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久永実木彦先生著者インタビュー関連その2(ネタバレ注意!)

久永実木彦先生著作の粗筋等、ネタバレしてますので未読の方は読まないで下さい! 書影と書籍情報はこちらに 「帳尻が合う」(『ウカイロ9』収録) ふと自殺衝動に駆られた男。彼の元に訪れた真っ赤なポンチョを着た子供に「帳尻が合わないから止めろ」と言われる。なんでも男は前世で五人殺しているから、現世で五人助けないと帳尻が合わないと。思わず引き込まれる展開から壮大なラストに続く語りが見事な一編。 「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」(『時を歩く』所載) 時間旅行が可能になり、大規模災害時の災害犠牲者を無くすから観点から始まった救済処置は、単なる事故であっても死亡者がいれば一律〈 改変法〉が適用され、<声かけ>たちが犠牲者を救うようになったために、慢性的な人員部作に陥り今では経験の無い非正規職員がその任務を担当するようになっていた。 バイト感覚で、過去に干渉するというのはなんともシュールな世界ですね(汗;) そもそも総てが、光速度は一定で何者も光速を超えることが出来ないという大前提から導きだされているのは、ご存じの通り。 有名な「E=mc^2」という公式から導き出されたものがミンコフスキー空間(相対論的空間)というもので、実際には三次元ですが便宜上左のような二次元の図として書くことも出来ます(図は橋元淳一郎先生の著書より引用) 図中の「非因果領域」というのは、光速度を超える世界線が含まれる領域です。人類には知覚できない領域ですが、存在するのは確かだと言われています。光速を超えると過去への時間旅行が出来るかも知れないというのは、この図の非因果領域の話なんですが、もし非因果領域が人間に知覚できても、因果関係が目茶苦茶(結果の後に原因が来る)になるので、人間の脳に凄まじい負担を強いるのではなかろうかというのが、私の以前からの疑問でした。それに答えてくれたのが「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」というわけです。主人公が段々と倫理観を喪失し静かに狂っていく様は圧巻です。 「ガラス人間の恐怖」(『SCI-FIRE 2021』所載) ある日突然、宇宙人の仕業で全人類の皮膚がガラスに置き換わり、骨も消えてしまうという事案が発生。ガラスに覆われた体内には、臓器が浮いている状態でなんとか生命は維持できているが、ガラスの関節は動きにくく、転んでガラスが割れれば一巻の終わり。 ガラスに覆われた陰茎が勃起するとどうなるか(笑)まあ、骨がなくなれば筋肉も動きようがないし、ガラスの胸郭では呼吸も難しいとは思うんですが(笑) むき出しの歯とガラスの中に透けて見える眼球と脳と内臓という状態の女性に対して勃起しちゃうという、悲しい男の性(さが)を描いた作品。久永先生は男性の性衝動に関して、一体全体どう考えておられるのか(大爆笑) 「男性撤廃」(『2084年のSF』) すべての男性が冷凍保存され、女性だけになった世界。男性の「解凍」を主張する集団と、男性の「殺処分」を主張する集団が存在する未来。男性を知らない世代の主人公は、男性冷凍保存庫のシステムを監視する仕事に携わっていた。ある日そこで障害が発生し、一人の男性が解凍されて目覚める……

