『箱男』『美しい星』『砂の女』

原作:三島由紀夫『美しい星』(1962)、安部公房『砂の女』(1962)、安部公房『箱男』(1973)
関連書としては、安部公房『第四間氷期』(1958)、安部公房『他人の顔』(1964)、安部公房『燃えつきた地図』(1967)、高橋和巳『日本の悪霊』(1969、映画は1970)。
SFの有名どころでは、小松左京『復活の日』(1964)日本沈没(1973)がこの年代。
この時代を語るには、時代背景に安保闘争の流れがあるわけですが、田舎の高校生だった私は、まあ俗に言うノンポリだったのです。高校時代には、大学紛争の影響を受け(ついでに筒井康隆氏の「ベトナム観光公社」の影響も^^;)、学校新聞に東大紛争をパロったショートショートを投稿したことも(汗;)
東北大学の教養部時代に、大学紛争(デモとか機動隊に投石とかロックアウト・教授会に自己批判を迫るとか)があり、遅れてきた大学紛争とも言われてました。名目は確か授業料の値上げ反対だった。今まで月千円だったのが六千円になる(それでも安いと言えば安いのですが)でもって、試験ボイコットなどをやって無事落第して下の学年と合同クラスになりました(汗;)
故三島由紀夫氏は、うちの親父と同年生(大正14年1月)ですが、なんといってもあの割腹自殺事件が忘れられません。大学一年生(1969)の時でしたが、夕飯を食べに行った店のTVが報ずる凄惨な最期を見てショックを受けました(あまりのことに、何を食べていたかも覚えてます)。
それと故小松先生の盟友でもある高橋和巳氏の『日本の悪霊』が原作の同名映画も見たのですが、こちらは何のことやら分からずじまいでした。一緒に見に行った友人達と、さっぱりわからないヤクザ映画だったなあと(汗;)
学生の活動家からは、ものすごく高い評価をうけていたのですが、ノンポリにはさっぱり(汗;)

『砂の女』1964年2月公開、勅使河原宏監督作品
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、働き手として男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々がいた。

『美しい星』2017年5月公開、吉田大八監督作品
テレビでお天気キャスターを務める男は、予報が当たらないことでかえって有名になった気象予報士。主婦の妻と、フリーターの息子と女子大生の娘の家族4人で平凡な日々を送っていた。そんなある日、男は車を運転中に不思議な光に包まれたのをきっかけに自分が火星人だと自覚する。時を同じくして、息子と娘も水星人、金星人として目覚める。
映画はちょっと現代的過ぎて当時の雰囲気がないです(汗;)
大友克洋の「宇宙パトロール・シゲマ」にも似たようなシチュエーションが登場し、青年マンガ誌で読んだ時「おおこれは」と思ったことが(笑)

『箱男』2024年8月公開、石井岳龍監督作品
原作:安部公房『箱男』(1973)

東京の喧騒の街角で、段ボール箱を頭からかぶった奇妙な男がいた。小さな覗き穴を通して世界を観察し、ノートに熱心に記録していく。 写真家の「私」は、この謎めいた人物と出会い、その型破りな存在に魅了される。 感銘を受けた「私」は、謎めいた男のように「箱男」になることを目指し、自らも旅に出る。 しかし、その道のりは数々の試練に満ちていた。箱を乗っ取ろうとするニセ医者、箱を完全犯罪に利用しようとする軍医、そして彼を誘惑する魅惑的な女性の葉子。
これは結構当時の雰囲気が出ていてよかった←何を偉そうに(汗;)