荒巻義雄先生著者インタビュー関連本

『聖シスコ電説』荒巻義雄著、
2025.7.31、小鳥遊書房、2750円(税込)
【目次】
前 口 上 本作の構造について
第 一 章 テーラー街の目覚め
第 二 章 枯山水談義とロッキーの作家
第 三 章 聖シスコ市のアート・シーン
第 四 章 易経占いする宕見支社長
第 五 章 電気羊のいる風景
第 六 章 バーテルソンの正体
第 七 章 凶事の兆候
第 八 章 地中海干拓計画
第 九 章 〈アリアン聯邦〉地政学
第一〇章 ディック=ユング=元型(アーキタイプ)
第一一章 〈文明の衝突〉最前線
終 章 日本(ヤマト)帝国の危機
【自己解説的あとがき】
借景創作論 ――〈フィリップ・K・ディック論〉の試み
用語解説(ディック作品との対照関係を含む)
全登場人物紹介(ディック作品との対照関係を含む)
【解説】高い城のタゴミ―メタSFの新世紀― (巽 孝之)


『高い城の男』フィリップ・K・ディック著、浅倉久志翻訳
1984.7.31、早川書房、Kindle版950円(税込) 銀背の発行は、1965年
第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……


『人生はSFだ(北海道新聞夕刊「私のなかの歴史)』荒巻義雄著
2013.1.1、札幌時計台ギャラリー、
北海道新聞夕刊連載「私のなかの歴史」に加筆
収録/1,ご先祖様万歳
2,人生はSFだ
3,記憶の落ち穂―不思議への旅


『SFする思考: 荒巻義雄評論集成』荒巻義雄著、◉第43回日本SF大賞受賞作!
2021.11.25、小鳥遊書房、5940円(税込)
SFの理論
第一章 日本戦後SFの思想的背景
A 高度成長と他人指向の時
B 構造主義と〈人間の死〉の時代
C SFとフーコー
D ポスト・モダンとアメリカン・サブカルチャー
第二章 道具的哲学思考へ――ジル・ドゥルーズ登場第一部
A 〈差異と反復〉&〈襞〉の思想
B 〈アンチ・オイディプス〉という機械
C 垂直思考からリゾーム的平面思考へ
D 文言と言説
E 定住思想から遊牧思想へ
F ポスト・モダンと記号
付 章 欲望の哲学史――新哲学の名は新実在論
第三章 SF評論と批評の基礎
A 日本SFの勃興期
B 構造主義批評への長い道のり
C 構造主義とは何か
D 〈隠喩〉〈換喩〉〈提喩〉
E 記号表現と記号内容の切断
F SFと現象学
J ロラン・バルト/神話とSFの関係
K ラカン問題
L メルロ=ポンティ/身体/ロボット
M 決定論/カオス
N 集合的無意識と近代理性
O デリダはSFに馴染む
第二部 単行本解説とわたしの読み方
【単行本解説】
筒井康隆・著『ベトナム観光公社』他一二項目
【わたしの読み方】
『浴槽で発見された日記』(スタニスワフ・レム・著)他五七項目
第三部 作家論
山野浩一の世界
眉村 卓の世界
小松左京の世界
星 新一の世界
筒井康隆の世界
他、一三名
第四部 雑記帳
【美術】+【科学と精神医学】+【自分史】+【文学】+【未来学】+【思想と宗教】九二項目
第五部 わたしの修行時代 (ファンジン同人誌「CORE」「宇宙塵・他)
【CORE】一六項目
【宇宙塵】アメリカSF論(I~VII)
【SF新聞】BEMの笑い――グロテスク考
付 録 術の小説論・他
解 説 メタSF的実験とマニエリスム遊戯 (巽孝之・著)


『天蓋都市ヒカル』荒巻義雄著、 2024.7.12、小鳥遊書房、2420円(税込) 【目次】 第一部 ChatGPTによるSF小説の創作支援は可能か I はじめてのChatGPT 仮題『ARの陰謀』AI作家 チャット・著 II ChatGPTは絵画を鑑賞できるか III 建築印刷と建築基準法 IV なぜ、ChatGPTはこのようなことができるのか ―大規模言語モデルの謎 V 創作開始 第二部 『天蓋都市ヒカル』創作編 荒巻義雄・作 第I章 拡張現実(VR)の街 第II章 大規模プリントタウン詐欺事件 第III章 サイボーグCEO 第IV章 秘密の絵画工房と記号設置問題 第V章 漆黒の麗人警部 第VI章 ゴールデン・ミカド・カジノの狂宴 第VII章 〈ヒカル〉のディオゲネス 第VIII章 キングの正体 あとがき―作家は生き残れるだろうか 解説 ChatGPTと創作/安田圭一