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平谷美樹著《貸し物屋お庸》シリーズ関連本

『貸し物屋お庸 謎解き帖 桜と長持』平谷美樹著、丹地陽子装画 2022.5.15、だいわ文庫(大和書房)、858円、(Kindle版)815円 江戸っ子の暮らしを支えるレンタルショップをめぐる悲喜交々を描く 収録作: 「桜と長持」同業者から貸した長持が湿っていて変なことに使われたのではとの相談が 「遠眼鏡の向こう」鳥を見るからと遠眼鏡を借りに来た呉服屋の若旦那。いやな感じがするのだが 「小猿の面」座興に使うからと猿の面を借りに来た番頭。延長もあるということは? 「つぐらの損料」赤子の寝床としてもつかわれる藁製のつぐら。捨て子を救おうと蔭間の面々は 「ちびた下駄」芝居に使うからと歯がすり減った下駄を借りにきた自称旅芸人。調べてみると…… 「大歳の客」橋の袂にいた少女から湊屋で膳を借りて息子を訪ねろと言われてやってきた老人は…… ◆人物紹介◆ 【お庸】「無い物はない」と評判の江戸で一、二を争 う貸し物屋・湊 屋両国出店店主。口は悪いが気風のよさと心根の優しさ、行動力で多くの味方を得、持ち前の機知でお客にまつわる難事や謎を見抜いて解決する美形の江戸娘。 【幸太郎】庸の弟。両親の死後、数寄屋大工の名棟梁だった仁座右衛門の後見を得て大工の修業に励んでいる。 【りょう】生まれず亡くなった庸の姉。童女姿の霊となって庸の実家に棲み、家神になるための修行をしている。 【湊屋清五郎】浅草新鳥越町に店を構える貸し物屋・湊屋本店の若き主。「三倉の苗字と帯刀を許されており、初代が将軍の御落胤であったという噂もある。 【松之助】湊屋本店の手代。湊屋で十年以上働いており、両国出店に手伝いに来ることも多い。 【半蔵】清五郎の手下。浪人風、四十絡みの男。 【瑞雲】浅草藪之内の東方寺住職。物の怪を払う力を持つ。 【熊野五郎左衛門】北町奉行所同心。三十路を過ぎた独り者。庸からは「熊五郎」と呼ばれている。 『貸し物屋お庸 江戸娘、店主となる』平谷美樹著、げみ装画 2015.1.10、招き猫文庫(白泉社)、690円 収録作:(元禄時代の江戸が舞台。お庸は、賊が押し入る前に清五郎と出会い、一目惚れしている) 「一難去って」大工の娘・庸は“棟梁のお嬢さん”だが自分を「おいら」と呼ぶほどの男勝り。不自由ない生活を送っていたが、ある夜、家に賊が押し入り両親を殺害されたことで生活が一変した。 「初仕事」回転前日のバタバタしているときに、中間が、お殿様が飾る雛人形をとやってくる。 「桜の茅屋」どこかの店の番頭風の男が、古びた笊を借りに来た。 「盂蘭盆会」藪入り前、お庸の家にお化けが出て悪戯をするという。  『貸し物屋お庸 娘店主、奔走する』平谷美樹著、げみ装画 2015.5.10、招き猫文庫(白泉社)、640円 収録作: 「紙三味線」大店の若旦那が借りに来た三味線の銘器を巡る大騒動。 「からくり箪笥」大工が引き取ってくれと持ち込んできたタンスには仕掛けがあった。 「俎の下」畳ほどもある大きなまな板を借りに来た男が。 「貸し母」幼い頃に自分を捨てた母親の代わりを貸して欲しいという依頼が。 『貸し物屋お庸 娘店主、捕物に出張る』平谷美樹著、げみ装画 2016.1.10、招き猫文庫(白泉社)、690円 「行李」行李を借りにきた侍の態度を不審に思い、持ち前の好奇心とおせっかいで世話を焼く。そして陸奥国神坂家との因縁が始まる…… … 続きを読む

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久永実木彦先生著者インタビュー関連本

『七十四秒の旋律と孤独』久永実木彦著、最上さちこ装画 2020.12.25、東京創元社、1800円、1710円(Kindle版) 収録作: 「七十四秒の旋律と孤独」 以下《マ・フ クロニクル》シリーズ 「一万年の午後」「口風琴」「恵まれ号 Ⅰ」「恵まれ号 Ⅱ」「巡礼の終わりに」 第八回創元SF短編賞受賞作「七十四秒の旋律と孤独」をはじめ、人類が滅亡したあとの宇宙で、ヒトの遺した教えと掟に従って宇宙を観測し続けるロボットたちの日々を綴る連作〈マフ クロニクル〉の全六編を収録。永遠の時を生きる美しいロボットたちと、創造主である人間をめぐる新たな神話がここに。 「七十四秒の旋律と孤独」久永実木彦著、加藤直之イラスト 第8回創元SF短編賞受賞作 2017.7.28、東京創元社、kindle版、198円〈空間めくり(リーフ・スルー)〉と呼ばれる時空転移技術が開発され、宇宙交易が活発になった未来。 紅葉は宇宙貨物船グルトップ号に搭載された朱鷺型のAIを搭載された人型戦闘兵器。 〈空間めくり〉の際の人間が認識できない七十四秒の閉じられた時間、貨物船を襲撃から守っている。しかし、運行開始から一度も襲撃を受けたことのないグルトップ号の乗組員たちは、紅葉のことを“空焚きのポット”と揶揄し、その存在をほとんど無視していた。自らの存在意義に疑問を持つ紅葉だったが、あるときグルトップ号が〈空間めくり〉中に海賊に襲われた。 加藤画伯による、表紙画がなんとも格好良いですね。この戦闘タイプのロボットと、短編集の書影(最上さちこ装画)からうかがえる可愛らしいロボットとの対比が内容にどう関係しているかも読みどころの一つです。 「第42回日本SF大賞: 選評冊子」日本SF作家クラブ編 2022.4.17、日本SF作家クラブ出版、Kindle版、500円 目次 第四十二回日本SF大賞『大奥』 第四十二回日本SF大賞 最終候補作品(作品名五十音順) 『暗闇にレンズ』高山羽根子(東京創元社) 『ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉』TVアニメ・高橋敦史監督(東宝) 『七十四秒の旋律と孤独』久永実木彦(東京創元社) 『ポストコロナのSF』日本SF作家クラブ編(早川書房) 『まぜるな危険』高野史緒(早川書房) 「第四十二回 日本SF大賞」選評 草上仁、小谷真理、白井弓子、三雲岳斗 『ウカイロ9「THE END IS THE BEGINNING IS THE END」』 2019.8.11、スミダカズキ、2000円 収録作: 菅野ぽんた「illustration」、おがわさとし「It is no use … 続きを読む

