月別アーカイブ: 3月 2023

『スカイクロラ The Sky Crawlers』『十年 Ten Years Japan』『プラン75』

『スカイクロラ The Sky Crawlers』2008年8月公開、押井守監督作品 原作:森博嗣の同名の小説《スカイ・クロラ》シリーズ 現代に似たもう1つの世界。戦争がショーと化した平和な時代で、とある戦争請負会社に勤める青年はヨーロッパの前線基地に配属される。思春期の姿のままで奇妙な宿命を背負った彼は、キルドレと呼ばれる戦闘機パイロットだった。そんな中、彼はかつてエース・パイロットだったという女性司令官と出会い、心惹かれていく。 ちょっと『終わりなき戦い』(ホールドマン著)が入ってる気がする。 『十年 Ten Years Japan』2018年11月公開、是枝裕和製作総指揮作品 2015年に香港で公開され話題となった映画『十年』をもとに日本、タイ、台湾の国の若手映像作家がそれぞれの国の10年後を描く国際共同プロジェクト。 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 「PLAN75」早川千絵監督 高齢化問題の解決のために制定された75歳以上の高齢者に安楽死を奨励する制度を扱う。 「いたずら同盟」木下雄介監督作品 IT特区の小学校では人工知能システム“プロミス”が子供たちに理想的な道徳を刷り込んでおり、子供たちはプロミスに従うことで平穏な日常を過ごしていた。 「DATA」津野愛監督作品 女子高生の舞花(杉咲花)は、父(田中哲司)に内緒で、亡き母の生前のデータ≒「デジタル遺産」を手に入れた。 「その空気は見えない」藤村明世監督作品 人々は原発による大気汚染から逃れるために地下の世界に住むようになっていた。 「美しい国」石川慶監督作品 徴兵制がしかれた日本。広告代理店マンの渡邊は、徴兵制の告知ポスターを政府からの要請で若者に親しみやすいよう変更するため、これまでのポスターのデザイナーの元を訪れるが…… 『プラン75』2022年公開、早川千絵監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2 2018年に公開されたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」内の短編映画を元に作成された。 とある未来、日本で75歳以上の高齢者が安楽死する権利(通称・プラン75)が制定された。それは高齢化に関わる財政問題を解決するために導入された制度で、それを受け入れた高齢者には一時金として10万円が支給されるというもの。まだ働けるのに、なし崩し的に安楽死を選択せざるを得なくなる高齢者たちとそれを取り巻く社会の有り様を描く問題作。

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『水曜日が消えた』『ミュジコフィリア』『ウェディング・ハイ』『ハケンアニメ!』『彼女が好きなものは』

『水曜日が消えた』2020年公開、吉野耕平監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 主人公の青年は幼いころの事故の後遺症により、7人の人格が日替わりで現れる。性格や好みがそれぞれ異なる7人は、週に1日しか過ごせないため親しい友人も持てず、病院の専門医の管理下で生活していた。中でも一番地味で几帳面な”火曜日の僕”は、他の曜日の人格から掃除・片付けなど雑用を押し付けられながらも生真面目に火曜日を過ごしていた。ある朝、目を覚ました”火曜日の僕”は、その日が水曜日だと気づくが…… 『ミュジコフィリア』2021年、谷口正晃監督作品 原作:さそうあきらの同名のコミック 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 京都にある芸術大学に入学した漆原朔は、ある出来事から強引に現代音楽研究会にひき込まれた。だがそこには 朔が音楽から遠ざかるきっかけとなった異母兄のと、朔が密かに憧れる兄の彼女、小夜もいた。大成は天才作曲家として注目されていたが、新たな作曲に苦悩していた。朔は子どもの頃から色や形を「音」として感じ取っていた(ここらあたりSF者が好きな設定ですねえ)。現代音楽がそのげんしょうをも表現できることを知った朔と同じような感性を持つ女性、凪との出会いが朔の才能歩目覚めさせる。  音楽ものの映画は名作が多いきがします。 『ウェディング・ハイ』2022年公開、大九明子監督作品、バカリズム脚本 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 結婚式、それは新郎新婦にとって人生最大のイベント!式当日を迎えたカップルとウェディングプランナーの悲喜交々。 式場に向かう元カレや、祝儀泥棒も現れて……(笑)  敏腕ウェディング・プランナーは、全ての難題を解決し、最高の結婚式を2人に贈ることが出来るのか――?  全ての伏線を回収していく脚本が見事なロマンチックコメディです! 『彼女が好きなものは』2021年12月、草野翔吾監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2 ゲイであることを隠して生きる男子高校生が、クラスメイトの女子生徒が、男性同士の恋愛話が好きな女子であることを知る。腐女子であることがばれることを恐れる彼女に秘密を守ること約束するしたことで、彼が好きになった彼女は彼に告白し、彼も普通の生き方もしてみたいとそれを受け入れるのだが…… 展開がちょっと古くさいけど、真面目に造られていてなかなか良かったです。 『ハケンアニメ!』2022年、吉野耕平監督作品 原作:辻村深月「ハケンアニメ!」 連続テレビアニメ「サウンドバック 奏の石」が初監督作品となる斎藤瞳は、憧れの天才監督である王子千晴を超えるアニメをつくることを公言する女性監督。プロデューサーやアニメーターと共に夕方5時台の同じ時間帯で、王子千晴の復帰作「運命戦線リデルライト」と視聴率を争うことに…… 王子のプロデューサーの女性も、気まぐれな王子に苦労しながらも、9年ぶりとなる作品にかける! アニメ製作のスタッフや声優たちとの熱い苦労は報われるのか! アニメ製作の現場の雰囲気が味わえて面白かったです。現代でもけっこうアナログな部分も多いんですね。