『安倍宗任伝』と『岩手謎学漂流記』

『安倍宗任伝』平谷美樹著、朝江丸装画/伊藤康子題字、実業之日本社、2530円、Kindle版2479円(税込)、2025.7.24発行

北に生きる者たちの
誇りを賭けた戦い!

朝廷・源氏軍に抗う安倍一族の命運は!?
陸奥の英雄、激動の生涯を描く大河巨編‼


『岩手謎学漂流記』
高橋政彦著、エンジェルパサー、1870円(税込)、2021.9.13発行
【目次】
歴史と古伝
第 1話 蛇の島貞任伝説
第 2話 義経北行伝説
第 3話 頼朝は巖鷲山を見たか
第 4話 忠衡はここにいた
第 5話 忠衡の野望
第 6話 最後の武士・江釣子源吉
信仰と祈り
第 7話 烏帽子岩、出現す
第 8話 6人目の如来さん
第 9話 石神座ノスタルジア
第10話 能傳房神社譚
第11話 疫病よけの系譜
第12話 烏枢沙摩明王と厄災よけの祈り
第13話 盛岡大仏探訪記
聖域と伝承
第14話 盛岡城下と鬼門封じ
第15話 日本一好きな民俗博物館
第16話 竜棲まう山塊・南昌山
第17話 盛岡の海嘯難死者供養碑
第18話 ぬさかけの滝異聞
第19話 角塚古墳と大蛇伝説
伝説と風習
第20話 山の神談義
第21話 スネカの夜
第22話 鬼喜来タラジガネ
第23話 兜明神岳貞任黄金埋蔵伝説
第24話 御船霊様の証言
第25話 男助・女助の言い伝え
動物と所伝
第26話 盛岡城下トラ騒動
第27話 幻魚クニマス探検隊
第28話 ニホンオオカミは生きている
第29話 鹿踊に縄文の精神をみる
第30話 摩訶不思議キツネ譚
第31話 愉快で可愛いツキノワグマ
文学と物語
第32話 「経埋ムベキ山」の謎かけ
第33話 早池峰山麓河原の坊奇譚
第34話 空飛ぶ『遠野物語』
第35話 『遠野物語』の大津波災害譚
謎学と浪漫
第36話 姫神山は“宝の山”
第37話 南昌山塊が生む怪光現象とは何か
第38話 古代文字探検へのいざない
第39話 前世と宿命〈前編〉
第40話 前世と宿命〈後編〉
奇談と説話
第41話 何か尋常ではない物音たち
第42話 座敷わらしの夏
第43話 花街とザシキオナゴ
第44話 お菊の皿を見た話
第45話 黄金の“河童”を見た話
第46話 龍神滝と雨を呼ぶ渓谷
風土と文化
第47話 旅し移ろい漂着する文化
第48話 閉伊街道よろず話
第49話 語源考察シトマエ談義
第50話 『筆満可勢』で読む幕末盛岡
特別寄稿 謎学と妄想のすすめ 平谷美樹
岩手謎学漂流記地図


『夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第1話 世界を壊すケーキ』
大平しおり著、ゆうしよう装画、2022.3.18、小学館、220円Kindle版(税込)
現世と異界の境界に存在する「乞骨(こうぼね)商店街」。常世の国へ向かうためのターミナルには、妖怪変化や幽霊から神々まで生身の人間以外の者が行き交うところだ。この商店街にある洋菓子店「睡蓮堂」が舞台の心暖まるファンタジー。


『ものいわぬ農民』 大牟羅良著、第13刷、1967.3.20、岩波新書、990円(税込) 「日本のチベット」といわれた岩手県――その山村で,貧困と因襲を背負いながら黙々と働く農民たちは,いろり端で,行商してあるく著者に対して,自分のことばで,その生活の喜びや悲しみを語った.嫁姑の確執,二・三男問題,土地への愛着,子供や老人の姿等々.日本社会の最も深い鉱脈をなす農民たちの語る言葉に耳を傾けよう.