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「昭和50年男 特集『オレたちのリアルなSF』」

こんな雑誌が出ていたとは(汗;) 特集「オレたちのリアルなSF」 chap.1「遭遇」 ・SFの新たな地平を見せてくれた押井守 インタビュー記事です。押井監督とは生年が一緒(s26年)なので、おっしゃっていることは凄くよく分かる。同じ年頃にこういう文化を共有してたというのは影響大ですよね。映画のターニングポイントが「2001年宇宙への旅」「ブレードランナー」「エイリアン」の三作だというのも、全く同意です。 ・SFマインドを育んだ『大長編ドラえもん』 「映画版ドラえもん」面白いっす。TV放映を楽しみにしてます。関係ないけど、子供が小学生の頃、正月映画の「ゴジラ・シリーズ」にうちの子供たちと剣道のチームメートを引き連れて毎年(3年くらい)行ってました。 ・本格SFの世界への水先案内人 高千穂遙 「クラッシャージョウ」と「ダーティペア」は、ほんと名作。「ダーティペア」は、可愛い女の子のペア(グループ)が無茶苦茶するという設定の先駆けじゃないのかな。 ・昭和50年男のアニキ 大槻ケンヂ が語るのほほんSF講義 スチールを拝見すると風格が出てきたなあと。筋少のころは独特のメイクと相まってとにかく格好良かった。「くるぐる使い」の著者近影が、筋少のメイクに和服で、それが決まっていてもの凄く作家然としていた。 chap.2「人間」 ・現代社会の問題を照射する SFのチカラ 平野啓一郎 ・サイバー化が進んだ世界が提示する新しい価値観 攻殻機動隊シリーズ ・現実に根ざした描写が未来を予見 神山健治 の眼 ・鍛えられた肉体が非現実な世界と見事に調和 A・シュワルツェネッガー ・筋電義手 i-limb quantum「日本第1号」ユーザーに聞く 映画『T2』で描かれた未来は今!? chap.3「技術」 ・できるのか? 何が大切なのか? サイエンス作家・竹内 薫が解説 SFで描かれた科学技術。現実には? ・時間旅行を夢見させてくれる『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 ・賢い、強い、速い! 夢のクルマ『ナイトライダー』 chap.4「新世界」 ・宮崎 … 続きを読む

