日別アーカイブ: 2023年7月5日

河野咲子先生関連本

河野咲子先生の作品・活動記録は、ご自身の「note」にまとめられてます。 ここを見れば、見落とすことはないので便利です。 ということで、各作品へのリンクは、「note」を参照下さい。 「水溶性のダンス」河野咲子著 2023.2.10、(株)ゲンロン、Kindle版385円 第5回ゲンロンSF新人賞受賞作品 からくり仕掛けの骨格に、パルプ鉱でできた肉をまとった人びとが暮らす街。 ある雨夜、からだの修復を行う「人体師」のわたしは、 体内に「強い言葉」を持つ踊り子に出逢う──。 敢えて分類するとすればハイ・ファンタジー。水分に弱いからだを纏う人形たちの生命活動はどうなっているのだろうかとか、タバコを吸う行為はいかにしてなしうるのかとか、そこらあたりの末梢はどうでもよく、作者の描く不可思議な世界にどっぷりとはままり、紡ぎだされたイメージが予想外に絡み合い展開していく様に身を任せる心地よさ。 ことさらシンボリックな意味合いを考えなくても十分に楽しめる物語の強度を持った作品だと思います。 『SCI-FIRE 2022』特集:インフレーション/陰謀論 【創作:陰謀論編】 「安らかなる彗星」河野咲子著  宇宙空間で死を迎えることを望んだ乗客だけが乗り組んだ宇宙船<彗星>での物語。  主人公は乗客の中ではひときわ若い年齢の女性なのですが、右上の奥歯のあたりに欠落の感覚があり、いつもそこを舌でまさぐるのが癖になっています。その感覚と居たのか居なかったのか定かではなくなっていく夫の存在との対比が面白い。歯が欠落した後、喪失感というかぽっかり穴の空いた感覚が長い間残っていて慣れるのに時間がかかるというのは比較的よくみられる症状なのですが、口腔内の空間が記憶(実際は舌と頬の内側でしょうが)しているような感じがあります。著者は、この感覚を突き詰めていくことによって元の存在がどうであれ、喪失の記憶を緊密に積み上げることによってそこにあった(あるべきな)姿形を構築でき、それはかつて実際にあったものとして認識できるのではないかという問いかけを呈示しています。これは凄い。こんな風に考えたことはなかった…… 第5期生卒業文集 ★座談会『SF創作講座黄金世代のつどい』河野咲子×新川帆立×竹田人造×田場狩 うかがいたいことは大体出てきているような気がしてます(汗;) 河野さんと新川帆立さんが同じ大学出身ということは、お二人とも東大なんですね。ご専攻がどういう分野だったのかがちょっと気になります。 ★テーマ短編 : チャレンジ編 ★テーマ短編:リベンジ編 ★フリー短編 「みそかあめのよ」河野咲子 冒頭“年にいちどの真夏の夜、谷におしゃべりな雨が降る”ということで、比喩的表現ではなく、喋る雨が降る里のお話しです。SFぼい設定だと、今年一年のスマホでのすべての人間のすべての会話が渾然一体となってスピーカーから聞こえてくる感じということになるのだろうか。 もちろん河野さんはそういう野暮な設定にはせず、「みそか雨」という詩的な現象を紡ぎ出してくる。そういう不思議な自然現象に身を任せて溺れていく心地よさがあります。 『文藝 90th』2023年春期号 創刊90周年記念号「文学の最前線がここにある」 「【連載】文芸季評『たったひとり、私だけの部屋で』2021年10月~2022年11月 問いかけと文学(水上文著)」のなかで、「水溶性のダンス」と「秘伝隠岐七番歌合」について言及があります。 『小説すばる』2022年10月号 【コラム】のりがたり「エイになった男の子」河野咲子著 同級生の弟が、どうしても水族館に行きたくてとった行動が…… ユリイカ 2021年12月号 特集=フレデリック・ワイズマン … 続きを読む

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