榛見あきる先生著者インタビュー関連資料

『虹霓のかたがわ』
『虹霓のかたがわ』榛見あきる著、蔵西装画
2022.1.15、株式会社ゲンロン、Kindle版、440円
第4回ゲンロンSF新人賞受賞作
やむなき妥協策から観光都市と化した近未来のチベット。そこには世界最大の仏教学院(ラルンガル・ゴンパ)があり、赤い無数の僧房が山の斜面を埋めつくしている。そこでは、一万人以上の学員が暮らし、仏教 を学んでいる。14歳の少年僧ペーマは、同地を襲った大火で左手を失って以来、どこか周囲から隔絶された感覚を抱いていた。その欠落を埋めるように、彼はひそかにダンス教室に通い、貸与された「羅刹女」のアバターを身にまとってストリートで踊り続けていた。ある日、そのアバターのライセンスを返さなくてはならない事態が起こり、彼はやむなく僧院主催のダンスオーディションに参加し、その使用権利を取り戻そうとするが……


『SCI-FIRE 2021』特集:アルコール
【目次】
★ゲンロンSF新人賞正賞 全作家の書下し
高木ケイ「進化し損ねた猿たち」
天沢時生「ナキオ」
琴柱遥「悪魔から盗んだ女」
榛見あきる「大学六年生。密造酒、泥酔オセロ、」
田場狩「酩酊」
河野咲子「みそかごとめく」
★謎のマイクロノベル「食パン小説」
食パンにかな文字をスタンプする―― 雑誌『小学一年生』ふろく「ドラえもんアンキパンメーカー」で、食パンが小説になった!?
北野勇作・飛浩隆・久永実木彦
★書き下ろしアルコール小説・酩酊編
佐川恭一「職、絶ゆ」、今野明広「恋愛レボリューション12」
★書き下ろしアルコール小説・酒怪編
久永実木彦「ガラス人間の恐怖」、吉羽善「或ルチュパカブラ」、藍銅ツバメ「蛇酒なんて置いてかないで」
★書き下ろしアルコール小説・無重力
谷田貝和男「星を飲んだ話」、中野伶理「金魚酒」、揚羽はな「Pity is akin to Love」
★書き下ろしアルコール小説・禁酒法
進藤尚典「お酒かな」、常森裕介「酔いどれ探偵vs泥酔した容疑者たちvsアルコール検知器」、遠野よあけ「しゅ」
★書き下ろしアルコール小説・壺中天
井上宮「魔法博士と弟子」、稲田一声「掌の怨念」、名倉編「酒売りの少女(ディオニュソス・ガール)」、櫻木みわ「ジョッキー」
★高丘哲次「実録ゴッドガンレディオ VS. サイファイア抗争史」
遠野よあけ「ぼくがダールグレンラジオで果たしたこと」


第5期生卒業文集
★テーマ短編 : チャレンジ編
田場狩「縁のメモリア」、馬屋豊「Gap between 5 and 6」、吉羽善一「バカンスまでは遠い鳥」、去場司「これはなにに見える?」、夢想真一「サイレント・ウォーキング」、岸辺路久「焚き銭」
★テーマ短編:リベンジ編
方梨もがな「縁をこえて」、山森衛「命の霧を編む」、葉々「Melancholy cyborg」、中野理一「暗涙のマリア」、本所あさひ「等々力リビジット」、長谷川京「夢の海に亰」、今野明広「SEXレボリューション62」、稲田一声「祖母のひそやかな断面」、岸田大「鏡の中の鏡」、岡嶋心「さいごの晩餐」、榛見あきる「ヲタロポリス・クライシス―同人誌ブルース-」
★フリー短編
新川帆立「闇の中」、六角大輔「ロープ小説」、西村真「サクラ咲く私たちの国」、織名あまね「声が聴こえる」、悠人「フリーダムデジタリアン」、園田陽「New game」、継名うつみ「輝かしき黄金の日々」、植田良樹「前を向いて歩け」、河野咲子「みそかあめのよ」
★エッセイ
去場司一「導火線」、馬屋豊一「レベル0」、山森衛「花は盛りをのみ」、竹田人造「護身不完成」、邸和歌「生き延び、負けた。」
★Inspired by the cover art
吉羽善「接続するマイクロノベル」

榛見あきる先生2019年実作
1:お題「『100年後の未来』の物語を書いて下さい」
「ブルーだけでは足りなくて」
8:お題「ファースト・コンタクト(最初の接触)」
「無何有(むかう)の位」
11:お題「最終課題:第4回ゲンロンSF新人賞【実作】」
「踊るつまさきと虹の都市」

