『セックスロボットと人造肉』(「ラブライフ(仮))関連

セックスドールと人造肉『セックスロボットと人造肉』ジェニー・クリーマン著、安藤貴子訳
2022.8.28、双葉社、2500円
「テクノロジーは性、食、死を“征服”できるか」と銘打たれた本書のテーマは、「性愛」「肉食」「生殖」「自死」、それはテクノロジーの、最後のフロンティア。
高性能AIを搭載し、あなたの欲望をすべて叶えるロボットは「完璧な伴侶」になりうるか? 人工で培養した肉は動物たちの権利を守り、気候変動を防ぎ、地球を救うだろうか?
妊娠も出産も、代理母すら必要ない人工子宮による生殖は本当に女性たちを社会的に救うのか?
人間にとって「満たされた、完璧な死」とは何なのか……?

イギリスのジャーナリストが、様々なインタビューを通して見通す未来観を期待して読み始めたのだけど、たぶんSFファン向けではないかも。真面目に取材してあって、そこは好感が持て、現在どういうところまで実現できているかとその問題点をつまびらかにしてあるのだけど、その後への考察が足らない。まあ、それを考えるのがSFだろ?という指摘には同意します(笑)
文中にある“自分を女性とは呼びたくない「彼女(she/her)」という言葉を使って自らを表されるのも嫌だと主張する人物が、まさか、女性の情愛をこれほどまでに誠実に、感動的な言葉で説明できるなんて、こう言うと私自身の予断を白状してしまうことになるが、子どものいないトランスジェンダーの人がここまでみごとに母というものを表現するとは思ってみなかった”とありました。私は、ほとんどわかってないぞと、最初の理解はしましたが(汗;)

科学と倫理の境界でゆらぐ、21世紀の性、食、生、死。生命倫理、暴走する資本主義、ジェンダーとフェミニズム、気候変動、管理社会、ウェルビーイング……様々な命題が複雑に絡み合う最新技術開発の最前線で、気鋭のジャーナリストがその進歩や課題、あるいは華やかなシリコンバレーの起業家たちをはじめとしたプレイヤーの虚実を5年にわたって現場取材し、21世紀の「人間性」のゆくえを考察した、グレーな近未来ガイド。

雀部 陽一郎 の紹介

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