堀晃エッセイ「大阪SF街道-SF的想像力を刺激する大阪の街道-」(『Anchor KLL No.2』所載)関連書

『元禄八犬伝 天から落ちてきた相撲取り』田中啓文著、林幸装画
2021.12.17、集英社文庫、792円(税込)
巨大な竜巻に運ばれて網乾左母二郎一味の隠れ家に突然関取が落ちてきた……一方、大坂中で大評判の賭け相撲興行の陰では商売敵を陥れんとする陰謀が進行していた。「世直し大明神」なる謎の人物の正体は? そこに怪力無双の八犬士・犬田小文吾が絡み、とんでもない事態に(笑)


『時の密室』芦辺拓著
2005.3.15、講談社文庫、Kindle版901円(税込)
明治政府の雇われ技師エッセルは、謎の館で偶然死体を発見するが、その後死体は消失した。昭和45年、医大生氷倉は河底トンネルで、そこにいるはずのない友人の刺殺体に遭遇した。そして今<路上の密室>事件を追う森江春策の前に、明治・昭和の未解決事件が甦る!


『大阪路線バスの旅』トラベルジャーナル出版事業部編
1996.7.31、(株)トラベルジャーナル、1650円(税込)
28名の豪華執筆陣が綴るオムニバス・エッセイ集第3弾。バスが脇役の大阪で新たに見つけた街歩きの愉しみ。車内広告から乗客の癖まで浪花っ子も知らない通好みのバスにまつわる話題「面白コラム」も満載。


『まいど!横山です』横山やすし著、南伸坊装画
1981.8.15、徳間文庫、260円
横山やすし自伝。あの早口で切れの良い漫才を知る人は少なくなってしまった。伝説の「やすきよ」コンビである。


「しゃっくり」(筒井康隆著『東海道戦争』所載)真鍋博装画
1965.7.25(再版)、ハヤカワ・SF・シリーズ、300円
ある日の朝、東京と大阪の戦争が始まった。町を市民兵や自衛隊が闊歩し、戦闘機や装甲車も登場、戦闘はみるみる過激化していく。すべてはオリンピック後の刺激を求めるマスコミと大衆のため……情報社会を鋭く諷刺する表題作のほか、とある別れが涙を誘う傑作カーSF「お紺昇天」、火星連合の総裁による爆笑の記者会見「やぶれかぶれのオロ氏」など全9篇を収録

 この本のカバー(箱)はあったのですが、ASAHIネットのBBS(tti)で、欲しがっていたファンの方がいたので送りました。新聞連載の『朝のガスパール』が話題になってから、ASAHIネットに入った新参者だったし(笑)
 そうこうしているうちに、sf会議の議長を任されて、ちょっとだけ貢献しました(汗;)
 あと、当時ハードSF研の会議(石原藤夫先生)もあったので、そこでインタビューのまねごとをさせてもらったのも良い経験になりました。この時、インタビューの面白さに気がついたのかも。それからうん十年、遠くに来たものです。
 もう一つ、ASAHIネットには、堀晃先生のソリトン会議もあって、これにも参加していましたが、あまり創作はしてません。合評がある超短編は何回か書いたことがありますが、トップに推されたことは一回だけでした(汗;)
 そんなこんなで、ソリトンのメンバーが元になって、「アニマ・ソラリス」は創刊されたのです。

「いつかあの空を越えて」新装版・「ペンギンSFアンソロジー」上下巻分冊販売開始・東京銀経社アンソロジーの第二回公募のお知らせ

『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』新装版、3050円
ペンギンSFアンソロジー上巻「ペンギンSFアンソロジー上巻」2200円
ペンギンSFアンソロジー下巻「ペンギンSFアンソロジー下巻」2200円


『東京銀経社アンソロジー 第二回公募のお知らせ』東京銀経社アンソロジーの第二回公募開始
締め切り:来年3月末日

松崎有理先生、2025年 第56回星雲賞受賞(日本短編部門)「山手線が転生して加速器になりました。」で受賞

「松崎有理先生著者インタビュー」特設ページ
『あがり』著者インタビュー
前編
後編 東京創元社、小浜さんにもご参加頂いてます。



『代書屋ミクラ』 『洞窟で待っていた』著者インタビュー
取り上げた作品は以下
『代書屋ミクラ』『洞窟で待っていた』「幸運の神を追う」


『5まで数える』著者インタビュー
取り上げた本は以下
『5まで数える』『未来製作所』


『イヴの末裔たちの明日』著者インタビュー
取り上げた作品は、以下
「痩せたくないひとは読まないでください。」「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」「超耐水性日焼け止め開発の顛末」「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」「掃除と掃除用具の人類史」『イヴの末裔たちの明日』


