日別アーカイブ: 2011年2月27日

BL系『青の軌跡(上・下)』久能千明著

新惑星Σ‐23を目指す惑星探査船のクルーとなった傭兵あがりの三四郎は、当直のその日、コールドスリープから目覚める。長い歳月を要するこの航海は、コ ンピュータにより精神面はもちろん身体の相性も最高と判断された武官と文官の組み合わせ“バディ”達によって運行される。しかし、三四郎の相手として現れ た人物は、万華鏡の瞳をもつ月生まれの美しい男カイだったのだ。驚きも束の間、二人を乗せた船が、突然軌道を外れ始め―。 かなりSF的な設定も作り込んであるBL作品。カイは、他の人間の感情的反応や肉体的反応を自分のものとして感じ、同時に自分の感情や肉体で感じ取った感覚を相手に伝えることができる能力の持ち主。精神的肉体的LOVEが二倍になってしまうという。ちょっとアナクロだけど謎解き要素もあって、SF的な設定や謎解き総てがBLを描くために存在しているという凄い作品です。SF読者のためのBL入門書としては好適かも(笑)

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BL系『WEED』『WELL』木原音瀬著

実は、知り合いからSFぽい設定だからと言うことで『WELL』を薦められたのですが、うろ覚えだったので、購入したのが同じ作者の『WEED』だったという(笑) エリート医師の若宮と悪友・谷脇はある雨の夜、一人の男を拾う。一夜限りの刺激的な遊びと、男を無理やり弄んだ若宮たちだったが、一週間後その男・岡田と 偶然自宅で再会してしまう。さらに、あの夜以前にも若宮は岡田に出会っていたと告げられ…。こんなに求めたことはないから、どうしていいかがわからない。 そんな恋に出会ってしまった―。 本格的なBLの本を読んだのは初めてなのですが、なんか凄い……。支配vs被支配の関係が徐々に破綻していく様が見事に書かれていて、背中がぞくっとしてしまった^^; ある日すべての建物が突然崩壊し、多くの人間や動物が死んだ。地上は灼熱の太陽と白い砂漠だけになった。地下にいて助かった幼馴染みの亮介としのぶは、食 べ物がなく酷い空腹に苦しんでいた。このままでは餓えて死んでしまうと焦る亮介に、「亮ちゃんが一緒ならいい」と言うしのぶ。亮介は苛立つが怪我をした身 では動けなくて…。―突如生と死に直面した高校生二人の、切ない愛の物語。 SF的にはそんな凄い設定はありません。読みどころは、ホロコーストもので語られるBL。極限状態における少年の心理の動きが鮮やかに書かれてます。極限状態を突き詰めてしまったために、ややLOVEの面のインパクトが薄れた感じがするので、個人的には、『WEED』の方によりショックを受けたのですが……。

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