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高井信先生著者インタビュー関連書籍

『ファンジン魂』高井信著、YOUCHAN装画 2020.6.25、ネオ・ベム、 著者のファンジン遍歴、ファンジンへの愛を綴ったハードSF研究所公報「Hard SF Laboratory」の連載「ファンジン魂」が書籍化。加筆修正、書影大幅追加。オールカラー。 『思えばいろいろなことがあったなあと、しみじみ回想してみたりする』高井信著 2018.9.23、ネオ・ベム SF同人誌「CAT」8号(1984.11.30)に掲載された高井信氏のこれまでのファン活動歴を記したエッセイ 森東作氏製作の「SFファンジン・データベース」Ver.1.10 (2020年製) エクセルで検索するようになっています。 『天に輝く星のごとく』若尾天星遺稿集 「天☆CON」実行委員会製作、梶田俊哉編集 2018.9.23発行 「若尾天星ファンダム史」 「若尾天星編集ファンジン及び出典先」他 「天星さん」大和眞也 「ファンダムが一番輝いていた時代に」まめさん 「いつの間にか隣に」梶田俊哉 「あとがき」梶田俊哉 『名古屋ファンダム史』若尾天星著、高井信編、梶田俊哉協力1018.5.5、ネオ・ベム 2018年に逝去された名古屋SFファンダムのBNFである故若尾天星(本名:典正)氏が書き記された日本SF大会のプログレスレポート等を、古くからの盟友である高井信氏がまとめたもの。 『SF雑誌99の謎』岡田正也著、高井信編 2016.2.22、ネオ・ベム 2014年の同表題本の再編集版 広島SF同好会の会誌「ALDEBARAN」に掲載(1976-1977) 『ベム AGAIN』岡田正也著、高井信編 2012.6.1、ネオ・ベム 高井信氏による2011年に逝去された岡田正也氏追悼ファンジン 「SFの怪」「天空の秘境」「A.Hyatt Verrillと『失われた種族』」「ハガードとの出会い」「ベムを編む」「影を求めて」「僕はベムが好き?」「昆虫あれこれ」「愛しのベムは今何処」 「編者後書き」高井信 『岡田正也コレクション』岡田正也著、高井信編 2019.11.20、ネオ・ベム 『ジンテン1★図録』(2016.2.14)『SF雑誌99の謎』(2016.2.22)『ベム AGAIN +』(2016.2.29)より岡田正也作品を抜粋・再編集したもの 「SFの怪」「天空の秘境」「A.Hyatt Verrillと『失われた種族』」「ハガードとの出会い」「ニュー・アトランティス1658」「ベムを編む」「風留本余釈」「影を求めて」「僕はベムが好き?」「エスペラント語界のSF」「ジンテン1開催にあたって」「日本SFファングループの現状」「昆虫あれこれ」「愛しのベムは今何処」 「絵解き … 続きを読む

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堀晃先生インタビュー関連(アニマ・ソラリス20周年・200号記念)

『未来趣味』2019年増刊号・橫田順彌追悼號 中根ユウサク編集・YOUCHAN装画 2019.10.11、日本古典SF研究會、2000円 写真でたどる横田順彌さんの足跡 横田順彌著作書影集 二十二世紀のみなさんへ(まえがきにかえて) 単行本未収録 小説/エッセイ ヨコジュンに贈る言葉・イラスト 日本古典SF研究会について そして、日本古典SF研究会会員から横田さんに贈る言葉 「未来趣味」誌は、本棚を見たら第1号と第10号もありました。1号の巻頭言は小松先生でした。 SFマガジン2019年6月号 2019.6.1、早川書房、1200円 追悼・橫田順彌 監修:北原尚彦 短編再録:「かわいた風」「大喝采」 追悼エッセイ、ブックガイド、著者目録ほか 『夢幻小説集ー神樂坂隧道』西秋生著 2016.9.28、オンデマンド出版 収録作: 「1001の光の物語」「マネキン」「走る」「いたい」「「星の飛ぶ村」 「チャップリンの幽霊」「神樂坂隧道」 「翳の そしてまぼろしの黄泉」「5:46」 追悼文: 眉村卓・高井信・かんべむさし・江坂遊・井上雅彦・森下一仁 堀晃・大町聡 『星群 No.90』 2020.1.10、創作集団「星群の会」 オンデマンド出版1400円 石坪光司氏収録作: 「幻影団地の風」 「遅れた男」 「十三・・・四」 『ファンジン魂』高井信著、YOUCHAN装画 2020.6.25、ネオ・ベム、 著者のファンジン遍歴、ファンジンへの愛を綴ったハードSF研究所公報「Hard SF Laboratory」の連載「ファンジン魂」が書籍化。加筆修正、書影大幅追加。オールカラー。 『石原藤夫 … 続きを読む

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アスキーアート(軽茶さん作)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃——————————–┃ ┃- DISCOVER THE NEXT ADVENTURE! -┃ ┃——————————–┃ ┃————–    ————–┃ ┃+———–     * ————┃ ┃—-+—–            ———-┃ ┃——-+-              ———┃ ┃——–*    .●.      ——–┃ ┃——-   +   |△|  … 続きを読む