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『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』『天使』『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』『地獄でなぜ悪い Why don’t you play in hell?』『神さまの言うとおり』『ホリック xxxHOLiC』『妖怪シェアハウス―白馬の王子様じゃないん怪―』

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』2005年5月公開、青山真治監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆ タイトルの「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」は、ヘブライ語で「神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや」の意味。SFファンには平谷美樹先生の小松左京賞受賞作『エリ・エリ』で周知(笑) 2015年。映像を通じて感染するレミング病というウイルスによって、世界中で多くの人間が自殺している。貞子か!(笑) 富豪のミヤギ(筒井康隆!)は、息子夫婦をレミング病で失い、孫娘もレミング病に侵されている。探偵に調査を依頼したところ、とある二人組の奏でる音楽には発病を抑える効果があるという噂が……  良くわからん不思議な音楽と相まって、不条理の世界に引き込まれていきます。笑犬楼さまの存在感が光ってます(笑) 『天使』2006年1月公開、宮坂まゆみ監督作品 原作:桜沢エリカのコミック《天使》シリーズ 東京で悩み苦しむ人々の前に、本物の天使が現われる。 東京で暮らし、恋愛、家族や友人との関係などに悩む3人は、神出鬼没な天使と出会って救われ、心を癒やされていく……。  天使役のフカキョンを愛でる映画(笑) 天使は何をするのでもないけど、周りの人間達に触媒のような効果を及ぼしてるのが面白い。 『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』2006年8月公開、水田伸生監督作品 原作:一色まことのコミック『花田少年史』 独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2 小さな港町で評判のわんぱくな少年・花田一路は、ある日、トラックと衝突する大事故に遭ってしまう。九死に一生を得た一路には、幽霊が見える不思議な能力が身についていた。その日から彼の周囲には、様々な幽霊が出現して願い事や相談を持ちかける……  自分が本当の父親だと名乗る見知らぬ男の幽霊まで現れ、真相を探るべく一路君は母親が結婚する前の時代にタイムスリップする……厳密にはタイムスリップではないのですが(汗;) 『地獄でなぜ悪い Why don’t you play in hell?』2013年9月、園子温監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆ 豪華俳優陣によるスプラッタムーピー。お金がかかった『カメラを止めるな!』の感もアリ(笑) 極道・武藤組の組長・武藤大三は、服役中の妻・しずえの夢でもあった、娘のミツコを主演にした映画製作を決意する(笑) 映画の神様を信じる映画青年・平田純と、通りすがりの普通の青年・橋本公次を監督迎えたヤクザたちとミツコの映画製作の顛末は如何に。 『神さまの言うとおり』2014年11月公開、三池崇史監督作品 金城宗幸原作、藤村緋二作画のコミック『神さまの言うとおり』 独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2 平凡な男子高校生・高畑瞬は退屈な日常に嫌気が差していたが、ある日の授業でいきなり教壇の上にしゃべる巨大なダルマが現われ、敗者が次々に命を落とすという不条理な“ダルマさんが転んだ”遊びを仕掛けられる。瞬は同級生のいちかとともにその後も巨大な“まねき猫”“コケシ”“シロクマ”が相手の不条理なゲームに挑んでいき、それらゲームを命からがら突破するものの、そんな状況下で他の生徒は次々と命を落としていき……。 『ホリック xxxHOLiC』2022年4月公開、蜷川実花監督作品 原作:創作集団「CLAMP」のコミック『xxxHOLiC』 独断と偏見のお薦め度☆☆☆  アヤカシ(怪奇現象)が見えてしまい、いつも逃げ回ってばかりの高校生・四月一日(わたぬき)は、ある日紅い蝶に誘われて、曰くありげな女主人の館に迷い込みます。彼女から「アヤカシを見たくない。平凡な生活を送りたい」という願いを推し当てられた主人公は、その代償として館の料理や掃除に励む毎日が始まります。 … 続きを読む

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『メタモルフォーゼの縁側』『3D彼女 リアルガール』『3月のライオン』

