日別アーカイブ: 2012年5月19日

「明治小説全集七」明治断頭台>弾正台大巡察

「明治小説全集七」明治断頭台>弾正台大巡察 著者 山田風太郎 発行所 筑摩書房 この本に一番最初に紹介されているのが邏卒(らそつ)と呼ばれる男たちである。幕末から明治の最初まで混沌とした空白状態であったという。政府がそれではいかんということで今のおまわり、昔では与力岡っ引きといったもののところが邏卒という存在である。 とはいってもこの本に出てくる邏卒たちはどうしようもないもので、酔っ払った男からはあり銭ぜんぶいただく、その金のおこぼれをもらうやつがいる。景気のいい邏卒がいたらみんなでたかりに行くといったあんばいである。 そんな連中が歩いていると水色の水干(すいかん)を着た男に脅されて、二度と悪いことするでないぞとほうほうの体で逃げだすのだけど喉元すぎればなんとやらで食いもん屋で無銭飲食するといった塩梅。どれもみみっちい小悪党だけど、先に明治断頭台(この名前からうすうす気が付いている人がいるだろう。フランスから持ってきたギロチンである)で悪の限りをつくした大悪党の首が飛び、次はおまえたちだと言われた邏卒たちの驚きと恐怖がぶるぶると伝わってくる。おまえたちだと言われた後の文書がないのはちょっとしたお約束(笑)

カテゴリー: 未分類 | コメントは受け付けていません。