カテゴリー別アーカイブ: SF系(邦画)

『フィル・ティペット 狂気と怪物たち』『マッドゴッド』

『フィル・ティペット 狂気と怪物たち』2019年9月公開、ジル・パンソ&アレクサンドル・ポンセ監督作品 インタビューを交えたフランスのドキュメンタリー映画。日本では未公開。wowowで放送。 視覚効果の巨匠フィル・ティペット監督が語る、創造力の源流と次世代への架け橋 元々は、『ロボコップ2』(90)を終えた後に、『マッドゴッド』に着手したものの、視覚効果のデジタル化の波が押し寄せて撮影が中断。それから20年も放置されていたが、そのフッテージを偶然目にしたスタジオの若い人たちが興味を持ち、ティペット氏が指導する流れになった模様。 『マッドゴッド』2022年12月公開、フィル・ティペット監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2 荒廃した未来(?)世界で、異形の地下世界に潜り込んだ孤高の暗殺者が、廃棄された地下壕やそこでうごめく不気味なクリーチャー達のあいだを通り抜け、化け物たちの巣窟と化した世界の終わりを目撃する。SFファン必見のパペットムービーです。 「エイリアン」のギーガー氏とか「ブレードランナー」のシド・ミード氏とか、SF映画で有名な造形作家がいらっしゃいますが、フィル・ティペット氏はそれ以上に人間の根源的な恐怖とか気味悪さに迫っているような気がします。 詳しくは、映画.comのフィル・ティペット監督インタビュー 『マッドゴッド』公式サイト(トレイラーあり)

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『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』

『僕が愛したすべての君へ』2022年10月公開、松本淳監督作品 『君を愛したひとりの僕へ』2022年10月公開、カサヰケンイチ監督作品 原作:同名の乙野四方字の小説 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2  無くした物を探している時、先ほど探したはずの場所で見つかることはありませんか?それはあなたの心が瞬間的なパラレルシフトを起こして、平行世界のあなたと入れ替わっていたためなのです……  パラレルワールドの存在が明確となり、その解明のための科学も整備されつつある世界。暦は7歳のときに両親が離婚することとなり、どちらと共に暮らすかという選択を迫られることになった。この選択で彼の運命は大きく変わることとなる。←重要な分岐点  基本的にはよく考えられた恋愛SFもの。面白かったです。  映画のなかで、栞が幽霊(パラレルシフト中に帰還先の肉体が損傷したため生じた精神のみの存在)になってしまい、どの平行世界にパラレルシフトしても栞は幽霊になっているため、暦は栞を救うために時間を遡るタイムシフトの研究を始めるという展開があります。元々、暦と栞が一緒にマシンに入り、同時にパラレルシフトをしたことから強固な結びつきが出来て、暦がパラレルシフトをすると同時に栞も着いてくると説明がありました。  疑似科学的ガジェットが楽しい本作ですので、ここはぜひ、暦と栞が量子もつれ(量子エンタングルメント)状態になっていて、パラレルシフトしてその世界に栞が存在しなくても、(情報としての)栞が視えるとかにして欲しかったぞ(笑)  もしかして原作はそうなっていたなら申し訳ない(汗;)

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『TANG タング』『弟とアンドロイドと僕』『ラブアンドロイド 執事のアダムとぼっちな私』

『ラブアンドロイド 執事のアダムとぼっちな私』2016年8月公開、城定秀夫監督作品 城定監督の特集だったのか同時期に『ビリーバーズ』(2022年)も見ました。 業績不振の電機メーカー・LENY社は、会社の起死回生をかけて執事型セクサロイドを開発。発売にあたり、オタク処女の女子社員が抜擢され、アンドロイドとの同居生活が始まる。セクサロイドが「どきどきメモリアル」をプレイして女性の扱い方を勉強するという(汗;)ちょっとエロい作品です。展開はベタで訴求層がおじさん限定みたいですが、まあそれが心地良いというか、癒やされます(笑) 『弟とアンドロイドと僕』阪本順治監督作品、2022年1月公開 孤独なロボット工学者の男は、子どもの頃から自分が確かに生きているという実感を得られずに生きてきた。そのために奇妙な言動を繰り返し、同僚や世間からは変人と見られていた。彼は父が残した廃病院に1人で暮らし、生きている実感を得るために自分そっくりのアンドロイドを造り上げようとしていた。父親は入院したままなのだが、入院費とか今後の対応を求めて腹違いの弟が突然訪ねて来る。←この弟が主人公に反感を持っていて、色々やらかすのですが、なんせ雰囲気が暗くて主題が難しいときてるので一般受けはしないような…… 『TANG タング』三木孝浩監督作品、2022年8月公開 原作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』デボラ・インストール著 仕事を辞めて、ゲーム三昧のあげく妻に捨てられそうな春日井健。ある日自宅の庭に突然現れた「タング」と名乗る謎のロボットと出会い、そのエネルギーがもうすぐ尽きようとしていることを知る。タングにはそれまでの記憶がない上にポンコツだが、なぜか憎めない。 基本的にはタングは狂言回しで、主題はタングと同じく人生においてポンコツな主人公の愛と再生の物語なのかも。

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『スカイクロラ The Sky Crawlers』『十年 Ten Years Japan』『プラン75』

『スカイクロラ The Sky Crawlers』2008年8月公開、押井守監督作品 原作:森博嗣の同名の小説《スカイ・クロラ》シリーズ 現代に似たもう1つの世界。戦争がショーと化した平和な時代で、とある戦争請負会社に勤める青年はヨーロッパの前線基地に配属される。思春期の姿のままで奇妙な宿命を背負った彼は、キルドレと呼ばれる戦闘機パイロットだった。そんな中、彼はかつてエース・パイロットだったという女性司令官と出会い、心惹かれていく。 ちょっと『終わりなき戦い』(ホールドマン著)が入ってる気がする。 『十年 Ten Years Japan』2018年11月公開、是枝裕和製作総指揮作品 2015年に香港で公開され話題となった映画『十年』をもとに日本、タイ、台湾の国の若手映像作家がそれぞれの国の10年後を描く国際共同プロジェクト。 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆ 「PLAN75」早川千絵監督 高齢化問題の解決のために制定された75歳以上の高齢者に安楽死を奨励する制度を扱う。 「いたずら同盟」木下雄介監督作品 IT特区の小学校では人工知能システム“プロミス”が子供たちに理想的な道徳を刷り込んでおり、子供たちはプロミスに従うことで平穏な日常を過ごしていた。 「DATA」津野愛監督作品 女子高生の舞花(杉咲花)は、父(田中哲司)に内緒で、亡き母の生前のデータ≒「デジタル遺産」を手に入れた。 「その空気は見えない」藤村明世監督作品 人々は原発による大気汚染から逃れるために地下の世界に住むようになっていた。 「美しい国」石川慶監督作品 徴兵制がしかれた日本。広告代理店マンの渡邊は、徴兵制の告知ポスターを政府からの要請で若者に親しみやすいよう変更するため、これまでのポスターのデザイナーの元を訪れるが…… 『プラン75』2022年公開、早川千絵監督作品 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2 2018年に公開されたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」内の短編映画を元に作成された。 とある未来、日本で75歳以上の高齢者が安楽死する権利(通称・プラン75)が制定された。それは高齢化に関わる財政問題を解決するために導入された制度で、それを受け入れた高齢者には一時金として10万円が支給されるというもの。まだ働けるのに、なし崩し的に安楽死を選択せざるを得なくなる高齢者たちとそれを取り巻く社会の有り様を描く問題作。

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