『シュレーディンガーの少女』著者インタビュー
取り上げた作品は、以下『シュレーディンガーの少女』「不屈の蛙は青い海をみるか」「山のくらし」と「街のくらし」


『山手線が転生して加速器になりました。』著者インタビュー
取り上げた作品は以下
『山手線が転生して加速器になりました。』「アルカディアまで何マイル」
松崎有理先生、2025年 第56回星雲賞受賞おめでとうございます
( ^_^)/q□☆□p\(^_^ ) カンパァーイ!

『ペンギンSFアンソロジー上下巻』九頭見灯火編

ペンギンSFアンソロジー上巻ペンギンSFアンソロジー下巻
『ペンギンSFアンソロジー上下巻』九頭見灯火編
2025.5.25、東京銀経社、上下巻4300円
「BOOTH」にて販売中
現在、残り10セット以下になっています。
後書きによれば、上巻がSF系短編、下巻はペンギンと人間が織りなす物語のアンソロジーになっているようです。
7月末くらいから、上巻のみ、下巻のみの販売も始まる予定みたいです。

『貸し物屋お庸謎解き帖 絵草紙と隠金』著者インタビュー関連本

『貸し物屋お庸謎解き帖 絵草紙と隠金』『貸し物屋お庸謎解き帖 絵草紙と隠金』平谷美樹著、丹地陽子装画
2025.5.15、だいわ文庫、924円(税込)
「十六文の貸し物」軽業を披露する旅回りの童が全財産を損料にして借りた物とは?
「風鈴を三十」深夜の店に忍び込み、何も盗らずに出て行く賊の正体は?
「絵草紙と隠金」絵草紙に描かれた隠金の言い伝えの虚実は?
「名残雪の別れ」庸の家に現れた赤子の化け物が家人を脅す目的は?


《百夜・百鬼夜行帖シリーズ》紅い紐玉『百夜・百鬼夜行帖 紅い紐玉』平谷美樹著、本田淳装画
2025.3.21、小学館eBooks、Kindle版154円(税込)
百夜のもとに舞い込んだ新たな依頼は、何者かに憑かれ、正気を失った名主の次男の除霊だった。
百夜の心眼は、名主の家を取り巻く黒い霞のようなものを見る。単なる付喪神の仕業ではなさそうだが…?


「rakra」2025年3.4月号「rakra」2025年3.4月号 [うれしたのし贈り物 2025]
2025.2.25、rakra編集室、880円(税込)
●北東北(青森・岩手・秋田)の貰って嬉しい贈り物を特集
●エッセイ「さんりく巡礼」平谷美樹 その五十六【最終回】「そして気仙沼へ」
始まりが八戸だったから、最後は隣県の気仙沼になったそうです。長期にわたる連載、ご苦労様でした。
気仙沼では、大学の同級生が開業しているなあ。
 あと、同誌の「仕事人図鑑」には、国立天文台水沢VLBI観測所所長の本間希樹教授が載っていました。本間教授は、2023年に地元の天文台で「岡山天文博物館60周年記念『電波×光の最新天文学』―水沢と浅口からのぞく宇宙―」という講演をして下さったのです。次号掲載だったら、買ってないだろうから、見ることはなかった(汗;)
平谷美樹先生近影

平谷美樹先生近影

『星群 SEIGUN95』

星群 95号『星群 SEIGUN95』、創作集団「星群の会」、2025.3.31
星群の会の半世紀の歩みの(54年間)総集編。SF特集号
おめでとうございます。 目指せ100周年 (^o^)/

「無名戦士たち」松本優
 お仕事系SF
 自治体職員の解雇が仕事の私が向かったのは、某主要都市の市役所だ。そこでは相も変わらずコンプライアンスに反した時代遅れの職員が働いていたのだが・・
 あっと驚くオチが面白い一作。特に市役所職員とのやり取りが面白い(笑)