榛見あきる先生2019年梗概で遊ぶ(笑)
梗概を読んで、オールドSFファンならどういう話を想像するかという……
あくまで梗概から連想される話です。もとの「お題」とは直接の関係はありません。
お題に沿っていることがあってもそれはたまたまです(汗;)書いた時は他の人の梗概は読んでません。
先に榛見先生作の梗概を読んでおいて下さい。榛見先生ごめんなさい。
昔のSFにありがちな設定・構成しか思いつかないので、年配の読者なら、あ~あれかな?と気づいてもらえれば嬉しい(笑)ラノベは、ほぼ知らないし、異世界転生ものもさっぱり(汗;)
「蒼ざめた月」のショートショートは、あの短編のまんまパクリです(汗;)
ついでに言うと、その後の展開・ラスト等は全く考えてません。榛見先生は、梗概の時点でだいたいのストーリーを考えられているそうですから、やはり作家の方は違うなあと(汗;;)

2:お題「読んでいて“あつい”と感じるお話しを書いてください」
「メルクリウスの仇花」
曰く“水星が舞台の「スペース園芸任侠おくりびと」”ということなのですが、熱くて暑い話の梗概なのかなと想像。
設定はファンタジーかラノベ風。これを活かすにはと考えると……
ということで、舞台は、水星。日中と夜間の温度差を利用した発電所(超耐熱型ソーラーパネルでも良いのですけどね)があり、マイクロウェーブによる送電と設備の保守担当のメインAIと、発電担当の二台のサブAIで構成、ファンタジー&異世界転生・なろう系が大好きな元ニートの保安要員も一人居ます。三台とも自律型AIで、メインのAIが故障時には、サブのどれか一台だけでも機能するように設計されてます。
ある日、太陽面で大規模なγ線バーストが起こりメインAIが暴走、悪いことにメインAIをシステムから物理的に切り離すキルスイッチと、地球からの指令を受ける通信設備も機能しなくなってしまう。
窮地に陥った専門知識の乏しい単なる保安要員である俺は、なんとかシステムを支配下におこうとするが、うまく行かない。そこで窮余の策として、好きな「異世界転生・なろう系」のラノベを大量にAIに機械学習させ、メインAI(死の王)とサブAI(火葬師レウコユムと宣教師ガランツス)、勇者(俺)として仮想空間に転位し、メインAIから支配権を奪い取る旅に出る……(笑)

3:お題「強く正しいヒーロー、あるいはヒロインの物語を書いて下さい」
「魔女っ子ミントちゃん☆オーバーライド!」
内戦の後遺症と淀んだ大気のため、薬品霧(スモッグ)に覆われた街。戦闘能力を削ぐため、言語中枢を抑制的に麻痺させる薬品霧が予定外の地域まで漏れ広がったため、そこで暮らす住民達には言語能力に問題があった。上空まで壁に覆われた風のない貧民街は、極小の群体ドローンによる流体制御技術(ミアズマ)でどうにか薬品霧のさらなる影響から免れていた。
街の汚染がもう制御できないと域に達したと判断した衛生局は、上空の壁を壊し空気を循環させる計画をたてたが、問題は言語を解さない住民達からどうすれば犠牲者を出さずに済むかだ。
衛生局員のエチカは、住民たちの間でも人気のあるキャラクター「魔女っ子ミント」の映像を使い、住民達を誘導する案を提出する。「魔女っ子ミントちゃん☆オーバーライド!作戦」発動!(笑)

4:お題「『何かを育てる物語』を書いて下さい」
「箱庭ヘテロトピア」
男娼を専門とした遊郭で働く男娼「炯(ケイ)』と「昂(コウ)」という双子。二人は、立役の時は『炯』と呼ばれ、女形のとき『昂』と呼ばれるのだ。遊郭での試作機運用により、世界で初めて人体でのMRI撮影が成功し、脳の神経発火から固有の相パターンの連動が発見される。世界の各地で追試が行われ、そこから得られた結論は、文明の進歩と異性愛が相反する相を持っているということであった。すなわち、文明が進歩すればするほど、男女のカップルは減り、合計特殊出生率は減少し人口も減り続けると。
生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えである「42」とは、男・男と女・女の4人による2組を単位としたユニットのことだった。人類はこの「42」ユニットと人工子宮による子作り・子育てで文明の滅亡を回避しようとするのだが……(我ながら無理矢理だな(汗;))

