不条理系」カテゴリーアーカイブ

『わたしのグランパ』『敵』

『わたしのグランパ』2003年4月公開、東陽一監督作品

独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆
『時をかける少女』と同じく筒井康隆原作小説の映画化作品。読者の期待を裏切らない展開で、筒井作品初心者にもお薦め。
 中学校でいじめを受けていた五代珠子は、ある日、同級生にいじめられているのを刑務所から出所してきた祖父に見られてしまう。最初はいじめを隠そうとしていた珠子だが、祖父の正義感や優しさに段々と感化されていく。しかし、祖父の昔のもめ事が原因となって、珠子は誘拐されてしまう……

『敵』2025年1月公開、吉田大八監督作品


独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 全編モノクロ

こちらは、筒井先生らしい不条理劇(笑)

妻に先立たれ、やもめ暮らしをしている元フランス文学の大学教授であった儀助。几帳面な生活スタイルを貫く儀助だったが、ある日、パソコンに「敵がやって来る」というメッセージが届き、日常が揺らぎだす。現実と譫妄(?)が錯綜した展開は不穏な空気を醸し出していて心がザワザワします。

 はたして儀助にとっての「敵」とは何か。そして自ら求めるものは何でしょうか……

吉田監督と主演の長塚京三インタビュー

長塚京三さんといえば、我々の世代にはソルボンヌ大学出身ということで馴染みがありますね。そういう背景も加味した人選なのかなと思いました。当たり役といってもよい演技だと←何を偉そうに(汗;)

『箱男』『美しい星』『砂の女』

原作:三島由紀夫『美しい星』(1962)、安部公房『砂の女』(1962)、安部公房『箱男』(1973)
関連書としては、安部公房『第四間氷期』(1958)、安部公房『他人の顔』(1964)、安部公房『燃えつきた地図』(1967)、高橋和巳『日本の悪霊』(1969、映画は1970)。
SFの有名どころでは、小松左京『復活の日』(1964)日本沈没(1973)がこの年代。
この時代を語るには、時代背景に安保闘争の流れがあるわけですが、田舎の高校生だった私は、まあ俗に言うノンポリだったのです。高校時代には、大学紛争の影響を受け(ついでに筒井康隆氏の「ベトナム観光公社」の影響も^^;)、学校新聞に東大紛争をパロったショートショートを投稿したことも(汗;)
東北大学の教養部時代に、大学紛争(デモとか機動隊に投石とかロックアウト・教授会に自己批判を迫るとか)があり、遅れてきた大学紛争とも言われてました。名目は確か授業料の値上げ反対だった。今まで月千円だったのが六千円になる(それでも安いと言えば安いのですが)でもって、試験ボイコットなどをやって無事落第して下の学年と合同クラスになりました(汗;)
故三島由紀夫氏は、うちの親父と同年生(大正14年1月)ですが、なんといってもあの割腹自殺事件が忘れられません。大学一年生(1969)の時でしたが、夕飯を食べに行った店のTVが報ずる凄惨な最期を見てショックを受けました(あまりのことに、何を食べていたかも覚えてます)。
それと故小松先生の盟友でもある高橋和巳氏の『日本の悪霊』が原作の同名映画も見たのですが、こちらは何のことやら分からずじまいでした。一緒に見に行った友人達と、さっぱりわからないヤクザ映画だったなあと(汗;)
学生の活動家からは、ものすごく高い評価をうけていたのですが、ノンポリにはさっぱり(汗;)

『砂の女』1964年2月公開、勅使河原宏監督作品
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、働き手として男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々がいた。

『美しい星』2017年5月公開、吉田大八監督作品
テレビでお天気キャスターを務める男は、予報が当たらないことでかえって有名になった気象予報士。主婦の妻と、フリーターの息子と女子大生の娘の家族4人で平凡な日々を送っていた。そんなある日、男は車を運転中に不思議な光に包まれたのをきっかけに自分が火星人だと自覚する。時を同じくして、息子と娘も水星人、金星人として目覚める。
映画はちょっと現代的過ぎて当時の雰囲気がないです(汗;)
大友克洋の「宇宙パトロール・シゲマ」にも似たようなシチュエーションが登場し、青年マンガ誌で読んだ時「おおこれは」と思ったことが(笑)

『箱男』2024年8月公開、石井岳龍監督作品
原作:安部公房『箱男』(1973)

東京の喧騒の街角で、段ボール箱を頭からかぶった奇妙な男がいた。小さな覗き穴を通して世界を観察し、ノートに熱心に記録していく。 写真家の「私」は、この謎めいた人物と出会い、その型破りな存在に魅了される。 感銘を受けた「私」は、謎めいた男のように「箱男」になることを目指し、自らも旅に出る。 しかし、その道のりは数々の試練に満ちていた。箱を乗っ取ろうとするニセ医者、箱を完全犯罪に利用しようとする軍医、そして彼を誘惑する魅惑的な女性の葉子。
これは結構当時の雰囲気が出ていてよかった←何を偉そうに(汗;)

『生きてるものはいないのか』『蜜のあわれ』

『生きてるものはいないのか』2012年2月公開、石井岳龍(石井聰亙改め)監督作品
原作:前田司郎の戯曲『生きてるものはいないのか』
独断と偏見のお薦め度☆☆☆
最初何かの理由で、とある大学構内の人々がドンドン死んでいく。
死に際の言葉とか死ぬ体勢がそれぞれ違っていて、そこが面白い(笑)いや、笑うところでは無いのですが、役者さんが自分の考える末期の言葉と死に様を演じているようで面白かったです。どうも病原菌が原因ではなさそうで、主人公が死なない理由も定かでは無い。
最後には、飛行中の航空機も落ちていくし、鳥たちも死んでいく。
『散歩する侵略者』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』の感想で、「舞台が先にあったので、特撮等がほとんどなく省エネな作りになってます。」と書いたけど、同じです(笑)

『蜜のあわれ』2016年4月公開、石井岳龍監督作品
原作:室生犀星著『蜜のあわれ』
独断と偏見のお薦め度☆☆☆
金魚が姿を変えたコケティッシュな美少女と老作家の禁断の恋の行方をシュールなタッチでユーモラスに綴る。幽霊も出てくるし、映画だけ見た感じでは死にゆく老作家の妄想のようにも思えます。故大杉漣さんと二階堂ふみの掛け合いを楽しむ映画(笑)