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電子書店パピレスで購入できる森下一仁先生の著書

『思考転移装置顛末』オンライン出版(元は講談社) 平妻研究所所長・平妻老人が作りだした、〈思考転移装置〉試作第一号!! そもそも〈思考転移装置〉とは、人間の考えたことを、そのまま他の人に伝えてしまおうという機械装置なのだが――。 表題作「思考転移装置顛末」をはじめ、黒潮放送局の新米ディレクターの「ぼく」と、カメラの土居さん、美人アナウンサー若月嬢の三人の前に次々とあらわれる世にも不思議な世界。連作SFファンタジー全十話! 『ふるさとは水の星』集英社 映像記録家のわたしは、養子のイサムと惑星アクエランへ取材に赴いた。大部分があたたかい海におおわれた水の星である。訪れた資源採取工場には、管理人のチャン老人が住んでいるだけのはずだった。しかし、わたしたちは、老人の孫娘だという魅力的な美少女、レニに出会う。なぜか、チャン老人はレニの存在をひた隠しにして、撮影をすることすら禁じていた。 だが、ふとした運命のいたずらから、レニは地球に来ることになった。敏腕プロデューサーの眼にとまったレニは、地球でスーパースターへの道を歩み始めるのだが、彼女には大きな秘密が隠されていたのだ……。 『宇宙人紛失事件』オンライン出版(元は徳間文庫) 異星から帰還途中、人類が初めて遭遇した宇宙人が、地球についた時は消えていた! 目撃者の証言では、乗組員がよってたかってバラバラにしてしまったというが、管理局の調査で宇宙船からは何も発見されなかった。はたして宇宙人はどこへ行ってしまったのか? 不気味で滑稽な表題作ほか、いつの時代でもかわらない人間の残酷さと哀しさを、意表をつく着想でさりげなく描いたSF傑作集。単行本未収録全十三篇。 『天国の切符』オンライン出版(元は新潮文庫) 待つことがぼくの仕事だ。ここに居る人々は、みんな待っている。“天国の切符”を手に入れる日を……。今日も青い登録カードのままだ。青いカードでは駄目なのだ。ぼくが待っているのは、天国への通行許可証となる金色のカードなのだから。表題作のほか、森の中に棲む不思議な生き物と少女との交流を描く「森に棲むもの」など、詩情あふれるSF12編を収録。文庫オリジナル。 『夢の咲く街』集英社 ぼくの住んでる街には、年中ガラクタ市が開かれている穴熊横丁や、ケチな人ばかりが十人という、くじら地区がある。でも月曜広場には博物館があって、しゃれたカフェテラスもあるんだ。水平通りは海に続いている。ちょっと風変わりな街だけど、女友だちのジェイ、いかものぐいのタブ、道徳愛好家のモル、錬金術師のアム、ヘアデザイナーのファー、ぼくらはみんな、ここが好きなんだ!! 一篇ずつにエッセイ風の「まえがき」を付けた、ファンタジー・SFショートショート集。 『コスモス・ホテル』早川書房 少年は夏祭りの夜に、買ったばかりのバイクを盗まれてしまった。それまで身辺にあったものが、突然無くなる喪失感。前途に光が見えず、世の中全体がうっとうしく、自分とは無関係なものに思えてくる。悪友たちと酒宴を開くが、いっときのウサばらしのあとは、軽い二日酔いが残るのみだ。けだるい日々の中で、少年はいつのまにか、庭の早咲きコスモスの葉っぱを寝床にしているカナヘビと心が入れ替ってしまっていた……「コスモス・ホテル」ほか、ファンタスティックなムードをたたえながら、あくまでもSFそのものを感じさせる新鋭の処女短篇集。

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小松左京先生晩年のご著書(森下一仁先生インタビュー関連)

