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『星群 SEIGUN95』

『星群 SEIGUN95』、創作集団「星群の会」、2025.3.31 星群の会の半世紀の歩みの(54年間)総集編。SF特集号 おめでとうございます。 目指せ100周年 (^o^)/ 「無名戦士たち」松本優  お仕事系SF  自治体職員の解雇が仕事の私が向かったのは、某主要都市の市役所だ。そこでは相も変わらずコンプライアンスに反した時代遅れの職員が働いていたのだが・・  あっと驚くオチが面白い一作。特に市役所職員とのやり取りが面白い(笑) 「赤のそのまた外側の柔らかな光」椿広子  スペキュレイティヴ・フィクション=SF  悠久の年月の果ての物語。一種の思考実験(哲学)としても読むことが出来ます。ボルツマン脳に関しては、山本弘さんの短編で初めて読みましたが、この短編でも効果的に使われてますね。理系のエッセイとしても出色。  題名通りだとすると「遠赤外線」関連の話かと思ったのは内緒(汗;) 「秘密の入江」中西秀彦  ハッピーエンドの生物学SF。   夏のある日、別荘を訪れていた僕は好奇心に負け、近くの浜辺の立ち入り禁止の金網の中に入ってみた。そこで、優しく幽閉されているとおぼしき極めつきの美少女と出会うが……    「泡の影」石坪光司  AI系? 「冬のマーケット」系ともいえますね。  優れた科学者で大金持ちのロッキン氏が亡くなり、執事兼秘書役だった私の元にロッキン財団から調査員がやってきた。ロッキン氏はデジタル脳への意識転送の実験中に亡くなった(所在不明になった)のだが……  石坪さんが最近追求している意識や認知、世界についての考察がよく現れている作品。ラストのオチはお見事 (^o^)/ 「惑星暗闇の森」岡本俊弥  岡本さんが得意とする未来史系SF? 異星生命体の描写が凄い。  それは虐殺から始まった。人類の放った深宇宙探査船が発見した惑星には知的生命体と文明がみられたため、人類が入植するために抹殺の対象となった。宇宙を渡る基地母船の中で誕生した私は、その荒廃した惑星の上を連絡艇で毎夜飛行するのが任務だ。そして惑星にはサーキットと呼ばれる不可解なキューブが大量に見つかっていた。  林譲治先生の《星系出雲の兵站》と酉島伝法先生の異星生物観が組み合わさったような作品。贖罪と諦観を根底とし、異星生物の思考・思索と人類のそれが混合されたドロドロの海から何が生まれるかを考察したような読後感です。まあそこが魅力で面白かったし、異星生命体が不可解なままの存在であるところも良かったです。 「扉の図鑑」「てるてる坊主」深田亨  ホラー系SF。いったい何が起こったのかを考えると、特に物言わぬてるてる坊主の話が怖い。 「グフの火祭」「永遠のスタジアム」「海辺の物語」雫石鉄也  SFショートショート。  ロボット達が延々とベースボールを繰り広げるスタジアムが可笑しくも切ない。まあ、人間のファンもロボットのファンも、端から見るとたいして変わらないかも(汗;)

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