「赤のそのまた外側の柔らかな光」椿広子
 スペキュレイティヴ・フィクション=SF
 悠久の年月の果ての物語。一種の思考実験(哲学)としても読むことが出来ます。ボルツマン脳に関しては、山本弘さんの短編で初めて読みましたが、この短編でも効果的に使われてますね。理系のエッセイとしても出色。
 題名通りだとすると「遠赤外線」関連の話かと思ったのは内緒(汗;)

「秘密の入江」中西秀彦
 ハッピーエンドの生物学SF。
  夏のある日、別荘を訪れていた僕は好奇心に負け、近くの浜辺の立ち入り禁止の金網の中に入ってみた。そこで、優しく幽閉されているとおぼしき極めつきの美少女と出会うが……
  
「泡の影」石坪光司
 AI系? 「冬のマーケット」系ともいえますね。
 優れた科学者で大金持ちのロッキン氏が亡くなり、執事兼秘書役だった私の元にロッキン財団から調査員がやってきた。ロッキン氏はデジタル脳への意識転送の実験中に亡くなった(所在不明になった)のだが……
 石坪さんが最近追求している意識や認知、世界についての考察がよく現れている作品。ラストのオチはお見事 (^o^)/

「惑星暗闇の森」岡本俊弥
 岡本さんが得意とする未来史系SF? 異星生命体の描写が凄い。
 それは虐殺から始まった。人類の放った深宇宙探査船が発見した惑星には知的生命体と文明がみられたため、人類が入植するために抹殺の対象となった。宇宙を渡る基地母船の中で誕生した私は、その荒廃した惑星の上を連絡艇で毎夜飛行するのが任務だ。そして惑星にはサーキットと呼ばれる不可解なキューブが大量に見つかっていた。
 林譲治先生の《星系出雲の兵站》と酉島伝法先生の異星生物観が組み合わさったような作品。贖罪と諦観を根底とし、異星生物の思考・思索と人類のそれが混合されたドロドロの海から何が生まれるかを考察したような読後感です。まあそこが魅力で面白かったし、異星生命体が不可解なままの存在であるところも良かったです。

「扉の図鑑」「てるてる坊主」深田亨
 ホラー系SF。いったい何が起こったのかを考えると、特に物言わぬてるてる坊主の話が怖い。

「グフの火祭」「永遠のスタジアム」「海辺の物語」雫石鉄也
 SFショートショート。
 ロボット達が延々とベースボールを繰り広げるスタジアムが可笑しくも切ない。まあ、人間のファンもロボットのファンも、端から見るとたいして変わらないかも(汗;)

武石勝義先生著者インタビュー関連書

『神獣夢望伝』『神獣夢望伝』武石勝義著、zunko装画
2023.6.21、新潮社、Kindle版1683円、単行本1780円(税込)
くり返し見る夢の景色を探して旅立つ少年、恋人を取り戻そうと村を出奔する青年、一度は愛した男に裏切られた女、政争と権謀術数の渦に巻き込まれる人々――不条理な運命に翻弄され抗う先に救いはあるのか。キャラクターの濃さとストーリーの構成力を選考委員から絶賛された、日本ファンタジーノベル大賞2023受賞作。


『シメオンの柱』『シメオンの柱 ~七つ奇譚~』涼海風羽編、わみず装画
2025.2.15、文芸社文庫NEO、文庫858円、Kindle版770円(税込)
収録作:「今日も運び屋は車輪を回す」かずなしのなめ
「腹を空かしたバカが因習胸糞トンチキ宗教集落にやってきて、すべてを暴力でバチクソに滅ぼした後グルメする話」しば犬部隊
「断片ババア」星月子猫
「獣の花園 ルルディ・ナ・ベイスティア」涼海風羽
「クライマーズ・ドリーム」武石勝義
「アンダーサッド」十三不塔
「隆の襟にキスした」人間六度
【シェアード・ワールド】としての四つの共通設定
◆大きな石造りの橋。
◆目の前は霞がかって十メートル先も見えない。
◆ただし霞の向こう(橋の向こう)には、巨大な塔がぼうっと光って見える。
◆塔の周りにはクリーチャーっぽいのが浮かんで見える。
「クライマーズ・ドリーム」
天井からぶら下がった何本もの蠢く管から得られる肉塊が日々の糧である閉ざされた階層。まだ幼い少年は、少女の反対をはねのけ、食料を求めて上階を目指すが……