『SFへの遺言』小松左京著 対談者:石川喬司、大原まり子、笠井潔、高橋良平、巽孝之、森下一仁(構成) ’97/6/30、光文社、1800円 <われわれに未来はあるのか?>“世界沈没”を救う提言 人類とその文明の行方を精力的に問い続けてきた著者が、21世紀を目前にして自らの全力疾走の足跡を振り返り、後に続く世代にバトンタッチの夢を託す。時代を先取りした知性の苦闘の記憶であり明日への貴重な提言でもある。 作家:石川喬司 堅苦しい話ばかりではなく、日本SF黎明期の爆笑エピソードもあり、楽しめます。 『3・11の未来』日本・SF・想像力 笠井潔/巽孝之監修、海老原豊/藤田直哉編集 ’11/9/11、作品社、1800円 ■はじめに 小松左京「序文――3.11以降の未来へ」 ■第一部 SFから3.11への応答責任 笠井潔「3.11とゴジラ/大和/原子力」 【鼎談】笠井潔・巽孝之・山田正紀「3.11とSF的想像力」 豊田有恒「原発災害と宇宙戦艦ヤマト」 スーザン・ネイピア「津波の時代のポニョ――宮崎駿監督に問う」 ■第二部 科学のことば、SFのことば 瀬名秀明「SFの無責任さについて――『311とSF』論に思う」 【座談会】谷甲州・森下一仁・小谷真理・石和義之「小松左京の射程――『日本沈没 第二部』をめぐって」 八代嘉美「『血も涙もない』ことの優しさ」 長谷敏司「3.11後の科学とことばとSF」 田中秀臣「物語というメビウスの環」 仲正昌樹「SFは冷酷である」 海老原豊「一九七三年/二〇一一年のSF的想像力」 ■第三部 SFが体験した3.11 新井素子「東日本大震災について」 押井守「あえて、十字架を背負う」 野尻抱介「原発事故、ネットの混沌とロバストな文明」 大原まり子「3.11以降の未来への手紙」 クリストファー・ボルトン「流れ込む、分裂する言葉――3.11以降の安部公房」 ■第四部 3.11以降の未来へ 桜坂洋「フロム・ゼロ・トゥ・201X」 新城カズマ「3.11の裡に(おいて)SFを読むということ」 鼎元亨「3.11後の来るべき日本」 藤田直哉「無意味という事」 ■結語――またはゼロ年代の終わりに 巽孝之

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書評本(森下一仁先生インタビュー関連)

森下一仁先生著者インタビュー関連本の紹介。 そもそも「アニマ・ソラリス」での著者インタビューは、SF作家の先生方に対する好奇心と、現在活躍しているSF作家の方々、及び私が読んで面白かった作家の方々を記録として残しておきたいなあという動機で始めた物でした。書評はおろか感想文としての体裁をなしていないことも多々あるとおもいますが、ご容赦を。でも、たまには良いこと資料価値のあることもうかがっています(笑) とりあえず、今後50年程度はネットで閲覧できるように準備はしてあります。 『ニッポンの書評』豊崎由美著 ’11/4/20、光文社新書、740円 SFファンには、大森望先生との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズでお馴染みの豊崎由美先生の書評論です。 豊崎先生の「大八車(小説)を押すことが書評家の役目」というのは、けだし名言。 対象書籍に対する愛情は必要でありますねえ…… 著者インタビューでも、同じ心構えで臨みたいと心しておりますが、実現できているかどうかは不明であります(汗;) 豊崎由美公式ブログ「書評王の島」 『JUST IN SF』牧眞司著 ’16/5/20、本の雑誌社、1700円 東京理科大SF研出身の牧眞司先生の書評集 お手本(というかSFふぁんとして羨ましい)としている理系SFファン、牧眞司先生の書評集。 理系なのにスリップ・ストリーム系にも明るいし、評論のセンスと目の付け所の良さはいつも参考にさせてもらっています。 牧先生の「WEB本の雑誌-今週はこれを読めSF編」 森下一仁著 ’00/1/20、東京創元社 KEY LIBRARY、2000円 そもそもSFはどういうものであったのだろうかという疑問から、SFというジャンル全体を俯瞰した評論集。 特に脳神経学や認知科学の分野で使われる「フレーム理論」を用い、SFはどういうものかと説いた論説は当時すごく話題にのぼりました。 私も、やたら感心・感動した覚えが…… 森下一仁先生の「オモシロ本の世界2」が掲載されている「ナンクロメイト」誌 7月号では、『シマイチ古道具商 春夏冬人情物語』『万次郎茶屋』『愛しのオクトパス 海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』を紹介されています。 ちなみに牧眞司先生の「オモシロ本の世界1」も掲載されていて、こちらは『竹取物語 かぐや姫のおはなし』『オリエント急行殺人事件』『不在の騎士』を紹介されてます。 『小説 推理』7月号 双葉社、特別定価:910円 森下一仁先生の書評「今月のこの一冊 SF」が掲載されている『小説 推理』誌です。 7月号では、ケン・リュウ著『母の記憶に』、宮内悠介著『あとは野となれ大和撫子』、ウィル・ワイルズ著『時間のないホテル』を紹介されています。 7月号

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