5:「シーンの切れ目に仕掛けのあるSFを書いて下さい」
「歩けない蝶の献身あるいは鹵獲」
脳の神経結節を読み取り、解析された脳機能を選択的に分離・増強・交換可能にする経皮頭蓋神経インタフェース(tNI)が実用化された未来。手児奈(てこな)ともよは、元々はtNIを使って病んだ人に寄り添い回復させるすぐれたヒーラーであったが、重度の紅斑性狼瘡のため自室のベッドから動けなくなってしまっていた。
一方、有正幸恵は窮極のプロファイラーとも言うべき存在で、主としてテロ対策にあたり、その対象者が憑依するといっても過言でない行動予測で数々のテロを阻止してきた。しかし対象にのめり込みその人生を生きるといってもよい捜査方法は、その代償として重いPTSD / 心的外傷後ストレス障害をうみ、任務の継続が難しくなりつつあった。
ともよにとって病室はつまらないモノトーンの世界であったが、患者の記憶はいくら辛い記憶であってもビビッドなカラーの世界だったので、たっての依頼だったこともあり、幸恵の治療を引き受ける。
順調に進んでいるかに見えた幸恵の治療だが、ある頃からともよの入院する病院の近辺で凄惨な事件が頻発するようになってきたのだ……

6:長距離を移動し続けるお話しを書いて下さい」
「マスティクスにもう一度」
カーボンナノチューブの外骨格を持つ多脚自律型生体ビークル「立駒」(笑)ネーミングの由来は、昔の超有名だったアニメに出てくるロボットに似ているから。車体の漢字は日本人に描いてもらった。で、俺の名前は「馬頭」。日本人に言わせると俺が馬面だというのもあるし、そのアニメではタチコマとバトーは良いコンビだったそうだ。
俺たちは、この荒廃した世界で「郵便屋」を生業としている。道なき道を走り、アメリカの端から端まで何でも運んでいくのだ。ただし重量制限があり、立駒の車重(600kg)と俺の体重(70kg)を含めて、1000kgまでという決まりになっている。立駒が太る(体積で言うと半分以上生物なので太るのだ^^;)と、積載量が減って稼ぎも減る。だから、太らないように口うるさく言うのだが、なかなか食欲は抑えられないので、二人の間では、立駒が10kg痩せないといけないときは、俺も1kg体重を減らす約束になっている。不公平だと文句が多いが、重量が一桁違うからしかたがないぞ(笑)
今回の我々の仕事は、この世に一冊だけ残った本をひたすら西へと運ぶこと。なんじゃそれはと思ったが、目的は運んでいると自ずとわかるようになると。まあ金になるならしかたがない……

7:「『取材して』お話しを書こう。」
「レッドライン・エンタングルメント」
運命の赤い糸と言われるが、なぜか私には子供の頃からその糸を視ることができた。漂う赤い糸もあれば、既に特定の人の指と結ばれている糸もある。結ばれた同士は、元々結婚する運命にあるので、何かのきっかけさえあれば、その二人は結ばれるということも。そして、どの赤い糸同士が引き合っているかも何となく判別できるようになってきた。
成人した私は、この能力を活かすためにマッチングアプリを開発し、カップル成立時のみ料金を頂くシステムを構築した。なに、どの赤い糸がどの赤い糸と引き合っているかを判断し、出会いの場さえ設ければ、あとは糸同士が勝手に絡まり運命のカップルが誕生するというわけだ。この業界では驚異のカップル成立率を誇り、運命の人に出会ったと感じた二人からは、十分な謝礼を頂くことが出来た。
しかし結婚したからといって幸せになるとは限らない。結局のところ、単に二人が結ばれるというところまでが赤い糸が示唆する運命なのだろう。結婚したがためにお互いに憎み合い離婚するとか、保険金をかけて相手を殺害するという悲惨な事例もあった。
また、例えば一方のスペックが経済的にも性格的にも高い場合には、赤い糸のマッチング率も高くなる(一人とは限らなくなる)傾向もあるし、再婚を繰り返した方がお互いに良い場合もあったりと判断が難しい事例もあった。
現在のところ私にしか視えない赤い糸の秘密を探るために、会社の利益から資金を捻出し最先端の知見を求めた結果、赤い糸のように見えるものは微少な空間のゆがみ=重力波の一形態であることがわかった。
そして、結ばれたカップルの追跡調査と、赤い糸の性質の精査から出てきたのは驚くべき結果であった……

