求める青年・和磨。その一途な志を抱く男の姿に心を寄せる女郎・千代菊の悲しい恋の物語。最後に待ち受ける二人の運命が、ただただ眩しく神々しい。
震災から7年となった宮古の地。いにしえから脈々と人々が息づいていたことを、世に知って欲しいという著者の思いが伝わってくる。
2021年に出た文庫版(電子版)の表紙、たぶん和磨と千代菊、素敵だとは思うのですが、ちょっと美人&格好良すぎ(笑)


書評リンク
縄田一男先生
『大一揆』
『鍬ヶ崎心中』
《採薬使 佐平次》
『義経暗殺』
『柳は萌ゆる』

雨宮由希夫先生
『大一揆』
『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』