月別アーカイブ: 5月 2012

「明治小説全集七」明治断頭台>怪談築地ホテル館

「明治小説全集七」明治断頭台>怪談築地ホテル館 著者 山田風太郎 発行所 筑摩書房 最初から伏線をばしばし出てきて、これには何かある何かあると思わせて、フェイクもつくったり、いろいろな文章で死亡フラグをもやもやと隠したり、犯人は意外な人だったりとよく考えられているというのが第一印象。 被害者は、置いている刀で上半身と下半身が別れるという壮絶な死に方しているのに、血生臭くないのが、返り血、天井まで吹く血が大好きな私にとってちょっと不満かな。 フランス女エスメラルダが巫女的神かかりになって死者の声を出して真相を暴露する言うイベントもあって面白かった。しかし憑依させて死者の声を出して犯人をびっくさすというのが探偵物のタブーの一つだから、これより後の章で実はこうだったと解釈がつくと思う。わりと楽しいスプラッタ死に方でありました。

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「明治小説全集七」明治断頭台>巫女エスメラルダ

「明治小説全集七」明治断頭台>巫女エスメラルダ 著者 山田風太郎 発行所 筑摩書房 フランスから断頭台(何度でもいうが首をはねるギロチンである)を持って帰ってきたのだが、これにはおまけがついていた。フランスの金髪女エスメラルダである。彼女におまけなどといったら失礼になるかもしれないが、事実そうだからしかたがない。断頭台をフランスでつくらせた日本の使者に恋して、はるかかなたのフランスからついてきたのである。使者に恋したものの国が違うから結婚しても使者には出世とかの道もできないであろう。他のものは本国フランスに返せ返せというが、恋する女はそのまま帰るわけもなく、しかたがなくフランスの法律本の翻訳をさせるという理由で日本に留め置く口実をつくった。 しかし、この女の本領は巫女姿になってばっさばさと祝詞で犯人をあげることであった。

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「明治小説全集七」明治断頭台>弾正台大巡察

「明治小説全集七」明治断頭台>弾正台大巡察 著者 山田風太郎 発行所 筑摩書房 この本に一番最初に紹介されているのが邏卒(らそつ)と呼ばれる男たちである。幕末から明治の最初まで混沌とした空白状態であったという。政府がそれではいかんということで今のおまわり、昔では与力岡っ引きといったもののところが邏卒という存在である。 とはいってもこの本に出てくる邏卒たちはどうしようもないもので、酔っ払った男からはあり銭ぜんぶいただく、その金のおこぼれをもらうやつがいる。景気のいい邏卒がいたらみんなでたかりに行くといったあんばいである。 そんな連中が歩いていると水色の水干(すいかん)を着た男に脅されて、二度と悪いことするでないぞとほうほうの体で逃げだすのだけど喉元すぎればなんとやらで食いもん屋で無銭飲食するといった塩梅。どれもみみっちい小悪党だけど、先に明治断頭台(この名前からうすうす気が付いている人がいるだろう。フランスから持ってきたギロチンである)で悪の限りをつくした大悪党の首が飛び、次はおまえたちだと言われた邏卒たちの驚きと恐怖がぶるぶると伝わってくる。おまえたちだと言われた後の文書がないのはちょっとしたお約束(笑)

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