9:「『20世紀までに作られた絵画・美術作品』のうちから一点を選び、文字で描写し、そのシーンをラストとして書いて下さい。」
「蒼ざめた月」
「神隠しにあった子供は昔から一定数存在する」
「次元断層に落ちたのでは」
「見えるし触れるということは、まだ3.5次元あたりで引っかかっている?」

医者や科学者たちが喧しいが何の解決にもならない。昨夜の地震後、赤ん坊が一瞬消え、また元に戻ったが、その時には普通の状態では無かった。




医者に「赤ちゃんがどう見えているか描いて下さい」と言われたが、私にはこんな風に我が子が見える。
医者や科学者たちが言うには、「赤ちゃんは、うごめくピンクのチューブのようにしか見えない」そうだ。
私たち夫婦も次元震の影響を部分的に受けているので、そうでない人間とは見え方がちがうのだそうだ。
妻は半狂乱で会話が成り立たず相談できないので、今後のことは私ひとりで決めなければならない。



現在は、私がこちら側に軸足があり、赤ん坊はほとんどあちら側に居るといってよい状態で、私と赤ん坊が母親を引っ張り合っていて、妻がどちらに転ぶかは私の決心次第だと。
完全にあちら側に移行したら、どんな世界が待っているのだろう。怖くもあるが、家族の居ないこの世界に残るよりあちら側で家族三人のほうがまだましではないかとも思う。
窓から外を見ると不思議な色合いの風景が広がっている。妻にも同じ風景が見えているのだろうか。
たぶん月と船だと思う見慣れぬ色彩と形の景色だが、心安らぐのは何故なのだろうか……


夫妻は、赤ん坊に寄り添おうと決心したようだ。
今朝、私たち調査団が見たものは、“楽しそう”にうごめく大小三本のチューブたちだった。



「小説すばる」2022年4月号、873円
特集「メタバース最前線」
対談:藤井大洋×加藤直人
読切:麦原遼、吉羽善、藍銅ツバメ
創作会議:企画者:榛見あきる×アドバイザー:加藤直人(クラスター(株)CEO)
part1:食事
 メタバースでの食事にフォーカスしたD2C形態のサービスが展開される。
 料理人は3Dプリンターで出力される料理のレシピを設計する→シェフ=デザイナー
 エンターテインメントとしての料理はあり得る?
 栄養摂取と楽しむ行為は分けられる
 食事は精神安定装置の側面もある
part2:ペット
 ペットに意識や寿命は必要か否か
 動物も視覚などをハックすることは可能
 人型のペットなど、性的な部分での定義が必要かもしれない
 メタバース内で問題が起きたとき、一般にソフトフォーク、ハードフォークと呼ばれる方法で対処
 ハードフォークの場合、メタバースでの数日間が消えてしまうことになるかも。



小説すばる2022年5月号、873円
読切短編:鈴村ふみ「大銀杏がひらくまで」
榛見あきる「(Dis)cover of Virtual Ramen」
 情報身体職人(アバターメーカー)のフジは、“ゴロー系ラーメン”のアバター製作を依頼される。依頼人は、学生時代の“優勝”していた日々を思い出したいのだというが――。前号メタバース特集より、「メタバースの食事」SFが誕生!
 まあ平たく言えば、食品3Dプリンターで出力するラーメンの味や香りのデザインをする話です。それがそのままラーメンの本質を巡る話になっているところが面白いです。



『メタバース さよならアトムの時代』加藤直人著
2022.4.5、集英社、Kindle版、1485円
【目次】
第1章:メタバースとは何か
第2章:メタバース市場とそのプレイヤーたち
第3章:人類史にとってのメタバース
第4章:VRという技術革命
第5章:加速する新しい経済
第6章:メタバースの未来と日本
「世界を変える30歳未満30人の日本人」(Forbes JAPAN)に選出された、メタバースプラットフォームcluster創業者が幻視する、人類が物質(アトム)の束縛から解き放たれる未来とは?

雀部 陽一郎 の紹介

SF関係では、東野司さん、橋元淳一郎さん、久美沙織さん、平谷美樹さん、石黒達昌さん、上杉那郎さん、伊藤致雄さんのオンライン・ファンクラブ管理人してます。どうぞ、よろしく。また、懐かしいSFについて語ろうというメーリング・リストも主宰してます。昔は良くSFを読んだが、最近はさっぱりという方は、ぜひどうぞ!(笑) http://www.sasabe.com/SF/
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