『メタモルフォーゼの縁側』2022年公開、狩山俊輔監督作品 原作:鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆☆ 宮本信子さんと芦田愛菜ちゃんは演技が上手い。 BLマンガを通してつながった17歳の女子高校生と、75歳の老婦人の世代を超えた友情を描く。 共通の趣味で通じ合える喜びって、ありそうではあるけど中々経験しない。でも、良いなあ。 BLマンガをSFに変えて、SFにおいても世代を超えた友情が育めると嬉しい。 『3D彼女 リアルガール』2018年公開、英勉監督作品 原作:那波マオ『3D彼女 リアルガール』 独断と偏見のお薦め度☆☆☆ ひたすら中条あやみさんを愛でる映画です(笑)。可愛い。 学校一の超絶美少女と、2次元にしか興味がない超絶オタクの恋と破局と成就を描きます。 映画『卒業』ぽいシーンもあるけど、これは略奪婚ではないですね。 『3月のライオン』2017年、前後編公開、大友啓史監督作品 原作:羽海野チカ『3月のライオン』、監修:先崎学 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆☆ 幼い頃に事故で家族を失った主人公(零)が、中学生でプロ棋士となり高校生になってからも懸命に生きる姿を描いた作品。零が、養父と暮らすにあたって「将棋は好きか」と問われたことで、生きるために将棋を学び、周りに支えられながらも厳しい世界を生きていく姿が心に迫ります。大学時代に囲碁将棋部だった者としては、棋士たちの将棋に対する鬼気迫る姿は美しいとさえ思いますが、理解出来ない人がいてもおかしくはないですね(汗;) 零の友人でもある病気がちの棋士二階堂のモデルは、29歳で夭逝した故村山聖9段のような気がしました。

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『サマータイムマシン・ブルース』『江ノ島プリズム』『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』『君が落とした青空』

『サマータイムマシン・ブルース』2005年9月公開、本広克行監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆ 青春ドタバタタイムマシンもの。一応タイムパラドクスに気を使った筋立てにはなってますが、本気のSFではありません(笑) 若者が集まってわちゃわちゃやる楽しさにあふれた作品だと思います。 「カッパ伝説」とお遍路が観光資源である四国の大学。SFに興味がない男子学生5人のSF研究会と、写真の腕前がよくない女子学生2人のカメラクラブは、同じ部室を共有していた(笑)。とある夏休み、カメラクラブの2人が写真を現像していると、1枚の写真に野球をしているSF研の下級生の姿と、校舎の陰にもうひとり下級生(同一人物)が写っているのを見つけて驚く。  一方、エアコンが壊れたため、猛暑に悩むSF研部員たちは、部室の隅に見慣れないへんてこな乗り物状の機械があることに気づく。 『江ノ島プリズム』2013年8月公開、吉田康宏監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2 変形タイムループ青春ものかな。切ないけど、選びうる最善の結末になったかも知れない。 修太と朔とミチルの三人は仲の良い幼なじみで、いつも一緒に行動していた。しかし朔は、生まれつき病弱で重い心臓病を患っていて、旅立つ幼なじみのミチルに手紙を渡そうと必至に自転車漕いだのが原因で急死したのだ。 ある朝、修太は幼馴染の親友だった朔の三回忌に来ていた。朔の母親に案内され当時のまま保存している朔の部屋に入ったあと朔の母親に入れてもらったコーヒーを飲みながら小学校時代を思い出していた。朔の母親から「朔の親友だったことを忘れないでほしいから形見の品をなにか持って帰って欲しい」と言われ、机にあった「君もタイムトラベラー」というムック本を手に取った。中には、水色のオモチャ然とした腕時計が入っていて、その腕時計をはめ、自分の行きたい時代を頭に浮かべながら目をつぶり右手をにぎるとその時代にタイムトラベルできるという……  半信半疑ながらも時計型タイムマシンに望みを託して修太は旅立つ…… 『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』2021年6月公開、三木孝浩監督作品 ロバート・ハインライン原作 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 原作から離れてるけど、個人的にはアリ(笑)オールドファンにもお薦め。 1995年の東京でロボット開発に携わる高倉宗一郎は、愛猫・ピートと妻・璃子と共に暮らし、妻の父親である松下の遺志を継ぐべくプラズマ蓄電池の開発に没頭していた。しかし、宗一郎は共同経営者・松下和人と婚約者・鈴の裏切りによって会社と開発中のロボットや蓄電池をすべて奪われ、コールドスリープに入れられてしまう。 『君が落とした青空』2022年2月公開、Yuki Saito監督作品 櫻いいよ原作 独断と偏見のお薦め度☆☆☆ 切なさ満開の青春ラブストーリー。タイムループものなんだけれど、夢オチとも解釈できる。 高校生の実結と修弥は、中学の時から付き合い始めて2年目になる仲の良いカップル。ある日、デートの途中で修弥が用事ができたからとデートを中断して気まずい雰囲気で別れてしまう。その日の夕方、会いたいとメールを寄越した修弥がトラックにはね飛ばされてしまう。修弥に会おうと待ち合わせ場所に急いでいた実結はパニックになるが、気が付くと事故当日の朝に戻っていた。

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