夏のカレー『夏のカレー 現代の短篇小説 ベストコレクション』日本文藝協会編、上楽藍装画
2024.9.20、文春文庫、文庫990円、Kindle版950円
収録作:江國香織「下北沢の昼下り」
三浦しをん「夢見る家族」
乙一「AI Detective 探偵をインストールしました」
澤西祐典「貝殻人間」
山田詠美「ジョン&ジェーン」
小川哲「猪田って誰?」
中島京子「シスターフッドと鼠坂」
荻原浩「ああ美しき忖度の村」
原田ひ香「夏のカレー」
宮島未奈「ガラケーレクイエム」
武石勝義「煙景の彼方」
私は思い出す。寂しがる私のためにと、祖父が煙草の煙でつくった輪っかの向こうに見えた母の働く姿。その後、煙の輪の中に二度と母親の映像を見ることはなかった……
(どこかで武石先生がカレー好きと読んだ記憶があって、カレーのアンソロジーかと思っていたのは内緒^^;)


小説新潮2022年12月号「小説新潮2022年12月号」2022.11.22
<日本ファンタジーノベル大賞2023決定発表>選評、受賞作抄録「夢現の神獣未だ醒めず」
<ファンタジー特集>「ようこそ幻想世界へ」一條次郎、岸本惟、高丘哲次、藍銅ツバメ


小説新潮2023年6月号「小説新潮2023年6月号」2023.5.22
特集【生まれたての作家たち2023】青波杏、実石沙枝子、寺嶌曜、藤つかさ、横山拓也
「牌神」武石勝義
ボロアパートで麻雀に興ずる四人組。一人負け状態のトシは、アルバイト代が吹き飛んでしまうほど負けがこんでいた。
そんなとき突然牌の中からから「勝たせてやろう」と声が……
(大学時代、囲碁将棋(麻雀)部でした。よく麻雀もやってましたが弱かったです。)


小説新潮2024年12月号「小説新潮2024年12月号」2024.11.22
【日本ファンタジーノベル大賞2025決定発表】◆大賞:明里桜良「宝蔵山誌」
【歴代受賞作家競作】
◆高丘哲次「諸葛孔明vsエイリアン」
斯界唯一無二の巨星、諸葛孔明。禁断の秘録が明かされる!
◆武石勝義「少女は薄暮に影を剥ぐ」
あいつさえいなくなれば。「影剥がし」を知った由紀は……
学校ホラー。地味な志津美と快活な知里、それを見ている由紀。三人の関係が壊れたのは、由紀が志望していた大学の推薦入学枠を知里も狙っていることがわかってからだった……
以下ネタバレにつき白フォントで
これも女がこわい話になるのかな。死んだ志津美と消えた由紀。残された知里のこれからを思うと、そこが一番のホラーになっている
【特集】私にはSFが必要


sci-fire2024『sci-fire2024 特集:海』2024.12.1、1,500円、BOOTHにて販売中
「あなたと融けあう日まで」武石勝義著
生命の源でもある「海」にまつわる話。
その昔、子どもがまだ小さかった頃、添い寝で寝かしつける際に、適当版「水の一生」を話してやると喜んで聞いてくれていた記憶が(笑)


東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて『東京銀経社アンソロジー いつかあの空を越えて』九頭見灯火編
2024.11.29、東京銀経社、2550円(pdf版、書籍版は売り切れ)
「BOOTH」にてpdf版販売中【収録作品】
六塔掌月 「ブラインド・パイロット」
あぼがど 「セリとナズナとふたりの宇宙船」
新星緒  「都を追われてひとり旅(ただしネコもいます)」
柏沢蒼海 「Journey Home」
伊和千晶 「藤の花をみたら思い出しておくれ」
甘衣君彩 「もう一度。ファンタジーを。」
かんな  「ぼくは明日トマトを買いに行く」
渋皮ヨロイ「ほしのもと」
武石勝義 「真字名解記」
松田夕記子「黄金の高野豆腐」
海猫   「北緯十七度の幽霊」
平沼辰流 「Lebensunwertes Leben」
鳥辺野九 「オモイ」
秋待諷月 「透明な伝書鳩」
Yoh クモハ「月経樹」
蒼桐大紀 「いつかあの空を越えて」